ビオレUVから学ぶInstagramで効果を出す活用のポイント

2023/12/18

Meta Marketing Summit Japan 2023
AIで広告効果を最大化せよ -業界を変革する生成AIの可能性を探る-

2023年10月27日(金)にMeta日本法人 Facebook Japan主催イベント「Meta Marketing Summit Japan 2023(以下、MMS)」が開催されました。

本イベントのメインセッション『好きとほしいをつなぐ自分ごとプラットフォームとしてのInstagram 』では、Instagramを使った企業の最新のマーケティング手法と、花王様のビオレUVの事例のケーススタディが紹介されました。第三弾となる本稿では、今後Instagram運用に携わる方にぜひ知ってほしいと思ったポイントをまとめてお届けします。

    ■目次

  1. 登壇者
  2. ビオレUVのビジネスについて
  3. Instagramに注力するようになったきっかけは?
  4. Instagramが特徴認知や購入に寄与しているという調査結果
  5. クリエイターマーケティング成功のポイントは?
  6. なぜクリエイターの投稿も広告として積極採用するようになったのか?
  7. 花王のパートナーシップ広告の割合
  8. 複数のフォーマットの組み合わせが有効
  9. 花王、博報堂、MetaでのInstagramの取り組み方
  10. Instagram活用ポイントのまとめ

登壇者

小林達郎氏
花王株式会社 ヘルス&ビューティケア事業部門 スキンケア事業部シーズン ブランドマネージャー

上山修一氏
株式会社博報堂 ビジネスプロデューサー

丸山子氏
Meta日本法人 Facebook Japan株式会社 営業部長

ビオレUVのビジネスについて

ビオレUVは紫外線から肌を守る「日焼け止め」カテゴリのブランドです。

紫外線を浴び続けると、肌にはさまざまな悪影響があり、深刻な場合には生命に関わるような病気にも繋がります。紫外線は年々強まっており、屋外の太陽の下での行動が制限されてしまうことを防ぎ、太陽ともに笑って過ごせる社会を作ることがビオレUVというブランドのミッションになっています。

焼けた焼けていないという効能が見て分かるためごまかしが効かない日焼け止めという商品カテゴリでビオレUVは現在3年連続で売上ナンバーワンで推移しています。

瞬間ミストUV

ビオレUVの通称瞬間ミストUVというノンガスタイプのミストです。

霧のように日焼け止めが出てくる商品で、外出先でパッと塗り直しやすいのが魅力の商品。シュッと吹きかければピタッと密着してUVをカットしてくれるので塗り直す煩わしさを感じさせないのが特徴です。

この商品が、外出機運が高まったアフターコロナの中で大ヒット、2023年春に全国販売を開始し、日経トレンディで上半期ヒット大賞、日経MJのヒット商品番付にもランクインするなど大きな反響を得ました。

Instagramに注力するようになったきっかけは?

花王と言えばテレビのようなリーチ型のマス広告を使うイメージが非常に強い中で、今後はSNSでの仕掛け、具体的には話題の種になるコンテンツ、またUGCを含めた第三者の商品レビューによる評判形成といったもので、リーチ型広告も掛け合わせながら、SNSをどうブーストさせていくか、というところに注力していくそうです。

このきっかけについて、花王 小林氏は「花王は比較的マスが強い会社ですが、それだけではここ数年戦えなくなってきています。近年ではマス広告を使わないような新ブランドが台頭してきており、それらのブランドに関するデジタル、SNS上での発話の量と質は弊社の商品ブランドとは全く異なります。このような状況に危機意識を持ち、デジタル広告にかける比率を上げるのはもちろん、やり方を変えようと取り組んでいます。」と回答しています。

Instagramが特徴認知や購入に寄与しているという調査結果

この瞬間ミストUVは、去年一部のドラッグストアでテスト販売をした時のトラッキング調査を見ると、購入に1番効いていたタッチポイントはやはり店頭だったが、2番目にInstagramがきていたそうです。

他の調査でも、特徴認知や購入にInstagramが貢献していることが見えてきて、本格的にInstagramの取り組みをスタートしました。

本セッションのアーカイブ動画は下記リンクからご視聴いただけます。他のセッションのアーカイブ動画も公開されていますので、ぜひご覧ください!

https://www.facebook.com/business/events/meta-marketing-summit?locale=ja_JP

クリエイターマーケティング成功のポイントは?

クリエイターマーケティング成功の秘訣について小林氏は「ヒットを生むには3Sサイクルが回ることが重要。この3つのS全てで感動体験、Wow!体験を生み出すことが重要で、中でもScene(使用場面)のSが大切だと考えています。

商品を使用する中で、感動体験が生まれた時に誰かに話したくなる。この使用場面におけるWow!体験が最も大切だと思います。」と回答しました。

3Sサイクル…消費者との大切な3つの接点の頭文字で、Store(店頭)、Scene(使用場面)、SNS

店頭で「なにこれ?新しい、使ってみたい!」というWow!、使用した時の感動体験のWow!、そしてそれを誰かに話したいとなり、SNSで広がる。この3つのSでWow!が生まれ、回り始めるとヒットが生まれるというのが、ビオレUVの新しいマーケティングの考え方です。

これには、最終的なSNSでの広がりまで考えるためにもものづくりまで一貫してやる必要があると小林氏は言います。花王はものづくり、SNS、プロモーションまで一貫してブランド担当者がやるため、このようなやり方が可能になっているそうです。

花王では事業部として、SNS上の口コミを見ており、使用者のリアルな使用体験、感動体験や悪い体験、強み弱みが分かるので、それをものづくりにフィードバックするというサイクルをとっています。常にこのサイクルを回すことで、良い商品が生まれ、広告コミュニケーションも強くなっているそうです。

なぜクリエイターの投稿も広告として積極採用するようになったのか?

