ポストコロナ時代のソーシャルメディア・SNS発信について、企業が考えるべきこと【書き起こし】
2020/06/16
どうも、ガイアックスの重枝です。今日はポストコロナ時代のソーシャルメディア発信、ソーシャルメディアマーケティングについてお話しします。
※本記事は「ガイアックス ソーシャルメディアラボ」の公式YouTubeチャンネルで配信した内容を書き起こしてまとめたものです。
1. 「withコロナ」「afterコロナ」ではなく「ポストコロナ」
「コロナ以降」を意識すべき理由
現在「withコロナ」「afterコロナ」といったワードや言説がメディアで取り上げられていますが、今回のお話の中では「ポストコロナ(=コロナ以降)」という言葉を使います。
この意図を説明しますと、「withコロナ」はコロナと一緒に、「afterコロナ」にはコロナの収束後というニュアンスが含まれます。その一方で「ポストコロナ」には対義語として「プレコロナ(=コロナ以前)」という言葉があります。つまり、「コロナ以前」という概念に対しての「コロナ以降」という意味なんですよね。
僕はコロナ以降で世の中が変わったと考えています。今後コロナの流行が続こうが収束しようが、世の中は決定的に変わりました。そのため、ポストコロナという言葉を使うのがよいと考えます。
今、発信をし続けることの重要性
これからの世界はwith コロナになるのかafterコロナになるのか、またいつからそうなるのか、まったく予測がつかないですよね。未来予測が不可能なこの状況下で大切なことは、私たちは発信をし続ける必要があるということです。
その理由は、これはafterコロナの話ですが、コロナが収束して消費活動が復活した時まで顧客に覚えておいてもらう必要があるからです。いざ消費活動を再開しようとなった時に、商品やサービスを買ってもらうことが重要です。
仮にwithコロナ、つまり私たちがコロナと一緒に生きていかなければならなくなったとしても、経済活動をやめるにはいきません。ということは、新しい経済活動の形に切り替わっていくわけです。例えば、オンラインでの活動が増えて移動が少なくなり、これに関連した商品やサービスが新しい消費の対象となる。これらを売る際にもやはり販売活動は必要なので、その時にターゲットとなりうる層に覚えておいてもらわないといけません。
また、変革を顧客に伝えることも必要とされます。そうしないと「私たちは新しい時代に対応しています、だから買ってください、新しくパートナーシップを結んでください」という話ができません。いきなり会いに行って「コロナに対応しています、どうですか?」というわけにはいかない。
それ以前に「この会社はポストコロナに対応しているんだ」ということがターゲットに伝わっていないと、いざ商品を買おうという時に思い出してもらいにくいのではないでしょうか。これらのことから、やはりこれからはwithコロナやafterコロナではなくポストコロナという考え方が重要だと考えます。
2. ポストコロナ時代のソーシャルメディアマーケティング
その1:発信をやめない
ではポストコロナ時代のソーシャルメディアマーケティングは、どんなことがポイントなのでしょうか。第一に、先ほどからお話していますが発信をやめてはいけないということです。
コロナが収束していないからソーシャルマーケティングを自粛して、落ち着いたら再開しようと考えている企業がたくさんあるのですが、これは本当によくないですね。繰り返しになりますが、コロナは終わらないからです。
もしコロナが収束し、感染のリスクがないという状況が訪れたとしても、人々が今まで通りに活動する可能性は低いのではないでしょうか。その理由は、多くの人の価値観が変化しているからです。
例えば、リモートワークを導入している会社に勤務している人は「通勤というこんなにも大変なことをなぜ繰り返さなければいけないのか」「今後、別の新しいウイルスが流行したらどうしよう」などと考えています。
だから、コロナが今後どうなっていくかはまだまだ不明瞭ですが、社会の仕組みに関しては不可逆、元には戻りません。つまり、新しい時代に対応していく必要があります。今はただ自粛していればいいというわけではなくて、少しずつ新しい時代に適応していくための大事な時期なのです。
だからこそ、この時期に発信をし続ける、顧客に接し続けることが重要です。経済や社会が変化していく中で、その変化に適応していく自分たちを知ってもらうために、発信をやめないことが重要です。
その2:新しい時代に適応していく
しかし、今まで通りに発信していればいいというわけではありません。例えば、今レストランや居酒屋は「居酒屋A、新メニュー開発!食べに来てね!」という情報を発信できません。そんなことを発信したら、新しい時代に適応していないどころか「あの居酒屋チェーン、怖いね」という評判になってしまいます。そこで、「今の状況が落ち着いたら食べに来てください」とか「テイクアウトをやっています」「通販で買えます」、「宅飲みを支援します」などの形で発信していくことになります。
