LINEが発表した運用型広告により企業のマーケティングはどう変化するのか
2016/04/14
全世界での月間アクティブユーザー数が約2億1,500万人を超え、日本を中心にタイ、台湾、インドネシアなど急速にユーザーを拡大し続けるコミュニケーションアプリ「LINE」。
そのLINEが2016年6月23日にサービス開始から5年を迎えるにあたり、サービスを通して次の5年、10年でどのように人と社会を繋ぎ、豊かにしていくのか示したイベント「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」について紹介していきます。
また今後、広告領域においてLINEが、店舗のクーポンをフックにユーザーに対してレコメンド・集客を図るような機能を発表するなど、大きな変化をしつつあるため、そちらについても探っていきます。
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- ■目次
1. 「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」で示したLINEのこれから
2. LINEがスタートする「運用型広告」の現状
3. LINEの運用型広告により、何が変わるのか
4. まとめ
1.「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」で示したLINEのこれから
約5年で15兆ものメッセージがやり取りされてきたLINEですが、5年の間でニュースサイト「LINE NEWS」やライブ配信プラットフォーム「LINE LIVE」などさまざまなサービスをリリースしてきました。
そのLINEが今回のイベントを通し、新コーポレートミッション「Closing the distance」を掲げました。
もともと2011年の東日本大震災の際に、「電話が繋がりにくい中でも、大切な人と連絡を取れるサービスが必要」という想いのもと、スタートした同サービスですが、これからは、ユーザー同士はもちろんのこと、ユーザーと企業やサービスとの距離を縮め、コミュニケーションを起点にしたスマートフォンを軸にポータル化を進めていきます。
ユーザーと企業をつなぐ、新しい施策とは
では、具体的にどういったサービスや機能を通して、ユーザーと企業を繋いでいくのか。
ショップカード
まずLINEが発表したのは、「ショップカード」(対象国:日本、台湾、タイ、インドネシア)という機能です。こちらは、LINEアプリ内でお気に入りのお店のポイントやスタンプカードを集めて、必要な時に利用できる機能になります。この機能は以前からありましたが、より探しやすくなりました。
お店はリスト形式で表示されるため、ユーザーに対しては現在地周辺にあるお店をそのリストから探させ、ポイントやスタンプをフックに集客を促すことが可能になります。
Coupon Book
次に「Coupon Book(対象国:全世界)」については、ユーザーが各企業・店舗のアカウントから配信されているクーポンをLINEアプリ上で一元管理できるようになる機能になります。
これにより、アカウントを友達追加しているユーザーに対して、有効期限が迫っているものから順に表示させながらも、周辺、人気など、一人ひとりの好みに合わせたオススメクーポンを表示させることができます。
コマース
最後に「コマース」(対象国:日本)については、LINE@アカウント上で月額システム利用料無料で、販売・決済手数料4.98%のみでネットショップが持てる機能になります。
そして、本機能のメリットは、ユーザーが毎回各ショップにログインや会員登録することなく利用できるため、通常のECサイトに比べ高い購入率が期待できます。
以上のようなサービス・機能を発表したLINE。その意図はどういったものなのでしょうか。
2. LINEがスタートする「運用型広告」の現状
LINEが今回の発表を通して伝えたかったことは、ビジネスプラットフォームのオープン化です。
これまでLINEのみならず世の中のさまざまなサービスを通して、企業が広告展開をする場合、企業からユーザーへの一方通行な広告であったり、ユーザーの属性にカスタマイズされることなく情報発信がなされていました。
しかし、昨今、趣味や興味が細分化し、行動や心理も”個人”重視になりつつあるなかで、従来のやり方が通用しなくなってきました。
そうしたなかでLINEは、ビジネスプラットフォームの拡張をし、個人に最適化し、どんな企業でも広告を出せるよう、進化しようとしています。