花王ではクリエイターの投稿を積極的に活用しており、広告クリエイティブにも活用されています。メディアプランの方針は大きく2つで、まずはしっかりとターゲティングしたマス広告やデジタル広告でリーチして認知を獲得することが1つです。そして、認知に必要な分のリーチを広告で担保した上で、認知から購入意向を上げるための施策としてSNS上での展開を考えています。

広告による認知形成と、ミドルファネル攻略による購入意向の向上、この両輪を回すことを重視しています。

その上で、単純な企業のブランド広告だけではなくSNS上のクリエイターの投稿を広告でブーストすることはフォロワー外の人に届けるという意味で非常に有効です。

花王の事業内では、日頃からSNSをよく見ているため、クリエイターの人選やどういった投稿を使うべきかという判断で苦労しないそうです。

花王のパートナーシップ広告の割合

実際に、現在花王全体のMetaに対する投資の約26.9%がパートナーシップ広告になっています。

パートナーシップ広告…クリエイター投稿をそのまま広告としてブーストする形態

複数のフォーマットの組み合わせが有効

ビオレUVの広告を見ると、企業広告では、店頭での写真や動画を映し、パートナーシップ広告ではUGCを活用し、リールではVlogのような形で実際に日焼け止めを使うシーンを使うなど、使い分けをしています。

複数のフォーマットを上手く使い分けられている理由について、小林氏は「当初はデジタル広告の素材をそのまま流用していて、リーチ数は稼ぐことができるが、トラッキング調査やPOSデータを見ると、購入や特徴理解に繋がっていないと分かり、課題意識を持っていました。

一方で、SNSを毎日見ていて、熱量高いリアルな生活者の発話が生まれた時にはダイレクトにPOSデータに繋がるということがありました。それから、実際に生活者にインタビューすると、メッセージの強いいわゆる企業広告はスルーしてします。場合によっては煩わしいと言われ、情報の伝え方を見直し始めました。」と答えています。

花王、博報堂、MetaでのInstagramの取り組み方

ビオレUV様では、キャンペーンのかなり早い段階でMetaにブリーフィングを実施しました。

そのブリーフィングをもとに、MetaがInstagram上での投稿をビッグデータとして見て、分析し、それを広告として活かすというプロセスが進み、そこからさらに実際に会話や売上の結果について調査を実施しました。

インサイト分析

Instagramのビッグデータを使い、消費者の投稿内容を分析したところ、商品特性である「水っぽい質感」みたいなポイントは良い投稿にも悪い投稿にも両方とも記載があったが、大きく違ったのは、反応が高かった投稿には、しっかりと日焼け止めを腕や手、肌に実際に塗布して使ってみたというビジュアルが入っていました。

Instagram広告接触後のUGC投稿の配信面毎の傾向分析

Instagram広告の接触後に生まれたUGC投稿をワードクラウドにして分析したところ、フィードではビオレUVという大きな言葉があり、「良い」「使う」「購入」といったポジティブな言葉と一緒に発話される傾向がありました。

ストーリーズに関しては、ビオレUVという言葉はありつつも、「焼ける」「外出」「海」など持ち運びの外出シーンでの発話が目立ちました。 リールに関しては、ビオレUVという言葉は小さくなり、「馴染む」「使える」「おすすめ」といった実際の使用実感が含まれる傾向が見られました。

この分析結果を踏まえて、広告でも配信面に合わせた投稿を検討するようになりました。具体的には、写真のようにフィードは、商品パッケージを主に、ストーリーズは人や商材を主に、リールに関しては実際に塗っているシーンを主にするというふうにしました。

インサイト分析を踏まえた実際のクリエイティブ

広告の配信結果

インサイトを活用した広告クリエイティブを作成したことで、会話量が3.9倍と、 ビオレUV自体のメンションが多く行われました。

Metaが実施した過去4週間にこの商品を買ったかという調査でも、アジアパシフィックの平均ベンチマークと比べて19倍と非常に高い結果になりました。

Instagram活用ポイントのまとめ

ポイント①なぜInstagram、なぜクリエイターなのか?

トラッキング調査等を見たところ、Instagramは話題の種、評判形成、特徴認知、購入意向に寄与しているからです。

ポイント②フォーマットの使い分け

フィード、ストーリーズ、リールなど複数のフォーマットを使い分けることが重要です。また、フォーマットごとに受け入れられやすい素材、内容を盛り込むことも大事です。そして、ブーストとなるパートナーシップ広告を入れることで、好意形成・購入意向といったミドルファネルで高いパフォーマンスを出せます。

ポイント③インサイト分析の活用

投稿/広告クリエイティブへの活用や、フォーマットごとの使い分けなどに活かせるだけでなく、Instagram上の会話量のリフトを調査することでキャンペーン効果の測定に役立ちます。

 

本セッションのアーカイブ動画は下記リンクからご視聴いただけます。他のセッションのアーカイブ動画も公開されていますので、ぜひご覧ください!

https://www.facebook.com/business/events/meta-marketing-summit?locale=ja_JP

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