SNSの使い分け方は多種多様! 国内3大コンビニエンスストアのSNS活用を徹底解剖
2017/08/25
みなさんはコンビニ業界についてどのような印象をお持ちでしょうか?コンビニ業界は店頭や商品など目に見える箇所での施策の変化も著しいですが、宣伝の仕方や経営戦略などの消費者に見えづらい部分でも注目すべきポイントが多くあります。 今回は、そのようなコンビニ業界の中でも最大手である「セブンイレブン」「ファミリーマート」「ローソン」の3つの企業を取り上げ、特にSNSの活用に着目しながら比較、考察していきます。
- ■目次
- 各コンビニの売上やシェア
- 各コンビニのSNS活用比較
- 各コンビニのSNS活用事例
- まとめ
1. 各コンビニの売上やシェア
まず、各企業の特徴を売り上げや業界シェアなどの視点から見ていきましょう。 下図は、各コンビニの店舗数からコンビニ業界の占有率を算出したものです。なお、各コンビニの店舗数データは2017年7月時のものですが、全コンビニ業界の店舗数は2017年2月時のものとなっており、月次が少々ずれた数値での概算とになっています。その点を把握したうえで参考にしてみてください。 また、2017年7月に経営統合を行ったファミリーマートとサークルKサンクスは別項目で表示していますが、下記文章の占有率の紹介では各コンビニを合計した数値を「ファミリーマート」として紹介しています。
セブンイレブン
セブンイレブンは、アメリカ発のコンビニエンスストアで日本において最大手であり、世界規模でも最多店舗数を誇ります。 「近くて便利」というスローガンからもわかるように配達サービスや物流などで様々な工夫を行っており、他コンビニ事業を扱う企業を先導してきました。PBも好評であり、セブン&アイホールディングスとして人気商品を数多く揃えています。 同企業の店舗数はコンビニ業界の中で36%とNo.1のシェアを誇っており、2016年2月時点での営業利益は約3兆411億円となっています。売り上げも業界最多で年々増加しており、他企業との規模の違いが感じられます。このセブンイレブンに追いつこうと、後述する他企業の統合も進んでいます。
ファミリーマート
ファミリーマートは、日本発祥のコンビニエンスストアで、フランチャイズ方式によって事業を拡大してきました。 また、地域のスパーマーケットやカラオケ、ドラッグストアなどの異業種を定型することで、積極的な店舗展開を行っている点もポイントです。また2017年7月にサークルKサンクスを経営するユニーグループ・ホールディングス社との経営統合を行い、屋号がファミリーマートに統一されることで、市場占有率を上昇させています。 同企業のコンビニ業界内での店舗数シェアは33%で、2016年2月時点での営業利益は約4873億4000万円となっています。2015年の営業利益は前年比で落ち込んだものの、2016年には上昇し、好調を取り戻しています。2017年の経営統合により、更なる利益増加も期待できるのではないでしょうか。
ローソン
ローソンもファミリーマートと同様、日本発祥のコンビニエンスストアで、フランチャイズ方式で事業展開しています。 同社はターゲットの客層を店舗の特徴ごとに分散させており、通常の「ローソン」、健康や美容に配慮した商品を取り扱い、関東圏を中心に出店している「ナチュラルローソン」、低価格で豊富な商品や生鮮所品を取り扱う「ローソン100」の3つの系統の店舗を主軸としています。 同企業のコンビニ業界内での店舗数シェアは24%で、2016年2月時点での営業利益は約7254億1000万円となっています。
2. 各コンビニのSNS比較
それぞれのコンビニは様々なSNSを活用しながら販促をしています。以下に、各企業の活用しているSNSを表にして整理しました。
セブンイレブン | ファミリーマート | ローソン | |
○ | ○ | ○ | |
X(Twitter) | ○ | ○ | ○ |
○ | ✕ | ○ | |
LINE | ✕ | ○ | ○ |
YouTube | ○ | ○ | ○ |
Google+ | ✕ | ✕ | ○ |
✕ | ✕ | ○ |
セブンイレブン
セブンイレブンが活用しているSNSのファン数は以下になります。
