作家さんを後押ししたい。ハンドメイドマーケットminneが思い描くInstagramの活用

2018/08/09

イヤリングや小物、家具まで、作家さん手作りの作品を売り買いできる国内最大のハンドメイドマーケットが「minne(ミンネ)」です。

作家さんの多くは個人のSNS、とりわけInstagramで自分たちの作品情報を発信しており、そこでのファンづくりが売上に繋がっているなど、minneとInstagramは非常に相性のよいサービスだと言えます。

先日発表されたInstagramの「ショッピング機能」の日本での導入、そしてminneからは作家向けのサポートツールが公開されました。今回minneでは今後どのようにInstagramを活用していくのか、お話をお伺いしてきました。

Interview / ソーシャルメディアラボ編集長 小東真人(gxsoc_kohigashi
Text & Photo / ソーシャルメディアラボ編集部 大木一真(@whiskyjunky

    ■目次

  1. プロフィール
  2. 作家さんと作品を世の中に広めていく。minneのInstagram活用方法とは
  3. 公式アカウントよりも、作家さんの個人アカウントを広めたい
  4. minneのストーリーズでの可能性。動画でオフラインからの送客
  5. 最後に

1. プロフィール

GMOペパボ株式会社 minne事業部 部長 阿部雅幸 氏

同社 社長室 マーケティング統括チーム 池田あずさ 氏

2. 作家さんと作品を世の中に広めていく。minneのInstagram活用方法とは

小東:まずデジタルマーケティング施策上でのInstagramの位置づけを教えてください。

阿部雅幸氏(以下、敬称略):minneというサービスはハンドメイドマーケットとして作家さんの作品を世の中にどんどん広めていくことを目的としてスタートしました。

より広く作家さんと作家さんの作品を知っていただくためには、ソーシャルメディアを活用し、まだminneのことを知らない人にも届くような展開をしていきたい。そのための1つの手段としてInstagramの活用を始めました。

なので、アプリのダウンロード促進のためというより、作家さんの作品をminneのアカウントでご紹介させていただいて、より多くの方にその作品が届くような投稿を心がけています。2015年1月からInstagramを運用していますが、そのスタンスは変わりません。

小東:7月現在でフォロワーが13万人います。どのように増えていったのでしょうか。

池田あずさ氏(以下、敬称略): minneの場合は、マーケットで販売されている作家さんがminneのタグを付けて投稿してくださっています。作家の皆さんがいわば「インフルエンサー」として、minneのアカウントを発信してくださったことが大きかったと思っています。

小東: そうなんですね。minneのInstagramアカウントをフォローしている人は、どういった方が多いでしょうか。その後、アプリから作品を購入してくれる人はどれくらいいらっしゃいますか?

池田:minneのアカウントから発信している内容がリーチしているのは、9割以上が既にアカウントをフォローしている「minneのことを知っている」ユーザーです。この数字から、Instagramを通じてminneの作品に出会っていただいているユーザー、新規のユーザーがちょっとまだ少ないなと感じています。

やはり、minneのInstagramを見ていただいているユーザーはファンとしてminneのことを知っていて、何か機会があれば買おうと考えている、もしくは既にヘビーに使っていただいている方が多いと考えています。

3. 公式アカウントよりも、作家さんの個人アカウントを広めたい

小東:2018年6月からInstagramの「ショッピング機能」が日本にも導入されました。minneとして、どのような活用法を考えているのでしょうか。

阿部:「ショッピング機能」が導入されたことによって、より作家さんを巻き込んだアカウントの運用ができると考えています。化粧品やファッションなど、一般的な企業のブランドのアカウントであれば、Instagramの投稿を自社で行い、自社のサイトへ流入させるために投稿にタグ付けを行うと思います。

一方、minneはハンドメイドマーケットのプラットフォームです。自社アカウントだけでなく、minneの作家さんご自身にInstagramを活用していただくことで、作品の広がりを最大化していきたいと考えています。単純にminneのアカウントだけで発信していこうとすると、小さい広がりにしかならずリーチも限られてしまいます。

そこで今回の「ショッピング機能」の開始に合わせて、作家さんに簡単にご利用いただけるサポートツールを、minneから提供することにしました。そうすることで、作家さんご自身が自分のアカウントで投稿している作品にショッピングステッカーを付けることができ、minneのアカウント単体で運用しているよりももっと作家さんたちの世界が広がっていくと考えています。

小東:作家さん自身がショッピング機能を活用することで、自分たちのフォロワーに直接届けられるんですね。

阿部:もちろん売上は上がれば上がるだけよいのですが、ほかのECと違い、ハンドメイドを扱っているので在庫が少ないものが多いです。ですので、公式アカウントで紹介した作品の売上を私達はKPIとしては重視していません。

minneがショッピング機能を使うことで、いろんな作家さんにこのショッピング機能を私も使いたい、と思ってもらえるか。また作家さんの発信する内容をどうブラッシュアップしていくか、そこに重点を置いて戦略を考えています。例えばマニュアルを用意したり、トークイベントや勉強会の開催を予定していたりします。

4. minneのストーリーズでの可能性。動画でオフラインからの送客

小東:作家さんはどのくらいの方が「ショッピング機能」を活用されているのでしょうか。

池田:ツールの導入登録をした方が今5000人ほど。作家さんが現在45万人いるので、まだまだ伸びる余地があります。

小東:ストーリーズにもショッピング機能がテストされるとお伺いしました。minneではどのように活用していくイメージなのでしょうか。

阿部:Instagramの良さは自分の世界観をダイレクトに伝えることができるところだと思います。単純な作品紹介ではなく、その背景にある物作りのお話や作品を生活に取り入れることで毎日が少し豊かになりますよというイメージを伝えられればと。

minneも動画でそうした作品の良さを伝えるということは必要だとは感じていましたが、なかなかチャレンジできていなかった部分です。

池田:1つ可能性のあるやり方として、リアルのイベントをネットへ送客する活用法です。作家さんのなかには「いまイベントに出展しています!」という動画をストーリーズで上げられる方が多いんです。しかしリアルのイベントに集中しているので、minneやWebショップをお休みしてしまう方もいらっしゃいます。それって機会損失なんです。

消費者の目線としても、イベントで興味をもったけど結局買わずに家に帰ってしまい、あとからあの作家さんの作品を買っておけばよかった!と後悔してしまうことがありますよね。

minneやWebショップをオープン状態にした上で、Instagramのストーリーズで発信し、イベントで売っていたものもネットでも販売していますよ、としっかりお客さんに伝えてあげればそうした機会損失も減るのではないかと思っています。

5. 最後に

小東:最後に今後の展望をお聞かせください。

阿部:ショッピング機能は、Instagramの中のあくまで一つの機能です。ストーリーズやフィード、ライブや、もちろん広告機能など様々な機能を組み合わせて使っていただきたいなと思っています。

minneとしては作家さんの作品がより広がっていく後押しをしていきたい、そこが一番ポイントです。そのために今後も積極的に勉強会の開催や機能の改善などの施策を続けていく予定です。

小東:ありがとうございました。

 

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この記事を書いた人:小東真人

ソーシャルメディアラボ編集長。地方や中小ビジネス向けセミナーなどを担当。
17年ガイアックス入社のデジタルネイティブ世代。靴磨きが大好きで、休日はInstagramで関連アカウントばかり見ている。

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