企業がSNSマーケティングを始めるにあたって社内説得する方法【書き起こし】

2020/08/26

どうも、ガイアックスの重枝です。本日はSNS活用にあたり社内で稟議を通す方法をお話します。。

SNSを始めるにあたり、社内から、炎上やばくない?や、やって意味ある?というような横槍が入ることがあります。

担当者は「効果があります!」「こんな施策をやりたい!」と思っても、社内を説得するのが難しいこともあると思います。そんなとき、私たちの経験でどのような説得方法があったのかというお話をさせていただきます。

※本記事は「ガイアックス ソーシャルメディアラボ」の公式YouTubeチャンネルで配信した内容を書き起こしてまとめたものです。

1.データを見せる

まず1つ目は、やる理由としてデータを見せる方法です。

例えば自分たちの商品やブランドのターゲットの●割が使っているというデータや、ソーシャルメディアユーザーの5割以上が企業の公式ソーシャルメディアをフォローしている、しかもフォローしている人は購買意欲が上がっているというようなデータがあります。

このようにどうソーシャルメディアが役立つのかという、態動変容やユーザー層などのデータの中で説得に使えそうなものをピックアップして社内の説得にあたります。
社内説得に役立つデータは、こちらから資料請求できます。

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2.競合を引き合いに出す


2つ目は競合を引き合いに出すという方法です。

ソーシャルメディア利用を思いつくきっかけとして競合が利用しているということもあるでしょう。

競合のA社にはフォロワーが●人いるとか、B社はこんな投稿が拡散しているなどの話を聞いて、「自分たちもやらなくてはチャンスを逃すことになる!」という話をよく聞きます。

ソーシャルメディアで競合よりも発信力を持つことは説得材料になります。また一方で、競合がソーシャルメディアをやっていない場合に競合を引き合いに出すことも説得材料になります。

自分たちの商品ジャンルの競合がやっていない場合、先駆者(ファーストペンギン)になれます。最初にやれば先行者利益を取れるということで、社内説得が効いたというパターンもあります。このように競合を引き合いに出して説得するという方法も効果的です。

3.特定のブランドから始める

3つ目は特定のブランドから小さく始める方法です。

ソーシャルメディアはリスクがあるので、会社としてやるのは危ないのでは?という意見があります。それなら、会社全体のアカウントや人気ブランドなどのソーシャルメディアをやるのではなく、比較的シェアの小さなブランドから始めると言うと、説得が効く場合もあります。そこである程度結果を出して実験してデータを蓄積していきましょう。

「いずれは他社のようにソーシャルメディアに手を出さなくてはいけないので、まずはデータをとりましょう」というような、テスト用のアカウントを始めるという名目で始めます。

実際に人気が出るパターンもありますし、そこからほかのさらに人気のあるブランドや、企業全体のアカウントに繋がるということもあります。

4.炎上対策

4つ目として、炎上対策として始めるという方法もあります。

「SNSをやるから炎上するのでは?」「SNSをやらなければ炎上しない」と思うかもしれませんが、実はこれは逆で、アカウントがなくても炎上はします。

例えば、昨年雇用問題で炎上した企業は、ソーシャルメディアアカウントを一切持っていませんでしたが、ネガティブなニュースが広まり炎上していました。その結果、採用活動にも影響が出たはずです。おもにX(Twitter)で叩かれ、企業として声明を出さざるをえなくなりました。

ところが X(Twitter)をやっていないので、X(Twitter)で拡散している炎上の内容を肌感覚で分からなかったのでしょう。火に油を注ぐようなリリースを発表し、結果的にX(Twitter)でさらに炎上してしまいました。

企業のアカウントを持っていれば、リリースを打たなくてもそのアカウント上で、直接ユーザーと対話するような関係を築きながら、謝罪や訂正、会社としての主張をして誤解を解いたりすることができます。また、アカウントを持っていれば、批判者を置いておいて意見を主張することで味方を作るという動きもできるというメリットがあります。

アカウントがないと批判などがソーシャルメディア上に広まりやすく、全体像の把握が難しいでしょう。しかし、アカウントがあれば批判がそこに集中してくれるので全体像を把握しやすいというメリットもあります。

5.費用対効果を示す

ソーシャルメディアはなかなか売上には繋がりにくいのは事実です。

ソーシャルメディアでコンバージョン数を稼ぐことは難しいですが、認知を広げるものと考えたら効果が高いと言えます。

認知を広げるため、ソーシャルメディア上でのエンゲージメントやインプレッション、口コミの数などと認知の相関性を調査していきます。

テレビやマス媒体、イベント、OOH広告など様々な施策との絡みがあるので、アクションをどれだけ取ったか、テレビでどういうCMを流したかというような複数の要素を含めて相関性分析をします。