- Facebook:約87万人
- X(Twitter):約252万人
- Instagram:約50万6000人
- YouTube:約5100人
セブンイレブンは、主要SNSを活用し着実にファン数を獲得しています。特にX(Twitter)のフォロワー数は企業アカウントとしてもトップクラスで、商品紹介やキャンペーンの実施でユーザーを引き付けています。その他にもFacebookやInstagramで安定したSNS運用を行っている印象です。 また、今回ご紹介する企業の中で唯一企業全体としての公式LINEアカウントの活用をしていません。他企業では、LINEで約1000万~2000万のファンを獲得していることもあり、LINEの活用でより効率良くファンへの情報配信や関係性構築を行えると考えられます。しかし、各店舗がLINEアカウントを保有しており、アルバイトの募集や定期的な情報配信を行っています。
ファミリーマート
ファミリーマートが活用しているSNSのファン数は以下になります。
- Facebook:約55万人
- X(Twitter):約80万人
- LINE:1333万3000万人
- YouTube:約1万8000人
ファミリーマートは、Instagram以外の主要SNSを活用しています。 セブンイレブンやローソンに比べて全体的なファン数は少ないもののこちらも着実に運用成果を出しています。X(Twitter)ではおすすめ商品の紹介やキャンペーン情報を日常的につぶやき、Facebookでは情報配信に加えてFacebook限定のキャンペーンの実施、LINEではクーポンの配布、YouTubeではTVCMなどの動画コンテンツを中心に運用しています。 また、SNS全般を通じたキャラクターとして「日々野優」というキャラクターを設定しているのもポイントです。
http://www.family.co.jp/other/hibino_yu.html
ローソン
ローソンは非常に多くのSNSを活用しています。他企業が活用していない海外で人気のSNSなども積極的に利用しています。国内のほぼ全ての主要ソーシャルを網羅しているといえるでしょう。
- Facebook:約60万人
- X(Twitter):約161万人
- Instagram:約6万2500人
- LINE:約2200万人
- YouTube:約7300人
- Google+:約6万5000人
- Pinterest:約1300人
また、ファミリーマートと同様、AIキャラクターの「アキコちゃん」がSNS内で頻繁に登場しキャラクター運用を行っています。キャラクター運用を行うことでユーザー間での認知度が高まり、LINEのスタンプや着せ替えなどの側面からも自社のブランディングができるようになります。
http://www.lawson.co.jp/lab/akiko/
同社はキャラクター利用を得意としており同社の主力商品である「Lチキ」のキャラクターを、X(Twitter)を利用した総選挙キャンペーンで選定するなど、秀逸に活用しています。
3. 各コンビニのSNS活用
それでは、各コンビニがSNSをどのように活用しているのか見ていきましょう。ここでは最も消費者との接点が多いと考えられるX(Twitter)、Facebook、Instagramを中心に見ていきます。
セブンイレブン
X(Twitter)投稿の事例
セブンイレブンのX(Twitter)では、主に商品紹介を行っています。「#新商品を食べてみた」などのハッシュタグを用いた投稿や商品紹介のWebページのリンクを貼った投稿で様々な商品を紹介し、ユーザーを楽しませています。紹介する商品が変わることで手軽にコンテンツを変えることができるため、運用するうえでコストがかかりにくい、かつユーザーを満足させられる方法だと考えられます。 また、上述したような「#新商品を食べてみた」や「#セブンスイーツアンバサダー」、「#7時11分時報」など、ハッシュタグをうまく活用してシリーズ投稿を作り出しています。シリーズ投稿は、一度軌道に乗ってしまえば低コストでコンテンツを量産できるため効果的です。アカウントの規模が大きいほど影響力が大きく軌道に乗りやすいためシリーズ投稿を作りやすいと考えられます。 こちらは、同アカウントのキャンペーン投稿です。
