生成AIで広告クリエイティブはどう変わる?生成AIの最前線に迫る

2023/12/18

Meta Marketing Summit Japan 2023
AIで広告効果を最大化せよ -業界を変革する生成AIの可能性を探る-

2023年10月27日(金)にMeta日本法人 Facebook Japan主催イベント「Meta Marketing Summit Japan 2023(以下、MMS)」が開催されました。

本イベントのメインセッションのひとつ、『AIで広告効果を最大化せよ 業界を変革する生成AIの可能性を探る』では、Meta社のAIへの取り組みや、広告効果を最大化するために生成AIがどのように活用できるか、などが紹介されました。

第一弾となる本稿では、今後マーケティング・広告運用に携わる方にぜひ知ってほしいと思ったポイントをまとめてお届けします。

    ■目次

  1. 登壇者紹介
  2. MetaのAIの歴史
  3. 最近のAIブームについて
  4. 広告へのAIの活用
  5. AIによって、人間の仕事はなくなるのか?
  6. AIを効果的に活用するには?

 

登壇者紹介

須藤健司氏
株式会社Kaizen Platform 代表取締役

毛利真崇氏
株式会社サイバーエージェント AI事業本部 AIクリエイティブDiv 統括

鈴木大海氏
Meta Director 執行役員営業本部長

MetaのAIの歴史

MetaはAIに関しては歴史を持っており、Metaは初期のFacebookのニュースフィードからAIを活用しており、その後もAIの基礎研究をリードしてきています。これまでAIは裏側で使われていましたが、生成AIのようにサービスとして提供できるAIが出てきて、今年に入ってからもいくつもサービスリリースをしています。

AIはさまざまな領域で活用されており、FacebookとInstagramの発見エンジンではコンテンツのレコメンデーションに活用されています。

また、有害なコンテンツの検出や広告パフォーマンスの向上、チャットボット、インタラクティブな3D空間の構築などにも応用されています。

最近のAIブームについて

最近のAIブームについて須藤氏は、「去年の10月11月頃から生成AIはChatGPTに代表されるような大規模言語モデルの性能が格段に上がりました。日本ではDX(デジタルトランスフォーメーション)が話題になっていますが、業務オペレーションをDXし、それをお客様の体験(UX)とどう接合していくかということが重要な論点になります。」と回答しています。

続けて、「GPTのような大規模言語モデル以外にも画像など色々な領域で同時多発的にAIの性能が上がっています。今まで一部の技術者や能力を持つ人しかできなかったことが、生成AIを活用すればテキストを打つだけでできるようになってきています。」と答えました。

AIの性能向上による影響は大きく2つあり、1つはマーケット、市場環境そのものが変化する可能性があります。2つ目が、必要となる人的資源です。

AIの既存マーケットへの影響について毛利氏は、「アメリカとかだと、日本でいえばSUUMOみたいな不動産仲介のプラットフォーマーさんとか、ユーザーが内見し終わって、扉を閉めた後に、すぐにもうメールが飛んできて、「気に入らないからトイレとお風呂が別だといいな」とかって送ると、その近くのやつをリコメンドしてきてくれて、しかもそれが全部メールで会話が成り立つみたいなふうになっているって聞いて、すごく衝撃的だったんですけど、かなりCS領域とかに入ってきそうな雰囲気が出ちゃってますよね。」とアメリカでの技術進展について触れました。

このように、CS領域においてAIにお願いしたいことのかなり多くの部分が実現可能になってきています。

 

本セッションのアーカイブ動画は下記リンクからご視聴いただけます。他のセッションのアーカイブ動画も公開されていますので、ぜひご覧ください!

https://www.facebook.com/business/events/meta-marketing-summit?locale=ja_JP

広告へのAIの活用

サイバーエージェントは極予測AIの活用による広告効果向上

サイバーエージェント社の「極予測シリーズ」では、広告のバナー、動画クリエイティブ、テキストクリエイティブなどを事前に予想することができます。画像だけではなく、動画や音も受け取る必要があるので、さまざまなAIを組み合わせて効果予測エンジンを作り、できたデザインのスコアも手元で見られるという環境が提供されています。

これにより、KPIである当たり率(その時に一番効果が良かったクリエイティブを抜くくらい、効果が良いものが出る確率)が、リリースした3年前が10%だったのが今では2倍になっているそうです。

AIを組み合わせることで顧客体験と業務プロセスを接続し、簡易化を実現

顧客体験から業務プロセスまで一連のマーケティングジャーニーの中でAIを組み合わせることで業務の簡略化ができてきています。

従来では、コールセンターが使うシステム、営業が使うシステム、基幹システムがそれぞれ仕組みが異なり、それらを統合することが課題でしたが、最近では、得意な領域のAIを組み合わせることで、業務効率を高めることができます。

