「SNSマーケティングの可能性を感じて」、ホットリンク飯髙氏が語る支援会社の役目
2019/01/24
元々、株式会社ベーシックで「ferret(フェレット)」の創刊編集長として活躍していた飯髙悠太氏(@yutaiitaka)。ラボでも以前取材し、SNSのマーケティングについて語っていただきました。
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この度、飯髙氏は株式会社ホットリンクに転職され、本格的に企業のソーシャルメディアのマーケティング支援に従事するようになりました。今回はその決意の裏側に迫ります。
Interview / ガイアックス ソーシャルメディアマーケティング事業部 副事業部長 大久保亮佑(@03rysk)
Text & Photo / ガイアックス ソーシャルメディアマーケティングラボ編集長 小東真人(@gxsoc_kohigashi)
1. プロフィール
株式会社ホットリンク マーケティング本部 本部長 飯髙悠太氏
Facebook:https://www.facebook.com/yuta.iitaka
X(Twitter):https://twitter.com/yutaiitaka
2. 新天地に移った理由:ソーシャルの可能性
大久保:ご転職おめでとうございます。飯髙さんがホットリンク社に行かれたのは驚きました。
以前のキャリアでもSNS領域をやられていたと思いますが、どうしてまたSNSマーケティングの世界に進まれたのか、教えて下さい。
飯髙悠太(以下、飯髙):これは自分のnoteにも書いたんだけど、やっぱりソーシャルメディアは人の購買に影響しまくっているから。InstagramやX(Twitter)きっかけで物を買うのが当たり前になってきているよね。
今では「モノ(商品・サービス)」さえ良ければ、口コミが生まれて広まっていくでしょう。個人的にSNSが好きだし、そこに可能性を感じているから。
大久保:あのnote、拝見しました。SNSによる消費者の発信が当たり前になる一方で、企業の担当者がユーザー行動を捉えられてないことを指摘されていましたね。
飯髙:そう。もう時代が変わってきて、ユーザーの情報の取り方も変化してきているんだよね。
昔だったら、マスメディアがあってニュースがあって、大衆の人たちに届けられるっていうきれいな流れがあった。それに対して、今はリアルな口コミが、例えば、お茶の間で話されるような昨日のニュースやドラマの話とか、リアルからデジタルで伝えられる時代になってきている。それで、従来のメディアを通さないで個々人で完全にコミュニケーションがとれるような世の中になってきていているよね。
言い換えれば、情報の発信っていうのは今や「メディア」ではなくて、「その人」というメディアを介しているんだよね。
大久保:そうですね。
飯髙:もちろんマスが健全っていうのは分かる。地方はテレビ強いしね。テレビに商品が出ると、みんな行ったりとか。
でもキングコングの西野さんが言ってたけど、テレビで芸能人が「このご飯おいしい!」って伝えるけど「おいしいわけないじゃん」って思っちゃうことあるよね。西野さんは消費者と向き合うときに正直でいることを「信用を買っている」って表現しているけど。
だから、企業がユーザー行動を踏まえた情報発信することに期待を感じるし、現状の課題も感じているわけ。
3. 企業はユーザー行動を見て情報発信しよう
飯髙:「ユーザー行動を踏まえる」っていうのは、情報が届いた先のユーザーの周辺もちゃんと分析するってことだと思う。たとえばソーシャルメディアラボは、SNSマーケティングに興味ある人たちからフォローされているよね。それで全体でも記事単位でもビューが取れていると思うんだけど、今こうしてインタビューしてくれることで、僕のフォロワーにも届けられるよね。
そうすれば、媒体だけじゃなくて、取り上げる対象のフォロワーも範囲になってくる。
大久保:そうですね。誰にリーチさせたいかを考えればアプローチする相手や方法が変わってきます。
飯髙:「この人たちに情報を当てたい」と考えるより、「どういう人たちがUGCを発生させるのか」っていうのを知ったほうが良い。そもそも「誰に当てる」っていう考え方が企業の言葉都合だよね。その人の友だちが誰なのかって考えたほうが早い。
企業が届けたいと考えているだけで、市場が買ってくれないケースが結構ある。可能性だけで考えて、事象を調べずにいたりするね。
大久保:UGCをあげている人が、どういう文脈であげているのか知らずして、コミュニケーションはできないっていうことですよね。
飯髙:とある食品小売店の事例なんだけど、X(Twitter)でアレルギーフリーの商品情報がすごく拡散されたことがあった。
クリスマスの時期だったんだけど、この会社ではただクリスマスケーキを作るだけじゃなくて、顧客のニーズが何かを考えてアレルギーフリーの商品にも注力していたの。工場の清掃課程とかこだわりを紹介していたら、とあるユーザーが見つけてX(Twitter)でつぶやいてくれた。
そのユーザー自身のフォロワーは100人ぐらいなんだけど、その周辺フォロワーは多分アレルギーに関心のある人が多かったんだろうね。アレルギーの子供を持つ友達が多くて、その人たち同士が病院やコミュニティで会っていたりも考えられるしね。あとは大人でも、子供の頃アレルギーでクリスマスケーキを食べられなかった人も共感するよね。
そのツイートでどんどん広がっていって、公式アカウントも後からリツイートした。でも、公式アカウントがリツイートする前でも2000RT以上されていたんだよ。この事例では企業都合で情報発信していたというより、ユーザーの欲しがっていた情報に合わせて発信内容を工夫していたってわけ。
さっきも言ったけど「モノ(商品・サービス)」がよければこうやって口コミは発生するもの。誰に届けたいって考えると、商品を購入してくれる人になってしまうけど、この話って買わなくても共感し情報発信するっていうのはユーザー行動だよね。そしてそこから購買する人が生まれることを考えるとユーザー行動が購買に影響を与えるんだよね。
4. 刈り取り思考もナーチャリング思考も必要:ソーシャルはパイを広げる活動
大久保:ユーザー行動を考えるって、従来の広告の枠を買ってリーチさせるみたいな発想からだと、あんまり出てこないですよね。ここをやろうとするのは一企業じゃなかなか難しいと思っています。
飯髙:そうだね。急にできるものでもないね。自社のことを積極的につぶやいてくれるフォロワーを囲うのはやっぱり必要だよね。マーケ担当者がそういう状態を実現できる支援サービスを作っていきたいとも思っている。
大久保:企業がユーザー行動を考えてSNSマーケティングをするためには、何が必要だとお考えですか。実際に自社の商品をアップしている人の行動を分析するっていうことが最初になるんですか?
