ユーザーにリッチ体験!Facebookキャンバス広告とは?機能や事例まとめ

2017/08/31

 

昨年のカンヌ国際広告祭で発表された、Facebookは新たな広告フォーマット「キャンバス広告」。

本記事では、キャンバス広告の仕様や事例をご紹介しながら、Facebookが描く未来について考察したいと思います。

※編集部注
2017年8月31日:最新情報をもとに加筆修正しました。

    ■目次

  1. キャンバス広告とは?
  2. キャンバス広告のクリエイティブはどうやって作ればいい?
  3. キャンバス広告の事例紹介
  4. ユーザー体験を追求するFacebook
  5. まとめ

1.キャンバス広告とは?

キャンバス広告とは、Facebookのモバイルアプリ(スマートフォンとタブレット)の中で、インタラクティブなクリエイティブを出稿できる広告フォーマットです。

ニュースフィードに流れてきたときには、一見、従来のFacebook広告と同じように見えますが、ユーザーがタップするとフルスクリーンの専用ビューワーが立ち上がり、広告をフリップしたりスクロールしたり、ピンチイン/アウトすることもできるようになります。

画面サイズにとらわれることなく、テキスト・写真・動画・GIFアニメなど、様々なコンテンツを載せられるため、まるでブランドサイトにいるかのような“リッチな体験”を届けることができます。

百聞は一見に如かず。まずは以下の動画でイメージを掴んでみてください。

「従来の通り、Facebook広告からWebのランディングページへ飛ばすのと、何が違うんだ?」と思われる方もいるでしょう。

キャンバス広告の優位性は、Facebookアプリからブラウザを立ち上げるよりも、10倍も速くビューワーが立ち上がるところにあります。ブラウザを開いてロードしている数秒の間に、ユーザーが心変わりして離脱するのを防げるというわけですね。

そしてもちろんキャンバス広告でもインサイトで指標を確認することができます。通常のFacebook広告インサイトに加え、キャンバスを使用すると、以下の2つの指標を追加して見られるようにできます。

・キャンバスの平均閲覧時間:利用者がキャンバスを閲覧してインタラクティブに利用した平均時間(ミリ秒)

・キャンバスの平均閲覧率:利用者がスワイプしたキャンバスの平均値(例えば4画面のキャンバスのうち、1人あたり平均2画面を閲覧していた場合、50%になります)

 

また、気になる広告費は、従来のFacebook広告と変わりません。キャンバス広告を利用するからといって、追加で費用が発生することはありませんので、安心して試すことができます。

2.キャンバス広告のクリエイティブはどうやって作ればいい?

とっても魅力的に見えるキャンバス広告ですが、少しネックになりそうなのがクリエイティブの準備です。縦長のモバイルの画面サイズに最適化した画像を用意することもそうですが、複数のパーツを組み合わせてキャンバス広告の魅力を引き出すためには、複数の素材を用意する必要があります。

キャンバス広告デザイン要件

簡単にデザイン要件をご紹介します。

キャンバス広告image

①ヘッダー

・画像サイズ:66ピクセル(高さ最大)×882ピクセル(幅最大)

・ファイルタイプ:透過PNG・ヘッダーは画面の上部に固定されます。

②フルスクリーン画像

・画像アスペクト比:画像はデフォルトでスクリーンの幅いっぱい使用します。

・画像サイズ:フルサイズの画像は横幅1,080ピクセル高さ1,920ピクセルですが、[高さに合わせて表示(パン・チルト)]表示オプションを選択すると、さらに大きな画像を使用できます。

・ファイルタイプ:.png、.jpg

・最大20点の写真を使用できます。

③テキストブロック

・500文字以内

・フォントサイズ:6〜72ポイント

・フォント色:#rrggbb

・フォントスタイル:太字、斜体、下線(テキストブロック全体に適用)

・フォントの配置:左揃え、中央揃え、右揃え・オプション:セリフまたはサンセリフ

④外部サイトにリンクするボタン

・高さ:48ピクセル、上下にパンディングが48ピクセル

・テキスト:30文字以内

・オプション:セリフまたはサンセリフ

⑤カルーセル形式の画像

・画像アスペクト比:高さがフルサイズまたは縦に縮小された画像を使用できるが、画像サイズはすべて統一

・画像サイズ:1,080ピクセル(幅最大)、1,920ピクセル(高さ最大)

・ファイルタイプ:.png、.jpg

・画像は1つのカルーセルに10点まで

⑥自動再生の動画

・動画:最小解像度は720p

・向き:縦向きを推奨。また動画はフルスクリーンにしないことを推奨する。※横向きの動画は自動的にサイズ調整されて縦向きの動画として再生されます。これにより、動画が縮小して両サイドに黒帯が表示されます。

