【Facebook勢力図:コンビニ編】セブンイレブンがあのローソンを追い抜き第1位に!驚異のエンゲージメント率の秘密に迫る。
2014/09/25
あのライバル企業はFacebookページをどう使っているのか?
GaiaXソーシャルメディア ラボの渕上です。
読者のみなさん、いきなりですが「あのライバル企業はFacebookページをどうビジネスに活用しているんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
企業や業界によって使い方は様々ですが、FacebookのみならずX(Twitter)やLINE@などのソーシャルメディアをビジネスで活用するのは、もはや当たり前になってきています。
そこで今回から、当社で開発した解析ツールFantastics(ファンタスティクス) を使って、業界別にFacebookページがどのように使われており、どれくらい成果が出ているのかについて調べ、紹介していきたいと思います。
■目次
データで見る企業別Facebookページ活用法・コンビニエンスストア編
●第1弾・コンビニ業界を斬る!
●平成24年度コンビニ業界・売上高比較表
●2014年8月度・Facebookページ統計表
●エンゲージメント率の高い記事で各社を比較してみよう!
●今回のまとめ:王者への道は「基本に忠実である」こと
第1弾・コンビニ業界を斬る!
第1弾となる今回は「コンビニエンスストア」業界についてです。
みなさんは普段どのコンビニチェーンを利用されますか?
ローソン?セブンイレブン?・・・それともファミリーマート?
「行くならこのコンビニ!」と決めている人もいるでしょうし、「そこにコンビニがあったから」ぐらいの、あまりこだわりのない方もいらっしゃるでしょう。
私たちにとってこれ以上ないくらいに身近な存在となっているコンビニエンスストア。はてさて、Facebookページにおける業界地図はどうなっているのでしょうか?結果が楽しみですね!
平成24年度コンビニ業界・売上高比較表
まずはコンビニ業界の売上高について、数字とグラフで比較してみましょう。ちなみにこちらは、平成24年3月度決算時のデータです。
見ておわかりの通り、セブンイレブンの独壇場となっています。しかも伸び率が半端ではなく、まさに右肩上がりと言っていい状況ですね。追ってローソンとファミリーマートがデッドヒートを繰り広げており、少し空けてサークルKサンクスの姿が見えます。
さて、それではFacebookページの方はいかがでしょうか?
2014年8月度・Facebookページ統計表
終わったばかりの2014年8月度のFacebookページデータを集計してみました。まずはこちらをご覧ください。
お?
ソーシャルメディアの運用に関しては他社よりも先んじて行動を起こしていたローソンが、なんとセブンイレブンに「いいね数」で抜かれています!
セブンイレブンの躍進とローソンの停滞
実は今回調査した8月度の集計で、セブンイレブンがローソンのいいね数を追い抜きました。まだ僅差とはいえ、純増数を見るとセブンイレブンの増え方は尋常ではありません。2か月連続で40,000以上のいいね数を獲得していますから。
ローソンはもう頭打ちとなっているのか、直近では2,000いいね程度となっているので、このままでは両者の差は見る見るうちに広がっていくことが想定されます。
また、気になるのはファミリーマートのいいね数の少なさ。大体セブンイレブンやローソンの半分程度になっています。
かわりにと言ってはなんですが、売上では4位であったサークルKサンクスはいいね数でファミリーマートを凌駕しています。
ちなみにこの4社がFacebookページを開始した年月は以下の通り。
-
- ローソン・・・・・・2010年10月24日
ファミリーマート・・2011年02月14日
サークルKサンクス・2011年09月06日
セブンイレブン・・・2012年01月30日
意外なことに、セブンイレブンがFacebookを始めてから2年半程度しか経っていません。にも関わらず業界トップのいいね数を獲得しているのは特筆すべきことでしょう。
エンゲージメント率の高い記事で各社を比較してみよう!
さて、セブンイレブンが破竹の勢いで進撃を続けていることはわかりましたが、それではどのようにFacebookページを運用しているのでしょうか?
それぞれエンゲージメント率の高い人気記事をピックアップして、比較してみましょう。
エンゲージメント率とは?
1つの投稿に対していいね!やコメント、シェアがいくつあるかを、ファン数全体の何パーセントに当たるかを表す指標です。
計算式は、(いいね!数+コメント数+シェア数)÷投稿数÷ファン総数で表すことができます。
セブンイレブン
まず、セブンイレブンの恐ろしいところは、540,000以上のいいねを押すユーザーを抱えていながらも、エンゲージメント率の平均が“1.9”もあること。他社の平均が大体0.5程度であることを踏まえると、セブンイレブンがいかにユーザーにうまくポストを訴求しているかがよくわかります。
さて、上位5つの投稿についてですが、内容がかぶっているため実質2種類の記事しかありません。
ひとつはアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に出てくるエヴァンゲリオン初号機の人間大フィギュアのプレゼントキャンペーンで、もうひとつはセブンイレブンが街の本屋さんになるという告知と対象漫画のプレゼントキャンペーン投稿でした。
1位の記事はエンゲージメント率が5.0%近くあり、5位でも2.6%とかなり高い数値になっています。やはり懸賞のような読者にメリットがある投稿はエンゲージメント率もあがるということなのでしょうか。
シンプルな運用方法
セブンイレブンのタイムラインを見ていて思うのは、運用方法がとてもシンプルであるということ。
新商品を中心とした販売物の情報発信がメインで、とても美しい写真と商品名・値段が短い紹介文とともにポストされているのが中心です。
セールやキャンペーンもそれに混じって時折紹介されていますが、どれも対象商品と応募方法などが簡潔にまとめられているだけで、余計なことをしていません。これがセブンイレブンの運営方針なのでしょうか?
それでは他社も見ていきましょう!
