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Google、Apple、Facebook、Amazonの買収戦略から見える現在と未来

   


巨人IT企業たちの買収履歴からネットビジネスの未来を考える

Google、Apple、Facebook、Amazon

“〇〇社が△△社を~億円で買収”…それってどんな企業?何を意味するの?

最近、米アマゾン、ゲーム実況配信のトゥイッチを9.7億ドルで買収というニュースがネット上を賑わせていました。ゲーム配信サービスを手に入れたことでついにAmazonがゲーム市場に参入するのかという推測もされています。

海外では企業による買収が盛んに行われていますが、このニュースを見ていてふと「あれ、9.7億ドルでの買収って高いんだっけ?」という疑問がよぎりました。また、最近の企業買収の傾向やIT業界の進もうとしている方向についてあまり分からなかったので、今回はIT企業の代表格であるGoogle、Apple、Facebook、Amazonが過去に買収した企業とその買収額、そしてその傾向について調べ、今後の予想を考えました。


※本記事は、デジタルコンテンツ提供サービス「SmaListブログ」の記事を編集・転載したものです。

    ■目次 -巨人IT企業たちの買収履歴からネットビジネスの未来を考える
    -Google,Apple,Facebook,Amazonの買収履歴。最も高額なのは?
     1. Googleによる買収
     2. Appleによる買収
     3. Facebookによる買収
     4. Amazonによる買収

Google,Apple,Facebook,Amazonの買収履歴。最も高額なのは?

各企業ごとの買収戦略に関する考察は後述するとして、まずはGoogle,Apple,Facebook,Amazonの4社の過去6年間の買収履歴を、公表されている買収額順に一覧化しました。

▼Google,Apple,Facebook,Amazonの買収額ランキング(過去6年間)
Facebook買収企業

(wikipediaCrunchBaseを参考に筆者作成)

基本的には2011~2014年の間で高額な買収が行われています。トップから順に並べてはいますが、その額にはかなりの差があります。

買収額トップは”FacebookのWhatsApp買収”190億ドル

この4社の中で買収額の大きさで言えば、世界時価総額ランキング(2014年8月末時点)1位のApple3位のGoogleを差し置いて、WhatsAppを190億ドル(1兆9000億円)で買収したFacebookが頭一つ抜きん出ていますね。

続いて、125億(1兆2500億円)ドルでMotorolaを買収したGoogle
その後は100億ドルを超える買収は行われていません。

それでは、それぞれの企業が近年どのような買収をしているかを詳しく見ていきましょう。

1. Googleの買収企業

まずは、ハードウェア系を主として圧倒的買収企業数を誇るGoogleからです。

▼【Google】事業ジャンルごとの買収企業数
グーグル Google買収企業

(wikipediaを参考に筆者作成)

まず、Googleは他の3社と比べて、買収した企業数が圧倒的に多いことがあげられます。Googleは自社内のリソースに満足せず、積極的に買収を行っています。その数は2012年、2013年には少し落ち込んだものの、2011年と2014年には25社以上にのぼっています。

Googleはハードウェア関連企業の買収を強化

上のグラフを見ると、2013年 2014年と、ここ2年の傾向としてハードウェア周りを強化していることが分かります。これは、Googleの秘密施設にて次世代技術の研究を行うGoogle Xプロジェクトのためでしょう。
このプロジェクトでは、仮想空間でのテストが行われているとされる「自動運転車」や、ウェアラブルデバイスの呼称とともに世界を期待感で包んでいる「Google Glass」などの研究開発が行われています。

グラフで示したこの期間に買収した中で、とりわけ買収額の大きかったのは以下の2社です。

Motorola Mobility : 125億ドル

モトローラ Motorola Mobility

(http://www.motorola.co.jp/)

1位はダントツで、2011年125億ドル(1兆2500億円)で買収したモバイルデバイスメーカーMotorola Mobility1998年創業のGoogle史上、最高額での買収になりました。

これはAndroidのエコシステムを競合企業との特許紛争から保護することに主眼を置いた買収でした。そして2年と経たず、特許の多くは手元に置いたまま約30億ドル(3000億円)で中国PCメーカーのレノボに売却しています。このMotorola Mobility売却には、「先端技術開発部門(ATAP)」は含まれていないので、この部門のメンバーは引き続きGoogleのもとで開発することになるのでしょう。

