そうだったのか!初めてでも分かるPinterest|8つのトピックで使用方法、企業メリットなどを総まとめ【書籍を無料公開】

2012/06/14

Pinterestって未だによく分からない、、そんな方へ!

Facebookの仕様変更に右往左往するなか、

Pinterestのキャッチアップまで手が回っていない方が、ほとんどでは無いでしょうか?

そういった方々向けに、今回の記事では『Pinterest基礎講座』のような形で、

・「Pinterestの現状」

・「ユーザーからの使われ方」

・「Pinterest内でのコミュニケーションの特徴」

・「Pinterestの魅力(X(Twitter)、Facebookと比べて)」

・「企業アカウントを作成するメリット」

・「Pinterestの課題」

という内容について、順を追ってご説明していきます。


実は、ラボで6月22日発売の 『Pinterestビジネス講座』という書籍(共著)を書きました。その中で上記のようなアジェンダで原稿を書いたので、担当部分を全部無料で大公開しちゃいます!(出版社さんのOK貰っています。)

Pinterestの良さなどについて、体系立ってまとまった記事は意外とないと思うので、参考にして頂けると思います。せっかくなのでぜひご覧下さい^^

■目次

1.Pinterestは日本で急成長を見せている!

2.Pinterestとは? – 写真や画像をブックマーク感覚で集められる!

3.Pinterestの使用方法1 – セレンディピティ:思わぬ情報に出会う

4.Pinterestの使用方法2 – キュレーションとソーシャルサーチ

5.Pinterestでは、言語の垣根を越えた交流がはじまっている

6.Pinterestだけが持つ5つの魅力 – Facebook、X(Twitter)との違いは?

7.企業がPinterestアカウントを作成し、運用するメリットとは?

8.PinterestはX(Twitter)・Facebookに続く第三のSNSになれるか?そのための課題とは?

本文に行く前に、簡単に今回の本の紹介を。

書籍では、ラボが担当した以外にも、熊坂仁美さん、SocialMediaExperienceの深谷さん、アクトゼロの黒沼さんを始めとした方々と共著になっていて、今回の記事で無料公開する以外にもためになる情報が多く書いてあります。

↓こちらの目次を参考に、ご興味あれば予約などして頂けたら幸いです^^

▼書籍の目次

Introduction

Part1:Pinterestって何?

Part2:ビジネス×Pinterest

Part3:Pinterestの業種別活用術

Part4:Pinterest完全攻略マニュアル

Part5:一歩先行くPinterest活用術

Part6:Pinterestに便利なツール

↓ここから本文です。

1.Pinterestは日本で急成長を見せている!

2012年に入り、日本のインターネット業界はピンタレスト(以下、Pinterest)の話題で持ちきりになりました。

「月間訪問者数が1600万人を突破!※1(昨年9月比、約5倍の成長)」

「サイト誘導率でツイッターを上回った!※2」

こういった、Pinterestの勢いを示すデータが怒涛のように発表され、それとともにネットメディアで取り上げられる機会も一気に増えてきました。

出典:ニールセン NetView 2012年1月 USデータ

出典:shareholic

ネット上の統計データを見ても、Pinterestの話題の広がりは顕著に見て取れます。グーグル検索での「Pinterest」の検索回数が約10倍に伸び、ツイッターなどソーシャルメディア上での言及数も急激に伸びています(ともに日本のみのデータ※3)。

海外では、タイム誌が選ぶ2011年のベストソーシャルメディア5つの内の1つに選ばれるなど注目を集めていましたが、2012年に入って日本でもPinterest人気に一気に火がついたのです。

TechCrunch JAPANで、2012年2月8日時点で「Pinterest、どこよりも早く月間1000万ユニークユーザー達成」と報じられたように、ただ話題になっているだけではなく、実際にユーザーが付いてきているサービスであることも証明されています。

これだけ話題になっている「Pinterest」とはいったいどういったサービスなのか?なぜここまで急激な成長をしているのか? そして、企業はどのように活用すべきなのか?これからPinterestを活用しようと考えている企業担当者の道標となるような解説をしていきます。

※1: ネットレイティングス社の「NetView」による2012年1月の調査で、アメリカ国内のPinterestの訪問者数を表したデータとなっている。

※2: オンライン共有ツール「Shareaholic」による2012年2月時点の調査で、Pinterestの誘導率は1・05% 、ツイッターの誘導率は0・82%となっている

※3: ネットレイティングス社の「BuzzMetrics」による2011年12月4日~2012年3月4日の調査で、ツイッター、ブログ、 掲示板などのソーシャルメディア上で「Pinterest」というキーワードが言及された回数を、週次で計測している。

2.Pinterestとは? – 写真や画像をブックマーク感覚で集められる!

