【ショートドラマ】2025年統括・2026年トレンド予測インタビュー

2026/03/04

板谷 昂洋 氏[Gaiax] / 中村 真奈 氏[CREAVE]

       

かつては若者の「暇つぶし」と捉えられていた縦型ショートドラマ。しかし今、その市場は2026年に約1,530億円規模に達すると予測される巨大な経済圏へと変貌を遂げようとしています。

独自の進化を遂げる日本のショートドラマ市場において、単なる一過性の「バズ」で終わらせず、再現性高くファンを熱狂させるIP(知的財産)へと昇華させるには何が必要なのか。

累計5億回再生のIP『本気出すのは明日から。』をプロデュースする株式会社CREAVEの中村真奈氏と、企業のSNS支援を手掛ける株式会社ガイアックスの板谷昂洋氏が、2025年の振り返りと2026年の「勝てるトレンド」について、CREAVE/ガイアックスが、これまで約2年間ショートドラマ施策に取り組んできた実体験をベースに語り合いました。

目次

    1. 2025年総括:プレイヤーの急増と「課金型」の成熟
    2. なぜ今、企業は「ショートドラマ」を求めるのか?
    3. CREAVEがショートドラマ市場へ参入した背景は?
    4. 2つの勝ち筋:「商品訴求型」と「世界観構築型」
    5. 独自メソッド「VSD」アカウントの企業活用について
    6. ターゲットはZ世代だけではない?視聴データの真実
    7. 2026年の展望:ショートドラマが「企業の資産」になる
    8. 【Q&A】セミナー参加者からの質問
    9. 「マジ明日」タイアップ 100万回保証キャンペーン(3社様限定!)のご案内

          2025年総括:プレイヤーの急増と「課金型」の成熟

          板谷: 2025年はショートドラマ市場にとって、まさに「爆発的な拡大期」でした。まずは中村さん、この1年の市場動向をどう総括されますか?

          中村: プレイヤーの多様化が一気に進んだ1年でした。大きく分けると、「課金型のプラットフォーム」「SNS上で配信されるショートドラマ」の2つの勢力が共に成長しました。 課金型では、電子コミック大手の『Renta!』や『めちゃコミック』といった企業が参入したことが大きなトピックスです。漫画を1話ずつ買う感覚でドラマに課金する体験が一般化したことで、作品単体の収益性が底上げされました。

          板谷: ユーザーの裾野が広がりましたよね。一方でSNS発のドラマも勢いがすごかった。

          中村: はい。特定のアプリに閉じない「SNS発IP」が爆発しました。「ごっこ倶楽部」さんの累計100億回再生突破や、KDDIさんの『本日も絶体絶命。』の躍進など、SNS発のコンテンツが地上波並みの影響力を持つに至りました。弊社の『本気出すのは明日から。』(通称:マジアス)も開始8ヶ月で5億回再生を突破し、フォロワー数も30万人を超える規模まで成長しました。SNSでファンを作り、そこからIP化していく流れが完全に定着したのが2025年でしたね。

          ※出典:セミナー資料「2025年度版ショートドラマカオスマップ」

          なぜ今、企業は「ショートドラマ」を求めるのか?

          板谷: 支援会社の立場から見ても、ナショナルクライアントを含む多くの企業がショートドラマに予算をシフトさせています。その最大の要因は、現代の消費者が抱く「広告への心理的抵抗感」にありますよね。

          中村:スマホネイティブな世代はタイムラインに流れてくる「THE・広告」という空気を感じた瞬間、0.5秒でスワイプしてしまいます。実際、視聴データの約4割はZ世代ですが、実は35歳以上の層も合計で3割以上を占めており、全世代で「広告回避」の傾向が強まっています。

          中村: その点、ショートドラマは「物語(ストーリー)」を通じて自然にブランド体験を届けられます。いわゆる「ナラティブ・トランスポーテーション(物語への没入)」によって、ユーザーの警戒心を解除した状態で、好意的にブランドを記憶させることができる。これがCMやその他タイアップ動画との決定的な違いです。

          CREAVEがショートドラマ市場へ参入した背景は?

