SNSは個人で使い倒す!ferret編集長飯髙氏に学ぶソーシャル活用術
2016/11/29
月間会員数が33.5万人(2016年11月20日現在)を越え、Web界隈では知らない人はいないと言っても過言ではないメディア「ferret」。2014年9月にメディアとしてリニューアルし、始めに強化した流入経路は“ソーシャル”とのことでした。今回は、なぜソーシャルから強化し始めたのかというトピックからソーシャル活用の考え方まで、ferret編集長の飯髙氏にお伺いしてきました。
Interview / ソーシャルメディアラボ編集長 大久保亮佑
- ■目次
- プロフィール
- メディア立ち上げ時には個人のSNS活用
- タッチポイントを増やし、プラットフォーム依存がないダイレクト流入を増やす
- ソーシャルを活用して間接的にターゲットユーザーに届ける
- 周りの情報に流されずに、SNSの知識を経験に変える
- 今後の展望
プロフィール
株式会社ベーシック ferret編集長 飯髙 悠太氏
Facebook:https://www.facebook.com/yuta.iitaka
X(Twitter):https://twitter.com/yutaiitaka
メディア立ち上げ時には個人のSNS活用
大久保:ferretをメディアとしてリニューアルして、まずソーシャルからの流入を強化し始めたとお伺いしたのですが、それはどういった理由からなんでしょうか?
飯髙氏(以下敬称略):まずプラットフォームの理解から入る話で、当時2014年はFacebookも2,000万ユーザー越えていたしX(Twitter)も越えてる状況でした。その状況だとプラットフォームの三大巨頭という感じでソーシャルも当然取らなきゃいけないと思っていました。Googleに依存しちゃうと検索順位が上がってくるまでどうするのという話もありますし。
そんな中、新規のユーザーに知ってもらうにはソーシャルメディアは速攻性があるのでやったほうがいいというのが理由としてありました。そもそもメディアとしてGoogleだけ見てたら成り立たないですし。これまで企業のソーシャルメディアコンサルティング、複数のメディアの立ち上げ、個人ブログ運営においてソーシャルメディアを軸にしていたのは大きいですね。
大久保:初期はファンやフォロワーもそれほど多くないと思うのですが、広告をやられたんですか?
飯髙:広告は一切やってないです。基本的には個人のSNSを活用していました。当時自分のFacebookのフィード購読1,400人、友達が1,000人位、X(Twitter)のフォロワーは2,000位いて。
自分のアカウントがフックになったり、X(Twitter)だったら自分のまわりに繋がってる人、例えば同世代のモリジュンヤや朽木とかカズワタベとかがフックになって記事が読まれたりもしました。
大久保:当初は個人のSNSアカウントがメインだったんですね。
飯髙:そうですね。メンバーにも、個人のソーシャルメディアアカウントをちゃんと運用するように当時から言ってましたね。例えばBuzzFeedって有名な人がたくさんいて、個人の発信で拡がるじゃないですか。うちはぜんぜん影響力なかったから地道にやるしかなかったけれど、そこはコツコツやってましたね。
大久保:個人のソーシャルメディア運用はチームで徹底されていたんですね。
飯髙:実はリニューアルから半年経ってからのソーシャルの流入ボリュームって、他チャネルに比べると一番成長率は低いですね。課題でもあるんですけど、逆に言えば初期の段階でもソーシャルからの流入はある程度稼げるということですね。今は公式アカウントもしっかりと運用できるようなってきて、フォロワー数やアクション率もかなり上がってきています。
ただ履き違えていけなのは、メディアはトラフィックがあればいいってことではないってことです。誰の問題解決をするために運営しているのか、そのためにどういうプロセスでユーザーに知ってもらうのかってことを考える必要があります。
タッチポイントを増やし、プラットフォーム依存がないダイレクト流入を増やす
大久保:流入の部分以外にメディア立ち上げ時に注力したことはありますか?
飯髙:ferretのミッションが“Webマーケティングの大衆化”で、企業の方に100点は無理でも50〜60点のWebマーケティングの知識をつけてもらうことをコンセプトとしているんですね。なのでその根幹となるカリキュラムコンテンツには当初注力しました。
メディアを立ち上げた時には既に150コンテンツがカリキュラム上で用意されていて、いかにこのコンテンツまで辿り着いてもらうかが今も昔も重要です。そのためには色んなフックになる記事が必要で、何度も接触することで“このメディアってなんだろう”と態度変容してもらえるかを意識していました。ただ、カリキュラムに関しては、よりユーザーが使いやすいようにするべきと思っていて、リニューアルを考えています。
大久保:まず幹となるコンテンツがあって、フックとなるコンテンツをどんどん追加しているイメージなんですね。
飯髙:はい、いちばん最初の目標はニッチな業界でトラフィックボリュームNO.1というのがありましたので、まずはそこを追いかけていきました。
あとはSEO的には内部・外部対策はもちろんしていたので、トラフィックボリュームがちゃんと増えてくると検索流入も増えてくることは構図上当たり前ということも分かっていました。なので検索はゆくゆく取れるっていう自信をもっていたので、他のチャネルからどうやってアクセスを集めるかを気にしていましたね。
大久保:現状の流入チャネルで大事にされているところはどこなのでしょうか?
