メルカリ・フリル・チケスト…あなたはどれだけ知っている?スマホユーザーを中心に広がるC2C特化型サービスまとめ
2015/02/06
こんにちは、ソーシャルメディアラボの渕上です。
先日の改修ですっかりこのブログも様変わりし、そのデザインに驚いた方も多いのではないでしょうか?ここ最近の記事でも取り上げている通り、これからブログやメディアを運営していく上でスマートフォンに対応した仕様にすることは、もはや必須事項となります。
この度の改修でも、いかにスマホから見やすいデザインになっているかを最重要項目として考えました。当ブログへのアクセスもスマホからのユーザーが半分以上を占めているため、以前と比べて随分読みやすくなったのではないかと思います。
さて、今回の記事はそんなスマートフォンのみで操作が完結するものを中心に、『C2C特化型サービス(アプリ)』についてまとめてみました。10代~20代の若者なら日常的に使っているサービスであっても、私たちオジサンにはなかなか理解しにくいものもあります。
C2C市場(リセール市場)は成長市場と言われています。これからサービスをつくる人にとって無視できないこの市場、きっとこの記事が役立ちます。
■目次
1.成長を続けるC2C市場
2.フリーマーケットアプリ・サービス
3.チケット取引仲介サービス
4.クラシファイドサービス
5.総論
成長を続けるC2C市場
※C2Cとは?=一般消費者と一般消費者の間の取引
いわゆるC2C型のサービスといえば、ヤフオクなどのネットオークションを真っ先に思い浮かべる人も多いでしょう。スマートフォンが普及し始め、クラウドソーシングやクラウドファンディングといった形のC2Cサービスが登場したころから、スターアップ界隈ではC2Cに特化したアプリやサービスが盛んにローンチされ始めました。
経済産業省のデータによると、少し古いですが2012年個人向けネット通販の市場規模は、前年比13%増の9兆5000億円となっています。C2Cビジネスの勢いは加速し続け、この数値もしばらくは増えていくものと考えられます。
今回はその中から、成長が著しい若しくは成長が見込める3つの種類と代表的なサービスについてご紹介していきたいと思います。
フリーマーケットアプリ・サービス
メルカリ
ダウンロード数:1,000万(2015/2/1 現在)
「5分で商品が売れる!」と言われるほど素早い取引ができるフリマアプリ・メルカリ。幅広いターゲット層と取扱商品で、フリマ市場で圧倒的なシェアを誇ります。
つい先日2月1日にはアプリのダウンロード数が1,000万を越えたことが話題に上りました。会社の立ち上げが2013年2月1日なので、ちょうど丸2年でこのダウンロード数を達成したということになりますね。フリマ関連のサービスとして最後発に近いメルカリですが、ここまでの急成長には理由があるようです。
舐められないテレビCMの効果
メルカリのテレビCM、皆さんも見たことがあるんじゃないでしょうか?お笑い芸人のダンディ坂野さんが出演されていることもありましたね。
https://www.youtube.com/watch?v=EXcTRjl8ghw
メルカリは2014年3月に14億5000万円、10月に23億6000万円もの資金調達を行ない、それぞれの調達後にテレビCMを打っています。一般消費者が使うサービスにテレビCMの効果は抜群だったようで、しっかりダウンロード数に反映されていることが公式に公開されているインフォグラフィックスからわかります。(下グラフ参照)
後述のフリマアプリ・フリルとデザインはそう変わらないメルカリがヒットしたのは、凋落激しいと言われるテレビCMが後押ししていたというのはポイントですね。そういえばニュースキュレーションアプリのグノシーがダウンロード数を伸ばしたのもテレビCMの効果だとされていますし、まだまだテレビの影響力は舐められないなとつくづく考えさせられますね。
決済システム
先ほどのインフォグラフィックスにはユーザーの年齢層について公開されていませんでしたが、メルカリの利用に年齢確認が不要なことと出品物から見て、メインユーザーの年齢はかなり若いと考えられます。
