ドイツ生まれの老舗キッチンブランド「ZWILLING(ツヴィリング)」「HENCKELS(ヘンケルス)」をはじめ、鋳物ホーロー鍋の「STAUB(ストウブ)」など、多くのブランドを生産や輸入、販売を手掛けるツヴィリング J.A. ヘンケルス ジャパン株式会社。
最も古い刃物ブランドとして世界的にも知られ、日本ではシェフから主婦層まで、ハイブランドな調理器具メーカーとして根強い支持を得ています。
同社ではSNSを活用したデジタルマーケティングにも力を入れており、自社と競合他社のアカウント分析や戦略設計の一部をガイアックスに依頼しています。同社のSNSアカウント運用にはこれまでどのような課題があり、どのように運用設計を行っているのか、永井 淳子氏(写真右)にお話をうかがいました。
Interview /
株式会社ガイアックス ソーシャルメディアマーケティング事業部
SNSコンサルタント 吉田 朋子(写真左)
ツヴィリング J.A. ヘンケルスジャパン株式会社
マーケティング本部 ソーシャルメディア & コミュニケーションズ マネージャー
永井 淳子氏
吉田:まずは永井さんご自身の職域を教えてください。
永井 淳子氏(以下、敬称略):ソーシャルメディアのコンテンツ企画からライティング、また、商品企画周辺ではコピーライティングも担当しています。商品を知って、購入していただくだけでなく、その後に弊社ブランドのファンになっていただくコミュニケーションを重視したマーケティング活動を行っております。
吉田:弊社にご依頼いただいた背景について教えてください。
永井:複数のSNSアカウントを運営する上での業務の効率化、そしてこれまでのソーシャルメディア戦略から方向性を転換させることが背景にありました。
弊社では複数の調理器具ブランドを持つ、マルチブランド戦略を行っております。もともとはドイツのナイフメーカーからスタートし、フランスの鋳物ホーロー鍋ブランドである「STAUB(ストウブ)」、日本製のナイフブランド「MIYABI」、イタリアンブランド「BALLARINI(バッラリーニ)」などがツヴィリングブランドにあたり、それぞれのブランドに公式SNSアカウントがあります。SNSが今後普及していき、その重要性が高まるであろうと見越して、担当社員が以前より運用してきました。
しかしそれぞれ違う商材ですから、別々のターゲットに、別々のコミュニケーションを行っておりました。当然、日本市場での浸透度具合もブランドごとに違うので、同じ運用方法をすべてのアカウントで適用することはできません。
そうなると、投稿の管理だけでも業務のボリュームは大きく、いかに効率化していくべきかを悩んでいました。ただし自社のブランドメッセージは自分たちで考え、ライティングしていく方針は明確にありました。一方、SNSのマネジメントや分析、施策の部分で外部のプロによるコンサルティングの力を借りることがベストだとの結論に至りました。
吉田:もともとの運用体制から外部(ガイアックス)に一部依頼するにあたり、戦略はどう変わったのでしょうか。
永井:弊社の商品、特に「STAUB(ストウブ)」はInstagramにマッチしており、料理・グルメというジャンルの相性もよかったと思います。ですので、弊社の商品のコミュニティは自然発生的に生まれて、ファンとのコミュニケーションも円滑に進んだことから、多くのファンを獲得できました。
▲「STAUB(ストウブ)」のInstagramアカウント(2020年3月時点)
まずはSNSのアカウントとしてファンをしっかり獲得するというベースを築けたので、次に考えたのが「エンゲージメント」です。
ただフォロワー数を気にして一喜一憂するのではなく、投稿の質を高めてファンからのエンゲージメントを高めていくというフェーズになったと考えています。そこで、これまでとは違うSNS運用の方法を模索することになりました。
吉田:SNS運用を刷新するにあたり、どのような企業と比較検討されたのでしょうか。
永井:他のエージェンシーやアナリティクスツールの会社と比較検討しました。
以前のお付き合いのあったエージェンシー様はメンテナンスやサポート管理としてお願いしており、新しい運用のご提案や戦略設計のサービスまでは至りませんでした。また、SNSのアナリティクスツールも使ってはいましたが、高額にも関わらず使える機能が思ったよりも制限されていました。
そうなるとレポーティングに多くの時間を費やしてしまい、その割になかなか自分の満足のいくアウトプットではなかったり。社内のリソースだけでは限界が見始めたのです。そこでSNS専門のコンサルティング会社を探すことにしました。複数社で比較検討し、最終的に御社にお願いすることになりました。
吉田:比較検討したなかで、弊社にご依頼いただいたポイントはどこだったのでしょうか。
永井:最重要視していたのは実績です。そして費用も決定のポイントでした。これまでのお取り組みや実績のお話を伺うなかで、安心してお任せできると感じられましたね。
