ドコモ、au、ソフトバンク、大手携帯キャリアはSNSをどう活用しているのか?
2019/02/21
SNSの消費者への影響力が高まるに連れて企業のSNS活用が盛んになっており、複数のSNSを効率的に活用している企業も増えています。
今回はドコモ、au、ソフトバンクのモバイル端末キャリア大手3社を例に、複数のSNSアカウントをどう活用しているのかについて見ていきます。
- ■目次
- 調査対象社、調査内容
- 保有しているSNSアカウントの概要
- 投稿コンテンツの内容や頻度とユーザーコミュニケーション
- キャンペーン施策実施状況
- UGCや口コミの発生状況
- まとめ
調査対象社、調査内容
今回、調査対象とするのは、ドコモ、au、ソフトバンクのモバイル端末キャリア大手3社です。この3社がFacebook、X(Twitter)、Instagram、LINE、YouTubeの5つのSNSアカウントをどのように活用しているのか、実際の投稿を見ながら比較していきます。
保有しているSNSアカウントの概要
それでは具体的にそれぞれが運用しているSNSアカウントの概要について見ていきます(すべての数字は2019年2月7日現在のものです)。
ドコモ(docomo)
ドコモの各アカウントへのリンクは次の通りです。
LINE (URLはスマートフォンからのみ遷移可能)
au
auの各アカウントへのリンクは次の通りです。
LINE (URLはスマートフォンからのみ遷移可能)
ソフトバンク(SoftBank)
ソフトバンクの各アカウントへのリンクは次の通りです。
LINE (URLはスマートフォンからのみ遷移可能)
投稿コンテンツの内容や頻度とユーザーコミュニケーション
次に各社の投稿しているコンテンツ内容や頻度、ユーザーとのコミュニケーションをSNS別に見ていきます。
ドコモ(docomo)
更新頻度は週に4~5回で、主な投稿内容は「キャンペーン、企業・店舗情報、LINEスタンプ、商品情報、Webコンテンツ紹介」です。そのなかでも多いのがドコモのキャラクター「ドコモダケ」やポイントのキャラクター「ポインコ」を使った投稿です。人よりもキャラクターを前面に出すことで、ユーザーに少しでも親しみを持ってもらおうという意識が感じられます。コメントに対する返信はしていません。
au
投稿頻度は週に2~3回で、主な投稿内容は「キャンペーン、クイズ、商品情報、CM情報、イベント情報」です。また「#おもいでケータイ」のハッシュタグを使い、過去に発売された商品を紹介するコンテンツもたびたび投稿しています。これらの投稿も含め全般的に問いかけ的な投稿が多く、特にクイズやおもいでケータイへの投稿に対するコメント数は200件を超えているものもあります。ユーザーとの直接的なやりとりはありませんが、クイズの回答をコメント欄に書いていることから、積極的にコミュニケーションをとっている印象を受けます。
ソフトバンク(SoftBank)
ドコモ、auに比べ投稿頻度が高く、基本的に1日1回、週で10~15回の投稿があります。主な内容は「キャンペーン、企業取り組み、商品情報、取材内容、プレゼント情報、CM情報」ですが、そのなかでもプレゼントや取材内容の投稿が多いようです。コメントに対する返信はしていません。
X(Twitter)
ドコモ(docomo)
更新頻度は週に4~5回でFacebookとほぼ同様です。主な投稿内容も「キャンペーン、企業・店舗情報、LINEスタンプ、商品情報、Webコンテンツ紹介」とFacebookと大きな違いはありません。ただし地震発生時の災害用音声お届けサービスや災害伝言板の提供開始のお知らせのような、速報性を生かした投稿はX(Twitter)ならではといえます。また訪日外国人向けの情報を英語で投稿しているのも、公開性の高いX(Twitter)独自のものです。基本的にユーザーとの直接的な会話はほぼありません。
au
投稿頻度は1日に3~6回とかなり高くなっています。主な投稿内容も「X(Twitter)キャンペーン、クイズ、○○の日、日替わりの挨拶、アンケート、イベント情報、au関連ニュース速報」とFacebookよりも多岐にわたっています。またイベントの実況などもあり、X(Twitter)のリアルタイム性を生かした投稿も多いようです。コメント欄でのユーザーとの直接的な会話も多く、コミュニケーションを重視した運用がなされています。
ソフトバンク(SoftBank)
投稿は1日に2~4回とau同様、Facebookよりも高い頻度で投稿されています。主な投稿内容は、「キャンペーン、企業の取り組み、商品情報、取材内容、役立ち情報、CM情報、アンケート」とFacebookとそれほど大きな差はありませんが、ドコモ、auと同様に速報性、リアルタイム性を生かした投稿が多く、決算説明会のライブ配信もしています。また身近な生活情報やキャンペーンをクイズ形式で紹介するなどすることでコミュニケーションを取っています。基本的にユーザーとの直接的な会話はほぼありません。
ドコモ(docomo)
アカウント未開設
au
