コンテンツマーケティングの主戦場はGoogleからYouTubeへ。マッチングアプリ『EveEve』のYouTube活用に迫る

2018/03/27

2016年にリリースされたマッチングアプリ『EveEve』。

運営者と既存ユーザーによる完全審査制のサービスで、人の目で審査を行い通過した方のみが利用できる、安心・安全のメリットを掲げています。アプリ内に登場するキャラクターが恋愛相談に乗るサポーター機能も搭載。現在約30万ダウンロードされている、注目のマッチングアプリです。

同アプリを運営する株式会社Market Driveは今年2月、4回目の資金調達を実施。1.1億円の調達を発表しました。競合ひしめくマッチングアプリ市場に後発参入ながら成長できている背景には、YouTubeチャンネルを活用した独自のマーケティング施策がありました。

今回は同社代表取締役社長の伊藤太氏に、自社チャンネル立ち上げの背景やYouTube活用、今後の展開についてお伺いしました。

Interview / ソーシャルメディアラボ編集長 大久保亮佑

    ■目次

  1. プロフィール
  2. インターン生の発案で始まった、自社YouTubeチャンネル
  3. チャンネルの伸びと、運営から得られたノウハウ
  4. YouTubeのマーケティング活用は独自ノウハウが必要
  5. YouTube動画は、幅広い層への好意形成に有効
  6. 企業のマーケティングを動画広告化で支援

1.プロフィール

株式会社Market Drive代表取締役社長 伊藤太氏

2.インターン生の発案で始まった、自社YouTubeチャンネル

大久保:まずはマッチングアプリ『EveEve』と、YouTubeで展開する『EveEve – 恋愛サポートメディア(以下、EveEveチャンネル)』について教えてください。

伊藤氏(以下、敬称略):マッチングアプリ『EveEve』は、日本の少子化を解決したいという思いのもと開発しているサービスです。2016年11月にリリースして以来、現在までに約30万ダウンロードされています。

ご存じの通り、マッチングアプリは大手を含め数々の競合があり、後発である我々には工夫が必要です。そのひとつとしてはじめたのが、YouTubeの活用でした。はじめは、インターン生の発案で、YouTuberの方にアプリの宣伝をしてもらう施策を約1年前に実施。

当初は半信半疑だったのですが、動画がアップされた後にダウンロード数が急上昇し、CPI(Cost Per Install)も広告と比較して1/10以下に抑えられるなど成果を残しました。ここでYouTubeの可能性に気づき、資産として残る自社チャンネル『EveEveチャンネル』を2017年1月に立ち上げました。立ち上げ当初からYouTubeネイティブの大学生に企画・運用を任せ、拡大してきました。

参考:https://www.youtube.com/channel/UCMS3gJglLx5-uTgiD1JpTuA

大久保:具体的に、どのような動画コンテンツを発信されているのでしょうか。

伊藤:EveEveチャンネルのコンセプトは『恋愛サポートメディア』。異性に聞きたいけど聞けない質問に答える、というテーマで発信しています。

EveEveチャンネルで発信する内容は、「聞きたいけど、なかなか聞けない」という度合いが高いものを、汲み取ることを大切にしています。たとえば「女子が男子をダサいと思う瞬間」や「【男性から告白されるために】〇〇をやめよう!」「本命になれない女子は〇〇しちゃいがち!!」などのタイトルで発信。『EveEve』『EveEve Girls』『EveEve in 銀座』の3つにチャンネルを分け、それぞれの登録者に沿ったコンテンツを制作しています。

3.チャンネルの伸びと、運営から得られたノウハウ

大久保:再生回数は、どのように伸びていったのでしょうか。

伊藤:当初、チャンネル立ち上げから4ヶ月目くらいでは、数百回程度の再生数でした。

数字が伸びはじめたのは、YouTuberのMEGWINさんとのコラボ企画からです。「YouTubeクリエイターがイヴイヴ使ってみた」というシリーズの企画を行なったところ、徐々に数字が伸び始めました。

そこから成長角度が高くなりチャンネルの登録者数は、現在約8.4万人。累計再生回数はもう少しで1億回に届くまで成長しています。

加えて、特徴的なのはCPIが業界平均の50%ほどで抑えられている点にあります。前述の通りマッチングアプリの領域は大手の参入が多く、後発では難しい点もあるのですが、YouTube上でしっかりとポジションを築くことができました。

大久保:現在YouTubeで広告も出稿しているのでしょうか?