          板谷: 2025年にcreaveはショートドラマ市場へ参入したと思います。そもそもなんでその市場で攻めようと思ったのか、背景教えていただけますか?

          中村:企業のSNSマーケティングを支援させていただく中で、従来の広告手法ではユーザーにメッセージが届きにくくなっていると感じていました。ストーリーを通じて自然にブランドを伝えられるショートドラマは、SNSマーケティングにおいて強力な武器だと思いました。単にコンテンツを伸ばすことだけが目的ではなく、SNSマーケティングを支援する新会社として、企業が生活者に情報を届けるための最良の手段の一つだと確信して参入を決めました。

          板谷:最初はどのような取り組みからスタートされたんですか?

          中村:自社の強みを生かしながらまずは幅広く参入しました。話課金型アプリのコンテンツ制作・自社IP開発・企業様の商品を訴求するショートドラマ制作などを支援させていただきました。        

          板谷:かなり幅広く制作を手がけてきたんですね!やってみた結果、制作の難易度や視聴者からの反応とか各々の所感はどうでしたか?

          中村:まず企業の商品訴求のためのショートドラマ制作ですが、オーガニックでも再生回数やエンゲージメントが獲得でき、ショートドラ以外のコンテンツと比べても伸びる傾向にありました。 広告結果も良い結果になることが多く、現在の企業活用としてもこの形態が多いです。一方で、 話題が一過性であるという課題もあり、この点が継続してショートドラマ施策を展開していくか、企業が判断に迷うポイントでもあります。 

          次は、話課金型アプリですが、弊社では成果を出すのが難しい領域でした。初回の数話で課金をさせられるほど、気になるドラマにすること自体難易度が高かったです。また、ドラマ内容のレパートリーも限られてくるという問題がありました。どうしても多くの人の注意を引きやすいインモラル系のコンテンツ(不倫など)に傾倒するため、こういったジャンル以外の内容で継続的に視聴数・人気を担保できるかが、鍵になると思います。

          最後に、自社IPの運営について。弊社が自社IPとして運営するショートドラマアカウント「本気出すのは明日から」(通称『マジ明日』)については、アカウント開始10ヶ月で総再生回数10億回突破、SNS総フォロワー数は38万人へと大きく成長させることができました。

          板谷:改めて、「マジ明日」がどのようなIPなのか、お伺いできますか?

          中村:中学時代、勉強一筋で過ごした主人公が、第一志望の国立男子校に落ち、都会の私立高校に入学。 おしゃれで華やかな校風に戸惑い、恋愛経験の少ない彼らは新しい環境に不安を感じつつ、一生懸命に青春を送ろうとする、甘酸っぱい学園ストーリー。」というコンセプトのもと、どの話においてもキャラ・世界観を固定したストーリーを展開しています。

          「マジ明日」では、毎月20本程度のショートドラマを投稿しており、継続的なユーザーとの接触により、よりコアなファンが獲得できており、長編動画・メンバーシップの開始・オリジナルグッズ販売など、ショートドラマの枠組みを超えた挑戦をし続けています。

          企業のショートドラマ活用の2つの手法

          板谷: 企業のショートドラマ活用事例も急増していますが、成功と失敗の明暗がはっきり分かれている印象です。中村さんは、具体的にどのような戦略が有効だと考えていますか?