詳細は書籍の22ページ目以降にも書いてありますが、Pinterestとは簡単に言うと「自分の気になる写真・動画を自分のボードにピンしていくサービス」です。「ピン」とは、ピンナップボードに画鋲で写真を貼り付けるような動作のことで、自分のボードに好きな写真を貼り付け、フォトブックのように利用していきます。

ユーザー登録するとボードが貰える!

Pinterestにユーザー登録すると、自分のボードを貰えます。ネットサーフィン中に、気になる写真・動画を見つけたり、Pinterestでほかのユーザーが好みの画像をピンしていたら、それを自分のボードに取り込めます。

ボードはカテゴリーごとに複数作る。

ボードはカテゴリーごとに複数個設置でき、旅行好きの方であれば「旅行」というカテゴリーを、料理好きの方であれば「レシピ」というカテゴリーを作り、気に入った旅行先やレシピの写真をブックマーク感覚で集めていけるのです。

これまでも、ブックマークにはブラウザのお気に入り機能や、それ以外にもメモ付きの備忘録としてもまとめられる「はてなブックマーク」など、幅広いサービスがありました。では、なぜ、Pinterestにユーザーの注目が集まっているのでしょうか?

「写真を中心としたブックマーク」「シンプルな使い方」「気軽にアクションできる機能」など、Pinterestが評価されるポイントは多くあります。

ここではソーシャルメディアのメリットを端的に示す「セレンディピティ」「キュレーション」「ソーシャルサーチ」というキーワードに焦点を当てて、Pinterestがユーザーに受け入れらている理由について触れていきたいと思います。

3.Pinterestの使用方法1 – セレンディピティ:思わぬ情報に出会う

「セレンディピティ」という言葉をご存知でしょうか? これは「偶然の発見」を意味する言葉です。Pinterestを利用しはじめると、この偶然の発見の多さに驚かされます。

たとえば自分が旅行に興味があるなら、世界遺産、地中海に浮かぶヨット、ベネチアの街並みなど、心をくすぐられる写真や動画が、料理が好きな方であれば、料理や調理器具の写真、レシピなどが、能動的に情報を検索せずとも、Pinterestのトップページに現れ続けます。

好きな「ボード」をフォローする。

これはPinterestに「フォロー」という仕組みがあるためです。興味関心のある分野が似ているユーザーをフォローすることにより、そのユーザーがピンした写真や動画を自動的にウォッチしていけるようになっています。さらにPinterestが優れているのは、フォローの対象を「ユーザー」と「各ボード」のいずれか好きなほうを選べるところです。

たとえばツイッターであれば、フォローするとそのユーザーの投稿がすべて自分のタイムラインに反映されてしまいます。そのため、趣味趣向が似ているユーザーをフォローしたとしても、自分は興味がない情報がどうしても流れてきます。

それがPinterestであれば、Aさんの「旅行」「料理」「ペット」という3つのボードの中から、自分が興味がある「旅行」のボードだけをフォローできるため、受け取る情報の精度が極めて高くなるのです。

32個のカテゴリーから簡単に興味のあるボードを探せる。

Pinterestはあらかじめ用意された32個のカテゴリーごとのピン一覧を見られるため、自分の興味関心に合ったボードを作っているユーザーを簡単に見つけられます。こういった「自分の興味がある情報だけ」について「偶然の発見がある」という事もPinterestの特徴でしょう。

4.Pinterestの使用方法2 – キュレーションとソーシャルサーチ

キュレーションとは「情報を集めて、ある一定のテーマを元に分類・取捨選択することによって価値を生み出し、他の人に共有する」ことです。Pinterestでは「自分が好きな写真・動画にカテゴリー付けをしてピンする」という行為を通じ、このキュレーションが日々行われています。

