Pinterest(ピンタレスト)のユニークな企業活用事例と便利な機能をご紹介!コンテンツは作らなくてもいい!?

2015/05/26

■事例・機能からデータまで、Pinterestならではの企業活用のススメ。

前回の記事では、『Pinterestとは何か?』というテーマで、Pinterestでできること・基本的な使い方などをご紹介しました。

第二弾となる本記事では、そんなPinterestを企業がどう使えばいいのかというお話をしてまいります。やはり他のSNSとは違ったユニークな使い方が可能になるので、企業でも活用できないか気になっている方はぜひご参考ください。

※前回の記事に引き続き、今回の記事もPinterest Japanの中島歩さんへの取材を基にラボ向けに編集しました。

    ■目次

    Pinterest完全攻略第二弾!企業はPinterestをどう使えるの?

     1.活用事例から見るPinterestの使い方

     2.ピン/リピンは著作権的に大丈夫なの?

     3.企業が使える便利な機能

     4.企業活用時に役立つデータ

     5.日本で人気になるには何が必要?

1.活用事例から見るPinterestの使い方

さっそくPinterestをうまく使っている企業のアカウントを見ていきましょう。国外の企業ページも含まれますが、日本の企業も参考にできそうなポイントが沢山あるので、あわせてご紹介します。

やはりPinterestなので当然画像中心の運用にはなりますが、単純に自社コンテンツを出すだけではないユニークな使い方がされています。

1.H.I.S Japan

旅行会社のH.I.S. JapanのPinterestアカウントは、主に2種類のコンテンツで成り立っています。

1つは国・テーマごとに分けられたボードで、使われている画像は自社のオウンドメディアと紐づいている、いわゆるオリジナルコンテンツがピンされています。

そしてもう1つは、『#his_blue』や『#his_orange』といったがテーマになっているタイトルのグループボードになっています。

「グループボード」とは?

グループボードとは、複数のユーザーがピン/リピンして編集・共有できるボードです。ボードにピン/リピンできるユーザーは、ボードの管理者が招待して権限を付与します。

▼「#his_orange」のグループボード

H.I.S. Japanのアカウントは、世界の風景を青・オレンジ・緑・紫の4色のテーマに沿った画像を集めるグループボードを作り、それぞれのボードに参加する人を募っています。このような形で、ユーザー参加型のコンテンツを生み出すこともできるんですね。

2.Anthropologie(ファッションブランド)

Anthropologie(アンソロポロジー)は、海外のファッションチェーンです。

こちらの企業のPinterestアカウントにもボードが沢山並んでいますが、興味深いのは、自社コンテンツだけでなく他人の画像もピン/リピンしてボードに収集しているという点です。

オリジナルコンテンツだけで構成されていないアカウント

例えば『Wear to Work』というボードでは、「仕事のためのコーデ」というテーマで様々な画像を集めていますが、このボードには自社製品の画像だけでなく他のサイトの画像も沢山ピンされています。

Pinterestではこのように、自らアップロードした画像や自社サイトに紐づくオリジナルコンテンツだけでなく、他人がピンした画像もリピンして、企業アカウントのコンテンツとして利用することができるんですね。

小ネタ:Pinterestでは縦長の画像の方が見栄えが良い!

ちなみに、既にお気づきの方も多いかとは思いますが、PinterestではそのUIの都合上、縦長の画像の方が見栄えが良くなります。

FacebookやX(Twitter)ではどちらかというと横長の画像の方がUIにフィットしてきれいに表示されますが、Pinterestでは縦長の画像の方がきれいに表示されるんですね。特にファッションブランドのアカウントがピンするコーデ画像などでは顕著です。

Madewell(ファッションブランド)

同じくファッションブランドであるMadewellのPinterestアカウントも、この『他のユーザーのコンテンツをピンする』という運用をしています。

例えばこちらのページのmalta / spring 2014というボードでは、新商品を作るにあたってインスパイアされた、ヨーロッパのマルタ島の写真を集めています。

こちらのボードも、自社が実際に携わってモデルと撮影した写真と一緒に、他の人が撮影/アップしたマルタ島の画像も収集しています。

このようにPinterestでは、ウェブサイトやECサイトでは通常できないような形でブランドの表現をすることができるんですね。自社で用意した画像だけでなく、「他の人の画像」も使うことができるPinterestならではの見せ方です。

「他の人の画像」ということで少しためらいそうになりますが、Pinterestでは「企業ページに他の人の画像をリピンして使っても大丈夫」という文化なんですね。

2.ピン/リピンは著作権的に大丈夫なの?

