Facebookページは「キャンペーンのちょっとした工夫」で活性化できる!クロックス・ジャパンのエンゲージメント構築手法

2011/12/13

Facebookキャンペーンでは「届きました!報告」を!

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皆さんのFacebookページは、ファンからウォール投稿して貰えていますか?

海外の企業Facebookページを見て頂くと、「ファンからのウォール投稿」が非常に多い事が分かります。ファンのロイヤリティを高められている証拠ですね。


「ファンにウォール投稿して貰う」事は、エッジランク(中でも親密度)を向上させる上でも非常に重要だと考えられています。

では、どうすればウォール投稿して貰えるか?

今回は「ファンのウォール参加」成功企業の1社である「クロックス・ジャパン」さんにお話を伺ってきました。(なんと、ウォール投稿数に占めるファン投稿比率は47%です。ウォール投稿の半分はユーザーからなのです!)

ご担当の方々に、Facebookページを始めた背景から、目的から、ウォール参加につなげるキャンペーン・運用手法まで教えて頂きました。

特に、「届きました!報告」は、今後どの会社でも取り入れられる非常に良いアプローチです。

皆さんもぜひ参考にして頂けたらと思います。

お話を伺った方

 クロックス・ジャパン合同会社

・web business e-commerce マネージャー 木村 真紀 さん

・Social Marketing担当 上田 紗衣 さん

目次

1.目的、背景

~クロックスが4seasons Casual Footwear Brandである事を伝えたい。

2.Facebookの使い方

~Facebookページだけではなく「ソーシャルプラグイン」「広告」「アプリ」も活用

3.ファンの獲得施策とこれまでの取り組み

~6,000人以上のファンを集めるだけではなく、エンゲージメントを高めた「届きました!報告」

4.ウォール運用の体制、方法

~1日の投稿件数は?社内との連携方法は?どのような投稿が反応が良い?

1.目的、背景

02:候補1

web business e-commerce マネージャー 木村真紀さん(右)と、
Social Marketing担当 上田紗衣さん(左)


GaiaXソーシャルメディア ラボ(以下、ガイアックス) :

まずはじめに、クロックスさんがFacebookページを始めた目的や背景などを教えて頂けませんでしょうか?


クロックス・ジャパンさん(以下、クロックス) :

弊社では、

1.既存のお客様への四季を通した商品ラインナップがある事を伝える

2.新規のお客様と接点を作り、商品の良さを伝える

といった事を考えてFacebookページを始めました。

大ヒット商品以外の様々なラインナップを知って貰いたい

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クロックスと言えば、上記の写真のような商品を思い浮かべる方が多いかと思います。

日本では2006年~2007年にかけてこの商品が大ヒットになったので、そのイメージが強く残っているのです。

商品は250モデル以上

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現在では、250モデル以上のラインナップを揃えており、四季を通して使って頂けます。

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その他にも、新しいラインナップとして「ゴルフ用」、自然環境を尊重した素材を使用した「ビーチ用」、立ち仕事をされている方に最適な「ワーキング用」などのシチュエーション商品も多く用意しています。

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また、2012年には、第一線で働くビジネスウーマンやフェミニンなファッションにも合う「ファッションアイテム用」の商品も発売される予定です。

「クロックス」というブランド自体は80%以上の認知率があるのですが、ラインナップの豊富さの認知は低い状態ですので、Facebookページでの情報発信・コミュニケーションを通して、まずは知って貰う機会を作れたらと考えています。

体験しないと分からないモノの良さをFacebookで伝えたい

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クロックスの商品は「クロスライト」という独自の素材を使っています。

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この素材を使っているために、「非常に軽い」「足の負担を60%軽減」などの効用があるのですが、企業から一方的にその便益を伝えても理解して貰いにくいかと思います。

実際に手に取ったり、履いて貰わないと分かりにくいものです。

それを、Facebookという双方向の場を使う事により、お客様の体験を語って貰ったり、企業ではなくスタッフが一ユーザーとして商品の良さを伝える場にしたいです。

例えばこういった体験談を

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これはファンの方のウォール投稿ですが、こういった体験談をもっと寄せて貰えるようにしたいです。