Pinterestでは全ユーザーがキュレーター

全Pinterestユーザーがキュレーター(キュレーションする人)であり、同時に、それぞれがほかのユーザーやボードをフォローすることによって、お互いに「精度の高い情報を受け取る」という恩恵を受け続けることができるようになっているのです。前述のセレンディピティを生み出すのも、ほかのユーザーによるキュレーション活動があるからこそです。

また、「ほかのユーザーのキュレーションによって、関心のある分野について精度の高い情報を受け取ることができる」というのは、まさに「ソーシャルサーチ」のしくみです。

ソーシャルサーチとは?

ソーシャルサーチとは、「人を介した情報の探し方」です。

これまで私たちは、ポータルサイトやニュースサイトからの発信を見て情報を知ったり、検索エンジンを利用して興味関心のある分野について情報を調べたりしていました。この行動自体は今後もなくなりませんが、ソーシャルメディアの台頭とともに新しい情報の探し方として、「ソーシャルサーチ」が広まってきました。少し意味合いは異なりますが、ソーシャルフィルタリング(人を介して情報を精査すること)ともいわれます。

数年前は「人を介した情報の探し方」という行為自体はあまり一般的ではありませんでした。たとえば、はてなブックマークというサービスに「お気に入りに追加したユーザーがブックマークした内容をウォッチする」という機能があります。ですが、利用は一部のコアユーザーに限られている状態でした。

そこに、ツイッターやフェイスブックの利用ユーザー層が広がったことで「ある特定分野について詳しい人をフォローして情報を仕入れる」という行為が一般化したと言えます。

しかし、フェイスブックやツイッターを情報の受取口にした場合「投稿内容に対してのカテゴリー分け」が弱いため、ノイズを含む投稿が多く流れてきてしまう、興味がある情報が埋もれていってしまう、という問題が出てきました。

こうした、ソーシャルフィルタリングが一般化し、さらに既存のメディアに対する課題意識が出てきているという流れの中で登場したのが、ノイズが少なく精度の高い情報を簡単に受け取れるPinterestです。

一度Pinterestを利用すると、そのトップページはとても心地よいものに感じることでしょう。

5.Pinterestでは、言語の垣根を越えた交流がはじまっている

Pinterestは言語の垣根を超えて利用できる!

Pinterestは、2012年5月時点ではまだ日本語版はリリースされておらず、サービス自体は英語表記になっています。利用者も海外ユーザーが圧倒的に多い状況ですが、それでも日本人が不便なく利用できるのは「Pinterestでは言語を用いたコミュニケーションが不要」だからだと言えます。

Pinterestでは「人を介した情報の探し方」が行われるとはいえ、「誰が?」よりも「どんな写真がそのボードにあるか?」を判断基準にフォローされていきます

サイトを見ても、ユーザーではなく、写真や動画に重きを置かれたインターフェースになっていることに気付くでしょう。「旅行好きなら、旅行スポットについて興味深い投稿が多くされているボードをフォローする」、このようにほかの人とのコミュニケーションを必要とせず利用できることが、海外と同時に日本でのPinterest熱が盛り上がっている一因だと思われます。

興味はあっても英語表記なので使うのをためらってしまっているユーザーも少なからずいるはずですので、今後の日本語対応とともに、より多くの日本人がPinterestを利用しはじめることでしょう。

6.Pinterestだけが持つ5つの魅力 – Facebook、X(Twitter)との違いは?

Pinterestはなぜ注目されるのか?

