企業のトップ達たちに学ぶ!「個人の時代」に役立つX(Twitter)活用術
2018/10/22
SNSによって、個人の発信力が増しつつあります。なかでもX(Twitter)は、その気軽さ・便利さから広く活用されています。では、「企業の顔」とも言える代表取締役や経営陣たちは、X(Twitter)をどのように利用しているのでしょうか。今回は、特徴的な使い方をしている人たちを紹介します。
以前からX(Twitter)は、企業や団体の広報・Webマーケティングの一環として、主に広報・宣伝をする目的で活用されてきました。しかし最近ではそういった活用方法に限らず、企業のトップ自らがX(Twitter)上で採用活動を行うなどの事例もみられるようになっています。
そこで、X(Twitter)の使い方が特徴的な企業のトップ達のアカウントをピックアップしてみました(フォロワー数は10月1日の数字、投稿頻度は9月下旬の数字を参照しています)。活用時の注意点なども紹介するので、参考にしてみてください。
- ◼︎目次
- 株式会社ZOZO:田端信太郎氏
- dely株式会社:堀江裕介氏
- 株式会社V・ファーレン長崎:高田明氏
- 株式会社ビームスホールディングス:設楽洋氏
- 岩下食品株式会社:岩下和了氏
- 注意点
- まとめ
株式会社ZOZO:田端信太郎氏
株式会社ZOZOについて
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営していることでよく知られている企業(2018年10月1日にスタートトゥデイ株式会社から社名変更)です。
代表取締役の前澤友作氏は日本有数のアートコレクターでもあり、最近では民間月旅行に乗客として参加すると発表されるなど、日々メディアで取り上げられています。
田端信太郎氏
リクルートやライブドアなどでメディア運営、さらにLINEの上級執行役員を経て、2018年3月にスタートトゥデイ(現:ZOZO)のコミュニケーションデザイン室 室長に就任。個人のX(Twitter)で、時事問題やエンタメニュースに意見を添えて精力的に発信している。同年6月に「過労死は自己責任」とツイートして炎上するなど、時に過激とも取られる発言で話題になることも多い。
- フォロワー数:170,050
- アカウント:@tabbata
- 直近のツイート数:40~140ツイート/日
利用法①:トップ画と著書を連動させて相乗効果を得る
田端氏は、自身の著書のタイトル『ブランド人になれ!社会の奴隷解放宣言』(NewsPicks Books)の表紙ビジュアルをトップ画に使用し、アカウント名に著書タイトルを入れることによって、著書をPRしています(現在、アカウント名は「田端@田端大学学長である」に変更されています)。
ちなみに、自身の著書の表紙画像をトップ画に使用しているアカウントはほかにもあります。
箕輪厚介氏
幻冬舎の編集者で、『多動力』(堀江貴文著)などのヒット作を連発。会社員でありながら強い影響力をもつ。
https://twitter.com/minowanowa
キンコン西野氏(西野亮廣氏)
お笑い芸人キングコングとしての活動にとどまらず、絵本作家としても認知され、海外でも個展を行なっている。
https://twitter.com/nishinoakihiro
さらに田端氏は、著書に関するツイートを積極的にリツイートして拡散を促しています。
話題沸騰、田端信太郎 の「ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言」 Kindle版が発売開始しました。> https://t.co/NjCkPmW1dN
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年7月4日
会社の名前で仕事をするな、自分の名前で仕事をしろ。次元を超えたウルトラサラリーマン、田端信太郎 著『ブランド人になれ!』第五章〜第七章(完結)#ブランド人になれ #箕輪編集室 #熱血書評 #会社の奴隷解放宣言
https://t.co/tPnjDSjbua— 春木ミチヒロ (@haruki_writer) 2018年7月7日
自身が社会に訴えたいことを詰め込んだ「著書」と、思ったこと瞬時に発信できる「X(Twitter)」を、表紙のビジュアルや書名と連動。それによって得られる相乗効果で、自身の影響力を高めています。読者のツイートを積極的にリツイートすることで、著書のPR効果もアップできます。
このようにX(Twitter)は、「販促活動の場」としても活用することができます。
利用法②:時事問題に自分の意見を添えて投稿
