動画視聴が日本より活発? 韓国のソーシャルメディア活用に迫る!
2019/07/03
皆さんは「韓国」と聞くとどんなことを想像しますか?
距離が近い、韓国料理が美味しい、コスメやアイドルが人気…など、いろんなモノを思い出すのではないでしょうか。実は今第3次韓流ブームと言われていて、韓国のコンテンツが日本だけでなく世界から注目されています。
これらのほとんどがSNSやインターネットを通じて国境を超え消費されており、その基盤となる韓国のインターネット、SNSの利用状況をさまざまな角度から解説していきます。
Text/ 株式会社オズマピーアール 全ユミン
※編集部注:本記事は株式会社オズマピーアール様より寄稿いただいてます※
1. 韓国のSNS利用状況
老若男女問わず、韓国ではインターネットは生活の一部
年齢別インターネット利用率
@2018年 インターネット利用実態調査(韓国科学技術情報通信部/韓国インターネット進行園)
2018年度の韓国の科学技術情報通信部(政府機関)の3歳から70代の男女を対象にした調査では10歳未満で87.8%、60代で88.8%がインターネットを利用すると答えています。韓国は、まさに年齢・性別を問わずのネット大国です。
また、利用者の内メッセンジャーの利用率は99%、SNSを利用する人は65%で生活の一部といえます。日本ではメッセンジャーとSNSを含め、約7割と言われていますので、比較すると韓国の利用率は非常に高い事が分かります。
実は韓国のインターネットの発展は歴史が浅く、約20年前に国策の重点項目にITを掲げたことから成長が始まりました。今や韓国の全家庭の内99.9%が、無線LANを使用する環境となっています。
もっとも使われているSNSは?韓国X(Twitter)の今後の動きに注目!
インターネット全般のみならず、SNSに絞ってみても高い利用率を見せる韓国。中でも、最も使われているSNSはFacebookです。以降はカカオストーリー、Instagramが続きます。
カカオストーリーとは、日本のLINEと同じようなサービスを提供しているカカオ(カカオトーク)が運営する、LINEのタイムラインのようなものです。このグラフでは、2位にランクインしていますが、実態としてはどんどん利用者が減っており、Instagramに移行している状況です。使用時間の調査からもInstagramは1年間で約3割増の成長率を見せ、韓国で最も勢いよく伸びています。韓国のInstagramは独自の進化を遂げおり、詳しくは後半で説明します。
主に利用するSNSサービス(MA)
ここで注目したいのはX(Twitter)です。日本と比べるとかなり低い数値で、前年度からの成長もほとんど見られません。一時期はブームになり利用が増えているように見えましたが、近年は低迷が続いています。とはいえ現在は若い世代やマニアックな趣味を持つコミュニティーの間で少しずつ利用者が増えているのも事実。今後の韓国でのX(Twitter)の動向に目が離せません。
2. 韓国の情報流通構造「情報接触」から「購入」まで
韓国人の情報流通の流れを各フェーズに分け、最も重要な3つのポイントを詳しく解説いたします。
・情報接触
情報接触では、SNSから仕入れることが多いです。また、韓国はテレビの影響力も高く、テレビからの情報入手も一般的です。
・検索と検証
情報接触後の検索では、まずSNSが利用されます。
ここで注目すべきポイントは2つです。1つ目は検索にYouTubeを使用する点です。韓国人のYouTubeの活用については後ほど詳しく説明します。そして2つ目のポイントは情報を深掘りする検証の段階で使うNAVER。NAVERは韓国で最も利用されるポータルサイトです。
・購入
気になったモノやサービスを購入するフェーズになるとNAVERやSNS、そしてメッセンジャーのカカオなどを利用していきます。先に「SNSは韓国で独自進化している」とお伝えしましたが、まさに購入機能は特徴的で重要なポイントです。
以降で各ポイントを詳細に解説していきます。
ポイント1:NAVERとは?
