SNSで話題になった屋外広告事例18選

2023/08/16

主要駅のビルにある大きなビジョンや、駅構内などに見られる屋外広告(OOH)をご覧になったことがあると思います。近年、SNSなどでのインターネット広告の市場規模が大きく拡大していますが、インターネット広告では得られない効果が見込めるということで、屋外広告は成長を続けている広告媒体です。

印象的な屋外広告はSNSで話題となることもあり、直接的に屋外広告と接触しなかったユーザーにも拡散されることで高い広告効果を期待できます。
この記事では屋外広告の概要、メリットなどを実際の事例を紹介しながら解説します。

■目次

  1. 屋外広告(OOH)とは?
  2. SNSで話題になった屋外広告事例 18選
  3. 最後に

1. 屋外広告(OOH)とは?

屋外広告(OOH)とは、自宅以外の屋外に一定期間、掲示される広告媒体を指します。主要駅のビルの側面や、屋上に設置されている看板を見たことがある人は多いと思います。ターゲットを絞らずに不特定多数の人に訴求できる広告媒体として、古くから馴染みのある手法ですが、近年はその種類も多様化しています。

代表的な例をあげると、モニターで見られる屋外広告ビジョンや、街中に掲出されているポスター、電車の中吊り、街中を走行するバスやトラックの車体に掲出できるタイプなどがあります。

屋外広告(OOH)のメリット

インターネット広告は、プラットフォームや、ユーザーの年齢層、興味など、ターゲットを絞って広告を届けることができます。しかし、それは狙ったターゲットにしか、広告が届かないというデメリットもあります。

また、近年はインターネット広告に不快感を示す人も多く、広告をブロックするアプリを導入している人もいるため、ユーザーに届きにくくなる傾向があるようです。
一方で屋外広告は、ターゲットを絞らずに不特定多数に広告を見てもらえるというメリットがあります。

インパクトのあるビジュアルの広告は、見つけた記念としてSNSに投稿するユーザーが出てきて、トレンドになったりします。また共感できるメッセージや問いかけがある広告は、SNSで好意的な投稿やコメントが寄せられたり議論がされやすく、さまざまな価値観のコメントが寄せられることで反響が大きくなる傾向があります。

2. SNSで話題になった屋外広告事例 18選

① Wantedly(2021)

「はたらく」を面白くするビジネスSNSとして、TwitterやInstagramなどで情報を発信しているWantedlyが2021年仕事初めの1月4日から東京メトロ新宿駅と六本木駅構内に掲出された広告を紹介します。
「ビジネス界の遺物展」と称し「#つながり方改革」プロジェクトの一環として、従来の形式で使われ続けている名刺、履歴書、職務経歴書というツールのあり方から、つながり方を考える問いかけをしています。

駅という場所には異質に見える、美術館の展示のような形式の広告で不特定多数が足を止めて見てしまう工夫がされています。また、今も使われているツールを「遺物」として扱っていて、見た人が思わず笑ってしまうような皮肉が込められている広告です。

② 東京都防災(2021)

2021年2月に渋谷駅でコロナ禍での外出自粛の協力を求める呼びかけを行った際に、呼びかけている職員の後ろに、「墾田永年私財法」という広告が偶然映り込んでいることが、SNSで話題になりました。この広告は東京都防災とは無関係の広告ですが、大変インパクトがあり、広告そのものが話題となるような力がありそうですが、バズりの火付け役は東京都防災のツイートでした。

コメント欄は、「後ろの看板が気になりすぎる」、「ついに墾田永年私財法が復活ですか?」など墾田永年私財法にまつわるコメントが多く、本来のメッセージが伝わっているのかどうかが怪しい雰囲気になっていますが
広く拡散されたという点においては効果があったと言えます。

屋外広告がきっかけとなり、ネット特有のノリがそこを巧みに利用することで話題となった事例です。

③ 花王(キュキュット)(2021)

花王の食器洗い用洗剤のブランド、キュキュットが2021年3月に京王線明大前駅など一部の駅で掲出した駅貼りポスター広告です。3月の卒業シーズンに合わせて、高校を卒業する方へのエールと、お弁当作りを卒業する方へのねぎらいと敬意を表しています。

賞状を模した美しいビジュアルのお弁当が目を引き、さらに見る人の視点や状況によってさまざまな気持ちを呼び起こさせる広告だったため、SNSで話題となり拡散されました。

④ Netflix(2021)

