Facebook、著作権侵害動画の対策ツールテストを開始

2015/09/03

Facebookは8月27日(現地時間)、著作権侵害に掛かる動画を照合して発見するツールのテストを開始すると発表しました。試験的に、メディア企業や個人の動画製作者など一部の関係者に協力を仰ぎテストを始めるとのことです。

■freebooting問題の増加

近年、動画サービスに力を入れてきたFacebookは、今年の決算発表時に動画視聴回数が40億回/日を超えてきたことを公表しました。

しかしながら、動画投稿や視聴の増加に伴い、著作権ありの動画を無断でFacebookに投稿する「freebooting(フリーブーティング)」問題が増加していました。

一例を取り上げますと、7月に米メディアSlateが、人気YouTuberの取材でこの問題を取り上げ話題となりました。

昨年9月、人気YouTuberのデスティン・サンドリン氏が「自分の腕に入れ墨をするスローモーション動画」を自身のチャンネルに投稿し、今日までに2,800万回以上再生されている動画について述べられています。

その動画が話題となったことで、投稿2日後に英男性誌「Zoo」のFacebookページが同動画をFacebookにフリーブーティングし、2日間で180万回再生されてしまいました。

それ以降フリーブーティング問題について訴え続ける同氏は、対策ツール発表直前にFacebook社マーク・ザッカーバーグCEOに対策を求めるYouTube動画を公開しており、同氏はX(Twitter)で「興味深いタイミングだ」とつぶやいています。

■対策ツールについて

まだ詳しいことは明らかとなっていない今回のツールについて、現時点では以下のことがわかっています。

米Audible Magic社の「音声による」動画フィルタリング技術をさらにFacebook用に最適化したものを採用しており、クリエイターはページ・プロフィール・グループ上の動画を照合でき、著作権に触れる動画を迅速かつ正確に検出することができます。

そして該当する動画をFacebookに報告し、Facebookで確認がとれれば削除してもらえるというものです。今まではクリエイター自ら手作業や従来の動画フィルタリング技術で発見して通報するか、視聴者へ見つけたら教えてほしいと呼び掛けるしかなかったことを考えると大きな進歩です。

Facebookとしては、今回の著作権侵害動画排除に留まらず、包括的な動画管理システムを提供するという長期目標を置いた上での今回の導入となっているようです。

■Facebook動画の今後

GoogleのYouTubeには、2010年から「Content ID」という違法動画対策ツールが6000万ドルをかけて導入されていますが、Facebookはおそらくこの仕組みに近いものと思われます。

違法動画を通報するだけでなく、その動画に広告が表示されるようにして収益化するというオプションがついている点に特徴があります。Facebookが包括的な動画管理システムと言っているのはこれらのことを含めてなのかもしれません。https://support.google.com/youtube/answer/2797370?hl=ja

また、ニュースフィードへの音楽動画投稿を目的に3大レーベルと交渉中といううわさも広まっています。そこには権利侵害動画の取り締まりを(YouTubeより)厳しくするという条件も加えているとの話もあります。

動画サービスにますます本腰を入れていくFacebookで、同時に懸念される諸処の問題を解決しつつ大きくなっていく様子は企業担当者にとっても見逃せません。

この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部

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