2014年最大のトレンド・バイラルメディアのすべて。今話題のバイラルメディアを徹底分析【前編】
2014/07/29
2013年から今年にかけてウェブ業界のトレンドになりつつあるバイラルメディア。
その言葉は聞いたことがあっても、いったいどんなメディアなのか知らない方も案外多いのではないでしょうか?
そこで今回は、前後編に分けて「バイラルメディアとは何か?」から今後の展望について解説していきます。前編となる今回は、バイラルメディアの概要と代表的なサイトについて紹介します。
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- ■目次
バイラルメディアの基本知識と事例紹介
1. そもそもバイラルメディアってなに?
2. バイラルメディアの紹介(国内)
3. バイラルメディアの紹介(海外)
1. そもそもバイラルメディアってなに??
バイラルメディアのバイラルとは、「ウィルス性の」という意味があります。
画像や動画などのコンテンツをシンプルな紹介分とともに掲載し、FacebookやX(Twitter)などのソーシャルメディアを利用して、まさにウィルスに感染したかのように爆発的なトラフィックを産み出すメディアのことをバイラルメディアと呼んでいます。
言葉だけではわかりにくいので、実際のバイラルメディアを見ていただきましょう。
例) 笑うメディア CuRAZY(キュレイジ―)
CuRAZYは「笑い」に特化した画像や動画をキュレーション(収集)しているバイラルメディア。
サイト構成は非常にシンプルで、キュレーション記事のタイトルをクリックした後は対象の画像や動画が羅列してあり、それぞれにキャッチコピーがつけられているだけ。なかにはコピーすらついていないものもあります。大体そういうのは見ればわかるものだったりしますが。
目立つソーシャルボタンが基本
そしてサイトの目立つところに大きなソーシャルボタンがついているのが特徴です。
FacebookやX(Twitter)、はてなブックマークが定番ですが、サイトによってはPinterestやLINEなども用意されていますね。その中でもFacebookの比重がかなり高いとされています。※理由は後編で解説します。
流入のメインはソーシャルメディア上での拡散
バイラルメディアが他のメディアと一番違うのは、SEO(Search Engine Organizer)による検索流入を主軸に置いていないことでしょう。
天下のGoogle検索を使わずにどうやってサイトにアクセスを集めるのか?答えは「ソーシャルメディア上での拡散」なんです。バイラルメディアはソーシャルメディアあってこその仕組みなんですね。
人の感情を揺さぶるコンテンツがシェアされる
しかし、短期間で爆発的なトラフィックを集めるためには、共感を呼ぶコンテンツをキュレーションしなければなりません。思わずシェアしたくなるようなコンテンツとはどんなものでしょうか?
例えば「人の感情を揺さぶるもの」はシェアされやすい傾向にあります。泣く、怒る、癒される、驚く、そして笑う。
「コンセプトが何か」をはっきりさせる
バイラルメディアによって何を重視しているかは違いますが、「コンセプトが何か」は非常に重要です。
そのメディアが何をキュレーションしているのか、タイトルやデザインですぐにわかるようにしておくのが共感⇒シェアの流れをスムーズにしてくれるでしょう。
前述したCuRAZYのコンセプトは「笑うメディア」。これ以上ないくらいにわかりやすいコンセプトですね。
2. バイラルメディアの紹介(国内)
バイラルメディアについての基本的な説明が終わったところで、代表的なメディアをいくつか紹介しておきましょう。国内のバイラルメディアランキングは公開されていないようですので、以下の記事ランキングで上位に入っているものから2つほど抜き出しました。
What’s
「驚く・なごむ・刺さる・笑う」という4つのカテゴリーに分かれています。未知のコンテンツを届けるというコンセプトのようですね。
運営は株式会社スタートアウツ。ホームページにはWhat’sのことしか書いていないので、ほかにどういったサービスを展開しているのかはよくわかりませんね・・・。
feely
「泣ける・癒される・笑える・考える・驚く」という5つのカテゴリー。キャッチコピーは「心が動く、瞬間を。」
運営元は不明ですが、クリエイターのための情報発信メディア「creive」などをつくっているところのようです。
Spotlight
トレンド、エンタメ・カルチャー、ライフ・社会、芸能人ブログなどの6カテゴリー。キャッチコピーは「人々の心を動かすコンテンツを発掘するWebメディア」。
運営元は株式会社サイバーエージェント。
3. バイラルメディアの紹介(海外)
海外編といっても、元々バイラルメディアは米国生まれ。それだけに主戦場は米国にあります。その中でもトップをひた走る2つのメディアについてご紹介しておきましょう。
BuzzFeed
バイラルメディアの基礎をつくったと言われているBuzzFeed。
設立は古く、2006年にハフィントンポストの共同創業者であるJonah Peretti(ジョナ・ペレッティ)氏が参画して設立されました。月間1億ユニークユーザーというとんでもない数字を叩き出していることからも、その影響力の強さがわかることでしょう。
膨大な量と質のコンテンツストック!