となると、気になってくるのはリテラシー。フリマにしろオークションにしろ個人間売買で金銭トラブルはよくあることです。その対策としてメルカリが取っているのはエスクロー決済です。
エスクローとは信頼の置ける第3者を仲介させて信用を担保すること。つまり決済の間にメルカリが入るわけですね。もう一点は支払い方法にバリエーションをもたせていること。10代の利用者が多いとなると当然クレジットカードを持っていない人も多いでしょうから、銀行振込に加えてコンビニ決済も設けています。
ユーザーは操作や相手とのやりとりが面倒と感じれば、そのサービスを2度と使わないでしょう。いかにユーザーのことを考えたデザインを構築するか。メルカリの優れた手法に学ぶところは大きいかと思います。
フリル
ダウンロード数:300万(2015/1 現在)
メルカリと同じく、フリマアプリとして有名なフリル。基本的なUIは前述のメルカリとさほど変わりませんので、ここでは主にメルカリとの違いを中心にご紹介します。
まず大前提として、フリルは女性専用です。当然ですが扱っている品も女性向けの物に特化しています。ここが一番の大きな違いですね。そしてなんといってもフリルにはSNSの機能が付いています。自分好みのアイテムを出品しているユーザーを直接フォローすることができるので、ショッピングがより快適になると考えられますね。さらに出品者はフリル内で自分のショップを開設することができるのが特徴です。
決済の仕組みや商品購入の手順はメルカリと変わらず、スムーズなやりとりが可能で、年齢確認が必要な点と女性専用という安心感がユーザーに信頼されているのかもしれません。ちなみにダウンロード数は2015年1月に300万を突破とのことでしたので、メルカリと比べて3分の1以下ではありますが、ユーザーを女性に限定していることから単純な比較は無意味かと思います。
今後メルカリという強豪を前に、どういった舵取りをしていくのかが見ものです!
チケット取引仲介サービス
チケットストリート
チケット取扱枚数:112,090枚(2015/2/04 現在)
コンサート・ライブ・スポーツなどのチケット二次流通市場を攻めるチケット取引仲介サービスで、最も急進的な成長を遂げているのがチケットストリート。
そもそもチケットの二次流通とは?
イベントの公式ホームページや、チケットぴあ・eplusといったチケット販売代理店を通して購入するのが一次流通。ここで購入できればいいのですが、人気アーティストやスポーツイベントともなると、チケットを取得するにはファンクラブ先行や抽選といった激戦を勝ち抜かなければなりません。
それでも購入できなかった人は、ヤフオクなどのネットオークションで探すか、チケットストリートのような二次流通市場に頼ることになるんですね。
ちなみに東洋経済の記事によると、日本と米国でのチケット流通市場は以下のようになっているそうです。
米国でのチケット二次流通は全体の30%を占めるのに対し、日本の二次流通は全体のたった5%!実はまだまだ成長可能な市場なのですが、こういった二次市場があること自体あまり知られていません。
決済は当然エスクローを採用
現状、日本のチケット二次流通市場はヤフオクとチケット流通センターの二強が占めています。しかしネットオークションの取引は詐欺などのトラブルが多い上に価格が暴騰しており、安全・安心の観点で見ると、とても健全とは言えない状況なんですね。
その点チケットストリートでは「安心プラス」というエスクロー的な仕組みを導入しており、チケットと料金は一度チケットストリートを経由するため、個人情報が人に渡ることはありません。しかももし公演が中止になった場合など、返金手続きを代わりにやってくれたりもするので、ユーザーにとってはありがたいサービスですね。
支払いも銀行振込、郵便振替、クレジットカード、コンビニ払い、ペイジー、ちょいコムの6種類が用意されており、若年層にも利用しやすい環境が用意されています。ちなみに前述のヤフオクやYahoo!ショッピング、モバオク、楽天オークションとデータベース連携しているため、外部プラットフォームからの流入も見込めるとのこと。
