ブランドを”自分事化”させる! 資生堂unoのデジタルPR施策「uno SOCIAL BABER」の裏側に迫る

2016/06/24

資生堂取材①

2016年4月、資生堂の男性化粧品ブランドunoは、ソーシャルメディアへの投稿に用いられた言葉から即座に性格診断を行うPR企画「uno SOCIAL BARBER」を公開し、その今までになかったアイデアが色々なメディアで取り上げられ話題となりました。

なぜ、unoが性格診断を?

そこで、ラボ編集部は資生堂でunoグループのブランドマネージャーを務める山ノ井様と、同PR企画の制作に携わられた株式会社パーティの中村様に取材しました。本記事では同企画のコンセプトや制作の裏側に迫り、参考になる視点を探ってみます。

text / ソーシャルメディアラボ副編集長 小東真人

    目次

  • プロフィール
  • 「uno SOCIAL BARBER」のコンセプトとは
    1. テレビにはない、より密なコミュニケーションで若者にブランドを伝えたかった
  • コンテンツを企画するための考え方
    1. “自分事化” してもらえるコンテンツを
    2. ブランドイメージを生かした企画を追求
  • デジタルブランディング施策に大切なこと
    1. PR施策を瞬間的なものでは終わらせない
    2. 今後のPR施策について

プロフィール

山ノ井 千草氏
株式会社エフティ資生堂 パーソナルケアマーケティング部
フェイス・ボディ・メンズ室 unoグループ ブランドマネージャー

資生堂取材②

中村 大祐氏
株式会社パーティ
アソシエイトクリエイティブディレクター/テクニカルディレクター
資生堂取材③

「uno SOCIAL BARBER」のコンセプトとは

テレビにはない、より密なコミュニケーションで若者にブランドを伝えたかった

小東:uno SOCIAL BARBER」は、どういうコンセプトで始められたのですか?

山ノ井氏:unoは今年3月にヘアスタイリングシリーズを全面リニューアルし、若者の新たな魅力を引き出し、「大人への進化」をサポートするブランドとして生まれ変わりました。どうやったらブランド、ヘアスタイリングに興味を持っていただけるか考えたとき、ターゲット層との親和性が高いSNSを使って何かできないかと思ったのです。

小東:早い段階から、若者にはSNS、と思ったのですか?

山ノ井氏:SNSというより、デジタル施策を想定しました。テレビも大事なメディアですが、もっと密なコミュニケーションがとれるSNSで、若者の「大人への進化」をサポートすることで、一歩大人へとレベルアップする自信を、unoを通じて若者に届けていきたいと考えていました。

コンテンツを企画するための考え方

”自分事化” してもらえるコンテンツを

資生堂取材④

小東:同企画では、個人の診断結果をFacebookやX(Twitter)で友人に共有できますね。やはり、SNSでの拡散を狙ったのですか?

中村氏:いいえ。SNSで拡散されることだけを目標にしていたわけではなく、unoを“自分事化”してもらえる、そしてunoなら大人になるきっかけが見つけられるというブランドイメージを伝えたかった。TVではできない「深い体験」を作りつつ話題になるものを考えていった結果、ソーシャルコネクトも組み合わせることにしました。

スタート画面

小東:体験型で、しかもエゴグラムやディープラーニングなど最新技術を交えた企画になり、狙い通り話題となりましたね。“自分事化”させる、というテーマと、同企画のエゴグラム(性格診断)はどういう風に繋がったのですか?

中村氏:まずは「大人って何だろう」から考え始めました。第一に浮かんだのは、背中を押すこと。あなたのままでいいんですよ、「ありのまま」というような。しかし、もう一歩踏み込んで、「大人=自分のことをわかっている、多様な自分を持っている」、つまり「自分を知ることは、大人になる第一歩」ということを伝えるべきだと思ったのです。

小東:だから、自分を客観視できる性格診断なのですね。他にこだわった部分は?

中村氏:自分の性格タイプが細かく出てくるところが一番ブランドを語りやすく、イメージも植えつけやすいと考えました。しかし、単純に自分の性格タイプを見せてもつまらないので、そこを髪型で表現しました。このヘアスタイルはあなたを表すものですよ、すっきり仕上げますよと訴求するわけです。実際にいくつかSNS投稿を調べると、「本当に髪を切りたくなった」とか「自分にそっくりの髪型だ」などの声も見受けられました。

資生堂取材⑦
 ラボ編集部 小東の実際の診断画面

ブランドイメージを生かした企画を追求

小東:なるほど。ブランドイメージを伝えるという点でこだわったポイントはありますか?

中村氏:単純に拡散を狙って商品を世の中に知らせるだけなら、例えばおバカ系コンテンツなどがあると思います。ですがその手法を使うと、場合によってはブランド価値をさげてしまいます。リニューアルしたunoには「前向きに本当に頑張っている若者へ」というメッセージがありましたので、まじめ路線でトライするという点にはこだわりました。

また、体験型ということで、同企画にはネガティブ・ポジティブの両面を入れています。ムービー中に、ユーザーがSNSで使ったネガティブな言葉が浮かび上がり、それらが美容室でカットされるシーンがあります。ネガティブな言葉をハサミで切り落として、unoというブランドでどれだけ気持ちをすっきりさせられるのか、ポジティブな面を提供できるのかをこだわりました。前向きに生きることこそ、大人として大事ですよね。

資生堂取材⑥ 「怒られてた」「無理だ」など、ネガティブな言葉がカットされている

山ノ井氏:「ボタン一つで自己分析」というよりは、この企画の世界観に浸ってもらいながら、ブランドを見てもらいたかったですね。

デジタルブランディング施策に大切なこと

PR施策を瞬間的なものでは終わらせない

小東:同企画はunoのPR施策の中でも、どういう位置付けになるのでしょうか。

山ノ井氏:自己分析というかたちではありましたが、企画の中でスタイリングの面白さをunoのブランドを交えながら伝えられたのは、非常に良いスタートと思います。これからの施策では、製品の購入数や知名度の向上だけでなく、unoに「他とは違うカッコ良さ」や「大人っぽいブランド」をもっと感じてもらいたいですね。

小東:それでは、SNSならではのブランディングの難しさや、SNSにこれから期待することなども聞かせて下さい。

山ノ井氏瞬間的なもので終わらせず、ブランドをきちんとユーザーに伝えられて、ファンになってもらえたのかは気を付けるようにしています。同企画は7月末で終了ですが、一過性のものではなく、あくまで入り口のひとつとして、これからもブランディングを続けたいです。また、話題性を考えた時に、単純におもしろおかしいものではなく、今回でいうスタイリングのような、ブランドが伝えたかったものまでしっかり届けていきたいと思います。

中村氏:同企画は、ブランディングの成果が表れるよう細かく設計されています。実際に、よくある診断ものばかりを扱うメディアでの露出は少なく、テクノロジー系やアカデミック系のメディアからよく紹介されていたのです。伝えたいものがよく考えられたコンテンツは、ソーシャルに限らず、他媒体の人たちの気持ちにも共感を呼んで、ブランドとして認知されると思います。

今後のPR施策について

資生堂取材⑤

小東:それでは最後に、unoの今後の展望や目指しているものを教えてください。

山ノ井氏:ブランドとしては、ヘアスタイリングを皮切りに、unoをメンズブランドとして市場を牽引していきたいです。そのために、やはりテレビ等のマスメディアを大事にしながら、そこを補強していく策としてデジタルも活用し、若者の背中を後押しするブランドとしてメッセージを発信し続けていきたいと思います。

小東:ありがとうございました!

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