Nest : 32億ドル

Nest

(https://nest.com/)

次に額が大きかったNestスマートサーモスタット(温度調整デバイス)煙と一酸化炭素の検知器を製造する企業で、2014年1月32億ドル(3200億円)で買収されています。

IoT(モノのインターネット)の時代がやってくると囁かれていたタイミングでの買収だったので、Googleが買収したというニュースは多くの人を興奮させました。その一方で、同じくスマートデバイスなどを開発していこうとしているAppleはなぜ買収しなかったのかという議論もあったようです。

Googleの今後の展開予想

今年買収を発表したデザイン会社のGeckoを手に入れたことから、現在取り組んでいるスマートデバイスのデザインを、現在のタイプから更にユーザーにとって親しみやすく、かつ使い勝手の良いものにしていくのでしょう。「Google Glass」に代表されるスマートデバイスは、まだまだ生活の一部として使用するには特異な形をしているため、きたるウェアラブルの波を制するためにも馴染みやすいデザインが重要になってきます。スマートカーやスマートウォッチなど、Appleとの競合関係は更に激化していくことが予想されます。

Google Xで開発しているプロジェクトは、前述の「Google Glass」「自動運転車」のほか、「ARヘッドマウントディスプレイ」「ドローン(小型無人飛行機)」「空中風力発電」「血糖値管理のコンタクトレンズ」「ネットワーク接続のため成層圏に飛ばす気球」「音声認識」「人工知能」などが公表されています。Googleの持つ技術・知能・資金を結集したプロジェクトに、否が応でも期待が高まりますね。

2. Appleの買収企業

次にソフトウェア・ソーシャル系の企業を買収しているAppleについてです。

▼【Apple】事業ジャンルごとの買収企業数
アップル Apple買収企業

(wikipediaを参考に筆者作成)

前項のGoogleと上記グラフを比較すると買収数は少なめ。ここ2年ではソフトウェア、ハードウェア、ソーシャル系の企業を多く買収しています。

Tech Crunchによると、ソフトウェアでは本の内容解析サービスBookLampの買収により、AppleのiBookでも内容解析が可能になったり、Amazonのような本のサジェスト機能がついたりするかもしれないそうです。後述しますが、ハードではやはりBeats Electronicsの買収が大きいですね。

Appleはソーシャル系事業を多く買収

また、2013年にはソーシャル系の数字が高くなっています。地図系サービスを展開している企業を数社買収し、地図アプリ「Maps」の強化を図ろうとしていて、Googleの「Google Maps」とシェアを取り合っています。

さて、2011年~2014の間にAppleに買収された企業のうち、買収額でトップだったのは以下の企業です。

Beats Electronics : 32億ドル

Beats studio

(http://jp.beatsbydre.com/home)

今年5月にAppleが高級ヘッドフォンブランドであるBeats Electronics32億ドル(3200億円)で買収すると発表したことは記憶に新しいと思います。iPodの成功によって大きく成長したAppleは「音楽は重要」だと位置づけていますが、もはや音楽ダウンロードサービス「iTunes」の売上は頭打ちで、また逆に近年存在感を増しているSportifyなどの音楽ストリーミングサービスの台頭に脅かされつつあるようです。

今回AppleはBeats Electronicsを買収することで、同社の持つ音楽ストリーミングサービス「Beats Music」も手にすることになります。小さな買収を繰り返してきたAppleが32億ドルという巨額を投資したのは、成長の望めない音楽ダウンロードからストリーミングサービスへ舵を切るためだったと言えますね。

Anobit : 3.9億ドル

Anobit

(http://www.technobuffalo.com/tag/anobit/)

Anobitイスラエルの半導体スタートアップで、2011年3.9億ドルで買収されました。Anobitはフラッシュメモリー技術を得意としていますが、フラッシュメモリーはAppleにおいてもiPhoneやiPad、MacBookAirの記憶装置として使用されています。そしてこの技術によってデバイスの軽量化、薄型化に成功しています。Tech CrunchによればAppleがAnobitを買収したのは、前述したようにフラッシュメモリー技術がAppleにとって重要であること、そしてもう一つはAnobitの抱えるチップエンジニアを擁したいという目的のためだとしています。

