企業がPinterest(ピンタレスト)アカウントを作成し、運用するメリットとは?

2012/06/12

企業はなぜPinterestアカウントを運用するのか?

次に企業がPinterestに注目する理由について解説していきたいと思いますが、その前に企業がPinterestを利用するにあたり押さえておくべき2つの前提を説明します。

前提1

1つ目の前提は、Pinterestは一定のニーズが顕在化しているユーザー向けだということです。

Pinterestユーザーは、自分が興味を持っている情報しか受け取りません。X(Twitter)の企業アカウントであれば、一度フォローをしてもらえれば、どういった投稿をしてもそのユーザーに届けられます。

ですが、Pinterestの企業アカウントの場合、ユーザーは企業アカウント自体をフォローするよりも、1つ1つのボードをフォローします。

これはユーザーが受け取る情報の精度を高めるために採用している「ボード別のフォロー」という仕組み上、やむをえない事です。その代わり、Pinterestの中では濃い情報発信ができます。

例えば、「アウトドア」に関するボードをフォローしたユーザーがいたとすると、そのユーザーは確実に「アウトドア愛好者」もしくは「アウトドアをしたいと思っているユーザー」です。こういったその商品カテゴリーに対して、一定のニーズが顕在化したユーザーとの接点を持ち、情報を提供できることは、企業にとって大きなメリットでしょう。

前提2

もう1つ、前提として押さえておきたいのが訴求点です。

FacebookやX(Twitter)であれば、「好きなブランドのアカウントだからフォローしよう」と思ってもらえます。これが、Pinterestの場合はどうでしょう。「どこそこのブランドだからフォローする」というよりも、ボードの写真・動画が、自分が興味のある情報なのかをシビアに見た上で、フォローするかを判断します。いくら好きなブランドであっても、興味がない投稿が集まるボードはフォローしてくれないのです。

こういった傾向があるため、ブランド自体へのロイヤリティを築くのではなく、商品自体の訴求や、その商品に関連するニーズの喚起にPinterestを利用するのがベストです。

もし皆さんがアウトドア商品を販売している店舗やメーカーであるなら、自社ブランドを出す事はあまり意識せず、アウトドアを楽しんでいる風景や、便利なアウトドア商品を使っているシチュエーションを紹介すると良いでしょう。あくまで自社ブランドの訴求は二の次にするべきなのです。


こういった前提の元、企業視点でPinterestに注目が集まる3つの理由を見ていきます。

①情報の拡散の視点での理由

Pinterestは、X(Twitter)やFacebookに比べるとまだまだユーザー数は多いとは言えません。インターネット視聴率調査のネットレイティングス社によると、2012年2月時点の日本でのPinterestの訪問者数は数万人程度と発表されていま

す。

それにも関わらず、集客のしくみが整っているため、情報の拡散が期待できます。その要因のひとつがFacebookおよびX(Twitter)との連携です。

Pinterestの利用をはじめると、FacebookとX(Twitter)の認証をするユーザーが多いのですが、Facebookには自動で、X(Twitter)にはチェックを入れると自動でピン情報が飛ぶのです。

また、Facebookのオープングラフアプリを利用しているという点も、投稿の拡散性と集客に期待を持てるポイントです。すでに気付かれている方もいると思いますが、Facebookのタイムラインでは、最近ピンしたボードが「ActiveBoards」として、フォローしたアカウントが「PinnersFollowed」として表示されるのです。

Facebookでは、プロフィールページのタイムライン化により「タイムラインアプリ」が誕生しました。Pinterestもその恩恵を受け、ピン情報がタイムラインの上部に常に位置するようになったのです。これにより、企業アカウントが投稿した写真も、より見られやすくなったと言えるでしょう。

②トラフィック元の視点での理由

Pinterestは、自社サイトへの巨大なトラフィックの誘導元になる可能性を秘めています。

『Pinterest(ピンタレスト)は日本で急成長を見せている!』でも触れているように、オンライン共有ツール「Shareaholic」によるトラフィック参照元調査(2012年2月時点)では、Pinterestの誘導率が1.05%、X(Twitter)の誘導率が0.82%と、X(Twitter)以上に誘導率が高くなっています

皆さんも企業サイトやECサイト、ブログなどに、様々な写真を掲載していると思います。そういった写真をPinterestに投稿すると、見込み顧客をサイトへ連れてくる事が可能になるのです。

また、ピンする写真には値札をつける事もできます。2012年5月時点ではドル表示しかできませんが、Pinterestが予定している日本語対応に合わせて「円」表示も可能になるでしょう。そうなれば、ECサイトを運営する方々にとって、商品画像を元に見込み顧客を送客する事も可能になります。

もちろん、現時点での日本人ユーザーは少なく、今のところ実際の誘導数は多くありません。私が実験的に「ガイアックスソーシャルメディア ラボ」のブログに関する情報をいくつかピンしてみましたが、その投稿経由の来訪者も決して多いとは言えませんでした。それでも、日本人ユーザー数が増えれば、今後は誘導数がどんどん伸びて行くでしょう。

③手間とコストの視点での理由

Pinterestは、立ち上げや運用の手間、そしてコストが非常に低いと言えます。これが、ユーザー数がまだ少ないながらも、試験的に利用しはじめる企業が増えている要因でしょう。

上図は、X(Twitter)およびFacebookと、Pinterestの立ち上げや運用にかかる手間・コストを比較したものです。Pinterestでは、「アカウント登録・制作」「運用」において、X(Twitter)やFacebookと比べて負荷が少ないことが分かります。

Pinterestの立ち上げに最低限なものは、プロフィール画像と、ピンする写真・動画だけです。プロフィール写真は、企業の場合はロゴや他のソーシャルメディアアカウントで利用している写真で良いでしょう。

投稿する写真・動画は、既に既存サイトで掲載しているものでも良いですし、他のサイトで掲載されているものを、出典を明示しながらピンすることもできます。画像制作が発生しないことは、担当者が気軽に始められる大きな要因です。

先ほど、「運用にかかる時間、コストが少ない」と言いました。Pinterestでは、「コメント」機能があるのでピンに対してコメントが付く可能性はあるといえばあるのですが、海外の企業Pinterestアカウントを見てもコメントが付いている投稿は非常に少ないです。フォロワーも、リピンかLIKEするという使い方をしているからでしょう。

このような「コメントを付けずにリピン・LIKEする」という文化があるため、コメントに対して返信する業務は発生しません。X(Twitter)やFacebookに比べて、双方向のコミュニケーションが取りにくいというのは、事前に把握しておいたほうが良いでしょう。

<この記事の続きはこちら>

Pinterest(ピンタレスト)はX(Twitter)・Facebookに続く第三のSNSになれるか?そのための課題とは?

<その他のPinterest特集記事はこちら>

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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部

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