超ウルトラ・スーパー激しく同意!!!VERY編集部の人がドン引きするほどのVERYヲチャーの私が断言します。>「世間を知りたければ、ビジネス書よりもこれを読め!」ということで、VERY読書会をやります! #店舗メディア|最所あさみ|note(ノート) https://t.co/cYJERlkd4b
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年9月12日
なんじゃこれ。とりあえず「孫正義に言うたったで!!」的なピンポンダッシュみたいな批判のための批判やんか。>孫正義に「無責任だ」というNHK「マネー・ワールド」の論調に違和感 – 俺の遺言を聴いてほしい https://t.co/AKgZKn9VoU
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月9日
批判や炎上を恐れず、歯に衣着せぬツイートを連発し続けている田端氏は、本音で勝負するキャラクターとして認知されています。そんな田端氏のマインドに共感しているフォロワーにとって、田端氏が反応した時事問題などは、強く興味をひかれるものとなります。
田端氏のようにインパクトのあるツイートをすると、X(Twitter)上で議論が巻き起こるので、「議論を展開させて新しいアイデアを生む場」としても活用できるかもしれません。
dely株式会社:堀江裕介氏
dely株式会社について
レシピ動画サービス「kurashiru(クラシル)」などを展開する企業です。2018年7月11日、ヤフーによる連結子会社化されたことでも話題になりました。
堀江裕介氏
https://twitter.com/santamariahori
dely株式会社の代表取締役。2014年4月、慶應義塾大学在学中に同社を創業。フードデリバリー事業をスタートさせるも撤退し、女性向けキュレーションメディア「クラシル」の運営へと事業転換を図り、その後レシピ動画に特化したメディアへとリニューアル。サービス開始から約2年で、1,200万のアプリダウンロード数を突破させた。
- アカウント:@santamariaHORI
- フォロワー数:35,708
- 直近のツイート数:4~5ツイート/日
利用法①:自分のアカウントで採用活動している
kurashiruを運営するdelyの経営陣or社長と最初からお茶や面接ができるかもしれない応募フォームです。
少しでも気になる方がいらっしゃれば是非ご応募ください。世界で戦うベンチャーを目指し一緒にオールスター作りましょう!https://t.co/ySFKtvg2cR— Yusuke Horie/堀江裕介 (@santamariaHORI) 2017年6月8日
X(Twitter)を人材獲得の場として活用している事例です。そのツイートを固定することで、訪れたユーザーの目に触れやすくしている点もポイントです。
経営者である堀江氏が自ら「一緒に働いてくれる仲間を求めている」と発信し、経営陣または堀江氏とお茶や面談ができるかもしれない「応募フォーム」に飛ぶように設定して、気軽に応募できるようにしています。
経営者個人のX(Twitter)上で採用活動をすれば、その企業や経営者に共感している人にターゲットを絞って呼びかけることができるので、採用にかける手間やコストを省けるだけでなく、雇用のミスマッチを軽減できるというメリットがあります。
利用法②:自分の考えやこれまでのノウハウを積極的に発信している
採用する時、社内のメンバーの評価の時僕が当てはめる人材レベルの段階
1.誰も成し遂げたことのない創造性がある仕事を作り実行できる
2.人の仕事を作り、ワークさせることができる人
3.自分の仕事を作ることが出来る人
4.任された仕事は出来る人
5.任された仕事もできない人
— Yusuke Horie/堀江裕介 (@santamariaHORI) 2018年8月8日
経営者に必要な能力
・マーケット見極め能力
・マーケットが抱えているイシューに対して革新的なプロダクトで解決する力
・優秀なメンバーを口説く力
・資金調達能力
・マーケティングセンス
・ビジョナリーさ
・人を惹きつける人間味
・何よりもいじられ耐性— Yusuke Horie/堀江裕介 (@santamariaHORI) 2018年8月22日
箇条書きなどを使って、140字という文字数制限があるなかで自身の考えを簡潔にまとめています。ユーザーとしても理解しやすい表現でしょう。その一方で、自分の考えをツイートするときには、長い文章で書いていることもあります。
伝える内容によってツイートのスタイルを変えていることがわかります。
株式会社V・ファーレン長崎:高田明氏
株式会社V・ファーレン長崎について
