他国より5倍ハッシュタグ検索! Instagramはユーザーの「好きと欲しい」を作れる。「House of Instagram(#インスタハウス)」イベントレポート

2020/11/27

11月26日、Facebook Japanはマーケター向けイベント「House of Instagram(#インスタハウス)」を行いました。

私はこの初冬の時期になると、2017年から2019年の3年間、ライターとして同社の公式イベントには毎年現地に足を運び、カメラを持って取材してまいりました。

今回はイベント名にあるように、ご自宅やオフィスで視聴可能なオンラインでの動画配信となり、私もデスクトップ越しで観ていました。普段と視聴体験は異なりましたが、同社代表の味澤氏を筆頭に、どのセッションも登壇者の方々のサービスへの強い想いや熱量が充分に伝わる発表だと感じました。

本レポート記事では、Instagramの企業活用に関して、3時間以上におよぶセッションのなかで特に編集部が「これは!」と思った内容をピックアップしてお届けします。

Text / ソーシャルメディアラボ編集長 小東真人(@gxsoc_kohigashi)

    ■目次

  1. Instagramの強みは「好きと欲しいをつくる」
  2. Instagramの直近のアップデートや今後の展望
  3. 企業がInstagramを活用すべき理由、活用のポイント
  4. 最後に

【Instagram】参考になる投稿事例集はこちらから!

1. Instagramの強みは「好きと欲しいをつくる」

同セッションのスピーカー

Facebook Japan 代表取締役 味澤 将宏氏

Instagramならではの強み

まず同社代表の味澤氏からは、Instagramの日本市場における可能性や他のSNSプラットフォームにないInstagramの独自性がおもに語られました。

発表序盤に、Instagramのミッション「大切な人や大好きなことと、あなたを近づける(Bring you closer to the people and things you love)」が改めて紹介されました。

ユーザーが自分の興味関心を積極的に調べて、好きな人や好きなことを起点に、ユーザー同士やインフルエンサー、企業アカウントと発見できるSNSだと言います。

また近年、企業が取り組むキャンペーンが単純に「話題化」を目的とするあまり、売上増加を伴わない場合があることを同氏は指摘。

その上で、Instagramではユーザーの興味関心が強く、初めから好きなもの(や人)を探しに来るため、同社アルゴリズムによって関連コンテンツが容易に発見でき、購買行動まで同一プラットフォーム上で一気通貫できると言います。

従来の口コミサイトや検索サイト、ECサイトなど、バラバラに分断されやすいユーザー体験とは異なり、認知からエンゲージメント、購入まで一直線に行えるのがInstagramの強み。その意味で、Instagramは「好きと欲しいをつくる」プラットフォームであると同氏は強調しました。

企業がInstagramを活用する価値3つ

次に、企業がInstagramを使ったマーケティングを取り組むうえで、価値となる点が下記の3つ提示されました。

  • 喜びにつながる偶発的発見の創出
  • ブランドストーリーを多面的に伝達
  • 多様なコミュニティメンバーを通じた共感醸成

喜びにつながる偶発的発見の創出

Instagramではユーザーが自分の興味関心と繋がりやすいことが先述されていましたが、日本のInstagramユーザーは、他国に比べて5倍もハッシュタグ検索を行うほど活発に情報収集するそうです。

また、42%のユーザーは自分が興味を持った企業のプロフィールを調べに来ると言います。後の南氏のセッションでも挙げられますが、それだけプロフィールの作り込みはユーザーの接点として重要だと言えそうです。

多様なコミュニティメンバーを通じた共感醸成

次に、企業や個人、インフルエンサーなど、立場の様々なユーザーを抱えている点がInstagramの強みとして紹介されました。

企業が一方的に商品・サービスの良さを伝えるのではなく、関連するコミュニティから発信してもらうことで、より共感性が高まり、ユーザーの「自分ごと化」が加速すると言います。

具体的には、企業がユーザーの悩みをよく知るクリエイターと協力して、独自のお悩み解決コンテンツを作成した事例などが伝えられました。

ブランドストーリーを多面的に伝達

最後に、ブランドのストーリーを効果的に届けるため、ビジュアルによって直感に訴求できる機能が多い点が触れられていました。

85%のユーザーがフィード以外の機能を利用しているデータもあります。実際にストーリーズやIGTV、ライブ、ショッピング機能、発見タブなど、目的毎に、さまざまな機能が視聴されています。

また、企業のマーケターにとって商品購入に繋がるかは気になりますが、日本のInstagramユーザーは他国に比べて3倍、ショッピングタグから商品詳細を見る人がいるそうです。