飯髙:よく言うんですが、チャネルの中で一番重要視してるのは“ダイレクト(Direct)”。検索流入って、例えば「Instagram 活用」って調べた時に記事として読まれて課題解決はしてあげられるけど、ファンにはなりづらい。なので、色んなキーワードやソーシャルメディアなどのタッチポイントを増やしてferretを認知してもらいダイレクトを増やしにいく。これが一番重要でプラットフォーム依存がないんですよね。来年、再来年になるにつれ、今よりも情報量は膨大になっていきます。その時に一番重要なのはいかにファンになってもらうかってことですので。
特定のプラットフォームの依存が怖いなと思っていて、各プラットフォームには素直に従ってますね。Facebookが動画ファーストですよってなれば動画をやるというようなことですね。
ソーシャルを活用して間接的にターゲットユーザーに届ける
大久保:今年から「マーケティングジャーニー」という新しいコンテンツも始められましたね。これはターゲットとするユーザー層を拡げていくということなのでしょうか?
飯髙:基本的にターゲットユーザーは変えていません。ですが、マーケティングジャーニーはferretのコアなターゲットユーザーであるアーリーマジョリティとレイトマジョリティの真ん中くらいの層ではなく、アーリーアダプター層に向けたコンテンツです。
大久保:そうするとターゲットユーザーにはどの様にアプローチするのでしょうか?
飯髙:アーリーアダプター層の人たちに、ferretが求めるユーザーがぶらさがっているんじゃないかって思っていて。つまりアーリー層の彼らがシェアしてくれることによって間接的にターゲットユーザーにアプローチ出来ると考えています。この考えってWeb上においてはソーシャルメディアが流行るまでなかったですよね。もちろんターゲットユーザーにダイレクトにアプローチした方がいいかもしれません。ただ、今って友達の情報ってどんな情報よりも信頼があるわけですし、そういった考え方ってすごく大切だと思っています。
大久保:なるほど、この考え方は面白いですね。
飯髙:オイシックスCMOの西井さんがインタビュアーなら読みたいじゃないですか。僕は読みたいです(笑)マーケティングジャーニーの内容は少し難しいけれどferretユーザーが分かるような言葉で説明してあげることは気にしていますね。
周りの情報に流されずに、SNSの知識を経験に変える
大久保:SNSの運用部分について詳しくお伺いしたのですが、SNSの各プラットフォームによって運用を細かく変えているんですか?
飯髙:プラットフォームの特徴を抑えて運用するだけで、そこまで細かくは変えていません。X(Twitter)だったら接触機会増やすことが重要なので1日20ツイートはするだったり、Facebookだったら過去のデータから反応の良いコンテンツカテゴリを中心に投稿する。LINEは、ferretの会員登録はしないけどLINEでは友達になっておこうというユーザーが多いので、週1回の頻度で人気記事を送ってみようとか仮説を立てて運用していますね。あとは、そこから見えてくることで運用を変えています。
大久保:日々の運用の中でしっかりと知見をためている感じですね。
飯髙:そうですね。ソーシャルの分野だけじゃないですが大事にしていることは、あまり世の中の情報に踊らされないようにすることですね。Facebookだったら1日3回以上投稿するとエンゲージメントが下がるとか、Instagramだったらハッシュタグは15個がいいとか。これってある人たちが調べたファクト情報だけど、それを自分たちがやってないのに鵜呑みにするのはもったいないですよね。
結局Instagramもハッシュタグをマックスの30個でつけたほうがよかったりするし、Facebookもめちゃくちゃ投稿したらリーチ下がるかというと本当のところは分からない。海外のTastyやBuzzFeedとかみるとかなり投稿してるのに、アクション数は高いわけでリーチも落ちていない可能性が高いし。なのでそういった情報に踊らされないというのは大事にしてますね。
大久保:確かに、それは大事な姿勢ですね。
飯髙:そこはかなり重要視してます。”知識”として持ってるのと”経験”として持ってるのってすごく違うと思っているので、知識をいかに経験に変えるかっていうのはメンバーにも言ってますね。知識って言ってしまえば本で読めば身につくんですけど、その知識を実際にやってみて経験してみると当てはまるケースとそうでないケースなどが絶対出てきますから。
大久保:先ほども言われていましたが、特にSNSの場合だと個人アカウントで色々と試せますしね。
飯髙:SNSを使い倒すのはすごい重要ですね。使い倒すってことに関してはSNSだけじゃなく全てにおいて言えますが。SNSで言えばこうやってやったらフォロワー増えるんだとか、こういう人ってフォローバックしてくれるんだとか経験としてやっていけば分かっていくし。そういうようなことを調べながらやっていくと自分のなかでの法則みたいなものが持てるので。
今後の展望
大久保:最後に今後のferretでやっていきたいことなどを教えてください。
飯髙:来年は動画もやっていきたいですね。ferretの現状はテキストベースですがやっぱり限界はありますし、ユーザーによっては動画のがいいってこともあるわけですし。
例えば「何かを勉強する!」てなっても、本気じゃないと続かないじゃないですか。そういった方でも「動画だったら一回見てみよう」って思ってもらえたらいいし、その動画がわかりやすかったら続けようと態度変容するかもしれないし。どこまでやるかは模索中ですが、ユーザー体験としていいものにしていきたいと思っています。
また、そもそも自分がどこに悩んでるかわからない人って多いと思っていて、その人たちを診断した上でコンテンツの提供が出来ればと考えています。チャットボットもやりたいなと思っています。それこそリアルな場も持っていきたいですね。今後のこと考えるとまだまだありますね(笑)
あとは「ferret One」というサービスにも注力しているので、引き続き伸ばしていきたいと思っています。
教育の「ferret」、環境の「ferret One」っていう世界を描いています。
大久保:ありがとうございました!
この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部