事例から見るソーシャルリクルーティング実践術
2016/05/10
採用活動にSNSを活用するソーシャルリクルーティング。チャレンジしてみたいけど、「何を投稿していいかわからない」「どうすればうまく活用できるかわからない」という理由で二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はFacebook・X(Twitter)・Wontedlyの3つのSNSについて、うまく活用している企業の事例をご紹介したいと思います。
- ■目次
- X(Twitter)
- Wantedly
- Facebook・X(Twitter)・Wantedly、向いているのはどんな企業?
- まとめ
1.Facebook
■NTT ドコモ 新卒採用
ドコモの新卒採用ページでは、Facebook限定のLIVEセミナーを実施。(「もっと見る」をクリックすると専用タブへのリンクを開くことができます。)
配信中に直接質問ができ、答えきれなかった質問には後日Facebookに回答を載せるというインタラクティブなページになっています。
最近ではWebで説明会を開く企業も増えていますが、Facebook限定というのはなかなかのもの。Facebookを徹底的に活用して、学生を囲い込みたいという人事の本気度が伺えます。
さらにFacebook内には「3か月連続就活生向け特別コンテンツ」なるページもあり、12月は内定者へのスペシャルインタビュー、1月は自己分析に役立つタイプ別性格診断、3月は新卒採用課長2人への質問コーナーが用意されています。
他のキャリアに比べ、若者に馴染みのないドコモだからこそ、優秀な新卒を獲得するには、こうした努力が効いてくるのかもしれません。
■双日 新卒採用チーム
大手総合商社の双日の新卒採用ページは、企業の個性や人事の意志が色濃く出ていて、非常に興味深いFacebookページになっています。
例えばこの投稿。人事のホンネ〜「私の就活時代」〜というシリーズで、“人事担当者が就活していた頃、なぜ双日を受けたのか”を赤裸々に書き綴っているのですが、「主に体育会の方へのメッセージです」と言い切ってしまう姿勢は、あっぱれ。「体育会系の人間を採りたい」という“ホンネ”が伝わります。
さらにこちらの投稿は「志望動機」をテーマに書かれたものです。
最近、セミナー後などで「志望動機に何を書いたらいいか分からない」と相談にこられる方がいます。 そのような相談を受けた時、私はまずこう言います。 「だったら、その企業は受けなくてもいいのではないですか?」
私たちが考える志望動機というのは、企業ありきで作る・出来上がるものではなく、
自分の考え・想いがあって初めて出来るものであり、自分の考えを持っていれば
自然と言葉に出来るものだと思います。
これは人事担当の方なら思わず首を縦に振ってしまう内容ですよね。…ここまで“ホンネ”をさらけ出せるかどうかは別として。
このように双日のFacebookページでは、双日という企業を深く知り、学生が企業研究するために有益な情報を多数投稿しているのです。
“ここを見て、自分が双日に合うと思えば来ればいい、合わないと思えば去ればいい”という姿勢を見せることは、企業と学生の双方にとってプラスになるのではないでしょうか。
2.X(Twitter)
■日本オラクル採用(鈴木宏彦)
日本オラクルへの就職を希望する人に向けて、採用担当者が個人名を出してツイートしているこちらのアカウント。X(Twitter)にメールアドレスを記載して直接応募ができるようにもしています。
プロフィールに「面接虎の巻をつぶやきます」と記載のある通り、人事目線で採用試験を通過するティップスが投稿されているのが特徴です。
各ポジションに応募するときは、そのポジションの欲しい人材像に合わせて、職務経歴書を作成すべきだと思います。ただ、経歴を並べていても、応募したい意志は、なかなか伝わらないかなぁと思います。応募意志は、伝えていきましょう。
— 日本オラクル採用(鈴木宏彦) (@Oracle_JP_Saiyo) 2015年11月11日
ツイート頻度はそれほど多くはないものの、就職活動を控えている学生や転職活動を考えている社会人に向けたメッセージは、参考になるのではないでしょうか。
面接官は、その笑顔も見たくて面接をしている場合が多いです。候補者のなかには、極度に緊張してしまう方もいると思いますが、笑顔で挨拶をしっかりと大きな声で、名前だけでもよいので自己紹介できれば、緊張はほぐれますよ。きっとうまくいきます❗
— 日本オラクル採用(鈴木宏彦) (@Oracle_JP_Saiyo) 2016年3月8日
こうした広く有益なツイートで日々フォロワーを集め、たまに募集情報をつぶやくというのがX(Twitter)をうまくする秘訣のようです。
■講談社 採用担当
「一応は公式アカウントですが、担当者個人の見解がかなり含まれますし、中の人は採用担当者ですけど責任者ではないので、つぶやきの取り扱いには十分ご注意ください。」とプロフィールにある通り、X(Twitter)だから許されるゆるい感じが受けており、採用アカウントでありながら2800人以上のフォロワーがいる、レアなアカウントです。
ES書きながら自分のこれまでを振り返ってみると、たいしたことない人生だな〜とか思いがちですが、他人から見るとこれが案外捨てたもんじゃない人生だったりするもんです。ES締め切りまであと25時間、まだ間に合う人は余計なこと考えないで、その手を動かし続けましょう!