チケットストリートはネットオークション最大手のeBayと資本業務提携を組んでいることもあり、今後は海外公演のチケット販路拡大に望んでいくと考えられます。他の同様のサービスと差別化を図り、ぜひ二次流通の悪しき慣習を撲滅していただきたいところです!(筆者は以前、泣く泣く二次流通でバカ高いチケットを買わざるを得ない状況に陥ったことがあり、やや感情移入気味なことをお知らせします)
チケットキャンプ
チケット取扱枚数:88,658枚(2015/2/04 現在)
チケットストリートに追いつこうと後ろを走っているのがこちらのチケットキャンプ。基本的にはチケットストリートと同じ仕様なので、違う機能を中心にご紹介します。
チケットキャンプならではの機能として「リクエスト」があります。これは名前の通り自分の欲しいチケットをリクエストするもので、アーティスト名、公演名、開催日、金額や受け渡し・支払い方法などを指定して登録しておきます。売り手側はリクエストボードからピンポイントで買い手を見つけることができるので、売れるのを待つだけではなく、攻めの売買が可能となります。
逆にチケットキャンプでは、公演中止時の返金手続き代行はしていません。また支払い方法もチケットスリートに比べると少なく、利用できるのはクレジットカード、コンビニ払い、ペイジーの3種類のみです。ユーザーにとっては支払い方法が多ければ多いほど助かるでしょうし、この点に関してはチケットストリートに軍配が上がりますね、
とはいえ扱っているチケット数にまだ圧倒的な差がついているわけではなく、巻き返しは十分にありえます。チケットキャンプならではのサービスや機能が明確になると差別化できると思うのですが難しいところですね。とにかく、極端な金額の吊り上げをしている業者やダフ屋を撲滅するためにも頑張っていただきたい(同上)。
クラシファイドサービス
ジモティーの紹介に入る前に、おそらくクラシファイドという言葉を知らない方も多いと思いますので、先にこちらの説明をしておきます(筆者もこの記事を書くまで知りませんでした…)。
クラシファイドとは?
目的や地域によって分類された広告や告知を掲載する「広告媒体」を指します。もっとカンタンに言うと、「三行広告」「案内広告」「文字広告」といったシンプルな広告が掲載されたフリーペーパーなどが該当します。インターネット上でのクラシファイドサービスには、検索や一覧機能がついているのが一般的です。
広告というと企業が宣伝に使うものというイメージが強いですが、クラシファイドでは個人を中心に誰でも掲載が可能なことがほとんどで、掲載料自体も無料か安価で、原稿構成もわりと自由であることが多いんですね。取り扱うモノやサービスの幅は非常に広く、何かしらの物品(譲ります・ください・売ります・買いますなど)、求人、不動産、イベント、マッチング(出会い)など様々。スレッドタイプの掲示板を思い浮かべていただくとわかりやすいかもしれませんね。
ジモティー
取扱い商品数:1,054,106件(2015/2/04 現在)
ネット上のクラシファイドサービス最大手はこちらのジモティー。トップページを見ていただければわかるように、カテゴリが一覧表示され、どんどん深く下っていくディレクトリ型となっています。小さいものなら「聴かなくなったCDあげます。」「着なくなった服あげます。」などから、大きいものは「中古車」「家」「土地」と、ありとあらゆる個人間取引が行われています。
その内無料でのやりとりが2~3割を占めているそうで、出品物の充実さは、より好みしなければ生活に必要なものは全て手に入るんじゃないかと思えるほど。過去には淡路島の別荘や島根県で300坪の土地・新潟で漁船が無料で掲載されたこともあり、その際はかなりの盛り上がったそうです。
※参考:実は月間200万訪問規模!地域掲示板ジモティーに根掘り葉掘り聞いて来た
ネット黎明期のようなサイトデザインの理由