配信登録制のストリーミングサービスのNetflixが2021年4月に東急田園都市線・半蔵門線渋谷駅で行った広告を紹介します。配信しているアニメ「極主夫道」を中心に、同社で配信している動画の広告を、スーパーの広告風のデザインで展開しています。

カラフルで目を引くデザインには通行人の足を止める力があり、写真を撮ってSNS投稿をした人も多く話題となりました。
普段、ストリーミングサービスに興味がないユーザー層のSNSには、そのようなサービスの広告が表示される可能性も低いですが、屋外広告をきっかけに興味を抱き、検索してみる効果も期待できます。

詳しく見ていると思わずクスっと笑ってしまうような細かい演出もあり、サービスだけではなく広告でもユーザーを楽しませようとする、エンタメ企業ならではの心意気も感じる広告です。

⑤ Red Bull(2021)

2021年5月にエナジードリンクのRed Bullと日本を代表するロックバンドのKing Gnuがコラボした広告を紹介します。全国に出現した拡声器の広告を見つけてライブ会場を推理する企画で、謎解き要素があり、ライブ前からライブに参加しているような高揚感を得られる仕掛けになっています。

Twitter上では、広告発見ツイートや広告の意味を推理するコメントも見られ、ファン参加型の広告と言えるでしょう。

⑥ クロス新宿ビジョン(新宿東口の猫)(2017)

クロス新宿ビジョンは新宿駅東口にある3D広告を配信できるビジョンです。
2021年7月に通常のPRコンテンツの合間に現れる巨大な3D猫が話題となり、愛くるしく躍動的に動く猫を一目見ようとビジョンの前は賑わい、日本国内だけではなく、世界中のSNSで取り上げられました。

特に、1日1回しか見られない動きがあるなど、通常の屋外広告にはないレア感を演出したことが、SNSでバズった要因の一つと考えます。

⑦ ゲムトレ(2021)

日本初、ゲームのオンライン家庭教師サービスを展開するゲムトレが2021年12月に東京メトロ新宿駅に掲載した広告です。2020年4月に香川県にて「ネット・ゲーム依存症対策条例」が施行されたことが背景となり、四国新聞にも同様の広告が掲載されました。

「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」という、一見すると違和感を覚えるメッセージが、逆にさまざまな価値観の人の目をひく広告です。近年、プロゲーマーやゲーム実況配信者が職業として認知され、SNSでの人気も高まっていたり、一部のゲームに教育的効果があると紹介されるなど、ゲームへの印象がポジティブになっていることから反響を呼んだと考えます。

⑧ 明治プロビオヨーグルトR-1(2022)

明治プロビオヨーグルトR-1の広告が、2022年1月15日、大学共通テスト当日に試験会場のひとつである、東京大学の最寄り駅の南北線東大前駅と京王井の頭線駒場東大前駅の構内に掲出されました。
こちらは、試験会場の東京大学に向かう行きの目線と、試験が終わって駅に向かう帰りの目線では違うメッセージが読めるプリントが採用されています。どちらも、受験生を応援する親御さんからのメッセージで、受験生からの反応だけではなく、広告のアイディアが素晴らしいというコメントが寄せられています。

メッセージの文字が大きく、内容にもインパクトがあるため、そこに注目が集まり明治プロビオヨーグルトR-1の広告だとは気がつきにくいですが、SNSを巻き込んで話題になったことで、広告効果は充分にあったと言えます。

⑨ ロートジーシリーズ(2022)

ロート製薬株式会社は、目薬ブランドのロートジーシリーズのPRのため、スマホアラームの設定画面をモチーフにした広告を2022年3月に東京メトロの車内で実施しました。
数分刻みでアラームが設定されているビジュアルはインパクトがあり、朝起きる辛さを如実に語っていますが、そんな状況でも朝起きて仕事や学校に向かう人たちを褒めたたえるメッセージも添えられています。

Twitter上ではそのインパクトの大きさから思わず写真を撮って投稿した人や、アラーム設定画面を実際に提供した人の投稿もあったことで、共感コメントやユーザーがそれぞれ自身のアラーム設定画面をリツイートで載せるなど、大きな盛り上がりを見せました。

⑩ BOSS(2022)

2022年5月に掲出された、サントリーのコーヒーブランドのBOSSとCygamesの大人気ゲーム、ウマ娘のコラボ広告を紹介します。BOSSの開発担当者がウマ娘のファンであることからコラボが実現し、東京メトロ新宿駅構内に広告が掲出されました。

