ユーザーを掴んで離さない『コンテンツのゲーム化』!もう知らないでは済まされないゲーミフィケーション活用事例集
2015/04/03
ガイアックスソーシャルメディアラボ読者のみなさん、初めまして。SmaListブログを運営している田嶋と申します。今回はラボにお邪魔させてもらうことになりました。
さて、みなさんは家事や勉強を面倒だと感じたことはありませんか?その理由はたった一つ、面白くないからです。
一方で、子どもが長時間活き活きゲームをしていられるのは、ゲームが面白いからでしょう。
ツマラナイと感じるタスクや仕事を、ゲームのように「面白く」「楽しい」もの変えるためのカンタンなアイディアが実はあります。それが、あらゆるコンテンツにゲーム的要素を加える「ゲーミフィケーション」という手法です。
聞いたことはあってもよくわからなかったり、「ゲームにする」と聞くとなんとなく難しそうに思えるゲーミフィケーションですが、実はお金をかけずとも、コンテンツにちょっとした要素を付け加えるだけでユーザーがつい続けたくなるゲームのようになります。
今回は、その本当は難しくないゲーミフィケーションのポイントを、事例と併せてご紹介します。
■目次
ゲーミフィケーションってなに?
まずはゲーミフィケーションの定義を見てみましょう。
ゲーミフィケーションとは、マーケティングの手法の一種で、ゲームが本来の目的ではないサービスにゲーム的要素を組み込むことで、ユーザーのモチベーションやロイヤリティを高めることである。
上記の定義を見ると、どうやらキーワードは「ゲーム的要素」のようです。更に簡略化して言ってしまうと、ゲーミフィケーションとは、ゲーム的要素のないものにゲーム的要素を加えることです。非常にシンプルですね。
ゲーミフィケーションの利点は「ゲーム的要素」を盛り込むことで、面白くないものを面白いもの化することできる点です。
そして実は、少し見渡すだけで私たちの身の回りにはゲーミフィケーションが溢れています。
ゲーミフィケーションで欠かせないゲーム的要素とは?
繰り返しますが、ゲーミフィケーションとは、ゲーム的要素のないものにゲーム的要素を加えることなので、当然「ゲーム的要素」が核となります。さて、ゲーム的要素とはどうようなものでしょうか。
もしかすると、壮大なゲームをイメージされたかもしれません。しかし、「ゲーミフィケーション」という名前の割に、その「ゲーム的要素」は仰々しいものではありません。
●ポイント
●スタンプ
●ランキング
●レベル
●ランク
●バッジ
など、要素としては些細なものであることも珍しくありません。
例えば、「ソーシャルゲームのログインボーナス」から「夏休みのラジオ体操に参加すればもらえるスタンプ」もゲーミフィケーションと言えます。
それでは、実際にどのようにゲーミフィケーションが活用されているのかを事例とともに見てみましょう。
事例から見るゲーミフィケーションの有用性
身近なものからちょっと舌を巻くものまで5つの事例をご紹介します。
Retty
先日10億円の資金調達を発表し、拡大の一途を辿るRettyの紹介です。
Rettyはグルメサービスとして、「人気の店」ではなく「自分の好みのお店」を知ることを目指しています。そのため、レストランをポイントなどで数値化し順位づけすることはしていません。
その代わりに自分の信頼できる友達や嗜好に合う人の紹介するクチコミを紹介することに重点を置いています。
このRettyでクチコミを投稿してもらうために用いている「ゲーム的要素」は、「いいね」や「行きたい」という意思表示を受けられ、高評価を獲得しているユーザーを「この地域で〇番のユーザー」として紹介しているところです。
投稿者は「賛同」や「称号」欲しさに投稿してしまいます。この気持ちは、読者のみなさんのFacebookやInstagramでの投稿の際にも胸の中によぎるのではと思います。
フォートラベル
クチコミ旅行サービスで高名なフォートラベル にもゲーミフィケーションは取入れらています。
同じ運営会社のカカクコムが運営する『食べログ』と同様に、フォートラベルもユーザーが作るクチコミコミュニティサイトです。
ユーザーは他のユーザーが書いた旅行記やクチコミを参考に、旅行に出かけ、旅中にはその様子をアップしたり、旅行後には思い出を旅行記を書き記すというサービスです。
ここで活用されている「ゲーム的要素」は、旅行記の「アクセス数ランキング」やQ&Aの「回答数ランキング」などのランキングです。ランキングで上位にランクインしたいという承認欲求を刺激することで、ユーザーにアウトプットを促しています。
他のユーザーと競争心を煽ることのできるランキングなどのゲーミフィケーション要素は、近年浸透してきたソーシャルメディアとの相性もバツグンです。
Mailbox
Dropboxが2013年に買収したMailboxにも、つい手が動いてしまう要素が盛り込まれています。
MailboxはGmailに特化したメールアプリです。操作性に優れており、またメールを「後で読む」機能も搭載している。そして、普通のメールアプリとの違いであり最大の特徴は、このアプリの使用の目的は「受信トレイを空にする」ことです。
スワイプ動作によって、メールをアーカイブしたりごみ箱に移動し、受信トレイに溜まったメールをゼロにしていきます。
そのための「ゲーム的要素」は、受信トレイが空になった時にだけ「ある画面」が表示されることです。
