Pinterest(ピンタレスト)はX(Twitter)・Facebookに続く第三のSNSになれるか?そのための課題とは?

2012/06/12

PinterestがX(Twitter)、Facebookの波に続くには何が課題か?

これまでPinterestの良い面について解説してきました。そして、次に紹介するような課題が解消され、より使いやすい効果を実感できるサービスになっていければ、日本でもX(Twitter)やFacebookのように浸透して行くでしょう。

課題1:日本国内ユーザーの獲得

前述のように、現時点での日本でのPinterestの訪問者数は数万人程度と公表されています。

この数字はユーザー側の視点で見ると、少ないわけではありません。なぜなら、Pinterestは「人」や「コメント」ではなく「写真(動画は今のところ少ない)」を元にした場なので、言語の垣根を超えたコミュニケーションが行われるからです。つまり、全世界1600万人のユーザー全てがコミュニケーション対象となるからです。

しかし、企業側の視点で見ると、「海外進出」を目的としてPinterestを利用しない限り、「数万人」という利用者数は非常に少なく物足りません。せっかくニーズ顕在層のフォロワーを増やし、商品画像をクリックして貰って、ECサイトなり商品紹介サイトに来て貰えたとしても、そのユーザーが商品を購入できない海外ユーザーであれば意味が無いからです。

日本人のフォロワーが増えて、日本人が「自社サイトへ来てくれる」「Pinterest経由で購入してくれる」「Pinterestを見てお店に来てくれる」「リピンにより写真が拡散している」といった、何かしらの反響・効果がないようであれば、Pinterestを面白がって利用し始めた企業は撤退していってしまいます。

ピンの仕方は2種類あり、どこかのWebサイトからピンしたり、ファイルでアップロードしたりできます。ファイルでアップロードする場合は、画像のリンク先を指定できるのですが、そこに設置するリンク先にパラメーターを付ける事により、投稿した写真ごとに、どれくらいの誘導があるかを把握できます(短縮URLは2012年5月時点ではリンク先に設定できないようです)。

企業アカウントはこういった計測を行うことで、誘導効果をすぐに把握できます。

課題2:ユーザーのリテンション手段の獲得

Pinterestは、自分が好きな写真・動画が集まる場ではありますが、Pinterestにアクセスしなければ投稿があった事に気付きません。あくまで「旅行」「料理」のような趣味や興味、関心事に特化しているため、来訪頻度は少なくなってしまいがちです。ここは、FacebookやX(Twitter)など、オールラウンドなソーシャルメディアと比べて不利な部分です。

来訪頻度が少なくなりがちなのであれば、どういったリテンション手段を用意すれば良いのでしょうか? それはPCであれば「ブラウザの拡張機能」、スマートフォンであれば「アプリのプッシュ通知」をまずは実施すべきです。ブラウザの拡張機能なら、未読の投稿件数を表示させる事も可能です。

こういったリテンション手段を獲得することもPinterestの課題と言えます。

課題3:[Pin it]ボタンの設置数

外部サイトでの[Pin it]ボタンの設置数の少なさも課題の1つです。

ブラウザの拡張機能や、Pinterestが提供しているブックマークレットを利用してもピンできますが、これらを自分から利用できる一般ユーザーは少ないのではないでしょうか。

また、[Pin it]ボタンがある事でピンする行為への注意喚起にもなります。こういった「Pinterestがどこに行ってもいる」という状況を作らなければ、せっかくPinterestを利用しはじめたユーザーの離脱数も多くなっていくでしょう。

課題4:企業担当者の負荷軽減策

企業の担当者によっては、X(Twitter)、Facebook、mixiなどのソーシャルメディアアカウントを運用しつつ、他の多くの業務もこなしています。

このような状態では、いくらPinterestの運用や投稿が簡単でも、活用頻度が低くなる可能性があります。たとえば、HootSuite などのソーシャルメディアへの一括投稿ツールから、Pinterestへ画像の投稿ができれば運用業務の負担も減りますので、こういった方法による改善が必要です。

また、一括投稿ツールから投稿ができないとしても、Pinterestの中でアカウントの切り替えはできるようになって欲しいところです。

今は、「ユーザーアカウント」「企業アカウント」という概念がなく、ブラウザごとにログイン情報を持ってしまっているため、アカウントの切り替えができないのです。現在の仕組みであれば、「今見ているページに掲載されている写真をピンしたい」→「どのアカウントでPinterestにログインしているか確認する」→「投稿したいアカウントでログインし直す」→「写真をピンしたいページに戻りピンする」という面倒な作業が発生します。

こういったアカウント切り替えフローの改善も、「企業担当者の負荷を軽減する」という意味で課題となっています。

課題5:広告メニューの整備

企業にとっては、Pinterestアカウントがどれだけ簡単に作れても、フォロワーが少ないと、時間やコストの投資対効果で見た場合に割に合いません。同じ時間・コストをかけるのなら、もっとフォロワーやファンが多いサービスを利用しようと思われてしまいます。

では企業は、フォロワーを増やすにはどうすれば良いのでしょうか? 自社サイトでの告知も良いですが、やはり企業としては、自社サイトへ来るほどではない顧客予備軍層へリーチしたいので、Pinterest広告が必要になるでしょう。

Facebook広告のように、Pinterest内で露出する広告で、できれば「地域」「属性」「フォローカテゴリー」「年齢」「フォロワーか否か」といった最低限のセグメントさえできれば良いと思います。

また、Pinterestには、グループ投稿のような機能があり、企業アカウントで作成したボードを他のユーザーと共有できます。共有されたユーザーは、そのボードへの「他ユーザーの追加」「画像投稿」の2つの権限しか持てません。ただ、「画像投稿」さえできれば、企業とその企業のブランドなどファンと一緒に1つのテーマを決めて、1つのボードを作っていくことができます。これはファンとの関係構築・ロイヤリティの向上には、非常に効果を発揮する取り組みとなるのではないでしょうか。

<Pinterest特集の他の記事を見るにはこちら>

今回の記事に書いてある内容は、

↓こちらの書籍でご覧になれます。↓

この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部

企業のWeb担当者様が積極的にSNSをビジネス活用していけるよう、ソーシャルメディア関連の「最新ニュース」「運用ノウハウ」「事例・データ」の情報を素早くキャッチしてお届けします。