飯髙:それでいうとこの記事にもあるように、口コミと指名検索の有無を調べる。それで口コミがなくて指名検索がある場合はコンテンツマーケティングに取り組んで、まず知ってもらい、口コミを生まれるようにする、とかね。
https://marketeer.jp/jigen_1_third/
SEMをやっても指名検索を発生させることはできなくはないけど難しいよね。ユーザーはその時ニーズに感じた抽象的なワードで検索することが多いよね。でもSNSをやることによって、商品やサービスの名前が覚えられるから指名検索が入る。
ただ、これってSEMが悪いとかSNSが良いとかそういう話じゃなくて、全体最適で判断しないといけないってこと。最初は口コミを発生させられたと言われても、この施策が商品の購入にどれだけ影響を与えられたのか見えないからね。もちろんSEMは企業なら絶対やるべき施策だね。
大久保:全体を見て、効果を最大化するっていう話ですね。
飯髙:そう。ファネルはもう決まっているから、アテンションのゾーンを広げるって考え。限られたところで戦うのではなくて枠を広げることによって、最終的に結果は上がる。
これから少子高齢化や税金も上がるご時世で、狭いパイだけで戦う必要はないし、だったらそこの層を拡げる戦い方もあるよねって思う。たとえるなら、バケツをきれいにして何度も水を汲む作業だけじゃなく、蛇口をひねっていっぱい水が入るように努力したいと思っているわけ。
これが上手くいけば予算の限られている中小企業でもSNSマーケティングを活用すれば指名検索を作れて、大量の広告費を投下している大企業と戦える可能性があるよね。
5. 構造の問題点:モノ(商品・サービス)を中心に考えるべき
大久保:noteに書かれていましたけど、企業が全体最適でマーケティングを考えられない背景って、なぜだと思いますか?
飯髙:色々あるだろうけど、社内で全体的な方向性を考える人がいないことはあるよね。各企業のマーケティング部門が全体を俯瞰して分かる人を育てていくしかない。その人材って少ないよね、現実に。その全体を俯瞰できたうえで、他社からコンペで専門家を選んだりするべき。
代理店もソーシャルメディアの施策が続々出てきて、それぞれ専門性が特化して、いわば「たこつぼ化」しちゃっている。本来「ソーシャルメディアマーケティング」とか「SNSマーケティング」って区別はなく、マーケティングのツールとして考えるべきなのにね。だから、全体が見える人が指揮を執った方が良い。
やっぱり中心にモノ(商品・サービス)があるべきだよね。企業はどうしても「X(Twitter)ではこういうふうに売れるかもしれない」けど「リスティングだったらこうだよね」っていう考え方ができない。これだと単一のCPAでしか見ることができないよね、中長期的にガマンもできなくなっちゃう。
SNSに関してはすぐに買ってくれるユーザーではないけど、育てることによって、影響を与えて検索を与えられる。ブランディングの概念はこう。部分最適なマーケティングじゃなく全体で見るってことがわかるよね。
ホットリンク社資料より
やっぱり企業だと、そのマーケ担当者も上から「これだけの成果を出せ」ってなるから、目の前のKPIを追っちゃうとどうしても近視眼的になる。
6. 最後に:飯髙さんの目指す展望
大久保:ずばり、飯髙さんがホットリンク社で目指す展望はなんでしょうか?
飯髙:さっき言った食品小売業の事例みたいな、ユーザー行動を踏まえた企業の成功事例をもっと増やしていきたい。オーガニック運用と広告を掛け合わせて上手くできているところが本当に少ない。
これもさっき言ったけど、SNSのマーケティングが上手くいけば、大量の広告費を投下できる大企業に対して、既存のやり方で打ち手が枯渇している企業やベンチャー、中小企業でも勝てるようになる。こういう企業を増やしたい。
大久保:なるほど、分かりやすいですね。
飯髙:企業は「ソーシャルメディア運用(代行)」みたいな言葉に走りがちだし、消費者やユーザー目線がまだまだ足りない。そのあたりの認識をホットリンク社として、新しいSNSのスタンダードを作れた良いなと思っている。
大久保:弊社としてもその部分はすごく共感します。ありがとうございました!
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●飯髙氏のX(Twitter)アカウント:https://twitter.com/yutaiitaka
●ホットリンク社が提供するX(Twitter)マーケティング:https://service.hottolink.co.jp/service/twitter-marketing/
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この記事を書いた人:小東真人
17年ガイアックス入社のデジタルネイティブ世代。靴磨きが大好きで、休日はInstagramで関連アカウントばかり見ている。