デプスインタビューとは?メリット・デメリットと質問設計のコツを伝授

2023/05/10

近年商品・サービスを開発して広告をかけているだけで売れる時代は終わり、消費者の需要に対して商品・サービスの供給が過多な時代になってきました。そのため、消費者が本当に求めているものを見極めて価値を提供できる商品・サービスが求められるようになっています。

そこで、消費者が生活の中で持っている隠れたインサイトを発掘するための手段としてマーケティングリサーチの重要性が増しています。本記事では、マーケティングリサーチの手法の一つであるデプスインタビューについて詳しく解説します。

デプスインタビューの概要や、そのメリット・デメリットに加えて、質問設計のコツまで解説していきますので、デプスインタビューを活用したい方はぜひ参考にしてください。

    ■目次

  1. デプスインタビューとは?
  2. デプスインタビューのメリット
  3. デプスインタビューのデメリット
  4. 質問設計のコツ
  5. まとめ

1.デプスインタビューとは?

デプスインタビューとは?

デププスインタビューとは、インタビュアーが対象者に対して質問を行い、その回答を通じて対象者の意見や感情、潜在的なニーズなどを探るための定性的な調査手法です。

デプスインタビューの特徴として、対象者とインタビュアーが1対1の面談形式で行われることが多く、オープンクエスチョンな質問を用いて対象者の深い情報を引き出すことが目的とされています。

デプスインタビューの目的と活用シーン

デプスインタビューの主な目的は、対象者の心の内側にある価値観や感情、動機などを理解することです。この手法は、新製品開発やサービス改善、顧客ニーズの把握、市場調査、ブランディング戦略の策定など、幅広いビジネスシーンで活用されています。

マーケティングリサーチは大きく定量調査と定性調査に分かれ、デプスインタビューは定性調査に該当します。定量調査が仮説を検証することに向いているのに対して、定性調査は仮説を立てることに向いています。代表的な1人の消費者、いわゆるN1の声を聞き、そこから仮説を打ち立てることを目的として行われます。

デプスインタビューの主な種類と特徴

デプスインタビューにはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。主な種類として、構造化インタビュー、半構造化インタビュー、非構造化インタビューが挙げられます。

構造化インタビューは、事前に用意された質問項目に沿って進められるインタビューです。

半構造化インタビューは、事前に用意された質問項目を基にしつつ、インタビュアーが対象者の回答に応じて質問を調整することができるインタビューです。

非構造化インタビューは、質問項目が設定されず、インタビュアーが対象者の回答をもとに次の質問を適宜考えるインタビューです。

どの種類のインタビューでも共通して、対象者の深い情報を引き出すことが目的とされています。

2.デプスインタビューのメリット

意外な情報が得られる可能性がある

デプスインタビューでは、対象者の深い意見や感情を引き出すことができるため、従来の調査方法では得られないような詳細な情報を収集することができます。これにより、顧客の潜在的なニーズや、競合他社との差別化ポイントを見つけ出すことが可能になります。

また、パネル調査などでは出てこないような消費者の意外なインサイトを得られる可能性があります。商品・サービスを開発している企業の内部にいると見えないような意外な使われ方や、消費者が意外な部分に価値を感じていることに気付ける可能性です。

柔軟な調査が行える

デプスインタビューは、対象者の回答に応じてインタビュアーが質問を調整できるため、柔軟な調査が行えます。これにより、想定外の情報や新たな発見が得られることがあります。対象者の回答から時間内にどこまでの情報を引き出せるかを考えて、質問内容を変えられることがメリットです。マーケティングリサーチとしてイメージされやすいパネルアンケート調査では、事前に設定された質問に回答してもらうため、回答者の回答に応じて異なる質問をするということができません。回答者の回答や感じていることを聞いて、聞き出すべきことを臨機応変に調整できることがデプスインタビューのメリットの1つです。

対象者の心の動きを理解できる

デプスインタビューでは、対象者の言葉や表情、ジェスチャーなどを観察することで、心の動きや感情を理解することができます。

質問に対する回答を文字通り受け取るのではなく、引っかかっている点や言い淀んだりしているのは見逃さずに、深堀りすることで、心に秘めている感情を引き出すのです。

独自のインサイトを発見できる点

デプスインタビューを通じて、他社では得られない独自のインサイトや、競争優位を築くことができる情報を見つけられる可能性があります。競合他社の商品・サービスと比較して消費者は自社の商品・サービスのどこに魅力を感じているのか、どこに不満を持っているのか、使い方にどのような違いがあるのか等の情報を引き出せる可能性です。