▲実際にガイアックスが提出したレポートの一部
デジタルマーケティング、特にソーシャルメディアはトレンドの流れがとても早いですが、そこをしっかり押さえていると思います。年間少なくない予算を投じて一緒にお取り組みするからには、やはり信頼ができるパートナー様とでないと難しいでしょう。
吉田:改めて、お取り組みの時期と概要を教えてください。
永井:2018年12月にご提案いただき、正式にお取り組みが始まったのは2019年6月です。ソーシャルリスニングをお願いし、自社と競合他社のアカウント分析、運用戦略のご提案、そしてInstagramではハッシュタグ戦略へのコンサルティングをお願いしました。弊社の主力商品である「ツヴィリング」と「ストウブ」のInstagramとFacebookをメインに分析をお願いしています。
●アカウントURL(一部)
https://www.instagram.com/zwilling_japan/
https://twitter.com/ZwillingJapan
吉田:それでは、貴社SNSアカウントの特徴と施策を具体的に教えてください。
永井:SNSのなかでも、弊社の商品に関するコミュニティが最も活発であるのはFacebookです。自社運用のページとは別に、「ストウ部」という非公開のプライベートグループがありまして、8000人以上のメンバーさんが所属し、1日に2、3投稿されています。
料理や「ストウブ」に関するお悩みやご相談、料理のお披露目投稿や雑談など様々な話題でユーザーさんが盛り上がっていることが特徴で、御社にはその話題を見てコンテンツのアイデアを出してもらっています。
Twitterでは、新商品の発売やメディアの掲載情報、外部とのキャンペーン情報、そしてレストランやレシピの紹介を行っています。
▲「STAUB(ストウブ)」のTwitterアカウント(2020年3月時点)
Instagramでは、お客さま自身が作った料理の美味しそうな写真が、ブランドのハッシュタグ「#ストウブ」を付けて投稿されています。ツヴィリングに関してはコアファンのフォロワーさんが多く、包丁単体の写真や切れ味が分かりやすい写真が投稿されていることが特徴ですね。
実務ではどんなに忙しくとも必ず決まった時間に、各SNSの弊社商品に関するクチコミやハッシュタグではどのような投稿があるのかチェックしています。そこでの認識と作成いただいたレポートの内容を合わせることで、UGCと非常に親和性が高い投稿が行えるようにPDCAサイクルを日々回しています。
吉田:弊社のレポーティングやコンサルティングでは、どのような知見やノウハウが得られたのでしょうか。
永井:まずはハッシュタグについてですね。今までは試行錯誤な部分が大きく、ハッシュタグ数は少ないほうがいいのか、多いほうがいいのか、最適な投稿ボリュームのハッシュタグはどれなのかと毎回悩んでいました。
しかし、ガイアックスのコンサルタントの方から「今だとこのハッシュタグがよいです」であったり、「日本ではなく、海外向けであればこのハッシュタグがおすすめです」と、一つひとつの投稿を見ていただき、それをもとに具体的なハッシュタグや投稿内容をご提案いただいています。
また、競合分析においても印象的でした。競合他社の関連ハッシュタグの累計数を一見しただけでは「負けている」と感じられます。しかしソーシャルリスニングを通して自社アカウントの投稿一つひとつをよく分析し、投稿に対するコメントを拾っていくと、弊社のブランドで大事にしているコアなメッセージがしっかり伝わっているのだと、発見できました。
吉田:それでは今後の展望について教えてください。
永井:SNSごとの特性を活かし、ブランドごとに投稿の使い分け、コミュニケーションの目的を明確にしていきたいですね。ブランドごとで同じトピックの投稿を行っても、Facebook、Twitter、Instagramでフォロワーからの反応は全く変わってくることがソーシャルリスニングでも明らかになりました。
SNSがどんどん進化していく中で知らない機能が追加され、いつの間にかアルゴリズムも変更されており、自社だけでSNSの流れについていくには限界があります。ハッシュタグを始め、最新のテクニックをすぐ使いこなせる形を毎回ご提案いただけるのは非常にありがたいなと感じております。
吉田:最後に、SNS運用担当者の方へ一言お願いします。
永井:ガイアックス様はSNSのアカウント開設から日々の運営、分析からレポーティングまで、あらゆる悩みをご相談できるパートナー様であると思っております。SNS運用で困っていることがあれば、ガイアックスさんに一度ご相談されてはいかがでしょうか。
吉田:ありがとうございました。
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