・再生時間:キャンバス内に複数の動画を取り込むことが可能ですが、動画の長さの合計は2分以内に限られます。

・フォーマット:.mp4、.mov

・サムネイル:動画の最初のフレームがサムネイルになります。

⑦フルスクリーン画像

②と同様

ビジネスシーンに合わせた3つのテンプレート

1. 商品を売る(Sell Products)

視覚的で思わずのめり込んでしまうような印象のテンプレート。ユーザーの好みの商品の発見や購入に役立てることができます。コレクションや製品カタログを、こちらのテンプレートを組み合わせて利用することで、さらなる販売促進に繋げることが可能です。

2. ビジネスを紹介する(Showcase your business)

動画や画像をフルスクリーン表示し、ビジネス・ブランドの認知向上を図るテンプレート。ユーザーが広告に注目する時間が比較的長い傾向があるため、ここではわかりやすいストーリーや一貫したメッセージが求められます。

3. 新規カスタマーを集める(Get new customers)

新規の顧客を獲得することが目的のテンプレート。自社Webサイトやランディングページがもつストーリーをキャンバスで表現し、顧客の興味を引き立て、そのままコンバージョン(購読、登録、会計など)につなげることができます。ただし、このテンプレートでは写真やテキスト、動画が少なく、伝えたいメッセージが簡潔である方が効果的です。

参考:https://www.facebook.com/business/news/creating-a-canvas-fullscreen-experience-is-easier-than-ever

3.キャンバス広告の事例紹介

では実際にキャンバス広告を活用した事例をいくつか見てみましょう。

Gatorade

Gartorade

Gatorade(ゲータレード)は日本でもサントリーから発売されているスポーツ飲料です。

Gatoradeでは、世界のトッププロテニスプレイヤー「セリーナ・ウィリアムズ」の輝かしい歴史を綴った壁面アートを作成。

ブルックリンのウィリアムズバーグに作られた現物を見られない人でも、キャンバス広告を活用してモバイルで楽しめるよう、再現しました。

Gatorade’s New Facebook Mobile AdTap to open and exit onto the streets of Brooklyn to experience Gatorade’s, “Serena Williams – 21 Slams in 21 Styles”. Using Facebook’s new mobile ad format, Gatorade created an immersive experience that allows users to interact with and travel through Serena Williams’ journey to history.

Posted by Gatorade on 2015年9月3日

Carnival Cruise Lines

Carnival Cruise Line

カリブ海を中心に運航するアメリカのクルーズ会社「Carnival Cruise Lines(カーニバルクルーズライン)は、画面いっぱいに広がる美しい写真を多数用いて、同社の旅を疑似体験できるキャンバス広告を作成しました。この広告の平均滞在時間は135秒〜174秒、キャンバス広告を開いたユーザーのうち50%が最後までスクロールして見たのだそうです。2分以上の接触が持てるというのは、ブランドにとって、かなり魅力的なのではないでしょうか。

(参照:http://digiday.jp/agencies/instant-articles-brands-facebook-reveals-canvas-ad-product/)

4.ユーザー体験を追求するFacebook

先日国内でスタートしたばかりの「インスタントアーティクル」は、ニュースサイトのニュースをアプリ内で素早く読めるようにするサービスですが、その広告版とでも言うべきなのが、今回ご紹介した「キャンバス広告」です。

インスタントアーティクルにせよ、キャンバス広告にせよ、ユーザーにとっては読み込み時間が1/10になるというメリットがありますが、広告主の視点で見ると、広告予算の配分を見直すべきほどの大きなインパクトをもたらす可能性があります。

なぜなら、気になるニュースも雑誌のような美しい広告もFacebookのモバイルアプリの中で見ることができたら、ユーザーのFacebookアプリの滞在時間は、これまでとは比べ物にならないほど長くなっていくと予測できるからです。

しかもFacebookは人々のアプリ内の行動履歴をすべて集積して、保有するユーザーの属性情報と掛け合わせながら、さらに進化したアルゴリズムや広告サービスを開発してくるはずです。

すでに「購入ボタン」のテストも始まっており、これがキャンバス広告と組み合わさる日も、きっと遠くはないでしょう。

5.まとめ

いかがでしたか?今回はFacebookのキャンバス広告についてご紹介しました。キャンバス広告に今すぐチャレンジするかどうかは別にしても、「縦長の画像や動画など、スマートフォンに最適化した素材を用意することからは、逃げられそうもない」と感じている方も多いはず。キャンバス広告はフォーマットがある程度決まっていますので、スマートフォン用のランディングページを作るようなイメージで、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。