そして、こういった情報を見たユーザーさんが、近くのお店に立ち寄って手に取って確かめてみる。そういった流れが作れたらと思います。

他の目的はFacebookページが成長してから

現状では以上の2つが大きく目的としてあります。ターゲットも「既存顧客」「新規顧客」という形でしか区切っていません。

恐らくどの会社さんもそうだと思いますが、Facebookという成長過程のメディアの中で、ターゲットを明確に区切ったとしてもぶれて来ると思うんです。

ですので、今述べた以外の目的やターゲットについては、Facebook自体や弊社のFacebookページがもっと成長して状況を見て考えようと思っています。

目標、KPIもやりながら数字を詰めていく

07Number wheel / HeavyWeightGeek

目的と同様に、目標数値も運用しながら効果を見出していこうと考えています。

幸いにも、クロックスは外資のため、Facebookに対する社内理解があります。ですので、費用対効果を具体的に出さずに初期リリース、初期運用は出来ています。

但し、次年度以降に向けて効果出しも

Facebookに対する社内理解があるとはいえ、何も効果を出せないと次年度以降に続きません。

やりたい事が出てきても、社内で予算が下りなくなってしまいます。

ですので、どういった効果・数字であればFacebookへの継続リソース投下を承認して貰えるかは頭に意識しながら運用しています。

特に、ECサイトに対する貢献値は最初から徹底的に追うようにしています。

見ているのは、「送客数」「コンバージョン数」

ECへの貢献値で見ているのが、

  • 1.送客数
  • 2.コンバージョン数

です。

例えば、送客数という点を見る場合、ソーシャルプラグインでどれだけFacebookから来訪して貰えているか、というのも大事です。

「シェア」は「いいね!」の約8倍の効果

例えば、ECサイトのソーシャルプラグインの活用では、以下のような数字が出ています。

※以下、一定期間の間で、「いいね!」と「シェア」の効果をドメインインサイトで計測したものです。

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この数字を見ると、「シェア」よりも「いいね!」のほうがアクション回数で見ると多くなっています。

ですが、「シェア」のほうが、露出でいうと約6倍の効果が、集客数でいうと約8倍の効果があります。

こういった一つ一つのデータを取る事により、Facebookページに対する目標数字や費用対効果を見ていきたいと思っています。

2.Facebookの使い方

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ガイアックス :

Facebookは「Facebookページ」「ソーシャルプラグイン」「Facebook広告」「Facebookアプリ」といった主に4つの活用形態があるかと思いますが、クロックスさんではFacebookをどのように使っていますか?


クロックス :

4つとも組み合わせて使っています。例えば「ソーシャルプラグイン」であれば、商品の詳細ページに「いいね!」ボタンと「シェア」ボタンを設置しています。

▼商品詳細ページ

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また、自社サイトのヘッダーに、Facebookページへの「いいね!」ボタンを設置しています。

▼自社サイト、ヘッダー

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3.ファンの獲得施策とこれまでの取り組み

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Graph of klick.jorg – Die Homepage / jorg


ガイアックス :

現在(12月9日時点)でファン数は6,271人ですが、他のFacebookページと比べて、ファンからのウォール投稿が非常に多いと思います。

これまでのファン獲得のための取り組みや、ファンにウォール投稿して貰うためにやってこられた事を教えて頂けますでしょうか?


クロックス :

クロックスのFacebookページは2011年6月24日に立ち上げました。以降半年で6,000人のファンが集まったことになります。

ですが、広告はごく一部(ファン数の1割程度分)しか行っておらず、後はその他の施策からの獲得です。

ファン獲得の経路は既存メディアでの告知がメイン

これまでは、

  • 2011年 6月24日 Facebookページ立ち上げ
  • 2011年 9月30日 キャンペーン開始
  • 2011年 9月30日 広告開始

といったスケジュール感で施策は走らせてきました。

ただ、それ以外の合間にも、以下のような施策を走らせて、既存の「クロックスの顧客」をFacebookページで囲い込めるようにしました。

▼広告以外のファン獲得施策

  • 自社サイトへのLikeBOXの設置
  • ECサイトでの購入者へのお礼メールでの紹介(メールのフッターに)
  • その他自社のメルマガでの紹介
  • Facebookページのウォール投稿の拡散
  • 社内スタッフのメールの署名にURLを記載
  • パートナー企業のファンの皆様へのご案内

Facebookページを育て、盛り上げていくには、まずコアとなるファンが必要です。そのコアとなるファンを既存顧客の方と設定し、Facebookページに参加して貰う。

一見時間がかかるように見えるかもしれないそんな方法が、今後の活性化を考えると最も良いのかなと思います。

キャンペーンも行ってファンの獲得率の向上を

12http://www.facebook.com/crocsJP?sk=app_195908270481434

(2011年12月16日まで実施中)

9月30日から実施したキャンペーンでは、スピードクジのアプリを作って使いました。

概要

スピードくじに挑戦するだけでプレゼントの申し込みが完了する、とても参加障壁の低いキャンペーンです。Facebookページとmixiページで実施しました。

「プレゼント」タブにアクセスして頂き、ページ下部の「今すぐ挑戦する」をクリックし、その後のページで必要情報を記入するだけで参加できます。

▼スピードくじの結果ページ:挑戦するボタンをクリックするとすぐに結果が分かる

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全5回で、最終回は11月25日~12月16日で実施しています。

告知は、Facebook広告、自社媒体、twitter、mixiページで行いました。

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賞品は、例えば11月25日からの回であれば、上記のようにクロックス・ジャパンの製品を賞品としていました。

予想を遥かに上回る4,000人の申し込み

当初、年内のファン数目標を5,000人と設定しており、その達成のためのキャンペーンとしてスピードくじキャンペーンを考えていました。

ですが、実施してみると予想を遥かに上回る述べ4,000人のくじ参加者が出てきて驚いています。既に4回行っているので、1回1,000人以上参加している計算です。

このキャンペーンでは、ファンを増やすことがまずは第一義だったので、敷居を低くしたかったです。そのため、その場ですぐ結果が分かり、参加も楽なスピードくじとしました。

