とりあえず運用はNG! 3つの事例から学ぶ、B2B企業が持つFacebookページの目的とターゲット設定
2015/07/17
Facebookページを持ち、SNSをビジネスに活用することは、多くの企業や団体にとって“当たり前”になりつつあります。
しかし、ことBtoB企業においては、まだまだ活用が進んでいない面が大きいようです。実際にSNSアカウントを運用しても殆ど投稿しない、効果が感じられないので続かない、という企業の方は多くいらっしゃいます。
では、本当にBtoB企業とSNSは相性が悪いのでしょうか?この疑問に答えるために、今回は4つのBtoB企業のFacebookページを取り上げます。事例を分析すると、BtoB企業がFacebookページを運用するための考え方、目的意識の持ち方が見えてきました。
■目次
- BtoB企業のFacebookページ運用は難しい…?
- Facebookページの運用目的①ブランディング
- Facebookページの運用目的②製品紹介
- Facebookページの運用目的③コミュニティづくり
- Facebookページの運用目的④業界の活性化・啓蒙
BtoB企業のFacebookページ運用は難しい…?
BtoB企業にとってのFacebookページ活用は、B2C企業に比べて会社や商品の認知度が低いので「いいね!」が集まりにくい、また自社のビジネスに関連した投稿を作成しにくいという課題があります。そういった点から後回しにされやすく、BtoB企業はそもそもFacebookページを用意していないという場合も多いです。
しかしながらじつは、BtoB企業もFacebookなどのSNSを活用することでビジネスを加速させることができます。すぐには効果が出にくくても、続けることで効果を実感できますし、何もしていない企業と、コツコツ運用を続けてきた企業では、いつの間にか大きな差がついてしまう可能性もあります。
もちろんターゲットの母数が少ない分、難易度は高いと言えるかもしれません。しかしながらBtoB企業だからこそできる活用の仕方もあります。すでにFacebookページを活用している企業の運用方法や、ターゲット、投稿内容、売ろうとしているものなどを分析し、BtoB企業はどのような目的でFacebookページを活用すればいいのか検証してみましょう。
Facebookページの運用目的①ブランディング
「Facebookページを運用するからには何かを宣伝しなければ!」とついつい考えてしまうものですが、いきなり宣伝してしまっては、ユーザーからの反応は得られないでしょう。また、一方的な宣伝をしたところで、企業として使う商品をFacebookに探しに来ている人はほぼいないので、効果は限定的になってしまいます。
そこで考えたいのが「会社自体のファンを増やす」というブランディング的な使い方です。ターゲットが企業であっても、そのなかにいるのは一人一人の人間です。その人たちに好感を持ってもらえるような企業イメージを発信することで会社の認知度を高めたり、ファンを増やしたりすることができます。
事例:面白法人KAYAC
奇抜な新卒採用やサイコロの目で手当が決まるサイコロ給など、さまざまなおもしろい取り組みをしていることで有名な株式会社カヤックのFacebookページです。
このFacebookページのカテゴリは「アートギャラリー」。企業のFacebookページですが、概要には「このFacebookページでは『面白法人カヤックの裏側』をお届けしています!日常風景、ニュースの裏話、社員のお悩み相談など」と書かれています。
話題に事欠かないカヤックですが、このFacebookページでは、カヤックという会社のおもしろさを伝える、「ブランディング目的」で運用されています。
おもしろいことをやる会社というのは、おもしろいことをやり続けないといけないという使命もあり、やり続けていることを見せる場として、Facebookページを活用しています。
投稿では、「カヤックで大事にされている言葉」が紹介されています。冒頭は露天風呂の日から始まります。
ソーシャルメディア運用では、話題の作りとして「今日は○○の日」にひっかけた投稿をすることが1つのテクニックになっていますが、「熱い」だけにかけた文章のこじつけ方は、ソーシャルメディアならではのゆるさ、おもしろさがあります。
【露天風呂より熱い!!】今日6/26は、六(ろ)・(てん)二(ふ)六(ろ) =「ろてんぶろ」の語呂合わせで、露天風呂の日なんだそうです。そんな2年前の今日、カヤックで大事にされている言葉の一つが生まれました。”仲間を助ける力を…