つまり現在、企業のソーシャルメディアには「コロナが終わった後の世界で、自分たちを忘れないでいてね、思い出してくださいね」というメッセージを盛り込んで、顧客に接触することが求められています。
そうしないと、悪印象を与えるどころか炎上するリスクすらあります。だから「自分たちは新しい時代に適応しています」「安心・安全です」ということをきちんとメッセージに盛り込んでいく。これがポストコロナ時代のコミュニケーションです。
ポイントは、自粛するわけではないということです。自粛するのではなく、新しい時代に適応したコミュニケーションを、今までと同じ頻度かあるいはより頻度を上げて行う必要があります。なぜかというと、直接顧客に会えないからです。今まで以上の頻度で新しく切り替わった自分たちを見せていくことが、ポストコロナ時代のソーシャルメディアにおけるコミュニケーションです。
3. オンライン化は加速する
直接会えない時代は、オンラインでのコミュニケーションが重要視される
ポストコロナでは、今以上にオンライン化が進むと予想されます。そこで、普段からソーシャルメディアで接触できているかということがますます重要になります。今までは、電話をかけて「とりあえず会ってください」とアポを取って、対面するという営業スタイルが一般的でした。
対面であればそれなりにインパクトがあり、説得されやすいので買ってもらえるということがあったかもしれません。しかし、こういったことは今後成立しにくくなるのではないでしょうか。そのため、普段から顧客に接触して「あなたの製品のことはよく知っています」という状態をつくっておけば、今後Zoomを利用して営業活動をしてもコンバージョンしやすいでしょう。
今まで以上にオンラインでのコミュニケーションをとる、普段から接触するというのが大事になります。
コロナが流行しなくてもオンライン化は必然だった
このオンライン化の流れは、遅かれ早かれ訪れていた未来です。それがコロナによって加速したといえます。
マクロの話になりますが地球の資源は有限なので、今までのように燃料を消費し、物理的に移動して生活していくことはどのみち限界を迎えていたでしょう。だからどんどんオンラインに移していかなければいけないという話は、近年話題になった「サピエンス全史」や「ホモ・デウス」(著ユヴァル・ノア・ハラリ)でも言及されています。
また、国際政治学者にしてユーラシアグループのCEOであるイアン・ブレマー氏が毎年発表している世界の10大リスクというものがあります。コロナの感染拡大後に「重大リスクを書き替えました」とブレマー氏が発表した最新の世界の10大リスクの内容は、じつはコロナ以前とほとんど顔ぶれが変わらず、それまでのランキング上位のリスクがさらに上がるというものでした。
なくなったのはCO2問題くらいですね。人々が外に出なくなり、CO2の排出が減少するので温暖化問題のリスクが下がるというものはありました。しかし、以前からランクインしていた米中の覇権争いや米大統領選でトランプが再選するか否かといったリスクはむしろ加速しています。
4.問題点をあぶり出したコロナ
その問題を迅速に解決できるか
つまり、このコロナ禍は今までに存在していた問題点をあぶり出したといってもいい。そして私たちは、それらの問題の迅速な解決を求められています。例えば、コロナの流行にともなって急速に広まったリモートワークに関してもこれが当てはまります。
リモートワークを推進しようという話は以前からありました。以前はオリンピックをきっかけにやろうとしていたし、現在はコロナをきっかけにやろうとしています。もし、オリンピックの開催やコロナの流行がなかったとしても、リモートワークは推進されていたでしょう。
同じように、ライブやイベントで人々が一つの場所に集まるのではなくオンライン配信へ切り替わっていっただろうし、買い物もお店に買いに行くのではなくECへとシフトしていったでしょう。もともとそういう流れがあったのが、コロナをきっかけに加速していったのです。
だからこそ、「未来の状況にいち早く適用しています」「適応しているから安全・安心です」「新しい時代に適応してる私たちは、これからのあなたのパートナーです」と伝えていくことが重要になってくるのです。
ポストコロナの世界を恐れる必要はありません。それよりも、急ぐ必要が出てきたという感じでしょうか。
急いで新しい世界に適用する必要がある、というのが今私たちに求められていることだといえます。コロナとコミュニケーションについては、別の機会にもお話ししようと思います。
5.最後に
本記事の内容は「ガイアックス ソーシャルメディアラボ」の公式YouTubeチャンネルでも配信しています。
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この記事を書いた人:重枝義樹