そうは言っても、やはり「誰かがアップした写真を使う」ことに抵抗を感じる人も少なくないのではないでしょうか。

最も気になるのは、『著作権的に大丈夫なの?』という点ですよね。そこでPinterest Japanの中島さんに、このことについて思い切って聞いてみました。

「画像の保存」ではなく「ウェブサイトのブックマーク」なので大丈夫

中島さんが語るところによると、まず基本的にPinterestが行っていることは「画像の保存」ではなく、あくまでも『ウェブサイトのブックマーク』であるので、決して「画像を勝手に使っている」ということにはならない、ということでした。

たしかに、画像をピン/リピンすると必ず画像の出展元にリンクされるので、その画像をボードに貼って使っても、言わば拡散してコンテンツオーナーに貢献しているという意味合いに近くなるんですね。

もちろん、利用している画像をオリジナルだと主張したらまた問題になりますが、少なくとも企業アカウントが誰かの画像をピン/リピンしても、ユーザーからの印象は悪くならないようです。

企業によって4パターンあるアカウント運用の方向性

これらも踏まえて、企業によっては他者の画像をどんどんリピンした運用をするアカウントもあるなど、使い方が大きく異なってきます。

大まかに分けて、企業によってPinterestアカウントで使う画像に対する考え方は4パターンあると中島さんは教えてくださりました。

1.(外部サイトの画像で)「Pin it」ボタンがついている画像ならピンしてもオッケー

2.既にPinterest上にピンされた画像ならリピンしてもオッケー

3.特定の人の画像だけピン/リピンする

4.自社のオリジナルコンテンツしかピンしない

大体上記の4つのうち、いずれかの考え方をベースにして企業のPinterestアカウント運用の方向性を決めていくようなので、企業アカウント運用を検討する際には参考にしてみてはいかがでしょうか。

3.企業活用に使える3つの便利な機能

企業がPinterestアカウントを運用するにあたって、特に役立ちそうな機能をいくつかご紹介します。

リッチピン

リッチピンとは、ピン自体に情報が含まれているものを指します。

リッチピンには、プレイスピン・リーディングピン・プロダクトピン・レシピピン・映画のピンの5種類があります。

それぞれ特定の情報が付加されるピンで、通常のピンよりも検索で上位に表示されやすくなるようです。また、リッチピンは全て無料で利用できます。

プレイスピン

プレイスピンとは、位置情報を加えることができるピンです。マップのほかに住所・電話番号の情報が含まれます。

お店や風景の写真のピンの場合、その場所を示す際に便利ですね。

リーディングピン

リーディングピンとは、リンク元記事の見出し、著者、概要を加えることができるピンです。

本の紹介だけでなく、メディアやブログの記事をリンクさせる際にも有効ですね。

プロダクトピン

プロダクトピンとは、商品画像にリアルタイムの価格、在庫状況、購入先などの情報を加えることができるピンです。ピンした後に価格が変わると、ピン先の画像全ての情報が更新されるという点もありがたいですね。

レシピピン

レシピピンとは、その名の通り料理のレシピ情報を加えることができるピンです。

映画のピン

映画のピンには、映画の評価・出演者・レビューなどが表示されます。

リッチピンの設定方法

言語は英語ですが、こちらのページより利用したいリッチピンの種類を選択し、メタタグを取得して適切にサイトに埋め込こんだら「リッチピンが有効になった」というメールが届きます。メールが届いたら、ピンがリッチピンとして機能し始めます。

アナリティクス

Pinterestには、無料のアナリティクスも備わっています。

https://analytics.pinterest.com/

アナリティクスではFacebookのインサイトのような感じで、アカウントのクリック数やフォロワーの分析を行ってくれる機能です。登録は必要ですが利用は無料なので、企業アカウントを開設した場合にはぜひとも使いたい機能ですね。

アナリティクスで確認できる項目

・各画像がピン・リピンされた回数

・画像をリピンしたユーザーに関する情報(ユーザー名・保存先のボードの名前など)