Posted by 面白法人KAYAC on 2015年6月26日
他の投稿でも小さいネタ、オチがあるものが多く、ニュースフィードに流れてきた時に、オチを期待してついつい「続きを読む」をクリックし、最後まで読みたくなるような投稿です。
その他、社員の紹介、新卒採用(今年はエゴサーチ採用!)、社内の設備紹介など、社内の情報をいろいろな角度から紹介しており、やはりカヤックは遊び心にあふれていて楽しそうだな!という印象を見る者に与えます。
Facebookページの運用目的②製品紹介
これは一番イメージがつきやすい活用法かと思います。Facebookページに自社製品の写真やスペックに関する情報などを掲載していく運用方法ですが、単純に製品紹介をするだけではあまり効果的とは言えません。
重要なのは、「見たい!」と思ってもらえるような製品紹介にすること。同じ製品であっても、撮影環境を工夫することでよりフォトジェニックにしたり、動画を用いてより濃い情報を伝えたりなど、ユーザーにとっての付加価値が高い製品紹介にしなければ、ファンを増やすのは難しいでしょう。
事例:長谷川工業株式会社
長谷川工業株式会社は、脚立、足場、高所作業台などを提供する企業です。
商品ラインナップだけを見ると、一見地味な印象を受けるかもしれませんが、同社が提供する脚立やはしごは非常にオシャレで、海外のデザイン賞を何度も受賞しています。
また同社は、脚立に特化したFacebookページ「ハセガワ脚立デザイン研究所」も運用しています。
こちらは、「商品・サービス」のカテゴリーで主に店舗での導入などを紹介していることが多いですが、一般消費者も含めたスタイリッシュな脚立を取り入れたライフスタイルの提案をしています。
長谷川工業のFacebookページでは、展示会の出展情報やメディアの掲載情報などを投稿しています。その中で目を引くのが、自社商品の取り付け方や組み立てを紹介するYouTube動画の紹介です。
取り付け方法を実践し、字幕の説明などを入れて紹介するシンプルな動画で、これから使おうと思っている人や購入を悩んでいる人にとっては「どういったものなのか」がわかりやすく示されています。
取り付け紹介動画に加え、最新版Webカタログのダウンロードへの誘導などもあることから、このFacebookページのターゲットは「既存顧客、見込み顧客」だと考えられます。
脚立としての使いやすさ、安定感はもちろんデザインにまでこだわった製品に固定ファンも多いと思われ、BtoBでもダイレクトに製品の魅力を伝えるページは有効であることがわかります。
また「ハセガワ脚立デザイン研究所」では、製品を全面に出した投稿が多いですが、おしゃれでスタイリッシュなので、アパレルブランドの投稿のようです。
独・フランクフルト展示会にて人気の1ステップのNewカラーが新登場!日本発売は今春予定
Posted by ハセガワ脚立デザイン研究所 on 2015年2月13日
Facebookページの運用目的③コミュニティづくり
特定のセグメントの人が反応するコンテンツを投稿し続けることで、Facebookページをコミュニティのように使うこともできます。
ジャンルがニッチであればあるほど、共感できる共通の体験などは多いもの。自社の顧客となるニッチな層にターゲットを限定し、ファン数や投稿へのいいね!数は少ないものの、深い関係性を築くことができます。
事例:百年アーキテクチャ(ITインフラ)
このFacebookページの運営者は、株式会社オージス総研のオージス総研 プラットフォームサービス本部であり、ページのカテゴリを「コミュニティ」にしており、企業にもプロダクトにもよらないページ作りをしています。
同社のソーシャルメディアポリシーには、以下のように同アカウントの説明がされています。
長持ちするITインフラを構築するためにはどうしたらいいか、情報発信や議論を行うためのコミュニティサイトです。
なお、ページのタイトルにもなっている「百年アーキテクチャ」とは、同社が掲げるミッションであり、持続可能なIT、再生可能なITを指しています。
ページのターゲットは、Facebookページの説明に「情シス担当者様向け」と記載されています。情シス担当者向けに情報を発信し、双方向のやりとりができるコミュニティを目指していることがわかります。