これらの情報は社内で考えたり、パネルアンケート調査を実施したとしても、発見できる可能性は低く、消費者の生の声を聞くことによってはじめて生まれる示唆であることが多く、それがデプスインタビューの大きなメリットです。

3.デプスインタビューのデメリット

時間とコストがかかる

デプスインタビューは、対象者との直接対話を通じて行われるため、調査期間が長くなることがあります。また、インタビュアーのスキルや専門性が求められるため、コストがかかることがデメリットとして挙げられます。

対象者を探してアポイントメントを取るためのコミュニケーションコストもかかるため、かけられる時間を考えて、何人にインタビューを実施するかを検討しましょう。

主観性が高まる可能性がある

デプスインタビューは、インタビュアーと対象者の間で行われるため、インタビュアーの質問や態度によって、対象者の回答が影響を受けることがあります。これにより、調査結果の主観性が高まる可能性があります。

質問の仕方や質問の順番によって、対象者がバイアスを持ってしまい、本来の回答を得ることができないことがあるので注意が必要です。

分析が難しい

デプスインタビューで得られたデータは、定性的な内容であるため、分析が難しいことがあります。そのため、インタビューを実施する前にインタビューの目的と仮説をしっかりと考えるようにしましょう。

調査目的と事前の仮説を立てていると、調査終了後に何をどのような観点で分析しないといけないかが明確になっているため、良いインサイトを得られる可能性が高まります。

インタビュアーのスキルが必要

デプスインタビューの成果は、インタビュアーのコミュニケーションスキルや質問設計能力に大きく依存します。経験豊富で専門的な知識を持ったインタビュアーがいない場合、デプスインタビューの効果を十分に発揮することが難しくなります。

はじめてデプスインタビューを実施する場合には、次に説明する質問設計のコツを念頭に置いて行いましょう。

4.質問設計のコツ

オープンクエスチョンを用いる

デプスインタビューでは、対象者が自由に意見や感情を表現できるよう、オープンエンデッドな質問を用いることが重要です。これにより、対象者の潜在的なニーズや価値観を引き出すことができます。以下の例のように、「高級感」というイメージをこちらが示すのではなく、どういったイメージを持っているか自由に答えてもらうような質問形式が好ましいです。

NG例:「〇〇という化粧品に高級感を感じますか?」
OK例:「〇〇という化粧品にどのようなイメージを持っていますか?」

質問の順序に注意する

質問の順序が対象者の回答に影響を与えることがあるため、質問の順序に注意することが重要です。一般的には、簡単な質問から始めて、徐々に複雑な質問に移行することが推奨されています。また、自社商品名や個別商品名を始めに出してしまうと、その商品を意識して回答者は答えてしまうため、適切な回答を得られない可能性があります。

まずは業界や市場全体について尋ね、最後の方に自社商品名や個別商品名について尋ねるようにすることで回答者がバイアスを持つことを避けられます。

共感を持ってインタビューする

デプスインタビューでは、対象者の感情や価値観を理解するために、共感を持ってインタビューを行うことが重要です。対象者の立場に立って質問を行い、安心感を与えることで、より深い情報を引き出すことができます。インタビュアーが共感しながら話を聞いてくれると、回答者も話しやすく、本質的な会話を引き出すことができます。

深堀りの質問を行う

対象者の回答に対して、適切な深堀りの質問を行うことで、さらに深い情報を引き出すことができます。深掘りの質問は、対象者が述べた意見や感情に基づいて、さらに詳細な情報を求めるものです。オープンクエスチョンの回答に対して、回答の背景や理由を深掘ることで、対象者が考えている本当の考えや価値観を探ることができます。

状況設定や具体的な事例を用いる

デプスインタビューでは、状況設定や具体的な事例を用いることで、対象者に具体的な状況や経験を想像させ、より深い情報を引き出すことができます。特に抽象的なトピックについて話す際には、具体的な状況や事例を提示することが効果的です。

5.まとめ

デプスインタビューは、対象者の深い意見や感情を引き出すことができる定性的な調査手法です。そのメリットとして、詳細な情報収集や独自のインサイト発見が挙げられますが、デメリットとして、時間とコスト、主観性、分析の難しさが存在します。デプスインタビューを効果的に活用するためには、質問設計のコツを押さえることが重要です。デプスインタビューに慣れていない人がインタビュアーになると、特に何も得られない雑談になってしまったり、対象者が御しきれず一方的に話したいことを話されて終わってしまうということもあります。ガイアックスでは、デプスインタビューの数多くの実績があり、消費者の隠れたインサイトを探るための効果的な実施のノウハウを保有しております。デプスインタビューでお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

デプスインタビューなら、ガイアックスにお任せください!


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