あえてバズは狙わない?!分散型料理動画メディアDELISH KITCHENがユーザーに提供する本当の価値

2016/07/22

DELISH KITCHEN_菅原様_榊原様

先日(2016年6月)に6.6億円の資金調達を発表して話題になった、株式会社エブリー。同社が運営する分散型の料理動画メディア「DELISH KITCHEN」のFacebookページは現在100万以上のいいね!(2016年7月現在)を獲得しており、国内の料理動画メディアとして確固たる地位を築いています。

今回は、そんなDELISH KITCHENを運営している菅原様と榊原様にお話を伺いました。ユーザーに愛されるDELISH KITCHENのブランドとしてのあり方や、これからの動画広告についてのお話は必見です。

Interview / ソーシャルメディアラボ編集長 大久保亮佑

  1. 目次
  2. プロフィール
  3. SNS以外にもコンテンツを配信。ブランドが目に触れる機会を最大化
  4. バズよりも安定感と実用を重視!ユーザー目線のメディア運営
  5. なぜ広告主は分散型動画メディアに出稿するのか?背景にあるユーザー行動の変化
  6. “ユーザーに合わせて変化していく”DELISH KITCHENのこれから

プロフィール

菅原千遥氏:株式会社エブリー DELISH KITCHEN 編集長 / 料理研究家

DELISH KITCHEN 編集長 / 料理研究家_菅原様

榊原綾香氏:株式会社エブリー プロダクトマネージャー

株式会社エブリー プロダクトマネージャー榊原様

SNS以外にもコンテンツを配信。ブランドが目に触れる機会を最大化

大久保:DELISH KITCHENは分散型メディアということですが、今コンテンツを配信しているプラットフォームはどんなところがありますか?

菅原氏(以下敬称略):FacebookやInstagram、YouTubeを中心に配信しています。

DELISH KITCHEN_Facebookページ

大久保:プラットフォームごとにコンテンツを変えているところはありますか?

菅原:プラットフォームごとに見方が違うので、それに合わせて変えています。Facebookは隙間時間で閲覧できる1分くらいのもの、Instagramは元々写真を投稿・閲覧するプラットフォームなので短めの動画、というように区別しています。

榊原氏(以下敬称略):全体の尺はもちろん、食材を出すタイミングやシーン構成によっても視聴維持率は変わります。食材を出す順番を野菜→肉から肉→野菜に変えてみたり、単調な時間を作り出さないように混ぜるシーンは省略したり、データを見て最適化しています。

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大久保:ソーシャル中心の分散型メディアはコンテンツがフロー型でストックされないですが、その点はどのようにお考えですか?

菅原:そもそもメディアの作り方が違うので、ストックされない点を「カバーしよう」という考え方はしていません。FacebookやInstagramで配信しているメリットは、わざわざ検索しないユーザーの方にもリーチできるという点です。SNSのタイムラインにふとDELISH KITCHENが出てきて、自然に視聴されています。

基本的にはまずソーシャルメディアで認知を高めてファンを増やすことを重視していますが、ユーザーさんから「ストックして見たい」というご要望はいただいているので、アプリやサイトなどは今後検討していきます。

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大久保:DELISH KITCHENは本を出版されていますが、それもコンテンツをストックするひとつの手段として考えていたりするのですか?

菅原:はい。リアルな領域にも挑戦していきたいといます。私自身、本をパラパラめくって情報に出会ういう体験が好きなので、そういうアナログな体験も作っていきたいです。

バズよりも「ちゃんと作れる実用性」を重視!ユーザー目線のメディア運営

大久保:DELISH KITCHENで配信される料理のレシピは、どのように考えているんですか?

菅原:私がレシピ開発をしています。毎日料理をする方だけでなく初心者の方にも料理をしてほしいという思いでレシピを提案しています。レシピ開発は、主婦の方と同じようにスーパーに行き、季節の食材を実際に見ながら考えています。
また、DELISH KITCHENの中でいただく「こういうレシピを作って欲しい」というリクエストも参考にしています。

DELISH KITCHEN_キッチンでの撮影の様子

動画を撮影しているキッチンの様子

大久保:ユーザーさんからの声とかリクエストは、どうやって受け取っているんですか?