テレビショッピングでおなじみのジャパネットホールディングスのグループ企業です。長崎県諫早市を拠点とするJリーグのクラブチーム「V・ファーレン長崎」の運営、競技の興行、選手のマネジメントを行っています。
高田明氏
ジャパネットたかたの創業者。1990年のラジオショッピングを機にテレビ、紙媒体、インターネットなど通販事業を展開し、2015年に社長を退任。
2017年、倒産寸前だったV・ファーレン長崎の社長に就任し、経営を立て直すとともに同クラブチームのJ1昇格を果たすなど、チームの復活に貢献。
- アカウント:@A_TAKATA
- フォロワー数:47,558
- 直近のツイート数:0〜1ツイート/月
利用法①:「サッカーには夢がある」という文面でツイート
柏レイソルさんおめでとう。でもv ファーレファン.サポーターの皆さんまだ残り10試合もあるんです。今日の結果はまだまだ経過にすぎません。悔しくて悲しくて、でも限りなく監督と選手達にエールを送ります。ホーム31日金曜日のDAZN DAY
諫早のスタジアム応援に来て下さい。 サッカーには夢がある。— 高田 明 (@A_TAKATA) 2018年8月25日
今から長崎へ帰る皆さん、決して落ち込まないで下さい。気持ちの持ち方次第です。次の試合に夢を繋げましょう。次の試合にそして次の次の試合にそして次の次の次の試合に、サッカーの夢を抱きましう。
サッカーには本当に夢がある。— 高田 明 (@A_TAKATA) 2018年8月11日
V・ファーレン長崎が負けたときには、サポーターたちを励ますツイートをして、「サッカーには夢がある」と、熱い言葉で締めくくっています。相手チームへの敬意を示すことも忘れません。そのツイートに、ほかのクラブチームのサポーターたちもポジティブな返信を寄せています。
高田氏のサッカーへの想いや優しさがにじみ出たツイートは、チーム間の垣根を超えて、サッカーファンの心を動かしています。
利用法②:高田社長の人柄がわかる物腰の柔らかい投稿
今回の西日本豪雨そして大阪北部地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。ジャパネット被災地支援、是非皆様の想いを一緒に届けましょう。 https://t.co/XGzIEl4cEQ
— 高田 明 (@A_TAKATA) 2018年7月13日
自然災害が発生したときには被災した人たちへの支援を呼びかけるなどして、自身の発信力を最大限に活用しています。
株式会社ビームスホールディングス:設楽洋氏
株式会社ビームスホールディングス
1976年創業の、輸入およびオリジナルの衣料品や雑貨を販売する人気セレクトショップです。オリジナル商品も展開。最近では新たな価値観やライフスタイルを提案し、若者だけでなく幅広い年齢層の人気を集めています。
設楽洋氏
株式会社ビームスホールディングス代表取締役社長。慶應義塾大学経済学部卒業後、電通勤務の傍らビームス設立に参加。1983年に電通を退社し、1988年より現職。
- アカウント:@TARAcyan3
- フォロワー数:19,813
- 直近のツイート数:2ツイート/日
利用法①:親しみやすさ満載の投稿
サーフィン界のレジェンド、ドジ井坂さん♂️と元マガジンハウスの粕谷先輩が来社❣️
面白い企画をたくさんいただきました‼️#beams #happyoutside #surfin #beachclub #earthsports pic.twitter.com/fz6sgLxEsd
— 設楽洋・タラちゃん3 (@TARAcyan3) 2018年9月10日
BEAMSファミリーデイ❣️☀️
原宿のオフィスを解放して、ビームス社員と家族達が沢山集まりました‼️
子供達も数100人…みんな楽しんでくれた喜びと同時に改めて責任を感じた一日でした!✨
幹事のみんな、ありがとう❗️
出店をやってくれた役員・執行役員のみんな、お疲れ様でした❗️ pic.twitter.com/P3qnu9xQ01— 設楽洋・タラちゃん3 (@TARAcyan3) 2018年9月9日
アイコン、プロフィールの内容、ツイートされている内容のすべてがマッチした、とにかくハッピーな印象を受けるアカウントです。写真から伝わるセンスのよさによって、自社のブランドイメージがアップします。
仕事関係のネタや打ち合わせ報告などをツイートし、宣伝の場としても活用しています。著名人と一緒の写真もたくさん掲載しています。いわゆるセレブリティーであるにもかかわらず気さくな印象を受けるのは、自然体な設楽氏のキャラクターが前面に出ているからではないでしょうか。絵文字を使うことによって、さらに親しみやすさがアップしています。
岩下食品株式会社:岩下和了氏
岩下食品株式会社について