この画面が表示されることで達成感が得られるため、常にこの画面を表示するためにメール処理を行いたくなります。
ちなみに上の画像は「ある画面」ではありませんので、爽快感ある画面は実際に全てのメールを処理して味わってみてください。
Khan Academy
楽しく学びたいなら、2006年にSalman Khan氏によって設立されたKhan Academyを使ってみてください。
Khan Academyは算数に始まり、金融、化学、歴史、美術などの多岐に渡る分野をオンラインで学習できるサービスです。ネットに繋がってさえいれば、誰でも無料で利用することができます。
元々はSalman Khanが自分の親戚にYoutubeを使って数学を教えていただけのものでしたが、今では3000本以上のビデオ教材と練習問題が提供されており、世界の知が誰にでも触れられる未来への大きな礎となるサービスへと成長しました。
ここでの「ゲーム的要素」は、“Knowledge Map”と呼ばれ、多くのゲームでも持ち入れられている仕組みです。
これは特定の知識を得ることで、初めて次の知識を得ることができるというものです。具体的に言うと、「足し算」の知識があって初めて「掛け算」を学ぶことができますよね。このようにどんどん学習を進めていくことができます。
ChoreWars
雑務を「冒険」に変えてしまいたいならChoreWarsです。
家庭やオフィスでの雑務やルーティンワークに、楽しさを見出すのはなかなか難しいものです。しかし、ChoreWarsを使えば、そのようなタスクをRPG感覚でこなすことができます。
予めタスクを入力し経験値を振っておくことで、それらを達成した際に自己申告すると、その経験値を得ることができます。ChoreWars内の自分のキャラクターが成長していきます。また、家族や同僚などとチームプレイを楽しむことも可能です。
ここでの「ゲーム的要素」は、タスクを完了することで経験値を得て成長することに加え、チームプレイによって連帯感を持ちながらタスクを行える点です。
つまらないことこそ、仲間と楽しくできたら最高ですよね。
ゲーミフィケーションが取り入れられるようになった背景
最後に、ゲーミフィケーションについてより知りたい方に向けて、ゲーミフィケーションがなぜネット界隈で声高に叫ばれるようになったのかについて少しだけ触れておきます。
大きく二つの要因があると思っています。
Gamification was a term that was first coined in 2003 by Nick Pelling, but did not gain popularity until 2010.The term gamification began to gather interest and a following in 2010 when companies such as Badgeville started using it to describe their behavior platforms.
上記にあるように、単語自体は2003年に生まれ、2010年に市民権を得ました。しかし、概念としては2003年より以前から存在しています。事例に関しては前述の通りですが、インターネットなどのオンラインだけでなく、オフラインのリアルなものにも応用されてきました。
一つ目は、いわゆるラベル貼りされたこと。2010年以前も、「ゲーム的要素のないものにゲーム的要素を加える」ことはなされてきましたが、それらに「ゲーミフィケーション」という名前(ラベル)が与えられることによって、初めて意識が向けられるようになったと考えれます。
もう一つは、ソーシャルネットワークの発達です。ラボ読者のみなさんは、ゲームがソーシャルネットワークと相性が良いことはご存じの通りだと思います。
インターネット上で他者と関わる機会が増えることで、ゲーム性を持たせることが容易になったことが背景です。
最後に
ここまで5つの事例をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
「ゲーミフィケーションはやはり何だか難しい」と思われているでしょうか。では、上記事例の事例のポイントをまとめます。
●Retty
-好意の意思表示機能及び、トップであることの表示
●フォートラベル
-他ユーザーの競争心を刺激するアクセス数ランキング
●Mailbox
-目的を達成することで爽快感が得られる体験を付与
●Khan Academy
-Knowledge Mapによる全体の把握と進捗の可視化
●ChoreWars
-タスクを完了することで経験値を得、ゲーム内のキャラが成長
実は「ゲーム的要素」だけ切り取ると、ゲーミフィケーションはフクザツなものではありません。むしろ、その要素を「どうサービスに組み込むか」が肝になってくるので、当記事では5つの事例を用いてアイディアをご紹介した次第です。
ソーシャル上で他人とどんどん繋がっていくこの時代、ゲーミフィケーションはより自然に組み込まれるようになっていくでしょう。
読者のみなさんが、自身のサービスや日常の中に「ゲーム的要素」を持ち込むことで、これまでと一味違った楽しい時間を賞味して頂けますと幸いです。
以上、『ユーザーを掴んで離さない『コンテンツのゲーム化』!もう知らないでは済まされないゲーミフィケーション活用事例集』でした!
この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部