ジモティーのウェブサイトを初めてご覧になったとき、「なんかインターネット黎明期によく見たデザインだな。」なんて感じませんでしたか?悪く言うと古臭いデザインなのですが、これには理由があります。
そもそもジモティーを利用するユーザーは40代以上が60%を占め、10代の利用者はほとんどいないとのこと。しかもあまりインターネットリテラシーの高くない人が利用していることもあり、サイトデザインに凝ってややこしくしてしまうと、単純に使いにくくなってしまうんですね。
なので、わかりやすさ・見やすさを最優先し、選択肢を極力減らした結果、こういったシンプルデザインに落ち着いたということなんです。確かにこのサイトで迷子になる人はそうそういないんじゃないでしょうか。目指しているのは町内会のような地域密着型。ソーシャル機能もついてはいますが、あまりその要素に因われないサイトづくりを目指しているようですね。
どこで収益化しているのか
掲載は無料でマージンも取っていないジモティーは、どこで収益化しているのか。基本的には広告・アフィリエイト・有料オプションの3つだけで、ユーザーからは極力お金を取らないようにしているそう。
クラシファイドサービスで成功している例として、アメリカのクレイグスリスト、中国の百姓网などが挙げられますが、クレイグスリストは1,000万人アクセスを達成するのに、百姓网はIPO公開するのに、どちらも5年以上の歳月を要しました。クラシファイドは急成長を期待できるものではないので、長い目で見る根気が必要となりますね。
ジモティーは今年で創業4年目。KDDIやフジテレビからの出資も受け、国内のクラシファイドサービスとしては最も成長に期待のできるサービスではないでしょうか。サービス同様、気長にその動向を追っていきたいと思います。
※参考記事:国内で個人間取引は成立するのかーー #IVS の会場で聞くクラシファイド「ジモティ」の3年間
WishScope
登録案件:1,060,886件(2015/2/04 現在)
町内会を目指すジモティーに対して、このWishScopeはFacebookのアカウントと連携したソーシャルクラシファイドサービスです。
Facebookに登録していることが前提なことからもわかるように、実名や顔などのプロフィールが紐付いているため、匿名掲示板などに比べて非常に安心感のある設計になっています。取り扱っている品物はジモティーとさほど変わりませんが、ソーシャル✕クラウド型クラシファイドならではカテゴリとして「クラウドソーシング」が用意されているのが特徴です。
ジモティーでクラウドソーシングができないわけではありませんが、WishScopeはかなりソーシャル寄りの仕様となっているようです。Facebook連携の性質上、転職・仕事の受発注などのマッチングサービスに信頼性を付加できそうですね。
ジモティーと同じく2011年に創業し、現在の取扱品目数もほぼ同じくらい。リアル重視のジモティーとソーシャル✕クラウドのWishScopeで住み分けしていくのか、それとも雌雄を決するのか。日本に根付くネット型クラシファイドはどちらなのでしょう!?
総論
いかがでしたでしょうか。
にわかに市場を広げつつあるC2C市場。toBと違い一般消費者にサービスを知ってもらったり利用してもらうには、マスに影響力のあるメディア(テレビなど)を使うなどの戦略が必要となるとともに、リテラシーに大きく差のある一般消費者全員がスムーズに扱える仕組みやユーザビリティが重要になってきます。
良いユーザーが利用するサービスには良いユーザーが集まり、悪いユーザーが利用するサービスには悪いユーザーが集まる。サービスにはそんな自浄作用があります。いかに良質なユーザーを「啓蒙」できるかが、C2Cサービス運営者には必要となってくるでしょう。
この記事を読んで、もし気になるサービスがありましたらぜひ一度利用してみてくださいね。
以上、『メルカリ・フリル・チケスト…あなたはどれだけ知っている?スマホユーザーを中心に広がるC2C特化型サービスまとめ』でした。
この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部