          中村: 弊社がこれまで支援してきたショートドラマ施策は、主に「商品訴求型」と「世界観構築型」の2つに分類できます。

          • 商品訴求型: ストーリーに商品を組み込み、短期的な認知を狙う手法。他のSNS施策より再生数やエンゲージメントが非常に伸びやすく、広告としての結果も出やすい反面、話題が一過性になりやすい課題もあります。
          • 世界観構築型: アカウント自体をIPとして育て、中長期的なファンを作る手法。「話課金型」は1話ごとに課金させる「引き」を作るのが至難の業ですが、この「世界観構築型」はキャラクターにファンがつくため、最も長期的な資産になる手応えがあります。

          板谷: 後者の「世界観構築型」は、まさに『マジ明日』が体現している形ですね。ただ、多くの企業が取り組む「商品訴求型」は、一歩間違えると「単なる広告」になってしまい、視聴者に嫌われてしまうリスクも孕んでいます。

          中村: おっしゃる通りです。そこで重要になるのが、「広告のトーンを極限まで消す」という新常識です。現代のユーザーはわずか0.5秒で広告を察知し、スワイプしてしまいます。実際、全世代に「隙間時間を邪魔されたくない」という欲求があり、35歳以上の層もその傾向は顕著です。商品のスペックやメリットを叫ぶ旧来の手法は、ショートドラマの世界では「ノイズ」でしかありません。

          板谷: 「情報を得たい」のではなく「物語に浸りたい」ユーザーの邪魔をしてはいけない、ということですね。

          中村: その通りです。商品をスペックではなく、ストーリー上の「必然性のある小道具」として日常に溶け込ませる必要があります。弊社でご支援したエンジェルハート様の事例が、まさにその好例です。

          板谷: あの作品、広告なのにコメント欄が非常に温かかったのが印象的でした。

          中村: ありがとうございます。主人公たちの等身大の日常に香水を馴染ませた結果、PR投稿でありながら通常投稿を上回るエンゲージメント率を記録しました。「このキャラが使っているなら自分も欲しい」という声は、スペックで語らず「日常」で語ることで、視聴者の情緒的な購買意欲を喚起できた証拠です。これこそが、2026年以降に勝つための絶対条件になります。

          独自メソッド「VSD」アカウントの企業活用について

          板谷: CREAVEさんが提唱する「VSD(バーチャルショートドラマ)」について深掘りさせてください。これは従来の映像制作とは全く異なるアプローチですよね。

          中村: はい。私たちが重視しているのは「視聴者がその場に同居しているかのような圧倒的な没入体験」です。そのために3つのポイントを徹底しています。

          • 物語の連続性とキャラ固定: 2〜3話完結が多い中、あえて全てのストーリーを繋げ、役者を固定することで視聴者に「推し」の感情を抱かせます。さらに複数ヒロイン体制にすることで、ファンの『推し活』を促進し、サブスクコンテンツの展開やグッズ販売といった、熱量の高いコミュニティ構築に繋げています。
          • 「無音」と「ワンカット」: 派手な演出を排除し、環境音や「間」を活かしてリアリティを追求します。
          • スマホ機材: iPhone等で撮影し、ユーザーの日常(UGC)に溶け込ませます。

          板谷: 演者にノンタレントを起用しているのも、リアリティを追求するためでしょうか?

          中村: それだけではありません。著名人ではなくノンタレントを起用することで、キャスト自身の成長と作品の世界観にバランスよくファンがつく「理想的な状態」を作れます。クリエイターがこの作品を通じて認知度を上げ、次のステップへ羽ばたいていく。この「クリエイターとの共創」という循環こそが、私たちのこだわりなんです。

          板谷: しかも驚くべきはその制作スピードです。「4時間の撮影で15本を撮り切る」という。

          中村: 脚本をシンプルにし、ロケ地を固定するなどの「制作の工業化」を行っています。1本あたりのコストを5万〜10万円程度まで抑えることで、毎日投稿という高頻度な発信を可能にしました。SNSのアルゴリズムに乗り、接触回数を増やす(ザイアンス効果)ことで、視聴者を「ただの閲覧者」から「熱狂的なファン」へと変えていくんです。

           

          板谷: 企業でVSDのようなショートドラマアカウントを運営している事例はありますか?