・フォロワーのインタレスト(興味)・関心ごと

・ページのインプレッション・訪問者数・各ピンの表示回数・クリック数・リピン数など

外部サイトの画像をピンできるようになるブラウザの拡張機能

上記の事例でもご紹介したような外部サイトのコンテンツを自社サイトのコンテンツとしてピンするには、ブラウザに拡張機能を追加することで簡単にできるようになります。

こちらのページより、それぞれのブラウザで拡張機能を追加する手順が表示されます。

筆者はFirefoxを使っているので導入してみたところ、ブラウザの右上にこんなマークが表示されるようになりました。

拡張機能が導入されている状態でウェブサイトの画像にマウスオーバーをすると、画像の左上に小さく「Pin」というボタンが表示されるので、そちらをクリックすると画像を保存するボードなどの設定ができるウィンドウが出てきます。

この手順でやると、自動的に引用元サイトの情報がピンのリンク先として紐づくので、出典元もハッキリしたピンを簡単に作成することができて便利ですね。

4.企業活用時に役立つデータ

企業がPinterestアカウントを運用するにあたって役に立ちそうなユーザーの心理やデータなども、中島さんに少し教えていただきました。海外では以下のようなデータが出ているようです。

・2~3日に一回はピン(=アップ)して画像を追加するのが良い

・一度に沢山ピンしすぎない方が良い

・ユーザーが活動的になるのは午前よりも午後・夜が中心で、平日だけでなく祝日もよく使われる

 ⇒休みの日に雑誌を見ている感覚に近い

・Pinterestは好きな雑誌の切り抜きを集めたようなイメージ

上記のようなユーザーの意識があるので、休日中心にコンテンツを増やしていくという運用方法もPinterestでは有効かもしれませんね。FacebookやLINEでは通勤時間帯を狙って投稿することも多いですが、基本的にPinterestではユーザーがゆっくりしているタイミングに情報を発信するほうが効果が高いようです。

5.日本で人気になるには何が必要?

最後に、中島さんは現状Pinterestが抱える課題として、単純に海外のコンテンツが多く日本のコンテンツが少ないことを上げられました。

Pinterestに興味を持った日本人が使ってみても、画像の出展元に飛ぶと海外サイトばかりなので、なんとなく離脱してしまうことも多いということでした。

したがって、日本のコンテンツが増えていけば日本人ユーザーも増えていくことが期待できるのですが、そもそも日本の企業のコンテンツがPinterestでウケるポテンシャルはあるのでしょうか?

言い換えれば、「日本の企業がPinterestで人気になる秘訣」について、中島さんに聞いてみました。

「インスピレーションを受けるコンテンツ」が良い!

基本的にPinterestでは、大衆受けを狙うようなものではなく一部のコアなファンに深く刺さるようなコンテンツも、国境すら越えて広く愛される可能性を秘めています。

また前回の記事でもお話しした通り、Pinterestのユーザーは新しい・ためになるものを求めているので、そういったインスピレーションを受けるコンテンツが人気になりやすいです。

例えば旅行会社の場合、FacebookやX(Twitter)では海外旅行のキャンペーンの告知などを行いますが、Pinterestでは告知ではなくそもそも海外に行きたくなるような画像を意識して運用していくと、Pinterestのユーザーのニーズにマッチしやすくなります。日本ならではの、丁寧なものづくりのインスピレーションとなるようなコンテンツもウケやすいのではないでしょうか。

最後に

いかがでしたでしょうか。第一弾では一般ユーザー目線で、第二弾では企業目線でPinterestについてご紹介してきました。

海外ではPinterestの認知度が非常に高く、GoogleやApple・AmazonなどのいわゆるUS Interbrand Top 100のうちなんと90社がPinterestを利用しています。また、現時点ではPinterest上の全コンテンツのうち、約3分の2が企業のコンテンツとなっており、いかに企業がPinterestを重宝しているかが伺えます。

企業だけでなく、クリエイターにとっても活躍の場を広げられる可能性のあるPinterest。日本でも日本特有のコンテンツが増え、これまで想像しなかったような流行り方をするポテンシャルを秘めていると思っています。ファッションブランドや飲食店だけでなく、スポーツチームやニュースメディアなどの幅広い業種が活用できるチャンスがありそうです。

一般ユーザー目線でも企業目線でも、これからのPinterestからは目が離せませんね。

貴重なお話しをしてくださったPinterest Japanの中島さん、本当にありがとうございました!

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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部

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