酢漬けを中心とした漬物の販売製造会社です。主力商品は、「い〜わしたの、しんしょうが!」というCMのメロディーでおなじみの「岩下の新生姜」です。
岩下和了氏
岩下食品の社長。2004年に父の後を継ぎ、同社の社長に就任。2015年には、「岩下の新生姜」をモチーフにしたユニークな施設「岩下の新生姜ミュージアム」を創設して話題に。
- アカウント:@shinshoga
- フォロワー数:49,133
- 直近のツイート数:160ツイート以上/日
利用法①:「岩下の〜〜」自社製品の関連ツイートをリサーチして、リツイート
明日、朝から取材なのを忘れていた…わけではないのだけど、逆に、時間取られるから、エゴサ進めておこうと思ってしまった。あと7時間分残った。でもさすがに寝ます。眠い。
— 岩下 和了 (@shinshoga) 2018年9月11日
そういえば、血液検査も腹部エコーも異常なし。半年前少し脂肪肝だったのが消えていた…。血液も中性脂肪が下がっていた…。あの頃と何が違うのか…。
「岩下の新生姜」
これでしょ!最近もポリポリしていたし。おそるべし新生姜…。— 中山さゆり (@magnoliatears) 2018年9月11日
自社の新商品のツイートを固定することで、訪れたユーザーの目につきやすくしています。
消費者の生の声を知りたいという強い思いから、積極的にエゴサーチするだけでなく、リサーチで見つけた自社商品に関するツイートを積極的にリツイートしています。エゴサーチをしていることをネタにしてツイートすることで、オープンな印象を与えています。
利用法②:個人的なツイートも
風邪引きの夕食。とりせん蔵の街店で買ってきた。岩下の新生姜づくし。岩下の新生姜爆弾おにぎりで風邪を吹き飛ばす戦略。岩下の新生姜パインアメ味は、プレーンヨーグルトと一緒に。その漬け汁は、ウィルキンソンの炭酸水割りで。大体オッケー。明日には元気になっているだろう! pic.twitter.com/48Sbw3ltOe
— 岩下 和了 (@shinshoga) 2018年9月8日
今日一日炎天下ぶっ通しでライブ見てられましたから、岩下の新生姜、やっぱり風邪引いた時にいいのかもしれないとつくづく思いました。ショウガすごい。今日もフェス飯、新生姜入りのを頂いて、過ごしましたよ。ご心配おかけしました。ありがとうございました!
— 岩下 和了 (@shinshoga) 2018年9月9日
自分の体調不良に絡めて自社商品の利点をアピールしています。日常生活の一場面としてツイートすることにより、「宣伝」というわざとらしさが薄れ、フォロワーに受け入れられやすくなります。
また、プライベートとパブリックを分けない形で活用し、趣味である音楽に関連する情報もツイートすることで、自身のファンを増やしています。これが、ツイートの拡散につながっているのかもしれません。
注意点
SNSは、もはや公共空間といえるほどに多くの人の目にさらされています。数あるSNSのなかでも匿名性の高いX(Twitter)は、批判・炎上のきっかけになるケースが多いと言われています。
炎上は、「うっかり発言」などの不注意によるものや、乗っ取りによる情報流出など自分の意思と関係のないところから起こるものなど、その始まりはさまざまです。ささいなことが会社に損失を与える大問題に発展し、取り返しのつかない事態に陥ることもあります。アカウントの運用には、くれぐれも注意しましょう。
また炎上する理由は、アカウントの投稿内容だけに限りません。企業のトップが運用しているアカウントは、ユーザーから見ると「会社の顔」。商品やサービスなどで問題が生じたり、その企業の社員が問題を起こしたりした場合に、アカウントがクレームの矛先となってしまうこともあります。そうした事態に備えて、あらかじめ対応策を用意しておくことをおすすめします。
参考記事:
まとめ
今回、紹介した5人の代表取締役や経営陣に共通しているのは、等身大の自分で本音をツイートしているということです。過激なツイートをしている田端氏にしても、それとは真逆に心温まるツイートをしている高田氏にしても、その人らしいキャラクターが発信力を高めているといえるかもしれません。
「企業を背負っている」と考えると、大衆を意識しすぎて批判を避けるツイートになってしまいます。もちろん炎上は避けるべきですが、ユーザーの支持を得るためには、ブレずに「個」としての自分の考えを発信する姿勢が大切です。
また、堀江氏のようにX(Twitter)を採用活動に活用するのもいいでしょう。経営者個人がX(Twitter)で発信する内容は、ブランディングに直結します。経営者と企業のイメージと行動に一貫性があり、ユーザーから信頼と好感を得ることができれば、その企業にマッチする有能な人材を引き寄せることができるのではないでしょうか。