必然的に重回帰分析のようになりますが、ソーシャルメディアが認知とどう関係あるかは調査できますので、これで費用対効果を出しましょうという説得もできます。

調査の結果、費用対効果はもちろん出ない場合もあります。場合によっては商品とのカテゴリーによりますが、直接言及の数などが売上と相関する場合もあります。

このようにソーシャルメディア施策を行って、効果として数字が出れば、行った施策が結果的に売上やニーズに紐づくというような話ができ、このような形で社内を説得するという方法もあるわけです。

6.直接収益に繋げる

特殊な例になるのですが、直接収益を出す形で運用するのでやらせてくださいという説得方法もあります。

例えば売上との相関性だと、ソーシャルメディア上でフォロワーたちとコミュニケーションを取りながら企画を出して商品を開発し、その商品の売上を収益として算出した企業もいました。

また、広告メインで使うことで、直接収益につながるという説得がしやすくなります。そもそもソーシャルメディア広告やSNS広告は、現在メジャーな存在で、今後はリスティング広告よりも重要になってくる可能性があります。

これらをやるときには自分達のアカウントを持つ必要があり、そのアカウントで広告を配信する必要があります。

広告を配信する目的のアカウントであっても運用してないと不自然に見えますし、何も投稿していないアカウントより定期的に投稿してユーザーとコミュニケーションを取っているアカウントの方が良いでしょう。

このように、広告の配信アカウントとして使うのであれば、アカウントをしっかり運用しましょうという説得方法もあります。

実際に企業がソーシャルメディアを始めるきかっけとして、広告のために作ったというところも結構多くあります。

7.既存アカウントの運用を再開する

また、既存アカウントがある場合で運用されていないという場合もあります。それなら「運用しないとおかしい!」ということで、社内説得して始めるという方法もあります。

8.市場調査

そのほかに、市場調査としての機能でソーシャルメディアを始めましょうという企業もあります。最近の事例で一番分かりやすいのは、孫正義氏のソーシャルメディアアカウントです。

先日久しぶりにコロナでアカウントが動きました。日本のために何かしたいということで、PCR検査をもっと増やすために動きますということをツイートしました。すると、「PCR検査を沢山したら病院がパンクして医療崩壊します」など、それが正しいかどうかは別として、当時の風潮で優勢だったこのような声がたくさん届きました。

孫氏はその反応を受け、それならマスクを配った後にPCR検査しますとその後の施策に変えていきました。

このように、自分たちが何をするかをツイートしそれに対する世の中の反応を知るというように、ソーシャルメディアを観測気球的に市場調査という機能として使うということもできます。

またソーシャルメディアには、意見を募集したりアンケートをとったりという使い方もあります。


そのほかに、市場でリアクションを見ながら自分の打ち手を変えていくという使い方をしているのが、ZOZOTOWNの前社長で創業者の前澤氏です。

これは現代的なビジネスの方法ですが、最初から市場調査をして、そこに合わせて商品を投入していくというよりは、少しずつ市場のフィードバックを反映しながら、自分たちの出す情報を変えたり商品を変えたりしていくという方法です。

このような方法は、Webサイトやテレビではなかなか難しいですが、ソーシャルメディアの場合迅速に使えます。

このほかにも、例えば個人のアカウントでとりあえずやってみるなどいろいろな変化球はありますが、今回は細かくなりすぎるので割愛します。

9.番外編:会社に内緒で

最後に会社に内緒でやるという方法を紹介しておきます。あくまで、私たちはこの方法を勧めているわけではありませんが、内緒でやった結果、後に公式として認められるという事例もあります。

上司や社内を説得せずに内緒で始めてしまったがそこで人気を獲得してしまい、人気が出てしまうとアカウントがバレてしまうので上司に「消せ」と言われるわけです。

その際に「このアカウントはお別れです」と投稿すると、アカウントをフォローしている人たちから「やめないでくれ」と声が届きます。企業は消費者の声は無視できないので、その結果上司や会社が事後承認しくれるということもあります。

この方法の事例として、内緒で始めたわけではありませんが、北側物産という企業の例があります。会社から「ツイートをやめろ!」「アカウントを消せ!」という命令がきて、「お知らせ」という形で次のようなツイートをしました。

「ツイートがユルすぎて会社からツイート停止の指示を受けてしまいました。大変恐縮ではございますが、本日をもって当アカウントは停止させて頂きます。1年5ケ月の間皆様にお付き合いいただき大変にありがとうございました。」

このツイートは沢山リツイートされて、「やめないで!」「悲しいよー!」などのユーザーの声が届きました。それを見て上司の意見が変わり、その後「お知らせの訂正」ということで、次のツイートが投稿されました。

「夕刻に鍵アカウントへ移行しツイートを削除する予定でしたが、お陰様で当分の間このままとさせていただくことになりました。」

企業としてユーザーとの関係性を築けていたので、それが事後的に認められたということが起こりました。北側物産は内緒で始めたわけではありませんが、内緒で始めて事後承認された事例もあります。

最後の裏技としてはこっそり始めてしまう。急いで人気を取るという方法でした。

最後に

本記事の内容は「ガイアックス ソーシャルメディアラボ」の公式YouTubeチャンネルでも配信しています。

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