Instagramをフル活用している好事例として、良品企画「無印良品」のアカウントが紹介されました。同アカウントではプロフィールの設定はもちろん、ストーリーズ投稿、ショッピングタグ、IGTVなど目的に応じて幅広く使い分けがされています。

コンテンツを見て来店される方も居るため、投稿で紹介した商品のお問い合わせが増えているそうです。また、ショッピングタグ経由でも売れるため、投稿前にECサイトの在庫を事前に補充しておくなど、工夫しているそうです。

2. Instagramの直近のアップデートや今後の展望

同セッションのスピーカー

Instagram 製品部門責任者 ヴィシャル・シャー氏

Instagramに最近搭載された機能

ヴィシャル氏はInstagramのミッション「大切な人や大好きなことと、あなたを近づける(Bring you closer to the people and things you love)」を振り返りつつ、これから紹介するInstagramの機能はこの思想を踏まえたものであると、前置きしました。

例えば、新型コロナウイルスによる自粛期間にはInstagramライブによる企画「#アットホームwith」を始め、中小ビジネスをサポートする「ギフトカード」や「料理を注文」スタンプの機能の開発など努めてきたと言います。

また他に、日本のプロダクト開発チームがきっかけでグローバルにも導入された機能や現在日本でテストしている機能を合計3つ、同氏は紹介しました。

  • QRコード
  • フィード投稿にInstagramライブのイベント情報をタグ付け、リマインド
  • 旬な話題:今人気のハッシュタグを幅広い話題で10個

最後に、「イノベーションロードマップ」として、Instagramが今後特に注力していく領域が紹介されました。

「Instagramではカルチャーを生み出し、前身させることに力を注いでいる」として、人々のエンターテインメント領域の需要拡大に、IGTVやリールで答えようとしているそうです。実際に、リールを視聴する専用のタブも現在テストされていますが、まだフォロワーが少ないクリエイターでも全世界の視聴者から見つけられやすくしたいという狙いがあると言います。

また、コマース領域においては、オンラインショッピングが世界中で使われ企業も対応をしていく状況を受けて、同社もInstagramショッピングの機能を拡充させようとしているそうです。

「80%の人が、製品またはサービス購入の判断の参考にInstagramを利用」するというデータを見せながら、ショップ機能や専用タブについて、人々が気に入るものを見つけてInstagram内で簡単で購入できると、強調していました。

3. 企業がInstagramを活用すべき理由、活用のポイント

同セッションのスピーカー

Facebook Japan 執行役員 営業本部長 南 勲氏

企業がInstagramをブランディングに活用するポイント

本記事の最後にご紹介する同氏のセッションでは、企業がInstagramをブランディングに活用するポイントについて、下記の3つが語られました。

  • なぜ今Instagramでブランディングを行うべきか?
  • Instagramでブランディングを成功させる3つのポイント
  • マーケティングフェーズに合わせた展開方法

これから一つずつ説明していきます。

①なぜ今Instagramでブランディングを行うべきか?

冒頭の味澤氏のセッションで伝えられた通り、Instagramの強みは、認知度やエンゲージメントの向上だけでなく、「好き、欲しい」といった購買行動の近くまで訴求しやすい点です。

ブランディングに関しても、Instagramを使えば、ユーザーに企業自体や企業の商品・サービスを「好き」になってもらったり、「欲しい」と思わせたりできると南氏は言います。

その理由には、通常投稿やストーリーズ投稿、IGTV、ARエフェクトなど、多彩なビジュアルツールでブランドを表現できる点が挙げられていました。

もう一つの理由に、上記した豊かな表現を駆使して企業コンテンツを配信しながら(フロー)、一部のコンテンツをストックして、ブランドの全体像を詳細に伝えられる点を挙げていました。そのように企業がInstagramを使って幅広く情報発信できる様子を「ミニブランドサイト」と同氏は表現していました。

具体的には、ユーザーが広告や投稿で偶発的に企業のコンテンツに出会った場合、まずプロフィールに訪れ、そこから他のコンテンツを深ぼり、ブランドストーリーを広く理解できる設計になっています(上図)。

また三つ目の理由に、Instagramユーザーが、気になるブランドに対して「自分ごと化」につながる行動に移しやすい点をアピール。過去1ヶ月に投稿を保存した国内利用者は25%や、ブランドサイト・ECサイト等で後日商品確認や購入をする割合が44%といった数値も紹介されていました。

ネスレ社において、他マーケティング施策を比べた統計調査によると、InstagramとFacebook広告の費用対効果はテレビの1.5倍、他デジタルメディアの動画広告の3.2倍、ディスプレイ広告の6.4倍だったそうです。