伊藤:資金調達後から徐々に広げています。チャンネルのコンテンツに自信があるので、動画配信をメインに広告を投下しています。

「この動画はおもしろい」と感じるユーザーが増えると、さらに関連動画もされていき、自社チャンネル内で3〜4回転するんです。回転しチャンネルのおもしろさを認識、チャンネル登録という流れができています。

大久保:YouTubeにおいてCPIが低いと広告への予算投下もしやすそうですね。

伊藤:そうですね。詳しい数字はお伝えできないのですが、動画再生において一定の割合でアプリダウンロードが行われますし、チャンネル登録という形で資産としても残っていくので。

4.YouTubeのマーケティング活用は独自ノウハウが必要

大久保:当初は再生数が伸びなかったとのことですが、運用の中で得たYouTube上で見られるコンテンツの特徴などはありますか?

伊藤:例えばテレビのコンテンツと全く異なります。テレビでは最初に15-20秒のタイトルコールがありますが、YouTubeでは最初の10秒で視聴者を引きつけ離脱させないかがとても重要です。ですから最初の10秒に面白さを突っ込むという作り方になります。

ちなみに、検証段階でテレビ関係者の方と共同でテレビっぽい企画を試したのですがド滑りしました(笑)

YouTubeとテレビではそもそも作り方が違うことに気づくきっかけになりました。

大久保:たしかにYouTuberの動画を見ていても、編集方法がテレビと全く違いますよね。

伊藤:そうですね。あとYouTube内で流行るコンテンツは、Youtuberの方がきっかけになる場合が多いので、彼らのトレンドやYouTube内の急上昇に上がっている動画は常にチェックしています。もちろん、ハロウィン、クリスマス、今の時期ならホワイトデー等イベントに合わせて作ることも大事です。

大久保:コンテンツ以外の面で重要な点はありますか?

伊藤:YouTubeを視聴すると出てくる関連動画のリストに、いかに自分たちのコンテンツを入れていくかがポイントです。僕たちはこれを「自分たちのチャンネルの渦を作る」と呼んでいるのですが、キーワードやタグをうまく使うことで関連動画にリストされ、継続的に自分たちの動画が観られるように構成しています。

YouTubeは主に、①YouTube検索②関連動画③ブラウジング機能(トップページやホーム画面等からの流入)から閲覧されるので、それぞれの流入経路に応じて対策しています。

大久保:あとYouTubeはサムネイルも特徴的ですよね。

伊藤:はい、最初の10秒に加えてサムネイルはとても重要です。YouTube視聴の8~9割がスマホなので、スマホで見た時の印象が再生数にダイレクトに影響します。サムネイルが面白くなければ、ユーザーは全く興味を惹かれません。YouTubeではいかにサムネイルで映えさせるかが一番重要です。

5.YouTube動画は、幅広い層への好意形成に有効

大久保:YouTubeで自社チャンネルをもつメリットは、何だとお考えでしょうか。

伊藤:大きく3点あると考えています。1つ目は、潜在層だけでなく顕在層の視聴者にもしっかりとアプローチできる点。潜在層・顕在層問わずチャンネルを視聴してもらうことで、認知から内容説明、好意形成、コンバージョンまでトータルで訴求できるという意味です。特定の層に限らず、1カ所でコンバージョンまで持っていける強みがあります。

2つ目は、好意形成をしやすい点。視聴者はチャンネル制作者を意識しています。制作者に対する信頼が高まることで、チャンネル登録からコンバージョンへ導くまでの仕掛けを、しっかり作っていけるというわけです。

3つ目は、音声があるという点です。YouTubeは、音声付きで再生される確率が高い。ユーザーは視覚と音声両方で情報を受け取るため、短時間で得られる情報量が多くなるメリットがあります。

大久保:YouTubeから流入したユーザーは、他のユーザーよりアクティブに動くなど、アプリのインストール後でユーザーの利用状況に違いはありますか。

伊藤:いい意味で異なります。YouTube上でしっかり認知してもらい、内容を訴求してからダウンロードされると、アプリ内課金率も高くなる傾向にある。我々にとってYouTubeは最適なチャネルなんです。

6.企業のマーケティングを動画広告化で支援

大久保:これからの展望や、展開する予定の事業についてお聞かせください。

伊藤: これから始めるBtoB事業では、企業に対し自社YouTubeチャンネル制作やYouTube動画広告を活用したマーケティング支援、動画制作を展開します。昨今はインフルエンサー施策も流行していますが、それだけでは資産の蓄積方法として不十分だと考えています。インフルエンサーに依存せず、自社チャンネルにコンテンツをストックする流れを作っていきたいですね。

海外では、すでに動画投稿をブランディングの一部として活用する企業が増えています。たとえば『Red Bull』や『BMW』などがその例で、Red Bullのチャンネル登録者数は680万人にものぼる。日本でも、企業が自社チャンネルをもつことが重要になってくると考えています。

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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部

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