菅原:FacebookやInstagramのコメント欄です。ユーザーさんがレシピを参考にして料理をしてくれるという点がDELISH KITCHENの特徴のひとつです。リクエストにお応えしたレシピをユーザーさんが実際に料理し、コメントや写真を投稿してくださっています。
Instagramですと、「#delishkitchentv」というハッシュタグをつけて写真を投稿してくれています。そのハッシュタグを通じてひとつのコミュニティが作られています。

大久保:ユーザーさんへのコメント返信に関しては何かルールはあるのでしょうか?

榊原:「ユーザーの方のご意見から得た気づきをコンテンツに活かそう」と考えているので、一つ一つのコメントに返信し、リクエストもチェックしています。「この調味料は何かで代用できますか?」「小麦粉アレルギーなんですけど、その場合はどうやって作ればいいんですか?」といった質問にも、料理研究家の意見などを参考にお返事しています。

コメントに丁寧に返信している様子

ユーザーさんからのご質問に対して丁寧に返信している様子

菅原:ただレシピ提供するだけではなく、DELISH KITCHENのファンになってもらって、ファンの方と一緒にサービスを作っていきたいと考えています。ですので、作った写真をアップしていただけるのも、興味を持って質問をしていただけるのも純粋に嬉しいです。きれいな写真やアレンジが上がってくると、社内チャットで共有して、「こんなふうに作ってくれた」とメンバーのモチベーションに繋がっています。

大久保:ユーザーにこんな行動をとって欲しい、というような目標はあるのでしょうか?

菅原:私たちのコンセプトは「誰でも簡単にすぐ作れる料理」です。バズを狙った面白いレシピを作る動画もありますが、DELISH KITCHENはユーザーさんに料理を作ってもらうことを目指してています。

主婦の方は毎日「今日の夜何作ろう?」「明日のお弁当どうしよう?」と本当に悩んでいると聞きます。DELISH KITCHENはそんな悩みを解決できるような提案をしていきたいです。


夕飯のおかずの参考になる料理動画

なぜ広告主は分散型動画メディアに出稿するのか?背景にあるユーザー行動の変化

大久保:タイアップ動画も増えているそうですね。

榊原:おかげさまで、お問い合わせをいただくことも増えてきました。私たちにご依頼いただく背景として、各種ソーシャルメディアやオウンドメディアを自分たちで運用して試行錯誤される中で、「やっぱりペイドメディアを使おう」という流れがあるように思います。

 

キユーピーとのタイアップ動画

菅原:また、若年層のテレビ離れが進んでいると言われている中で、TVCMだけではアプローチできない層に届けることができる点も大きいです。
今はTVよりもスマホに多くの時間が使われています。かといってTVCMをそのままFacebookの中で流しても、思うような反応や認知を得ることは難しいです。そこで、各プラットフォームの特性に合った動画を配信しているDELISH KITCHENにお声がけいただくというパターンが多いです。

大久保:その場合、広告主はどういった数値を重視されるんですか?

榊原:再生回数は一番わかりやすいのでキーになりますが、それ以上に双方向なコミュニケーションが生まれる点を高く評価していただいています。実際に「商品を買った!」という写真があがってきたこともありますし、その前段階として「これどこで売ってるんですか?」「いくらですか」という質問が書き込まれることもあります。さらにほかのユーザーさんが「買いましたけど、○○に売ってましたよ!」とコメントを返していただけるなど、タイアップ動画を起点に購買行動が起こっていることが分かります。

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“ユーザーに合わせて変化していく”DELISH KITCHENのこれから

大久保:動画コンテンツがあふれているなかで、選ばれ続けるために重視していることはありますか?

菅原:「誰でも簡単にすぐ作れる料理」というコンセプトはぶらさずに作っていこうと思っています。バズらせるためのエンターテイメント性の高い動画ではなく、実用的で参考にしやすい、安定的に見てもらえるメディアをつくっていきたいです。ユーザーが求めているものをご提供して、ファンになってもらえると嬉しいです。

榊原:配信するプラットフォームも、ユーザーさんに合わせて変えていくつもりです。Facebookに限らず、新しいソーシャルメディアがメジャーになったら、そのようなプラットフォームにも対応していきます。例えば日本のキュレーションアプリやLINE、ニュースメディアなどへの配信も考えています。

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大久保:今後「こんなブランドに育っていってほしい」という思いを教えてください。

榊原:「毎日、今日のごはんのために、DELISH KITCHENを開く」、そんなメディアになっていきたいです。DELISH KITCHENという名前を出すこと自体がブランディングに繋がる、そういうコミュニティ作りをしていきたいなと思っています。

大久保:本日はありがとうございました!

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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部

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