Pinterestがコアな趣味を活性化する? ユーザーの語るPinterestの魅力とは

2017/09/26

ピンタレスト・ジャパン株式会社への前回のインタビューで、数年の準備期間を経てその勢いを今加速させようとしている旨を伺いました。同サービスにおいて、最先端のユーザーはどのように使い、SNSが一般化した今Pinterestはどのような立ち位置で価値を生み出していくのでしょうか。

今回は、Gibson社が販売するギター「サンダーバード」のファンコミュニティの運営をX(Twitter)とPinterestで行う ”もじょさん” に、X(Twitter)との使い分けとPinterestがコアなファンに刺さるワケを伺いました。

Interview / ソーシャルメディアラボ編集長 大久保亮佑

    ◼︎目次

  1. プロフィール
  2. X(Twitter)で繋がっている 「#サンダーバード愛好会」 コミュニティ
  3. Pinterestのボードにコミュニティメンバーの画像を集める
  4. Spotifyと同様に高いレコメンド精度が魅力
  5. 頭の中を知ってもらうツールに
  6. X(Twitter)でコミュニケーションし、Pinterestで理解を深める
  7. 企業がコアなファンへアプローチするには最適な場
  8. コアな趣味を持つ人にとって、情報収集するにも、発信するにも最高の場

1. プロフィール

もじょさん
X(Twitter):https://twitter.com/bussplyr
Pinterest:https://www.pinterest.jp/bussplyr/

2. X(Twitter)で繋がっている 「#サンダーバード愛好会」 コミュニティ

大久保:簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか?

もじょさん:僕自身もともとベースをやっていた、音楽好きの人間です。ただ音楽好きといっても種類は様々で、単に音楽を聴くことが好きな人もいれば、アーティストが好きな人もいれば、楽器が好きな人もいる。僕は「楽器」のなかでもベース。ベースの中の「サンダーバード」という特定のモデルが大好きなんです。

ただ「サンダーバード」と検索して世の中に情報がたくさんあるかといえば、そんなにありません。なのでX(Twitter)の趣味アカで、「#サンダーバード愛好会」 というハッシュタグを通して好きな人たちと繋がっています。

ただサンダーバードは好きだけれども、X(Twitter)ではそのことばかり話すわけでもないですし、ハッシュタグも毎回付けるわけではないので情報がストックされなかったんです。

3. Pinterestのボードにコミュニティメンバーの画像を集める

大久保:そこで情報をストックする先として注目したのがPinterestだったと?

もじょさん: 結果的にそうなっていったという感じで、はじめはそこまで深く考えていませんでした。個人としてPinterestを使い始めたきっかけは「かっこいい楽器がみたい」という単純なものでした。楽器ってファッションや車と似ていて、見た目をすごく気にするんです。見た目のこだわるものだからこそ、自分の好みのものばかりを並べてみていたいと思うんです。そのための場所を作ろうくらいの気持ちではじめは使いはじめました。

同じサンダーバード好きでも、細かいパーツの好みは違ったりはするんです。細かいこだわりというか、 “自分はこういうのが好きです” みたいなものを表現できる場はこれまでありませんでした。Pinterestならそれを表現できることに気づき、どんどん使うようになっていったんです。

それに気づいてからX(Twitter)で繋がっている人たちにも呼びかけて、コミュニティの共有のボードをつくり、そこで皆さんの画像をストックすることにしたんです。

 

▲コミュニティメンバーの画像をPinterestのボードに集約

Instagramともgoogle画像検索とも違う役割

大久保: Pinterest以外の画像系SNS、例えばInstagramで検索したり、繋がったりすることは無いのでしょうか?

もじょさん: Instagramは「人」ベースだと思っていて、「もの」ベースで探すには微妙に難しいんです。その人全体はなんとなく好きだけど、全部ではない。夏の格好は好きだけど冬の格好はちょっと違うみたいなものが絶対出てくるんです。

Pinterestはボードの作り方にもよるんですが「夏のファッション」だけでボードを切り出していれば、そこだけフォローできる。「人」という全体のくくりだけだと、趣味が深い人ほどガッチリとあわないんです

僕の場合、Pinterestをヘビーに使い込むまでは画像検索と言えばGoogleでした。ただGoogleは同じ商品画像がいっぱい出てきてしまう。ワードに対して適切な画像を出しているので仕方無いことではあるんですが、Pinterestとは役割が違う。

Pinterestはかぶることも少ないですし、レコメンドのお陰でより早くレアな物や自分がみたいものに出会える。画像のクオリティも運営側で調整されているからでしょうが、クオリティが圧倒的に高いんです。

4. Spotifyと同様に高いレコメンド精度が魅力

大久保:確かにInstagramもGoogleもレコメンドというわけではなく、人気のものや、適切なものが上位にでるようになっていますもんね。

もじょさん: 個人的な感覚でいうとSpotifyはある意味近いなと思うんです。僕はSpotifyを結構愛用しているんですが、あれもレコメンド機能がすごい優秀だなと思っているんです。自分が好きなアーティストを全部フォローすると、類似アーティストや同じアーティストをプレイリストに入れている他の人の情報をもとにかなり精度高くレコメンドしてくれる。

僕はSpotifyを使うようになって、CDショップでジャケ買いや、店員さんがすすめるこのアーティストみたいなものを見る必要がなくなりました。Spotifyのほうが知識も精度も高い。本当にすごいんです。(笑)

同じようなことが画像においてできるのがPinterestなんです。全然変なものがまざらない、素晴らしいレコメンドをしてくれる。とくに趣味が深いからだと思うのですが、なかなか一般的なレコメンドって当たらないことが多いんです。そこでここまで当てに来るっていうのはなかなか無いなと。

5. 頭の中を知ってもらうツールに

大久保:使えば使うほど、よりレコメンドの精度も上がり、より使い込むきっかけになりそうですね。現在は情報を集める場として使われていらっしゃるとのことでしたが、他にも活用方法があるのでしょうか?