「届きました!報告」でウォールへの参加を促す

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ファンからのウォール投稿を促すために、「届きました!報告」のお願いをしています。

これは、単純にスピードくじの商品発送をする際に以下のようなお願いをしているだけです。

お時間のあるときに、喜びのコメントや写真を、クロックス公式 Facebook のウォールに投稿していただけますと幸いです。

みなさまのご報告をお待ちしております♪

投稿して貰う事に対して、何もインセンティブはありません。

それでも多くの「届きました!報告」の投稿をして頂いています。

例えば、以下のような投稿をファンの方々からして頂いています。

▼「届きました!報告」投稿例1

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▼「届きました!報告」投稿例2

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投稿して頂ける数は、1回のキャンペーンあたりで5人ほどです。

各回のプレゼント当選者約80名という数字から比べると、6%ちょっとです。

ただ、こういった能動的なウォール投稿をして貰う事により、以下のような事が期待できるのではないかと考えています。

▼「届きました!報告」による効果

  • 投稿者本人の今度のウォール参加率の向上(投稿/いいね!/コメント)
  • 投稿者本人とのエッジランク(親密度)の向上
  • 他のファンによるウォール投稿の心理的障壁の低減
  • ウォールの盛り上がり感の醸成
  • 「ファンの可視化」による好感度の向上

参考までに、以下にてプレゼント発送時にお送りしていた、送付状(届きました!報告のお願い付き)をご紹介いたします。

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4.ウォール運用の体制、方法

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Media Engagement Framework / StevenGroves

※画像はイメージです。


ガイアックス :

ウォール運用の体制や流れや社内との連携方法などについて教えて頂けますでしょうか?


クロックス :

今は、専任(上田さん)がついて、Webチームの中で他メンバーと連携しながら運用しています。Facebook以外にも、mixi、twitterの運用も担当しています。

投稿頻度は最低1日1回以上

ウォールでの投稿は、最低1日1回以上は行うようにしています。

1日の上限回数などは決めていないですが、1日多くても5回になるようにしています。土日は無しで、平日だけにしています。

投稿ネタは社内から

ウォールに投稿するネタ・原稿は、Webチームだけで考えるというよりも、社内の広報であったり、他の部隊から発信したい内容を貰って、こちら側で加工して投稿しています。

クロックスでは、「店頭」「Web」「マスメディア」「Social(Facebook)」など、顧客とのコンタクトポイントは常に連携して動けるような体制になっています。バラバラに動くのではなく、全体として同じメッセージを伝えられるようにしています。

返信は、内容によってはカスタマーサポート担当から直接

Webチームのほうでは、ウォールのコメントチェックは朝・昼・夕方に確認して、その場ですぐに返信するようにしています。

ただ、例えば製品に関わるものはカスタマーサポート担当から返信をして貰うようにしています。

既に、その担当者も管理者として追加しているので、Webチーム側から返信の依頼した後は、そのまま返信をして貰っています。

チームでは週に1回定例を

Webチームでは週に1回定例を行っています。

Facebook施策だけではなく、Webチーム全体としての定例です。そこでは、主にFacebookページで取り組むべき施策のブレストを行ったり、目標として追っている数値の確認をしています。

定例以外では月に1回、数値のレポートをまとめて報告しています。

ウォール投稿は製品の紹介が60%

ウォールへの投稿内容は、やはり商品の紹介が多くなってきています。

▼主な投稿内容

  • 商品の紹介 :60%
  • 店舗、イベント、PR :15%

「商品紹介」は、宣伝になるので反応が悪いのでは?と思われるかもしれません。

ただ実際はとてもいいね!もコメントも付きやすくなっています。これは、ファッション関連の会社特有の傾向ではあると思いますが。

あと、商品紹介をするにも、ただ投稿するだけではなくて、どのようにしたら受け入れられるか?を考えています。

▼例:スタッフが身に着けている写真を投稿する。

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※こちらは7件もシェアされています。

▼例:可愛らしいキャラクター付きで投稿する。

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※お店のスタッフが着用している写真も反応が良いです。


ガイアックス :

お話し有難うございました。最後に今後のFacebookページの運用の思いを教えて頂けますでしょうか。


クロックス :

現在クロックスは80%以上の認知率があります。

CM、純広告はやらないという会社の方針があるので、それをやらずにこの認知率が保てているのは、口コミのおかげだと思っています。

今後も、ソーシャルメディアで、親しみやすさ、丁寧な対応をしながら、「軽い!」「履きやすい!」といった気付きを与えられるようにしていければと思っています。

そして、クロックスに病み付きになるファンを増やして、そのファン度合が伝播していきたいです。

IMG_0747

これからもクロックス・ジャパンのFacebookページを宜しくお願い致します。


以上、という事で『必見ノウハウ!Facebookページは「キャンペーンのちょっとした工夫」で活性化できる!「クロックス・ジャパン」の必殺エンゲージメント構築手法』でした。

この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部

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