投稿の1つが「今日の情シスの詩」シリーズで、いわゆる「情シスあるある」についての俳句です。情シスの担当者であれば、思わずニヤリとするようなやや自虐的なネタが投稿されています。
なにか問題が発生すると、やたら盛り上がる人。いますよね。#今日の情シスの詩
Posted by 百年アーキテクチャ(ITインフラ編) on 2015年6月28日
その他のコンテンツには、オウンドメディアの記事をシェアする投稿、そして長く続いている文化やモノを幅広く紹介するコンテンツがあります。「百年続く」というコンセプトを他の文化に重ねあわせながら伝えているのでしょう。
【昔から植物はエンターテインメントだった】遊園地というと、今では様々なアトラクションを中心にしたアミューズメント施設というのが一般的なイメージだろう。アトラクションの無い娯楽施設は、多分、今では公園と呼ばれるのだと思う。ただ、アトラ…
Posted by 百年アーキテクチャ(ITインフラ編) on 2015年6月11日
俳句にしろ、百年シリーズにしろ、テーマを決めることでターゲットや目的にブレない投稿ができますし、ネタを考えるのも楽になります。
ページ運用の最終的なゴールとしては、自社のソリューションへの興味喚起、問い合わせだと思いますが、そこは前面には出さず、まずは情シス担当者が楽しんだり、学べる投稿をしながらコミュニティとして運営しています。
Facebookページの運用目的④業界の活性化・啓蒙
業界のオピニオンリーダーとして情報発信をするというのも、Facebookページの有効な使い方のひとつです。自社が属する業界に関する最新情報やノウハウを発信することで、業界全体の発展に貢献することができます。
また、継続的にそういった情報を発信することで「○○といえばこの会社」というイメージがつくので、結果として仕事にもつながりやすくなります。
事例:シュワルツコフ プロフェッショナル
シュワルツコフは、世界的に知られるヘアケア製品を扱う会社です。BtoB向けに「シュワルツコフ プロフェッショナル」というFacebookアカウントを運営しており、写真の投稿が多いのが特徴と言えます。
このFacebookページは、自社製品を使っているサロン向けというよりも、現場のヘアスタイリストがターゲットとなっており、ヘアスタイルの提案や主催イベントの情報、ファッションショーや撮影の様子を投稿することで業界への啓蒙を意識させるコンセプトになっている印象を受けます。
このように現場の動画を投稿することで、実際にスタイリングしている様子をユーザーが閲覧でき、写真よりもさらに分かりやすく現場の雰囲気を伝えることができます。
BtoB企業のアカウントでは、このような仕事に役立つ情報が発信されるとシェアされる可能性が高くなる傾向があります。
業界全体に通ずる情報を発信することで、マーケットを拡大していこうという企業の意気込みが感じられます。
目的、ターゲットにあわせた運用をしよう
今回は、今回は、コミュニティ、ブランディング、製品紹介、啓蒙という異なる活用をしている事例を取り上げました。どれも外から見てもターゲットや目的がわかるような運用をしています。
BtoB企業で運用にお悩みの方は自社がどのような目的で誰に向けて運用したいのかを整理して、コンテンツを考えていくとよいでしょう。
なお、今回の調査にあたって、バイオ・医薬品業界、素形材業界など、インターネットサービスとはあまり関係ない業界で探してみましたが、やはりまだまだFacebookページ運用を積極的にやっている事例がみつかりませんでした。
もっといろいろな業界がFacebookページを運用することで、業界外の人たちにも情報を届けられ、新たなコラボによるイノベーションが生まれる可能性もあると感じました。
「うちは関係ない」と思っているBtoB企業こそ、新たなチャンスになるかもしれないので、ぜひチャレンジしてみてください。
▼ガイアックス提供サービス一覧
SNSマーケティング支援サービスTOP
SNS(Facebook・X(Twitter)・Instagram・LINE)運用代行サービス
SNS(Facebook・X(Twitter)・Instagram・LINE)コンサルティングサービス
SNS(Facebook・X(Twitter)・Instagram)広告運用サービス
Facebookアプリ(懸賞・コンテスト・検定)サービス
この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部