          中村:他社事例にはなりますが、キットカットさんの「きっと青春の1ページ」(https://www.tiktok.com/@kitkat_juken_ )は企業としてのブランドイメージの向上につながっていると思います。

          本アカウントでは、「キットカット」を題材にしたTikTokアカウントで、部活動や受験に懸ける高校生の甘くて苦い青春を描いた、ショートドラマシリーズを展開しています。「受験と部活に懸ける高校生の青春」をテーマにすることで、Z世代へのリーチを強化しており、共感を喚起するストーリーテリングにより、ブランドメッセージを自然な形で伝え、購買行動を促進し、売上にも寄与しているようです。

          板谷: Z世代が共感しやすいテーマで、すごく参考になりますね。セミナー中に「ショートドラマは若者向けですよね?」という質問がありましたが、実際のデータはどうですか?

          中村: 『マジ明日』のデータで見ると、18〜24歳のZ世代が約4割と最多ですが、実は35歳以上の層も合計で3割以上いらっしゃいます。

          • 18-24歳(Z世代): 39%
          • 25-34歳: 24%
          • 35-44歳: 14%
          • 45歳以上: 約20%

          板谷: 35歳以上が合計で3割以上もいるんですね。これは意外です。

          中村: ライフスタイルの変化で、どの世代も「重い動画は見られないが、隙間時間で質の高いエンタメを楽しみたい」という欲求が高まっているんです。この「隙間時間の癒やし」という需要は全世代共通です。

          板谷: ターゲットに合わせて、物語の舞台を変えることも可能なのでしょうか。

          中村: もちろんです。VSDのメソッドには高い再現性があります。舞台を大学生や社会人に変えたり、キャラクター設定をカスタマイズすることで、30代・40代の層に深く刺すことも十分に可能です。例えば『キットカット』さんのように、ブランドが持つ想いやイメージを物語に昇華させる手法は、どの世代に対しても非常に効果的です。

          板谷: 「誰に、どんなストーリーを届けるか」の設計次第で、ショートドラマはあらゆる企業の武器になるということですね。

          2026年の展望:ショートドラマが「企業の資産」になる

          板谷: 最後に、これからのトレンド予測をお願いします。2026年に向けて、市場はどう変化していくでしょうか。

          中村: 大きく2つの潮流が加速すると考えています。

          一つは、「量産×アルゴリズム対応ができる制作運用型企業」が主流になることです。もはや「一本の良い動画を作る」だけでは不十分で、SNSのアルゴリズムを理解し、高頻度な投稿を継続できる運用体制が必須となります。制作と運用が切り離せない時代、私たちのような「制作運用型」のパートナーが市場のスタンダードになるはずです。

          板谷: 二つ目の潮流についてはどうでしょうか。

          中村: 「ショートドラマのIP化・長期資産化」が本格化することです。単発のバズや広告で終わらせるのではなく、キャラクターや世界観を「企業の資産(IP)」として育て、ファンとの絆を深めていく。これが、2026年の巨大市場を勝ち抜くための本質的な戦略になります。

          板谷: バズって終わりではなく、そこからファンコミュニティを作ったり、公式グッズやリアルイベント、さらには採用ブランディングへの活用など、多角的に展開していくわけですね。

          中村: その通りです。ファン基盤さえできれば、長期的なブランディングや商品のファン増加、さらには採用のミスマッチを防ぐブランディングまで、あらゆる可能性が広がります。私たちはショートドラマを単なる「動画」ではなく、「ファンを作るためのコミュニケーション手段」と捉えています。

          板谷: もはや動画制作の枠を超えて、ファンコミュニティを創り上げるパートナーという立ち位置ですね。

          中村: 2026年、約1,530億円という巨大市場を勝ち抜くのは、テクニックとしてのバズではなく、本質的な「資産化」と「運用」に投資し続けた企業になるでしょう。

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