Appleの今後の展開予想

2011年にCEOがスティーブ・ジョブズからティム・クックに代わり、Appleの戦略も変わってきました。「iPhone」「iPad」「Apple TV」「Mac」などのAppleデバイスとAppleのOSでのみ動作するアプリを今後も開発し、デバイス間の連携も強めていくでしょう。これこそAppleが自前主義と言われる所以です。

また、9月9日に発表されるiPhone6に搭載されるiOS8では、ヘルスケアアプリが新しく追加されるようです。健康管理系アプリは、ウェアラブルデバイスとの相性が非常に良く、例えばスマートウォッチで毎日の脈拍を図り記録し、その情報を元により良い生活のためのアドバイスをくれたりするでしょう。Appleは自社製品が人々の生活の中に自然に入り込んでいくようにし、Apple製品での囲い込みを進めるはずです。

3. Facebookの買収企業

そしてモバイル部門を強化しているFacebookです。

▼【Facebook】事業ジャンルごとの買収企業数
フェイスブック Facebook買収企業

(wikipediaを参考に筆者作成)

Facebookは2012年に上場していますが、その前後での買収数が非常に増加していて、2009年以前はほとんど買収を行っていません。自社に必要な技術を見つけると、素早く買収するのがFacebookの買収スタイルの特徴と言えます。

Facebookはモバイル・ソーシャルアプリ分野を拡大

上のグラフから、Facebookはここ数年でモバイル分野の企業を多く買収していることがわかります。Investor Relationsによると、Facebookは2014年3月末の時点で月間アクティブユーザーが12.8億人、そのうちモバイルユーザーは10.1億人です。このパイの大きさを考えれば、モバイル分野でどんどん新しい技術を獲得していくのは筋と言えます。

またソーシャル分野にも力を入れていて、Facebookによる買収額トップにあたるWhatsAppInstagramを買収しています。ハードでは、拡張現実で注目を集めているOculus VRの買収にも成功しました。

それぞれ以下、詳しく見ていきます。

WhatsApp : 190億ドル

WhatsApp ワッツアップ

(http://www.whatsapp.com/?l=ja)

メッセンジャーサービスの中で首位を走るWhatsappは、今年2014年190億ドル(19兆円)という巨額で買収されました。

Facebookが同じく急激に伸びている写真共有メッセンジャーサービスの「Snapchatに、30億ドルもの巨額での買収を断られた」ことも話題になりましたが、Whatsappはその代わりとしての買収なのでしょう。買収後はFacebookとの相乗効果もあるようで、この記事によるとFacebookの力を借りてユーザー数が月に2500万人増加したようです。

Oculus VR : 20億ドル

Oculus Rift

(http://www.oculusvr.com/)

2004年に創業したFacebook史上、2014年3月に発表したOculus VRの買収はこれまで仕掛けてきた賭けの中でも最大クラスのものでしょう。
20億ドル(2000億円)という買収額も去ることながら、Oculusが専門とする「拡張現実」は今最も熱い分野なだけにかなりの注目が集まりました。拡張現実を体感できるデバイスの一般発売が待たれますね(一部開発者向けには配布されています)

Instagram : 10億ドル

Instagram インスタグラム

(http://instagram.com/)

また、3位に入ったInstagram10億ドル(1000億円)での買収でした。こちらも同記事によればFacebookとの相乗効果により、1か月に1000万人ペースで新規ユーザーを獲得したそうです。

Facebookの今後の展開予想

グラフを見ても今後さらにモバイルアプリに注力していくことは明らかですが、最近は一つのアプリに多機能を搭載するのではなく、一アプリ一機能がトレンドになってきています。スマホ自体をプラットフォームとする考え方ですね。
その流れを汲み、Facebookはメッセージ機能を「Messenger」アプリとして独立させることに成功しました。「Facebook」アプリからメッセージを送るときは、自動的に「Messenger」アプリが立ち上がります。