また、ユーザーの行動ログや属性データ、これまでのコミュニケーションを記録し、パーソナライズしたUXを提供することが可能になってきています。

Metaの新しい広告プロダクト「Meta Advantage」

Meta社の新しい広告プロダクトは、コンバージョン目的やパーチェイス目的に使われるAdvantage+ショッピングキャンペーン、アプリインストール関連のAdvantage+アプリキャンペーン、Advantage+クリエイティブの3本立てで、それぞれ数値向上した事例があります。

事例1. 株式会社ファストノット(Advantage+ Shopping Campaigns広告)

着圧タイツのファストノット社の、BELMISEさんです。冬の季節には、需要が非常に上がりやすいので、そこを狙いアドバンテージプラスショッピングキャンペーンを導入して、CPAで32%、コンバージョン数で1.5倍、インプレッション数で1.2倍と従前のプロダクトに比べて数値が改善されました。

事例2. 株式会社MIXI(Advantage+ アプリキャンペーン)

2つ目の事例はMIXI社。家族でアルバムを共有することができる家族アルバム「みてね」というアプリで、アドバンテージプラスアプリキャンペーンを活用した事例です。

このアプリでは、両親やお子さんが撮った写真を見るために、おじいちゃん・おばあちゃんが会員登録して使ってもらうというところが非常に重要で、そのイベントについて最適化する設定をして、アドバンテージプラスアプリキャンペーンで39%、アプリ内イベント単価の向上と、それからイベント数の1.8倍の向上が見られました。

Meta クリエイティブ生成AI(広告マネージャ新機能)のローンチ

前述のMeta社の新しい広告プロダクトは主に裏側でAIが活用されている事例になりますが、このクリエイティブ生成AIは、画像の自動拡張、背景自動生成、テキストのバリエーションを自動生成など、よりAIが表に出て分かりやすく活躍する活用例になります。

順次使用できる状態になるので、ぜひ使ってみてください。

AIによって、人間の仕事はなくなるのか?

求められる仕事の仕方の変化

AIによって人間の仕事はなくなるか?という問いに対して須藤氏はこう回答しました。

「いわゆるシングルタスクと言われる下流の業務は、まだ品質の問題はあるが代替可能性が上がっていると言います。一方で、下流の仕事を組み合わせてマネジメントしたりするディレクターやプロデューサーという上流に近い業務や、そもそもプロジェクト自体を作り出すという課題に関しては現状代替が難しいので、まずは下流の仕事からAIに奪われていきます。

シングルタスクをAIが代替できるようになることで、人数が増えれば売上が上がるという仕組みだった労働集約型の市場が崩壊していくと思います。今後は、AIが得意とするタスクはAIに任せ、AIが稼ぐという形の仕事になっていくとマインドを変えていく必要があると考えています。」

続けて、「AIで何ができて、何ができないかを正しく判断して組み合わせられる力=AIリテラシー」を高く持っていることが求められていきます。

AIに仕事が奪われるのではなく、AIが得意なタスクはAIに振り、浮いたリソースで私たちが何をするかをもう1回デザインするという考え方が今後10年ぐらいは大事だと思います。」とまとめました。

事例 楽天モバイル株式会社(コンバージョンAPI)

AIの性能を発揮するためにはAIが働いた結果の良し悪しがちゃんとフィードバックされる状態が非常に大事です。そのようなフィードバックループが上手にできた事例が楽天モバイル社がコンバージョンAPIというサービスを活用した事例です。

コンバージョンの有無をAPI経由で返す、というフィードバックループを確実に結ぶということを実施し、CPAが22%向上、コンバージョン数が27%向上という結果が出ました。

AIを最大限上手に活用するには、このような取り組みが大事になります。

AIを効果的に活用するには?

AIを効果的に活用するには、Meta社が大事にする考え方「Fuel and Freedom」、AIにFuel(燃料)をきちんと投入し、その後はAIが最大限性能を発揮できるように自由に動かす、を意識することが重要です。

現状のAIではフィードバックループを結ぶところはまだできないので、そのようなフィードバックをし改善するという環境のデザインを人間がやることが大事です。

本セッションのアーカイブ動画は下記リンクからご視聴いただけます。他のセッションのアーカイブ動画も公開されていますので、ぜひご覧ください!

https://www.facebook.com/business/events/meta-marketing-summit?locale=ja_JP

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