これまでも写真共有サイト、ブックマークサイトは数多くありました。そんななか、なぜ、Pinterestが注目を集めているのでしょうか? まずはユーザーがPinterestに惹き付けられる理由について、5つのポイントに絞って解説していきます。

魅力1:使い方がシンプルでわかりやすい

Pinterestはとにかく使い方がシンプルです。

①自分の好きなテーマのボードを作成する、②気に入った写真・動画をピンする、③ユーザーやボードをフォローする、④他のユーザーがピンした投稿をリピンする、という4つのアクションを主な使い方とし、すべてのUIがこの4つのアクションを促すものとなっています。

LIKEやコメントなどの機能もありますが、この4つが主だったものと考えて問題ありません。シンプルさはフェイスブックと比べると一目瞭然です。

▼主なPinterestの使い方

米ニュースメディア「Mashable」の記事によると、投稿の約80%がリピンとなっています。このデータを見る限り「他のユーザーやボードをフォローしてリピンするだけで、自分のお気に入りの情報を集められる」という使い方が、ユーザーに受け入れられているようです。

魅力2:好きなもの・憧れているものをコレクションできる

Pinterestでは、テーマごとに自分の好きな写真・動画を「集めていく」というコレクション性があります。

それに拍車を掛けるのが、ボード上に表示されているピン数です。

ピンやリピンをしていくうちに、好きなテーマの画像が集まっていく。そして、どんな写真をボードに追加したかを確認すると、ピン数が大きく増えている事に気付く。自分の周りが好きなもので溢れかえる事がつまらないと思うユーザーはいません。

また、ボードには、自分の憧れも追加できます。たとえば「travel」というテーマなら「いつか行ってみたい旅行先」を。「furniture」というテーマなら「自分の家に置きたい家具」を貯めていくことも可能です。

自分のコレクションが増えていく場所だからこそ、またPinterestを訪れてしまうのです

魅力3:精度の高い情報を受け取れる

前述の記事で触れたように、Pinterestの中は「偶然の発見」で溢れています。

X(Twitter)であれば、フォローするとそのユーザーの投稿すべてが自分のタイムラインに反映されてしまい、興味や関心がある分野が似ているユーザーをフォローしても、自分の興味がない情報も流れてきて、ノイズが入りやすくなってしまいます。

一方、Pinterestでは「ユーザー(=そのユーザーが管理するすべてのボード)」と「ボード(=そのユーザーが管理する任意のボード)」のいずれをフォローするかを選べます。そして、投稿するユーザーもピン時にカテゴリーを選ぶので、自然とフォロワーへも精度の高い情報が伝わります

また、自分が興味のあるボードを作っているユーザーも、「Art」「Food & Drink」「Travel& Places」など32個あるカテゴリーごとのピン一覧から探す事ができるため、簡単に自分の興味がある情報を集められます。これはPinterestの重要な特徴です。

魅力4:好きなもの・憧れているものを眺め続けられる

Pinterestの魅力は、魅力2であげたコレクション性や、受け取る情報の精度の高さやUIの素晴らしさもありますが、ただ単純にPinterestにアクセスし、好きなものや憧れているものを眺め続けるという楽しみ方もあります。

この楽しみ方は、男性ではなく女性により受け入れられているようです。米国のソーシャルメディア情報サイト「ignitesocialmedia」に掲載されたデータでは、Pinterestの利用者は女性が80%となっており、実際に女性からの利用が多いことがわかります(Google AdPlanner を用いた調査による)。

魅力5:ほかのユーザーに気兼ねせず、気軽に利用できる

コミュニケーションに重点を置いた他のSNSだと、どうしてもほかのユーザーとのつながり、特にリアルな関係性を持つ人に対する気遣いが生まれてしまいます。それが、一部ユーザーが陥っている「SNS疲れ」につながってきます。

その点Pinterestは、ネットサーフィンをしながら、あるいはPinterestの画面を見ながら、自分が気に入った画像をただボードに追加していくだけなので、特定の誰かへ発信しているという意識は薄れます。

また、実名制というルールもないため、仕事絡みの人や、あまりフランクな関係でない知人を気にすることなく、気兼ねなく利用できます。たとえば、フェイスブックであれば公開範囲を操作したり、カギをかけたり、ブロックしたり、という使い方をしている方もいるでしょう。Pinterestではそういったプライバシー面での息苦しさを意識せずに、自分本位で楽しめるようになっています。

7.企業がPinterestアカウントを作成し、運用するメリットとは?