\6月7日7時11分/ みなさんの「7:11」ツイート、募集中♪ 「7:11」をテーマに、セブン‐イレブンに関するモチーフを #7時11分時報 をつけてツイートしてください♪ 優秀作品にはQUOカードをプレゼント 応募詳細は⇒ https://t.co/BlALrEl4qY pic.twitter.com/4wp2pLuBZ4
— セブン‐イレブン・ジャパン (@711SEJ) 2017年6月6日
同アカウントが毎朝7時11分に投稿する「#7時11分時報」のシリーズ投稿がユーザーに好評で、キャンペーンへと進化しています。ユーザーからセブンイレブンをモチーフにした7時11分の様子を募集することで大いに盛り上がるキャンペーンとなりました。本キャンペーンに応募するための条件として同アカウントのフォローを促すことで、広告感が強くなりすぎないようにX(Twitter)のフォロワーを獲得しています。
Facebook投稿の事例
主な投稿内容は、商品紹介とキャンペーン情報配信です。Facebookでの商品紹介では、宣伝色の強い投稿というよりはユーザーに正確な情報を伝えようとしている印象を受け、詳細情報を掲載しているWebページへ遷移を促しているケースが多く見られました。投稿画像にもわかりやすい文字フォントが入っているものが多いです。 キャンペーンにおいても例外ではなく、X(Twitter)のようなユーザー参加型のキャンペーンというよりは、店頭の商品に関するキャンペーン情報などの直接売り上げに関わるような情報が配信されています。
こちらの投稿も店頭でのキャンペーンに関する情報を配信しています。投稿にはテキストの他に、画像内の文字が多くの情報を伝えており、強いインパクトを与えています。投稿に付いているリンクからキャンペーンのさらに詳しい情報を見ることができます。他にもセブンイレブンといえば「おにぎり100円キャンペーン」は有名ですが、こちらの投稿も画像だけで内容を理解できるわかりやすいものになっていました。
Instagram投稿の事例
同社のInstagramでは、Instagramの文化に合わせた運用をしていることが顕著にわかります。投稿内容は、商品紹介というよりはセブンイレブンの商品を使った日常の食事風景を表現したもので広告感の少ないものになっています。また、画像には手書き風の顔文字や英語、そしてカラフルな色使いでフォトジェニックなコンテンツが作り出されています。かわいらしいアニメーションを用いた動画コンテンツなども投稿されており、まさにInstagramの文化を反映させているといえます。 こちらは上記のような投稿スタイルを反映させたキャンペーン投稿になります。
こちらの投稿は、アニメーションを用いたキャンペーン情報配信の投稿です。「#セブンイレブンの日」「#いちおしセブン」というハッシュタグを付けた投稿をすることで賞品をかけたキャンペーンに参加することができます。ユーザー参加型の投稿でコンテンツを確保しつつ効果的にブランディングを行うことができると考えられます。
ファミリーマート
X(Twitter)投稿の事例
上記でも登場した「日々野優」視点のキャラクター運用の形式を取っています。キャラクターのしゃべり口調の投稿文がユーザーに親近感を与えています。また、看板商品であるファミチキをモチーフにし、袋に入ったファミチキから手と足が生えているだけのシンプルな「ファミチキ先輩」も現在人気を博しており、SNSやTVCMなどで多く登場しています。
\サンドイッチセールスタート/ 今だけ!対象のサンドイッチ・バーガーが、8月21日(月)まで20円引(ファミマTカード会員なら40円引)と、とってもお得!(一部地域除く)まずはTVCMをチェック♪ https://t.co/ryDCP9WDJA pic.twitter.com/COyfKfqCjU
— ファミリーマート (@famima_now) 2017年8月15日
