大事なのはやっぱり見た目? SNS時代における、商品・パッケージという“メディア”の重要性
2017/07/10
FacebookやInstagramを見ていて、友達や有名人が「見た目がかわいい商品」をシェアしていて、つい自分もほしくなってしまったことはありませんか?
近年のFacebookやInstagramの盛り上がりとともに、SNSを通じて商品を知る機会はますます増えています。同時に、企業にとっていかに「ユーザーにSNSにアップしてもらい、話題にしてもらえるか」が重要になっており、その大きな要素として「商品やパッケージのデザイン」に注目が集まっています。
そこで今回は「商品やパッケージのデザイン」に着目し、それがいかにSNSでの拡散に貢献し、商品のヒットにつながっているかを、いくつかの事例とともに見ていきたいと思います。
- ■目次
- 商品のデザインがヒットにつながった事例
- パッケージのデザインがヒットにつながった商品
- その他商品やパッケージを活用した事例
- まとめ
1. 商品のデザインがヒットにつながった事例
事例:イヴ・サンローラン「ヴォリュプテ ティントインバーム」
イヴ・サンローランの「ヴォリュプテ ティントインバーム」という商品は、その商品のデザインがSNS上の拡散につながり、ヒットとなった商品です。
商品の特徴として、内側と外側で色の異なる2層構造になっており、内側部分を上から見ると、唇のマーク(キスマーク)になっています。遊び心いっぱいでかわいい見た目が、トレンドに敏感な女性な心をとらえました。さらに、リップケースに無料で「名入れ」ができ、自分だけの特別なリップを簡単に作れます。
見た目のかわいさと名入れによる特別感がSNSへアップするモチベーションにつながり、SNSで拡散されました。
さらにハッシュタグでは「女子力」や「かわいい」といったキーワードもよく登録されているのも特徴で、おしゃれに敏感な女性の間で拡散されやすくなっています。
亀のソロコンタイトルとロゴをイメージして注文してたサンローランのリップが届きました♡エングレイビングサービスで『FOLLOW ME』を刻印していただきました!最近YSLのリップがお気に入りなのと、可愛すぎるので2色購入してしまったー! #ysl #ヴォリュプテティントインバーム pic.twitter.com/SrJNRW45XY
— みか (@mikamyu) 2017年6月23日
2. パッケージのデザインがヒットにつながった商品
事例:明治「ザ・チョコレート」
「パッケージがかわいい」「SNSで知って気になった」と話題になっていたのが、明治の「ザ・チョコレート」。一般的なチョコレートのパッケージとは一線を画したシンプルでおしゃれなパッケージデザインが話題を呼び、やや高価格な商品にもかかわらず大きなヒットとなっています。
「パッケージかわいい」といったようなハッシュタグもつけられており、フォトジェニックな商品を探しているユーザーに見つけてもらいやすくなっているのもヒットのポイントとなっているのかもしれません。
また、後づけにはなりますが、ユーザーがこのパッケージを利用して、自由に2次創作していることも話題が広がっている一つの理由です。
パッケージを生かしてユーザーが自由に絵をかいたり、ペンケースとして活用したりと、商品自体にユーザーが創作する余白が残されていたことが、SNSでの拡散を大きく広げる要素となりました。
3. その他商品やパッケージを活用した事例
事例1:ファンタ
ファンタでは、特別なデザインを施した「みんなのキャラボトル」を活用し、「仲間のおいしいポジションづくりをお手伝い」するキャンペーンを実施しました。
「#無敵かわいい」「#イケメンの無駄遣い」「#ボケ担当」のようなキャラのコピーをデザインしたキャンペーン用ボトルが約100種類用意され、消費者は自分や周りの友だちのキャラに当てはまるコピーが書かれたボトルを探して楽しむことができました。
このキャンペーンは、お互いのキャラのポジションを探り合う10代の若者で特に広がり、自分らしいボトルを探してSNSにアップしたり、ボトルと一緒に自撮りしたりする方法で広く拡散されました。
また、ボトルのデザイン自体に「#(ハッシュタグ)」が利用されていることも重要な特徴です。こうすることでユーザーは「SNSに投稿するもの」として認識できるため、投稿を促す効果が期待できます。実際に、多くの投稿にこのコピーのハッシュタグがつけられており、拡散のポイントとなりました。
事例2:ポッキー・プリッツ
プリッツは「外でポッキー!外でプリッツ!」、略称「そとポ!そとプリ!」というキャンペーンを実施しました。同キャンペーンは、ポッキー・プリッツがスヌーピーとコラボレーションした企画で、アプリをインストールして、逃げ出したスヌーピーを実際に外に捕まえにいこう、といったものでした。
ゲームのイメージとしては「ポケモンGO」と近く、位置情報をもとにスヌーピーが隠れているところまで行き、その場所でアプリを起動してカメラでパッケージを撮ると、AR(拡張現実)の技術で画面内にスヌーピーが現れ「GET」することができます。
このキャンペーンにより、捕まえたスヌーピーの画像をSNSにアップして自慢したり、お出かけしている様子をポッキーと一緒にアップしたり、SNSでの投稿が活性化しました。
https://www.instagram.com/p/BUtmj_4l_9h/
また、このキャンペーンではアプリをインストールしてゲームをプレイする以外にも、パッケージの裏面を太陽光に当てると絵が浮かび上がってくるような仕掛けもついていました。
スヌーピーを捕まえるゲームより手軽に楽しめるうえ、パッケージの見た目が変化するというフォトジェニックな要素もあり、SNSにアップしてもらえるような仕組みを作ることができています。
事例3:キットカット
キットカットは商品に「#mybreak」というハッシュタグ風のコピーをデザインして販売し、休憩時間やホッとしたいと思ったときに、キットカットと一緒に投稿してもらうことを狙いました。
もともとキットカットのキャッチコピーとして浸透している「Have a break, Have a KitKat」という表現もあり、ちょっとした休憩でキットカットを食べるという利用シーンに合わせた商品デザイン・ハッシュタグとなっています。実際に、仕事や勉強の休憩時間に投稿された内容が多く見受けられました。
4. まとめ
SNSを通じて、商品を広くアピールしている事例を5つ紹介しました。これらの事例のポイントとして、下記の2つを挙げられるでしょう。
1つ目は、SNSへの投稿を前提としたデザインにすることです。下記3つの工夫が、商品のシェアをしたり購入をしたいと思う気持ちを引き出します。
- フォトジェニックにしてSNS映えするようにする
- 自分のオリジナルにできるように創作の余地を残す
- わかりやすいハッシュタグをつけて拡散されやすくする
また、2つ目としては、商品のもともとの価値に「かわいい写真がとれる」「面白い写真をとれる」といったような価値を上乗せすることです。口紅の「ヴォリュプテ ティントインバーム」の例で見ると、実際に口紅としてする価値があり、また可愛いからと理由でInstagramにもアップ出来る2つの利用価値がありました。
SNSで商品をもっとアピールしていきたいと思う方は、これら2つのポイントを考慮して、商品設計をしていくとよいのではないでしょうか。