【自社に合った数字の出し方】企業のSNS活用におけるKPIの立て方【書き起こし】
2024/01/09
どうも、ガイアックスの重枝です。今日は企業におけるソーシャルメディアのKPI(Key Performance Indicator:重要目標達成指標)の立て方についてお話しします。
前回は「指標の選び方」について述べましたが今回は数字の計算方法について、どのくらいの数字を設定するのが適切かなど、具体的なKPIの立て方・計算の仕方についてお伝えします。
※本記事は「ガイアックス ソーシャルメディアラボ」の公式YouTubeチャンネルで配信した内容を書き起こしてまとめたものです。
本記事は企業のSNSマーケティングを包括的に支援をしているガイアックスが解説しています。運用実績10年以上、大手企業を中心に累計1,000社以上の運用実績があります。
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1. フォロワー数からの設定
まずは、もっともスタンダードな方法であるフォロワー数からKPIを設定する方法について、ご紹介しましょう。フォロワー数から考えるには、以下の2つの比較方法があります。
過去との比較
まずは、過去のフォロワー数との比較によるやり方です。
フォロワー数が過去からどれだけ上がったか、今までの伸び率から同じだけ伸びているか、あるいは、それを上回る伸び率で伸びているか。そういったことを指標にして計算する場合があります。
競合他社との比較
次に、競合他社アカウントのフォロワー数との比較によるやり方です。
この場合は、競合他社のフォロワー数を超えていく、競合他社の中で2番、3番のフォロワー数を確保していくなど、そういったことを指標に計算することが多いといえるでしょう。
2. リーチとインプレッションからの設定
次に、リーチとインプレッションからKPIを計算する方法をご紹介します。リーチ(投稿を見たユーザー数)やインプレッション(投稿が表示された回数)は、認知拡大のために選択すべき指標となります。
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過去との比較
リーチやインプレッションからKPIを設定する場合も、やはり過去との比較がまず挙げられます。
リーチやインプレッションが過去からどれだけ上がっていくか、これまでの運用から見て、どれだけ上がったかということを見定める方法です。
ターゲット数を分析する
次に、より気の利いたやり方としてターゲット数を分析する方法が挙げられます。
自社のターゲットのボリュームがどのくらいで、そのうちの何割を確保していくかという計算方法です。
例えばLinkedInやFacebookなどのSNSなら、キャンペーンマネージャや広告マネージャとよばれる広告管理ツールがあるので、ターゲットのボリューム感の把握は簡単です。
職種や自社のブランドに紐づくような興味関心を絞り込み、Facebookなら広告マネージャに入力します。Facebookの広告マネージャなどは、いじってみると、いろいろなターゲット数などが見えてくるのでおもしろいです。
広告管理ツールによるターゲティングができない場合
Facebookの広告マネージャのような広告管理ツールが使えない場合、またX(Twitter)のように、ちょっとしたターゲティングはできるもののターゲットボリュームが何人いるかという数字として扱うのはやや心許ないといった場合は以下のように考えます。
例えば日本国内でのターゲット人口が30万人程度だとすると、国内のターゲット数の割合は、単純計算して1億2千万分の30万人(0.25%)ということになります。これに対象となるSNSのユーザー数をかけることでインプレッション数の指標にするのです。X(Twitter)であれば、1億2千万人分の30万人の割合×X(Twitter)のユーザー数ということです。
その結果からX(Twitter)上のターゲット数を導き出しインプレッション数の指標にするという方法でKPIを設定することがあります。
詳しくはコンサルティングで直接ご提供する話になるのですが、自社でできるという方もいらっしゃるでしょう。
3. UGC数からの設定
そのほか、たとえばオウンドメディアへのトラフィック(流入数)や売上高を上げる目的で、UGC(User Generated Contents:ユーザー生成コンテンツ)数から目標を設定する方法もあります。これは意外に簡単なやり方です。
もし、売上やトラフィックなどと相関している値が明確にわかるのであれば、「売上やトラフィックがどれだけほしいか」ということから逆算して数字を出し、UGC数で目標設定すればいいのです。