NAVERの画面(https://www.naver.com/)
NAVERとは韓国で最も使われている検索ポータルサイトです。そのシェア率はなんと韓国人の約7割。世界的なGoogleのシェア率が2割にとどまるほど、NAVERの占有率は高いです。
NAVERは基本的に日本のYahoo!のようなサイトで、情報の検索からショッピング、メール、ニュースが利用できます。NAVERの検索結果は、ほとんど口コミや経験談で構成されています。その口コミや経験談でもっとも見られるのは個人のブログや、趣味やテーマに特化したコミュニティーであるカフェです。
NAVERブログ
ウス (@keai1016)https://blog.naver.com/keai1016
ブログは、基本的に個人が運営し、写真や動画、日記、口コミを書き込めるプラットフォームです。
アップするコンテンツにも手が込んでいて、ブログを始めるために高級一眼レフカメラを買うなど、積極的に活動される方が多いです。そしてブロガーの中でも影響力が高い人はパワーブロガーとして活動し、多くのファンを持ちインフルエンサーとしても注目を浴びています。
NAVERカフェ
ネイルドン(https://cafe.naver.com/jpnstory)
カフェは、趣味趣向やテーマを持ったコミュニティーで、簡単な会員登録を済ませばカフェ内で活動できます。同じ趣味の人たちが集まっているので、結束力が高く信頼度も高いです。NAVERは毎年、カフェの投稿内容や活動の活発さ、クオリティなどを審査し「代表カフェ」というものを選定しています。
ブログやカフェに多くの情報を載せられると一気に拡散され、信頼感のあるコンテンツとして認識が広がることが多いです。
ポイント2:韓国ではYouTubeは検索サイト
韓国のYouTube平均視聴時間は1日約2.5時間で、日本では半数以上は30分未満が多数派であることと比較すると約4~5倍にあたります。
また、今年3月の韓国大手通信社KTグループの調査によると、オンライン検索時に利用するチャンネルとして、NAVERの次にYouTubeが多く使われています。
オンライン検索利用チャンネルTOP5
@2019インターネット利用者調査(KTグループデジタルメディアラボ)
10代ではその傾向がさらに強く見られ、平均よりも約1割高い、69%がYouTubeで情報を検索すると答えており、今後さらに増えていくことが予想されます。動画のコンテンツは今やエンターテイメントとして楽しむだけでなく、情報を得る一つの手段としてあらたな価値を見出しています。
ポイント3:SNSで商品購入「合同購入(ゴング)」
韓国では昔から、信頼する人と一緒に大量に商品を買って分ける「合同購入」という手法が普及しています。信頼する人が友達から、親戚、知り合いなどに広がっていき、インターネット上での人々との合同購入にまで発展しました。
今はInstagramを中心とした商品合同購入が広がり、インフルエンサーがおすすめするコスメや食品までも売買されています。インフルエンサーは一つの商品に対して1~2週間ほどの期間を設け、自身のファンに向けて情報を配信します。直接使った感想や写真、使い方の動画はもちろん、先行して買っているファンから届いた口コミをまとめ自分のInstagramで配信するなどして、購買を促進します。
ホン・ヨンギ(@kisy0729)https://www.instagram.com/kisy0729/?hl=ko
実際、合同購入をリードしているインスタグラマーは、自身のプロフィールに商品を購入できるURLを貼り、フォロワーを直接購入ページにまで飛ばすなど、ECの機能まで取り込んでいます。
日本ではなかなか見ないインフルエンサーからの商品購入ですが、韓国のインフルエンサーの特徴であるファンからの高い信頼度と、近い距離感が感じられる施策です。
3. 韓国人気コンテンツは動画
上でも話した通り、韓国はYouTubeを長時間利用しています。では、どんな動画を見ているか、どんな内容がいま人気かについて説明いたします。
YouTube動画を最も見ている国、韓国
インフルエンサーによるYouTube動画は男女ともに大食い動画が人気です。男性では1位がゲーム実況動画で2位が大食い動画、女性は1位が大食い動画、2位がビューティー/化粧品の動画になっています。。韓国のYouTuberのフォロワーランキングでも、大食いで人気なYouTuberがTOPを維持しています。
インフルエンサーによるYouTubeコンテンツ人気ランキング
@2019インターネット利用者調査(KTグループデジタルメディアラボ)
ベンツ(@밴쯔)https://www.youtube.com/watch?v=-t8H9tN6OhQ
大食いユーチューバーで最も人気があるベンツは約320万人のフォロワーを持ち、1時間を超える動画も70万回再生されるなど根強いファンを持っています。細い体からは想像できない食べっぷりが見どころのエンターテインメント性の高い動画です。
PONY(@PONY)https://www.youtube.com/watch?v=wnrW2qP4rPU
韓国のビューティー動画の第1人者であるPONY(@PONY)は約500万人のフォロワーを持つメガインフルエンサーです。韓国だけでなく、日本や中国、米国にもファンがいて、国境を超えた影響力を持っています。
人気上昇中!音フェチのためのASMR動画
大食い動画の人気の中、近年人気が上昇しているのがASMR動画です。ASMRとは、日本語でいうと「音フェチ」を指すもので、韓国ではTV番組のテロップなどにも使われるほど、一般化しています。
動画の中でも食べる音は人気が高く、揚げ物を食べる音、スープをすする音など細分化されています。食べる音だけでなく、何かを切る音やスライムを触る音なども人気があり、視聴者からは落ち着くと絶賛されています。
https://www.youtube.com/watch?v=gYcjSWQAOlw
パールの入ったスライムをいじる音を約1時間の動画にし、150万PVを達成しています。
https://www.youtube.com/watch?v=rEn2bqPCChA
また、王道の食べる音では大食いと似たようなアングルですが、マイクを口に近づけ音が聞こえやすいように工夫をしています。揚げ物という同じジャンルをまとめた音から、様々な食感のものをアレンジした動画まで、多岐に渡ります。
4. まとめ
インターネットやSNSを基盤とした韓国のコンテンツは、国境を超え様々な国に消費されています。韓国人インフルエンサーはYouTubeを通じて日中韓のアジアのみならず、米国にも影響力を持つように成長。Instagramを基盤とするインフルエンサーも様々な国から注目を集めています。韓国のコンテンツは、これから日本国内で求められるコンテンツのヒントになっていくのではないでしょうか。
また、国境を越え影響力を持つ韓国のコンテンツを中心にしたコミュニケーションは、インバウンドのみならず国内外に情報を届ける新しい手法になるかもしれません。
現在オズマピーアールでは、漠然としたインバウンド対策ではない、韓国の情報流通構造に沿った訪日韓国人向けのインバウンド施策を提供しています。韓国内の事情に通じ担当者による企画立案によって、ターゲットに的確に情報を届けられるのが特徴です。
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この記事を書いた人:全 ユミン