次に企業がPinterestに注目する理由について解説していきたいと思いますが、その前に企業がPinterestを利用するにあたり押さえておくべき2つの前提を説明します。

前提1

1つ目の前提は、Pinterestは一定のニーズが顕在化しているユーザー向けだということです。

Pinterestユーザーは、自分が興味を持っている情報しか受け取りません。X(Twitter)の企業アカウントであれば、一度フォローをしてもらえれば、どういった投稿をしてもそのユーザーに届けられます。

ですが、Pinterestの企業アカウントの場合、ユーザーは企業アカウント自体をフォローするよりも、1つ1つのボードをフォローします。

これはユーザーが受け取る情報の精度を高めるために採用している「ボード別のフォロー」という仕組み上、やむをえない事です。その代わり、Pinterestの中では濃い情報発信ができます。

例えば、「アウトドア」に関するボードをフォローしたユーザーがいたとすると、そのユーザーは確実に「アウトドア愛好者」もしくは「アウトドアをしたいと思っているユーザー」です。こういったその商品カテゴリーに対して、一定のニーズが顕在化したユーザーとの接点を持ち、情報を提供できることは、企業にとって大きなメリットでしょう。

前提2

もう1つ、前提として押さえておきたいのが訴求点です。

FacebookやX(Twitter)であれば、「好きなブランドのアカウントだからフォローしよう」と思ってもらえます。これが、Pinterestの場合はどうでしょう。「どこそこのブランドだからフォローする」というよりも、ボードの写真・動画が、自分が興味のある情報なのかをシビアに見た上で、フォローするかを判断します。いくら好きなブランドであっても、興味がない投稿が集まるボードはフォローしてくれないのです。

こういった傾向があるため、ブランド自体へのロイヤリティを築くのではなく、商品自体の訴求や、その商品に関連するニーズの喚起にPinterestを利用するのがベストです。

もし皆さんがアウトドア商品を販売している店舗やメーカーであるなら、自社ブランドを出す事はあまり意識せず、アウトドアを楽しんでいる風景や、便利なアウトドア商品を使っているシチュエーションを紹介すると良いでしょう。あくまで自社ブランドの訴求は二の次にするべきなのです。


こういった前提の元、企業視点でPinterestに注目が集まる3つの理由を見ていきます。

①情報の拡散の視点での理由

Pinterestは、X(Twitter)やFacebookに比べるとまだまだユーザー数は多いとは言えません。インターネット視聴率調査のネットレイティングス社によると、2012年2月時点の日本でのPinterestの訪問者数は数万人程度と発表されていま

す。

それにも関わらず、集客のしくみが整っているため、情報の拡散が期待できます。その要因のひとつがFacebookおよびX(Twitter)との連携です。

Pinterestの利用をはじめると、FacebookとX(Twitter)の認証をするユーザーが多いのですが、Facebookには自動で、X(Twitter)にはチェックを入れると自動でピン情報が飛ぶのです。

また、Facebookのオープングラフアプリを利用しているという点も、投稿の拡散性と集客に期待を持てるポイントです。すでに気付かれている方もいると思いますが、Facebookのタイムラインでは、最近ピンしたボードが「ActiveBoards」として、フォローしたアカウントが「PinnersFollowed」として表示されるのです。

Facebookでは、プロフィールページのタイムライン化により「タイムラインアプリ」が誕生しました。Pinterestもその恩恵を受け、ピン情報がタイムラインの上部に常に位置するようになったのです。これにより、企業アカウントが投稿した写真も、より見られやすくなったと言えるでしょう。

②トラフィック元の視点での理由

Pinterestは、自社サイトへの巨大なトラフィックの誘導元になる可能性を秘めています。

『Pinterest(ピンタレスト)は日本で急成長を見せている!』でも触れているように、オンライン共有ツール「Shareaholic」によるトラフィック参照元調査(2012年2月時点)では、Pinterestの誘導率が1.05%、X(Twitter)の誘導率が0.82%と、X(Twitter)以上に誘導率が高くなっています

皆さんも企業サイトやECサイト、ブログなどに、様々な写真を掲載していると思います。そういった写真をPinterestに投稿すると、見込み顧客をサイトへ連れてくる事が可能になるのです。

また、ピンする写真には値札をつける事もできます。2012年5月時点ではドル表示しかできませんが、Pinterestが予定している日本語対応に合わせて「円」表示も可能になるでしょう。そうなれば、ECサイトを運営する方々にとって、商品画像を元に見込み顧客を送客する事も可能になります。