投稿頻度は週4~5回で、主な投稿内容は「季節のテーマ別フォトジェニックポイントの紹介」です。#置き画倶楽部と#スマホジェニックというハッシュタグを使い、スマートフォンのカメラでおしゃれな写真を撮影するテクニックを紹介しています。また直接的な会話はほとんどありませんが、ユーザーが撮影したおしゃれ画像を投稿に活用しています。おそらく、個別にユーザーに連絡し、使用許可を撮っているのではないでしょうか。
ほかのSNSで投稿しているような宣伝や商品紹介はほとんどないのも特徴の一つです。
ソフトバンク(SoftBank)
投稿頻度は月に1~2回と少なめです。主な投稿内容は「オリジナルタグに沿った風景画像」です。「#ここでもつながるソフトバンク」というハッシュタグを使い、全国の美しい風景と併せて全国各地でソフトバンクが使えることをアピールしています。ユーザーとのコミュニケーションはありませんが、au同様にInstagramの特色に合わせ宣伝色の強い投稿はなく、美しい風景をオリジナルのハッシュタグに載せて投稿しています。
LINE
ドコモ(docomo)
投稿頻度は月に2~3本とそれほど多くはありません。主な投稿内容は「キャンペーン、ポイント情報、製品情報」が中心です。基本的にはFacebookやX(Twitter)に投稿されたものをLINEにも投稿している形ですが、LINEに関してはスマートフォンで閲覧することが前提となるため、スマートフォンアプリやスマートフォンに関連したサービスの紹介が比較的多く投稿されています。
au
投稿頻度は月に2~4本とドコモ同様に少なめです。LINEはホーム画面の投稿よりも友だちとなったユーザーへ直接、情報を発信することが中心となるため、投稿している内容も「新商品、キャンペーン情報、CM情報」といったもので、基本的にはX(Twitter)やFacebookに投稿するコンテンツのなかから、選択してLINEのホームに投稿しています。LINEならではの投稿としては、スマートフォンのサービスに関する情報やLINEポイントプレゼントなどが多いようです。
ソフトバンク(SoftBank)
投稿頻度は日に1~2本と、ドコモやauに比べ非常に高くなっています。投稿内容も「キャンペーン、企業取り組み、商品情報、取材内容、役立ち情報、CM情報」と多岐にわたっていますが、基本的にはFacebook、X(Twitter)、YouTubeなどほかのSNSに投稿しているものが中心です。そのためLINE独自の投稿はありませんが、特にエンゲージが高い投稿は、LINE無料スタンプ配信のお知らせと豆まきに関する投稿です。豆まきはプレゼントやキャンペーンとは関係ありませんが、ほかの投稿に比べ2~3倍のいいねがついています。
YouTube
ドコモ(docomo)
投稿頻度は月により大きく異なります。新しいキャンペーンやCMが始まった時期になると月に10~20本近い動画が投稿されますが、少ない時期では1~3本ほどの時もあるようです。主な投稿内容は「CM動画、企業情報、サービス紹介」です。基本的にはCM動画が多く、短い動画が中心です。コメント機能はオフになっているため、ユーザーとの直接的なコミュニケーションはありません。
au
auもドコモ同様に新しいCMやサービスが始まった時期になると投稿される動画の数が増えますが、平均して週に2~4本の頻度で投稿しています。主な投稿内容は「CM動画、サービス紹介、製品情報、機器の使い方」です。特にスマートフォンや関連商品、サービスの使い方を解説した動画が多く、auユーザーにとっては便利な動画が豊富です。コメント欄は書き込み可能となっているため、CM動画には出演しているファンのかたの書き込みも多く見られますが、auから直接の返信はありません。
ソフトバンク(SoftBank)
ドコモやauと同様に月によってばらつきはありますが、基本的には週2~3回の頻度で動画が投稿されています。ほかのキャリアに比べネットオリジナルの動画が多く、CM動画もテレビで見られるものよりもネットオリジナルのCM動画のほうが多く投稿されています。また、アーティストや映画を紹介する独自の番組や記者会見の動画も見ることができるなど、チャンネル登録者数はほかに比べ少ないものの、動画には力を入れていることがわかります。コメント機能はオフになっているため、ユーザーとの直接的なコミュニケーションはありません。
キャンペーン施策実施状況
続いて、各社のSNSキャンペーンの実施状況を見ていきます。
ドコモ(docomo)
ドコモではSNSによってそれぞれ別のキャンペーンを行うといったことはしていません。しかしキャンペーン自体はさまざまなものがあり、各SNSに投稿されています。
スマートフォン決済である「d払い」の利用設定で、ファミリーマートのコーヒー、先着100万名に無料でプレゼントキャンペーン。キャンペーンサイトからエントリーすることでdポイントが最大50倍になるうえ、豪華賞品が当たるdポイント3rd ANNIVERSARYキャンペーンなどdポイントに絡めたキャンペーンが多く開催されています。
またCMに出演している星野源さんの最新アルバム「POP VIRUS」のオリジナルdポイントカードのプレゼントキャンペーン、そしてそのアルバムを冠した5大ドームツアーの観覧チケットプレゼントなども行われています。