まず、最適化を図るためにLINEは、「LINE NEWS」「LINE MUSIC」「LINEマンガ」などのLINE関連サービス利用履歴や友達追加している企業ブランドやセレブリティなどの公式アカウントの情報、スタンプの購買情報による感情の強度などを参考にしてデータ分析をします。
ただし、このデータ分析を行う上で、ユーザーのトーク内容や電話番号、メールアドレスやアドレス帳といった個人情報は、データに含まれません。
そしてそのデータをもとにLINEは、子会社でネイティブ広告プラットフォームを提供するM.T.Burn社との連携を通して、運用型広告を2016年6月からスタートさせます。
6月スタート以降は、順次LINEアプリ内「その他」タブや「LINE NEWS」「LINE GAME」などのLINE周辺サービスに配信枠が拡大していく予定になっています。
ここで広告主がターゲティングを行う上でFacebookやX(Twitter)と大きく異なる点は「感情の強度」です。「ユーザーが何を好きか」「どういう行動をするか」といったデータをもとにしたターゲティングは各媒体ともできるものの、企業側の発信に対してどういった反応をしたのか、ひいてはその行動はどういった感情をもとにしたのかまでをLINEは分析することができます。
こうしたLINEの動きにより、ビジネス事業者はどういったメリットを受けるのでしょうか。
3. LINEの運用型広告により、何が変わるのか
LINEが今後押し進めていく運用型広告は、同社の「B2Cのあらゆるコミュニケーションを、LINEでワンストップに可能に」という思いのもと、展開されていきます。
そうした中で、今回発表した機能は多くの事業者にとって非常に有益なものになるのではないかと予想されています。
まず、飲食業界やアパレル業界、美容業界やエンタメ業界など、低単価で消費するような業界はもちろんありつつも、金融業界や不動産業界、ジュエリー業界、自動車業界などの高単価商品を販売する業界も恩恵を受けるのではないかと思われます。
というのも、高単価商品の場合、ユーザー自身の商品購入機会、商品と接触する機会がそもそも少ないため、何かを選択する際に多大な時間とコストを掛けて行動に移す必要があります。
また、ユーザー自身がそうした状況のため、企業側もユーザーに対して商品を打ち出す際に最適化できず、テレビや雑誌、看板広告などの多くの人の目に触れ、インプレッション数の大きいところで展開する他ありませんでした。
しかし、携帯という日常生活に欠かせないデバイスを軸に、その中でも多くのユーザーに利用されているアプリ「LINE」の膨大なデータを活用することで、コストの最適化を図ることができるのではないでしょうか。
そして、LINEが運用型広告を展開していくに当たり、DMPサービスの補完もしくは代替サービスとなる可能性があります。
それは、これまで広告主がDMPを活用して広告出稿する際に、購買データや会員情報などの自社データとオーディエンスデータなどの外部データの2つを用いて行っていました。
しかし、今回LINEの展開する運用型広告により、自社データの部分に関しては、LINE内で展開が始まるショップ機能や会員情報を、外部データの部分に関しては、LINEにあるさまざまなサービスの利用履歴や友達追加しているブランドとの距離感などの情報活用することができ、これまでのDMPサービスを内包できるのではないかと目されています。
さらに、そうしたユーザーに最適化された広告が提供され始めることで、ユーザーにとっては鬱陶しい広告だったものが、コンテンツとして消費され、ユーザーを興味関心層からファン層への態度変容を起こしやすくなるのではないでしょうか。
4. まとめ
コミュニケーションアプリとして躍進してきたLINEは、これまでユーザー課金メインにサービス展開をしていました。
そうした中で、LINEユーザーに対してプロモーションをしようと考える、企業のニーズに答えることがあまりできていませんでした。
その状況から一歩抜け出すかのような「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」での発表は、今後大企業のみならず中小企業も含めた、データ分析を基にしたプロモーションプラットフォームとして活用されるだけではなく、コマースやクーポンの機能でより”行動に繋がる”サービスになっていくのではないでしょうか。
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