ローソン
ページへのいいね!数ではセブンイレブンと大差ないローソン。しかし、いいね!数やコメント数・シェア数、ひいてはエンゲージメント率に至るまで大きく差をつけられています。前述のとおり純増数もセブンイレブンには勢いがあり、今後さらに差をつけられる可能性がありますね。
2010年から早々にソーシャルメディア運用を始めたローソンが打ち出した戦略は、キャラクターを設定してそこから情報を発信すること。そう、かの有名なローソンクルー・あきこちゃんの誕生です。
実在のモデルがいるというこの「あきこちゃん」を使ったプロモーションは当時大きく話題になりました。いわば企業がソーシャルメディアを運用することの先駆けであったといえるでしょう。
そんなローソンのエンゲージメント率平均は0.62%。およそ540,000人のファンを持ちながらこの数字を叩き出している時点で十分にすごいのですが、セブンイレブンと比較するとやはり「低い」と言わざるをえません。
エンゲージメント率トップ5の顔ぶれを見てみると、美味しそうな食製品のPRが多い様子。1位のおでんは「まだ暑いこの季節に?」と突っ込まれるのをわかっていて告知しているのがコメントから見てとれますね。以降もセールやキャンペーンなどの違いはあるものの、食製品の紹介で占められています。
これは前述のセブンイレブンもそうでしたが、とにかく食べ物の写真がきれいなのが特徴。「実際にはこんなきれいな整形じゃないよなぁ…。」と心の中ではわかりつつも、ついつい写真の美しさに魅せられてしまうようです。
参考
セブンイレブンVSローソンクルーあきこちゃん!企業Twitterの活用事例から考えるソーシャルメディア戦略
O2O×ソーシャルメディアで全国1万店舗へ集客する、ローソン8つの活用事例
国内で最もソーシャルメディアを活用しているローソン、その成功事例と手法がとても参考になりました(セミナーレポート)
サークルKサンクス
売上ランキングでは4位に甘んじていたサークルKサンクス。フェイスブックページの運用度合いでは3位に食い込んでいます。入れ替わることとなったファミリーマートとは運用方法がどう違うのかを見ていきたいと思います。
サークルKサンクスは、ローソンでいうところのあきこちゃん的存在のキャラクターを活用してソーシャルメディアを運用しています。
それがこちらの「はる先生」。あきこちゃんとはまた違った可愛さのあるキャラクターですね。
ちなみに理想のコンビニをファンやフォロワーとともに創造していくというコンセプトがあるようです。
エンゲージメント率トップ5の顔ぶれは一見とりとめがないようですが、実は1位と2位が飛びぬけてエンゲージメント率を稼いでいるだけで、3位のドラえもんが時流に乗って数値を稼いでいるであろうところを除くと、4位以下は同じような数字が続きます。
1位と2位は読者に参加メリットのある懸賞系のキャンペーンですね。やはりプレゼントがあると人は動くようです。ちなみに4位以下は例の食製品紹介が並びます。セブンイレブンやローソンに負けず劣らず、きれいな写真で表現されていますね。
ファミリーマート
フェイスブックページの運用結果においては後塵を拝するファミリーマート。他社とは何が違うのでしょうか?まずはエンゲージメント率トップ5について見ていきましょう。
数字を見てわかるとおり、特にずば抜けて高いエンゲージメント率を叩き出している投稿はなく、ほとんど差がありません。投稿記事も傾向はバラバラで特に○○が強いといったイメージはないようです。
気になるのは、他社に比べて写真の画質がよくない点。
他社と同様の食製品であっても正直それほど美味しそうにはみえません。写真にはあまり力を入れていないのでしょうか?
ちなみにファミリーマートも女の子のキャラクター「日々野優」を使って運用していますね。
今回のまとめ:王者への道は「基本に忠実である」こと
今回調べてみてわかったのは、王座に輝くセブンイレブンが取っているソーシャルメディアの活用法は「奇をてらわないこと」だったということ。
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- ・新商品の写真をきれいに撮って、商品名と値段・宣伝文句・販売エリアをしっかりと記載する。
・キャンペーンは伝えたい情報や応募手順などを簡潔に記載する。
・セール情報は、開始と終了の期日、そして対象の商品名をしっかりと記載する。
正直、セブンイレブンがやっているのはこういった基本的なことだけなんですね。ユーザーとの密なコミュニケーションを行うタイプではなく、淡々と、地道にもれなく情報発信していくことに特化しているとも言えるでしょう。必要最低限のことを徹底的にやるのがセブンイレブンのソーシャルメディア活用法のようですね。
逆に他の3社は、それぞれの自社キャラクターを介した情報発信をソーシャルメディアで行なっており、セールやキャンペーンなどの情報発信だけにとどまらず独自コンテンツを配信したり、どちらかというと親しみやすさをウリにしている印象を受けました。
これらは経営戦略の違いによるもので単純に良し悪しを測ることはできませんが、浅く広くユーザーに好かれるセブンイレブンと、深く密接にコアなファンとコミュニケーションをとり愛されるローソン・サークルKサンクス・ファミリーマート、といった違いが見受けられます。
淡々とした正確な情報発信だけでここまでファンを獲得できるのも、全国各地に店を配するセブンイレブン(というよりセブン&アイ・ホールディングス)の母体の大きさがあってこそ。奇をてらわず、お客様が本当に望んでいることを地道に情報発信していくことが、サスティナビリティの面から見てもとても重要であるということなのでしょう。
参考資料
【ソーシャルメディア活用(17)ファミリーマート】「ネットニュース、店舗、SNSとつながっていくのはコンビニならでは」
ソーシャルメディアの口コミから、コンビニコーヒーの話題を調査 ~セブンはコスパ、ローソンはグッズ、ファミマは無料トッピング~
この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部