au
auでは特にFacebook限定、X(Twitter)限定と銘打っているわけではありませんが、それぞれ違ったキャンペーンを投稿しています。
機種変更・新規契約でスマートフォンを購入し、auからApple Musicにご加入で6か月間無料になるキャンペーン、CMに出演している浦島太郎、桃太郎、金太郎にちなみ、毎月3日、13日、23日と3のつく日は三太郎の日として、au STAR会員ならさまざまなプレゼントがもらえるキャンペーンなど。
X(Twitter)
上野・御徒町のディスカウントストア「多慶屋」でau WALLETを利用すると、au WALLET ポイントが5倍貯まるキャンペーン、auスマートパスプレミアム会員限定でロッテリアのポテトを格安で購入できるキャンペーン、対象の「Beats」をauオンラインショップで購入すると、販売価格から20%~25% 割引となるキャンペーンなど。
LINE
Facebookでも投稿されている三太郎の日キャンペーンのほか、すでに終わっていますが、友だち追加でLINEポイントが合計550万ポイントもらえるクリスマスキャンペーン、LINE友だち限定のちょっと贅沢なプレゼントが当たるキャンペーンなど。
ソフトバンク (SoftBank)
ソフトバンクもドコモ同様、SNSによって別のキャンペーンといったものはありません。Facebook、X(Twitter)、LINEにそれぞれ投稿されているキャンペーンは、「子育て応援クラブ」ご加入済の方の中から抽選で50名にスタイリストが選ぶ、あなただけのコーディネート 一式が当たるキャンペーン、パーソナルカラダサポート のプレミアムプラン加入で、ランニンググッズや ASICS ランニングラボ体験が当たる、Wプレゼントキャンペーン、ソフトバンクスマートフォンユーザーは毎週金曜日にさまざまなものが無料になるプレミアムフライデーキャンペーンなどのほか、2月5日で終わっていますが、ソフトバンクユーザーはストア内の全品が15%以上戻ってくるYahoo! ショッピングプレミアム会員感謝デーキャンペーンがあります。
UGCや口コミの発生状況
最後にそれぞれのアカウントがSNS上でどのような口コミがあるのかについて見ていきます。
口コミ量の総数
もっとも口コミが多いのは、ユーザー数が多いドコモです。次に多いのは、ユーザー数はauよりも少ないものの、X(Twitter)やFacebookのフォロワー数が多いソフトバンク、そしてauと続いています。
※口コミ分析ツール「クチコミ@係長」を用いて計測
口コミ内容
次に口コミの内容についてですが、ドコモ、au、ソフトバンクどれもプロモーション(CM)に対する言及はありません。ではどういった時に口コミされたのでしょう。ここでは直近で特に多くの口コミが広がったソフトバンクとドコモの投稿を見てみます。
ソフトバンクの投稿で一番、口コミが広がったのは、2018年12月6日に起きた通信障害のタイミングです。多くのユーザーが、ソフトバンクについて言及しました。
※口コミ分析ツール「クチコミ@係長」を用いて計測
またソフトバンクはこの投稿以外でも2018年10月9日にLINEモバイルからの投稿があった際にもリツイート数が4,420件と大きく口コミが広がっています。
https://twitter.com/LINEMOBILE_JP/status/1049494660987514880
docomoについては、カードケイタイの発表・通信料金の値下げの発表、dTVのキャンペーン実施の際に山がみられました。
2018年10月17日の新商品発表の際のカードケイタイ発表
https://twitter.com/livedoornews/status/1052433404237635585
同年10月31日に行われた2018年度第2四半期の決算説明会での通信料金値下げ
https://twitter.com/digitalbear/statuses/1057856876853977088
同年12月22日のdTVキャンペーン実施
https://twitter.com/docomo_dmarket/status/1076130428317134852
まとめ
ドコモ、au、ソフトバンクのモバイル端末キャリア大手3社のSNS活用状況を見てきました。例えばInstagramでは美しい景色や可愛い画像を前面に出して宣伝色を抑えていたり、X(Twitter)では速報性を活かした実況や最新情報の投稿が多かったりと、3社ともそれぞれのSNSに合わせた投稿をしていることがよくお分かりになったと思います。
またX(Twitter)やFacebookでは、ドコモはキャラクター、auはクイズ、そしてソフトバンクは投稿数を多くするなど、ユーザーとのコミュニケーションを取り方では、それぞれ独自のスタイルを取っている面も見受けられます。
SNSの特徴に合わせつつも独自のスタイルでコミュニケーションを取る手法は、業種を問わず参考にできそうです。ぜひ自社の投稿にも取り入れてみてください。