こちらは「ファミチキ先輩」が登場するTVCMシリーズの1つをX(Twitter)のキャンペーン投稿に利用したものです。店頭でのサンドイッチ割引キャンペーンの情報を配信しており、それと同時にサンドイッチに使用されているレタスの生産者の様子を紹介することで自社商品の安全性をアピールしています。消費者に伝えたい情報と自社キャラクターのユーモアを掛け合わせることで秀逸なコンテンツにしています。
Facebook投稿の事例
FacebookにおいてもX(Twitter)と同様にキャラクターによる運用を行っています。投稿コンテンツは、X(Twitter)のコンテンツと同じものになっており、同じ投稿を同じ日に異なるSNSで配信していることが分かります。
ローソン
X(Twitter)投稿の事例
ローソンのX(Twitter)では、公式キャラクターの「アキコちゃん」が運用しています。投稿内容は、商品紹介に加え、新店舗の紹介やローソンが行う様々な取り組みの紹介、また、キャンペーン情報の配信など多くのコンテンツから成り立っています。 また、ローソンではpontaカードの利用を推進しておりpontaカードのキャラクターであるpontaを用いたキャンペーン投稿も見受けられます。
同じポーズのポンタが3つ揃ったらリツイート♪ポンタLINEスタンプ無料配布中です(^^) #ローソン #ポンタ #成功したらRT https://t.co/CMfPuCX7K0 pic.twitter.com/9leixBym85
— ローソン (@akiko_lawson) 2017年6月28日
こちらの投稿では、GIFを用いてスロットを表現しておりユーザーが投稿画面をタップすると3つのpontaが止まるような仕掛けになっています。これを利用して、同じイラストが3つそろったらキャンペーン商品のLINEスタンプがもらえるというキャンペーンになっており、コメント欄にはそろった様子を伝えるスクリーンショットの返信が多く見られました。投稿には「#成功したらRT」というユーザーの行動を誘導するようなハッシュタグも付いており、非常に盛り上がるキャンペーンとなりました。
Facebook投稿の事例
Facebookでは、X(Twitter)と同様のコンテンツが用いられています。リツイート機能などを利用したキャンペーンはFacebookでは行うことができないため、主に商品紹介やイベントやキャンペーンの情報配信などの投稿をしています。
Instagam投稿の事例
Instagramでも、X(Twitter)やFacebookと同様のコンテンツが見受けられます。写真中心のSNSであるため、投稿画像に文字を入れる必要があるキャンペーンやイベント告知に関する投稿よりは商品紹介投稿が多くなっています。X(Twitter)やFacebookと同様の商品を紹介していても、Instagramの画像加工機能によってフォトジェニックな画像への変貌しており、Instagramに合った見せ方ができています。 しかし、ハッシュタグを活用したキャンペーンはInstagramのみで行われています。
こちらの投稿では、ローソンとスヌーピーのコラボグッズにちなんで「#ローソンでスヌーピー」というハッシュタグを付けて対象の景品の写真を投稿すると限定グッズがもらえるという内容のキャンペーンを紹介しています。投稿画像にもある通り、「X(Twitter)またはInstagramでローソン公式アカウントをフォロー」するように促しています。X(Twitter)と方でもハッシュタグを付けて投稿するように指示されているスヌーピーの景品が紹介されており、双方を横断したキャンペーンであるといえます。
4. まとめ
今回は、国内3大コンビニエンスストアの活用しているSNSの種類やそれぞれのSNSでの投稿内容やキャンペーンをご紹介しました。 各SNSのユーザー層や文化に合わせてコンテンツを作り変えて秀逸に使い分けている企業や、SNSごとにコンテンツは変えずに表現の仕方やそのSNSに合ったコンテンツを付け加えるて低コストに運用している企業など、それぞれ独自の活用方針があると分かりました。 企業のSNS担当者の方は、自社に合った使い分けをする際に参考にしてみてください。
- 【記事に関するお問い合わせ】
- 株式会社ガイアックス ソーシャルメディアマーケティング事業部 :03-6868-5535
- 「コンビニの記事を見た」とお伝えいただければスムーズです。