②Instagramでブランディングを成功させる3つのポイント

次にブランディングを成功させるポイントについて、味澤氏の発表にあった3項目を踏襲しながら、より詳しく伝えられました。

  • 喜びにつながる偶発的発見の創出
  • ブランドストーリーを多面的に伝達
  • 多様なコミュニティメンバーを通じた共感醸成

喜びにつながる偶発的発見の創出

独自のアルゴリズムが、ユーザー個々人に偶発的な情報の出会いを促している。発見タブなどはその代表例です。

「全く同じアカウントをフォローしていたとしても、利用者の興味や投稿者との関係値により表示される投稿が異なり、より利用者にとって関心の高い内容がどんどん優先的に表示される」という説明が特に印象的でした。

またこうしたオーガニックコンテンツに加え、精度の高い同社の広告を活用することで、投稿のリーチを最大化できる点も強調されていました。

ブランドストーリーを多面的に伝達

次に、上記したユーザーの偶発的な情報接触の効果を高めるために、コンテンツを「プロフィール」内にしっかりストックさせる点が伝えられました。プロフィールは、ミニブランドサイトにおける「トップページ」だと同氏はなぞらえます。

アカウントの基礎情報はもちろん、過去のフィード投稿やストーリーズ投稿をまとめたハイライトの活用、ダイレクトメッセージの設定なども併せて推奨されていました。

一部先述しましたが、4割を超える国内ユーザーが企業アカウントのプロフィールを閲覧し、フォロワー以外のアクセスが2/3に及ぶと言い、プロフィールの重要性について疑う余地は無さそうです。

多様なコミュニティメンバーを通じた共感醸成

最後に、企業や個人、インフルエンサーなど立場の様々な視点により、それぞれ熱量の高いメッセージを連鎖させ、ブランディングに生かせる点が挙げられました。

例えば、企業の投稿がハッシュタグ検索や広告で関心の高いファンへ届いたり、発信力の高いインフルエンサーによって拡散されたり、個人の投稿で盛り上がって目に着くようになったり、多くのケースが考えられます。

同氏からは、インタラクティブなストーリーズ広告の手法や、発信力のあるブロガーとのタイアップコンテンツに広告を掛ける手法など、Instagramの持ち味である多様な表現方法を使って、それぞれの視点に働きかける大切さが語られました。

③マーケティングフェーズに合わせた展開方法

セッションの最後には、Instagram導入を検討している企業のマーケターに向けて、Facebook Japan社が過去の支援ノウハウから生み出した「必勝パターン」をパッケージ化し、フェーズ毎に合う施策を当てはめられるようにしたと発表がありました。

横軸には時間軸が描かれており、プレローンチ期、ローンチ期、その後のフォロー期と三種類に分割されています。縦軸にはそれぞれのフェーズに合った施策が書かれています。

TVCMと連動させる出稿パターンなど、企業がInstagramを他のマーケティング施策と掛け合わせながら配信する想定のもと組まれているそうです。

またメディア、クリエイティブ、オーガニックの視点で細かくプランニングされるそうです。

4. 最後に

今回は、初めてオンライン開催となったFacebook Japan社のイベントをまとめました。

新型コロナウイルス騒動のなかでも、デリバリーやクーポンなど中小ビジネス向けのアップデートやライブ配信機能、ショッピング機能を着実に拡充させてきた、同社のさらなる成長に期待が高まります。

また佐藤ノアさんやテテマーチさんほか、今回は編集の都合上、残念ながらご紹介できなかったセッションもございました。後述のイベント動画も一部公開されておりますので、気になる方はどうぞご覧ください。

※本記事はFacebook Japan社の許可をいただいてスクリーンショットを掲載しております。

告知:「House of Instagram」のイベント動画が一部公開されています。

本記事をご覧いただき、ご興味を持っていただいた方へご案内です。当日の配信にご都合がつかなかった方でも視聴できるアーカイブが公開されています(一部)。

Facebook Japan主催 マーケター向けオンラインセミナーイベント「House of Instagram」
https://hoijapan2020p.splashthat.com/

特に本記事でピックアップした箇所は全て公開されておりますので、詳しく見たい方はぜひリンクにて動画をご覧ください。

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この記事を書いた人:小東真人

ソーシャルメディアラボ編集長。地方や中小ビジネス向けセミナーなどを担当。
17年ガイアックス入社のデジタルネイティブ世代。靴磨きが大好きで、休日はInstagramで関連アカウントばかり見ている。

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