— 講談社 採用担当 (@kodansha_saiyou) 2016年4月24日
出版社の社員っぽいウィットに富んだ長文ツイートが人気のようです。
一番優秀な就活生なんて目指す必要はなくて、一番正直な就活生を目指してください。私も一番優秀な採用担当者は目指しても無理なんで、一番正直な採用担当者を目指しますw
— 講談社 採用担当 (@kodansha_saiyou) 2016年4月24日
数個前のツイートに脱字を発見して猛烈に訂正したい気分なのですが、X(Twitter)の仕様で投稿後の訂正が出来ませぬ。せっかく多くの「いいね」を頂いたので削除するのもどうかと思い放置することに。というわけで、講談社のESで誤字・脱字が少しあったくらいじゃ致命傷にはならんのですよ。
— 講談社 採用担当 (@kodansha_saiyou) 2016年3月22日
この感じが許される企業だと伝わり、応募のハードルを下げることこそが、このアカウントの存在価値なのかもしれませんね。
3.Wantedly
■Retty株式会社
入社式の写真やインターン表彰式の模様など、Wantedlyで頻繁に情報を更新しているRetty。急成長中のスタートアップということで、47もの募集要項を投稿しています。
社員インタビューも多数投稿されており、社内の雰囲気や会社の個性が伝わるページになっています。
Rettyのページは採用サイトをそのまま切り出したようなWantedlyの特性を存分に活かしているので、Wantedlyの活用を考えている方のお手本になるのではないでしょうか。
■株式会社qnote
社員数15名の小さな受託開発会社であるqnote。「こう来たか」と思わず突っ込まずにはいられないWantedlyの採用ページは、7匹の猫社員が会社を紹介するという体でコンテンツが作られています。
我々7匹のqnote猫社員は、人社員をいかにやる気にさせるか、また、日々のごはんやおもちゃをいかに多くもらうか、という技術を日々研究し、その腕を磨いています。
営業部長はじめ、7匹の猫社員(ついでに人社員も)一同、精一杯のおもてニャしを致しますので、お気軽に社内見学に来てください。
ちなみに人社員たちはWebの制作、Webのシステム開発、スマホアプリの受託をやっているそうです。
なんてかわいく言われたら、猫好きな人は注目せざるを得ませんよね。小さな会社だからこそなせる裏技ですが、SNSで拡散させようと思ったら、こうした個性があるのとないのとでは格段の差が出てくることでしょう。
4.Facebook・X(Twitter)・Wantedly、向いているのはどんな企業?
3つのSNSについて事例をご紹介してきましたが、それぞれどのような企業が向いているのでしょうか。
まず、どんな企業でもトライしやすいのは、Facebookです。
はじめは「いいね!」を増やすのに苦労するかもしれませんが、文字数を気にすることなく、匿名アカウントに荒らされる心配も少ないFacebookは初心者向き。
コーポレートサイトや就活情報ポータルサイト、採用セミナーなどで地道に告知を続けたり、ターゲットを絞ってFacebook広告を使って集めたりして徐々に増やしていこうという長い目で見るのがいいでしょう。
X(Twitter)は個性的かつコミュニケーションに長けた社員がいればいいのですが、ただ採用イベントの告知内容をツイートしたり、Facebookページで更新した情報を自動でポストするだけでは、ほとんど意味がありません。
X(Twitter)ならではの空気の中で、「どんな人に何を伝えたいのか」をFacebook以上に明確にしておく必要があります。
Wantedlyにマッチしているのは、スタートアップや中小企業です。社員が自ら友達に応援を呼びかけ、個人のコネクションを最大限に活用できるのは、大きな強みです。
いずれにせよ、かつてソーシャルリクルーティング全盛期に作られたアカウントに習って、その年度ごとにアカウントを作り直すと、どうしても動き出しが鈍くなるため、あまり得策とは言えません。
不要になれば勝手にフォローやいいね!を外してくれますから、そこはユーザーに任せて、企業は通年で一貫した情報発信を行うことをおすすめします。
5.まとめ
いかがでしたか? 今回はSNSを上手に活かして採用活動を行っている企業事例を集めてみました。
どのSNSもアカウントを作るのは簡単ですが、続けるには努力が必要です。すぐにSNSから応募者を増やそうと期待するのではなく、自社のことをより深く知ってもらうきっかけにしたり、興味を持ってもらうための入り口として、他社の事例も参考にしながら始めてみては、いかがでしょうか。