もじょさん:いまそのように使っているわけではないのですが、今後可能性がありそうだなと思っているのは、「僕の頭の中を知ってもらうツール」になるだろうなと思っています。僕のPinterestは、趣味を深堀りしたものがボードとしてできているので、これを見てもらえれば僕がどういうものに興味があるかというのが一目でわかると思うんです。

いままで「どんな音楽好きですか」と聞かれると、シチュエーションや、相手の性別、年齢など様々な条件によって答えを考えていました。答えがありすぎて答えられないんです。そのときはPinterestにある「ミュージック」のボードを見てもらえばいい。僕が好きな音楽が羅列されているので、1つ1つ見ていくのではなく、全体から感じ取ってもらえばいいと思うんです。

▲もじょさんの好きなアーティストのボード

Pinterestは僕の頭の中にあるものがビジュアライズされて詰まっているので、それを見てもらうことが僕を知ってもらう方法になる。X(Twitter)のプロフィール欄に好きな音楽とか楽器とか趣味とかを全部書くのは難しいので、名刺代わり的な感じで、PinterestのURLだけ貼っておくみたいな使い方もいいかもしれませんね。

6. X(Twitter)でコミュニケーションし、Pinterestで理解を深める

大久保:情報の種類にもよりますが、確かにテキストや単一の情報で表現すると言うのが難しい場面は多々ありますよね。逆にPinterestがあるから他のコミュニケーションに役に立つといった場面もあるのでしょうか?

もじょさん: 役割が違うからこそ、上手く機能を補完できると思いますよ。X(Twitter)のようなテキストコミュニケーションで取りこぼしてしまうような「感性」のようなところを共有できる場がPinterestというイメージです。

例えばX(Twitter)と組み合わせてつかう場面で考えてみると、理解の深さをカバーするのがPinterestの役割になると思うんです。X(Twitter)って最初は浅いつながりのほうが多いですよね。たまたまツイートしたものを見て、フォローするとかだと思うので。そこから踏み込むとき、僕のような人であれば、Pinterestのボードを見てもらえればどういう人かわかってもらいやすい。

僕の場合で言うと、楽器や音楽はもちろんですが、車とかバイクの写真をまとめたボードとかも作っています。でもそれをX(Twitter)のコミュニケーションで表していくのはすごく難しい。それで僕のボードを見てもらえると車があるので、それをきっかけにX(Twitter)での会話につなげるなんてこともできると思うんです。

Pinterestは「その人の頭の中」を一気に表すことができる。だからその人に入りやすい。「あ、この人すごい合うわ。もっとコミュニケーションしよう」となる。Pinterestはコミュニケーションを取る場では基本ないので、だからこそX(Twitter)と組み合わせると生きてくる場面は多いと思いますね。

7. 企業がコアなファンへアプローチするには最適な場

大久保:もじょさんとしてはユーザーとして企業がPinterestに入ってくることに対してはどう思われますか?

もじょさん:大歓迎ですね。僕の場合だと、サンダーバードを作る「Gibson」に是非Pinterestを使ってほしいと思いますよ。企業がボードをまとめてくれれば話は早い。

各年代のモデルの画像とか、秘蔵の画像みたいなものって企業はきっと持っていると思うんです。企業がボード作って貼ってくれれば、その中から僕のボードへピンできるので。InstagramもX(Twitter)も各ブランドのアカウントはあるんですが、アカウントであって、ボードでは無いんです。

Gibsonの場合だったら、ギターも作っているメーカーなので、ギターの投稿もあるんですが、別に僕は見たくないんですよ。Pinterestだったらサンダーバードのボードを作ってくれれば、「サンダーバードだけ」をフォローできる。

もちろんInstagramやX(Twitter)でもサンダーバードだけのアカウントを作ればできますけど、現実的ではないと思っています。僕のようにほしい情報ははっきりしている人にとっては、その情報だけを発信する場がほしいんです。

8. コアな趣味を持つ人にとって、情報収集するにも、発信するにも最高の場

大久保:企業にとっても、深い分野へアプローチする役割ではX(Twitter)やInstagramよりもより効果的に働きそうですね。最後にPinterestの魅力について、言い残したことがあればお願いします!

もじょさん: 僕のような音楽に限らず、とにかく大好きな趣味がある人はそれなりにいると思うんです。極端に言ってしまえば一般の人にはあまり理解してもらえないくらい好きなもの。そういったものがある人にとってPinterestはとても良い場です。

Pinterestはレコメンド機能や画像を選別してくれる機能がしっかりとしているので、感覚的なものほど、どんどん尖って自分にフィットするものだけが集まってくる場です。情報を得るという観点はもちろん、情報を発信し表現する場としてもPinterestは使いやすい

普通の人が普通に使うプラットフォームではカバーしきれなかったニーズをPinterestはカバーしてくれる。趣味の深い人がより趣味を深める場として、Pinterestは最高ですね

この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部

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