ニュース・エンターテインメント・ライフなどのカテゴリに分けられ、そこからさらにカテゴリ分けされていることから、膨大なコンテンツストックがあります。さすがは8年間更新し続けていただけありますね。また、前述したCuRAZYやWhat’sのように画像や動画を貼りつけて終わりというわけではなく、それなりに長い文章が加えられています。コンテンツとしての質は日本のバイラルメディアよりも高いのではないでしょうか。
主な収入源は「ネイティブ広告」
また、BuzzFeedの最大の特徴はそのビジネスモデルにあります。
ネットメディアにはほぼ間違いなくバナー広告が掲載されており、膨大なトラフィックを元に広告収入を得るのがデフォルトなのですが、BuzzFeedのサイトにはバナー広告が一切ないんですね。ではどうやって収益を出しているのかというと、ネイティブ広告という手法を使って稼いでいます。
■ネイティブ広告とは?
ウェブサイト・ブログ・SNSなどのプラットホーム上に、コンテンツ記事とと同じに見えるよう配置された記事型広告のこと。FacebookやX(Twitter)のスポンサー広告もこの中に含まれます。
従来の広告のようにコンテンツと全く関係のないものではなく、そのサイトテーマや文脈・読者の興味を汲んだ記事を広告として表示するため、読者は比較的違和感や抵抗感なく触れることができます。コンテンツとしての質も高い傾向にあり、ただウザったいだけの広告とは一線を画す新しい広告の形態として近年話題になっています。
とはいうものの企業広告であることは間違いないので、コンテンツと広告の違いをわかりにくくすることの是非については議論が分かれています。当ブログでもネイティブ広告については今後記事にしていく予定です。
Upworthy
アップワーシーと読みます。
2012年にリリースされたまだ新しいバイラルメディアなのですが、最高で1億ユニークユーザーを突破したこともある化け物メディアです。といっても今は3500万PVにまで落ち込んでいるようですが。
リベラル系ニュースのバイラルメディア
Upworthyはリベラル系ニュースメディアとして成り立っており、同性愛や貧困問題などの社会的意義の高い記事を取り扱っています。
基本的にはキュレーターが、すでにウェブ上にある画像や動画にタイトルやコピーをつけて紹介するというモデルですね。こういった固い記事がバイラルするというのは非常に興味深い現象だと思います。
ひとつの記事に25種類のタイトル案を出させる仕組み
また、Upworthyの最大の特徴は、ひとつの記事に対してスタッフひとりで25種類のタイトルを考えさせているところ。
前述したとおり、バイラルメディアは検索エンジン経由ではなく、ソーシャルメディアによる拡散流入がメインのメディア。いかなる単語で検索されるかを考えるのではなく、日々流れていくタイムラインで、いかに目にとまるようなタイトルをつけられるかが何よりも重要になってきます。
大きなソーシャルボタンの元祖
ちなみに、大きなソーシャルボタンを使い始めたのはUpworthyだと言われています。今では一般的になってしまいましたが、Upworthyの最大の功績はこれかもしれません。
前半のまとめ
いかがでしたでしょうか。
前編となる今回は、バイラルメディアの概要から国内外の事例を紹介させていただきました。
バイラルメディアという名前を知っていた方は多いと思いますが、具体的にどんな仕組みのメディアなのかは知らなかった人も多いのではないでしょうか?2013年から今年にかけて話題となっているバイラルメディアはまさに今が旬!国内ではすでに飽和状態になっており、今後は弱小バイラルメディアの淘汰が予測されています。
それを踏まえた後半では、バイラルメディアの歴史を振り返り、バイラルメディアが今後どのように変化を遂げていくかについてまとめていきます。楽しみにしていただければ幸いです。
※後編:変容するバイラルメディアのかたち~生き残るバイラルメディアの条件【後編】
以上、『2014年最大のトレンド・バイラルメディアのすべて。今話題のバイラルメディアを徹底分析【前編】』でした。
この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部