もちろん、現時点での日本人ユーザーは少なく、今のところ実際の誘導数は多くありません。私が実験的に「ガイアックスソーシャルメディア ラボ」のブログに関する情報をいくつかピンしてみましたが、その投稿経由の来訪者も決して多いとは言えませんでした。それでも、日本人ユーザー数が増えれば、今後は誘導数がどんどん伸びて行くでしょう。

③手間とコストの視点での理由

Pinterestは、立ち上げや運用の手間、そしてコストが非常に低いと言えます。これが、ユーザー数がまだ少ないながらも、試験的に利用しはじめる企業が増えている要因でしょう。

上図は、X(Twitter)およびFacebookと、Pinterestの立ち上げや運用にかかる手間・コストを比較したものです。Pinterestでは、「アカウント登録・制作」「運用」において、X(Twitter)やFacebookと比べて負荷が少ないことが分かります。

Pinterestの立ち上げに最低限なものは、プロフィール画像と、ピンする写真・動画だけです。プロフィール写真は、企業の場合はロゴや他のソーシャルメディアアカウントで利用している写真で良いでしょう。

投稿する写真・動画は、既に既存サイトで掲載しているものでも良いですし、他のサイトで掲載されているものを、出典を明示しながらピンすることもできます。画像制作が発生しないことは、担当者が気軽に始められる大きな要因です。

先ほど、「運用にかかる時間、コストが少ない」と言いました。Pinterestでは、「コメント」機能があるのでピンに対してコメントが付く可能性はあるといえばあるのですが、海外の企業Pinterestアカウントを見てもコメントが付いている投稿は非常に少ないです。フォロワーも、リピンかLIKEするという使い方をしているからでしょう。

このような「コメントを付けずにリピン・LIKEする」という文化があるため、コメントに対して返信する業務は発生しません。X(Twitter)やFacebookに比べて、双方向のコミュニケーションが取りにくいというのは、事前に把握しておいたほうが良いでしょう。

8.PinterestはX(Twitter)・Facebookに続く第三のSNSになれるか?そのための課題とは?

X(Twitter)、Facebookの波に続くには何が課題か?

これまでPinterestの良い面について解説してきました。そして、次に紹介するような課題が解消され、より使いやすい効果を実感できるサービスになっていければ、日本でもX(Twitter)やFacebookのように浸透して行くでしょう。

課題1:日本国内ユーザーの獲得

前述のように、現時点での日本でのPinterestの訪問者数は数万人程度と公表されています。

この数字はユーザー側の視点で見ると、少ないわけではありません。なぜなら、Pinterestは「人」や「コメント」ではなく「写真(動画は今のところ少ない)」を元にした場なので、言語の垣根を超えたコミュニケーションが行われるからです。つまり、全世界1600万人のユーザー全てがコミュニケーション対象となるからです。

しかし、企業側の視点で見ると、「海外進出」を目的としてPinterestを利用しない限り、「数万人」という利用者数は非常に少なく物足りません。せっかくニーズ顕在層のフォロワーを増やし、商品画像をクリックして貰って、ECサイトなり商品紹介サイトに来て貰えたとしても、そのユーザーが商品を購入できない海外ユーザーであれば意味が無いからです。

日本人のフォロワーが増えて、日本人が「自社サイトへ来てくれる」「Pinterest経由で購入してくれる」「Pinterestを見てお店に来てくれる」「リピンにより写真が拡散している」といった、何かしらの反響・効果がないようであれば、Pinterestを面白がって利用し始めた企業は撤退していってしまいます。

ピンの仕方は2種類あり、どこかのWebサイトからピンしたり、ファイルでアップロードしたりできます。ファイルでアップロードする場合は、画像のリンク先を指定できるのですが、そこに設置するリンク先にパラメーターを付ける事により、投稿した写真ごとに、どれくらいの誘導があるかを把握できます(短縮URLは2012年5月時点ではリンク先に設定できないようです)。