たとえば売上が3億円ほしいとしましょう。売上2億円のときのUGC数が2,000だとするなら、逆算するとUGC数が3,000になれば3億円売上が見込めるということになります。単純化すると、そういう形で設定すればいいということです。
UGC数は基本的に商品ジャンルごとに出方が異なり、たとえば「車やグミなら出やすいが、ショベルカーなら数字的には出にくい」といったことが起こりがちです。
売上高とUGCの絶対数は必ず一定の相関を示すわけではなく、たとえば、UGCが30しかなくても3億円の売上を計上するビジネスもあれば、UGCが30,000あって初めて3億円の売上となるようなビジネスもあります。むしろUGC数の推移と売上の推移がどれだけ一致しているかということのほうが重要であるといえるでしょう。
このように、どちらかというとUGCでは数値そのものより相対的な相関性を見ることが重要です。その上で、必要な売上などに応じて数値を設定していきます。
4. エンゲージメントからの設定
「ファンやフォロワーとの関係性をきちんと築けているか」を確認したい場合、基本的にはエンゲージメント(一つの投稿に対するユーザーの肯定的なアクション。投稿へのいいね!やコメント、リツイートやリグラムなどの引用行為など)を見ていきます。エンゲージメントの計算には、エンゲージメント率とエンゲージメント数があります。
例えばX(Twitter)の場合、投稿の拡散が起こると一気にインプレッションが増えてエンゲージメント率がガクッと下がることも起こり得ます。このような投稿ごとにエンゲージメント率が不安定なSNS場合、どちらかというとエンゲージメントの絶対数をどれだけ取れたかを見ていくのがおすすめです。
こちらも過去との比較や競合他社との比較もある程度はできます。いいねとリツイート、リプライに関しては計測できるので、そういう項目を比べて設定するのもいいと思います。
ここでもファンの満足度とエンゲージメント数の相関性が明確であれば、それで計算するのもいいでしょう。
一方で、FacebookやInstagramなど意外にエンゲージメント率が安定しているSNSの場合、エンゲージメントがあればあるほど素直にリーチが伸びていくので「高いエンゲージメント率を維持できているか」ということが重要になってきます。
エンゲージメント率は各水準を、エンゲージメント数は過去との比較を基本に設定
エンゲージメント率には業界やそのときのトレンドごとに「これ以上だったら高い」といった、おおよその目安があります。たとえば「Facebookだったら、だいたい5%くらいがこの業界だったら高いかな?」というように業界・商品・SNSごとに水準があるということです。
これは、弊社の場合も基本的にお客様にしか提供していない情報にあたりますが、「これだけ取れていたら高いですね」「これだけしか取れていないなら、もう少し高い値を目指しましょう」などという形で、おおよそのエンゲージメント率の目安を基本に設定します。
エンゲージメント数の場合は、過去よりしっかり確保できているか、だんだん上がっているかといった過去との比較を基本にして設定するほうがいいでしょう。
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5. アナリティクスの数値をベースにKPIを出す場合の注意点
特にエンゲージメント数/率といったインサイトやアナリティクスでしか正確な情報が見られない数値のような、外から見えない数値をベースにKPIを設定するには、いろいろなアカウントをのぞいてみないとわからないこともあります。
そういった場合、KPI設定を弊社のようなソーシャルメディアサービス事業などの支援会社に相談/依頼する、またはソーシャルメディアアカウント同士で情報交換するなど、一般的な値や勘を探っていく必要があるでしょう。
KPIは適正な値をきちんと算出しないと機能しないため、やはり明確な基準をもった値を設定すべきだといえます。一般的なトレンドはどうなっているか、競合他社はどうなっているかとかといった情報は、案外必要となるものです。
表面的に見える情報からであれば、競合他社をしっかり調べることができます。KPI設定を完全に自社でやりたい場合は、ご紹介した方法で設定されてみてはいかがでしょうか。
6. 最後に
本記事の内容は「ガイアックス ソーシャルメディアラボ」の公式YouTubeチャンネルでも配信しています。
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この記事を書いた人:重枝義樹