また、20億ドルで買収したOculusの技術を使い、スマートフォンビジネスの次の潮流になると期待される拡張現実分野に乗り込んでいきます。マーク・ザッカーバーグの考えでは、Oculusの方向性として最初は拡張現実と相性の良いゲーム分野に打って出るが、その後Oculusをゲームを含めて様々な拡張現実機能のプラットフォームにしようとしているとのこと。「Facebook」というSNSとどのように絡めていくのかは不明ですが、拡張現実の分野でFacebookが他者をリードしたのは間違いないでしょう。

4. Amazonの買収企業

最後に、メインのECからゲーム事業に出ていこうとしているAmazonです。

▼【Amazon】事業ジャンルごとの買収企業数
アマゾン Amazon買収企業

(CrunchBaseを参考に筆者作成)

Amazonは買収に関して言えば、買収額も買収企業数も低く、他3社と比べて積極的とは言えません。2011年以降ではソフトウェア企業の買収が大きい割合を占めています。それ以前はEC系サービスの買収がメインで行われており、ジャンルは書籍、靴、ベビー用品、高級ブランドと多岐に渡る企業を買収してきました。
これらはAmazonの主たる事業であるECを強化する意味で重要でしたが、昨今の買収状況を見ると、EC系で欲しかったサービスや販路は大方揃ってきているようですね。

Amazonが次に狙うのはゲーム分野の獲得?

以下、最近報じられたAmazonの買収先Twitchについてご紹介しておきましょう。

Twitch : 9.7億ドル

Twitch

(http://www.twitch.tv/)

Twitchとは、一般ユーザーがゲームプレイ動画を無料でライブ配信することのできるサービスです。一部報道では「GoogleがTwitchを10億ドルで買収する」と言われていたこともあり、Amazonによる買収が発表されたときにはネット上が熱を帯びました。
ゲーム実況動画は、既存のゲームユーザーが視聴するだけでなく、そのゲームを欲しいと思っている人が実際のプレイ動画を見ることで購買欲を高めることもあり、近年非常に伸びている分野です。

任天堂も以下、Youtubeでの動画掲載を公式に許諾するツイートをしていました。


Amazonの今後の展開予想

Amazonは今年2014年にDouble Helix Gamesというゲーム開発スタジオを買収しています。最近発表されたゲーム実況配信のTwitch買収とあわせて、Amazonがゲーム市場に本格的に参入する準備は整いました。

     Amazonは声明で、「Amazonは、顧客向けに革新的なゲームを構築することを目指した継続中の取り組みの一環として、Double Helix Gamesを買収した」と述べた。

Amazonは2014年4月に「Apple TV」のようなスマートTVの「Amazon Fire TV」を発売しています。このデバイスでは、音声検索ができたり、Amazon Game Studiosのゲームをダウンロードして遊ぶことができます。

また、先日Amazon初のスマートフォンである「Fire Phone」を発表しました。こちらはGoogle製のアプリが使えなかったり、機能面で他スマホに劣るとして、現段階ではあまり好評ではないですが、今後「Fire TV」でのミラーリングなどが望めるしょう。スマートTV、タブレット、スマートフォンとデバイス面でようやく出揃ったAmazonが、ゲーム事業を武器にAppleと全面対決していくことになりそうです。

その他では、Googleも取り組んでいるドローン(小型無人飛行機)の分野があげられます。Amazonとしては、ゲーム分野はまだ取り組み始めたばかりですが、主力事業のECではドローンを取り入れることで、配送業者を必要としなくなったり更に早く届いたりなど大きなイノベーションが起こることになるでしょう。

最後に

いかがでしたでしょうか。

冒頭で挙げたAmazonによるTwitchの買収額の9.7億ドルは、InstagramがFacebookに買収された時の金額(10億ドル)に近いことがわかりました。もちろん一概に買収額で価値を判断することはできませんが、一つの指標として考えることはできそうです。Twitchの買収額がInstagramとほとんど同額と考えると、Amazonのゲーム事業への参入は生半可な気持ちではないということが推測できます。

今回は買収額とその企業を中心に取り上げましたが、買収後にどのように活かされていくのかについても注目していこうと思います。
最後までご覧頂きありがとうございました!

以上、『Google、Apple、Facebook、Amazonの買収戦略から見える現在と未来』でした。


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