企業アカウントはこういった計測を行うことで、誘導効果をすぐに把握できます。

課題2:ユーザーのリテンション手段の獲得

Pinterestは、自分が好きな写真・動画が集まる場ではありますが、Pinterestにアクセスしなければ投稿があった事に気付きません。あくまで「旅行」「料理」のような趣味や興味、関心事に特化しているため、来訪頻度は少なくなってしまいがちです。ここは、FacebookやX(Twitter)など、オールラウンドなソーシャルメディアと比べて不利な部分です。

来訪頻度が少なくなりがちなのであれば、どういったリテンション手段を用意すれば良いのでしょうか? それはPCであれば「ブラウザの拡張機能」、スマートフォンであれば「アプリのプッシュ通知」をまずは実施すべきです。ブラウザの拡張機能なら、未読の投稿件数を表示させる事も可能です。

こういったリテンション手段を獲得することもPinterestの課題と言えます。

課題3:[Pin it]ボタンの設置数

外部サイトでの[Pin it]ボタンの設置数の少なさも課題の1つです。

ブラウザの拡張機能や、Pinterestが提供しているブックマークレットを利用してもピンできますが、これらを自分から利用できる一般ユーザーは少ないのではないでしょうか。

また、[Pin it]ボタンがある事でピンする行為への注意喚起にもなります。こういった「Pinterestがどこに行ってもいる」という状況を作らなければ、せっかくPinterestを利用しはじめたユーザーの離脱数も多くなっていくでしょう。

課題4:企業担当者の負荷軽減策

企業の担当者によっては、X(Twitter)、Facebook、mixiなどのソーシャルメディアアカウントを運用しつつ、他の多くの業務もこなしています。

このような状態では、いくらPinterestの運用や投稿が簡単でも、活用頻度が低くなる可能性があります。たとえば、HootSuite などのソーシャルメディアへの一括投稿ツールから、Pinterestへ画像の投稿ができれば運用業務の負担も減りますので、こういった方法による改善が必要です。

また、一括投稿ツールから投稿ができないとしても、Pinterestの中でアカウントの切り替えはできるようになって欲しいところです。

今は、「ユーザーアカウント」「企業アカウント」という概念がなく、ブラウザごとにログイン情報を持ってしまっているため、アカウントの切り替えができないのです。現在の仕組みであれば、「今見ているページに掲載されている写真をピンしたい」→「どのアカウントでPinterestにログインしているか確認する」→「投稿したいアカウントでログインし直す」→「写真をピンしたいページに戻りピンする」という面倒な作業が発生します。

こういったアカウント切り替えフローの改善も、「企業担当者の負荷を軽減する」という意味で課題となっています。

課題5:広告メニューの整備

企業にとっては、Pinterestアカウントがどれだけ簡単に作れても、フォロワーが少ないと、時間やコストの投資対効果で見た場合に割に合いません。同じ時間・コストをかけるのなら、もっとフォロワーやファンが多いサービスを利用しようと思われてしまいます。

では企業は、フォロワーを増やすにはどうすれば良いのでしょうか? 自社サイトでの告知も良いですが、やはり企業としては、自社サイトへ来るほどではない顧客予備軍層へリーチしたいので、Pinterest広告が必要になるでしょう。

Facebook広告のように、Pinterest内で露出する広告で、できれば「地域」「属性」「フォローカテゴリー」「年齢」「フォロワーか否か」といった最低限のセグメントさえできれば良いと思います。

また、Pinterestには、グループ投稿のような機能があり、企業アカウントで作成したボードを他のユーザーと共有できます。共有されたユーザーは、そのボードへの「他ユーザーの追加」「画像投稿」の2つの権限しか持てません。ただ、「画像投稿」さえできれば、企業とその企業のブランドなどファンと一緒に1つのテーマを決めて、1つのボードを作っていくことができます。これはファンとの関係構築・ロイヤリティの向上には、非常に効果を発揮する取り組みとなるのではないでしょうか。

※Pinterestへの登録・ログイン・招待など、今回の記事に知りたい内容がない場合は、『Pinterestの使い方【完全ガイド】|登録方法~企業活用事例まで』の記事もご参照下さい。


以上、という事で『そうだったのか!初めてでも分かるPinterest|8つのトピックで使用方法、企業メリットなどを総まとめ【書籍を無料公開】』でした。

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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部

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