BOSSをPRするはずが、そのほとんどが開発担当者のウマ娘への熱いメッセージで占められており、1か所だけ登場するBOSSのロゴにまで、馬の蹄鉄があしらわれているほどウマ娘に寄せた広告になっています。その徹底ぶりが話題となり、SNS上では「泣きました」や「胸が熱くなりました」などの共感コメントが多く寄せられました。

⑪ パンテーン(2018)

P&Gのヘアケアブランド、パンテーンが2018年9月に東急東横線渋谷駅に掲出した屋外広告を紹介します。
「就活をもっと自由に」というコピーで、就職活動中の学生の服装や髪型が画一的であることに問題提起をしたことで、SNS上で話題を呼び、さまざまな意見が投稿されました。

このように、何が正解かわからないような問いかけや、さまざまな意見が出ることが期待される内容の広告は、SNS上で反響を呼び、リツイートなどが活発になる傾向にあります。

⑫ 広島県観光連盟(2020)

2020年12月に首都圏の主要6駅に掲出された広島県観光連盟のメッセージ広告を紹介します。
コロナ禍で帰省や旅行などの自粛が呼びかけられていた時期に、故郷に帰省できない東京に住む人たちに向けられた広告ですが、広告らしくない「ばかたれーっ!!」というメッセージで、目を引いています。
その上で、敢えて文字が多めの広告にすることで、広告の前で足を止める時間を長くする効果を狙っているようです。

SNS上では、メッセージが多くの人の共感を得て、それぞれの故郷への思いや、故郷で家族を待つ人たちからも大きな反響があり、拡散されました。

⑬ Twitter Japan(2019)

Twitter Japan は2019年4月に全国5都市でトレインジャック広告を行いました。
「#平成を語ろう」というハッシュタグとともに、平成を象徴する15の出来事や流行などを取り上げ、特殊な中吊り広告で当時流行したものを模したビジュアルを掲出することで、さまざまな年代が楽しめる工夫がされています。

期間限定サイトには、平成を象徴する140の出来事などを取り上げた「キーワード年表」が掲載され、リアルな屋外広告とSNS上のどちらも同じようなコンテンツが楽しめ、ハッシュタグ検索やリツイートで盛り上がりました。

⑭ Twitter Japan(2020)

Twitter Japanが実施した、リアルな屋外広告とSNSを効果的にリンクさせた事例をもう一つ紹介します。
Twitter Japanは2020年元旦に、首都圏、大阪、名古屋、福岡のJR・私鉄・地下鉄でトレインジャックを行ないました。
お正月にまつわるユーザーの実際のツイートが広告となり、そのビジュアルはスマホやパソコンで見ているTwitterそのものでした。

普段ネット上で液晶を通じて見ているTwitter画面が、電車内に登場したインパクトや、自身のツイートが使われたユーザー本人からの投稿やそれに対する反響も相次ぎ、リアルを巻き込んでバズった事例となりました。

⑮ 西武鉄道(2022)

西武鉄道が2022年3月に新大久保駅に掲出した屋外広告を紹介します。
広告に書かれている「推しの広告が出せる」というメッセージに、どういう意味なのだろう?とTwitterがざわつき、拡散された事例です。

韓国では推しの誕生日や記念日などに、ファンが駅などに広告を出すことは一般的なようで、センイル広告と呼ばれています。コメント欄にも、「韓国の流れが日本上陸か?」のようなコメントが寄せられています。韓国カルチャーの聖地である新大久保駅でこの広告を掲出することで、K-POPファンからの申し込みがあることの期待がうかがえます。2023年8月時点では推しの応援広告を掲出できる場所も増えているので、推し活の一つとして日本でも浸透する可能性を秘めています。

多くを語りすぎず、広告を見る側の推測や疑問を誘うような屋外広告も、SNSで話題となりやすいと言えるでしょう。

⑯ Oisix(2019)

安心・安全に配慮した食品の宅配サービスを展開するOisixが、国民的人気アニメ、クレヨンしんちゃんとコラボした屋外広告を紹介します。
このコラボキャンペーンではクレヨンしんちゃんと縁のある、春日部駅と北千住駅に2019年5月から7月までの間に、1か月ごとに異なる広告が掲出されました。

一貫して家族への感謝や家族のありかたを問いかける内容で、SNSで見た人がそれぞれの家族への思いをキャンペーン専用のハッシュタグをつけて投稿したり、実際に広告を見た人からの現地レポートなどで盛り上がりました。
国民的人気アニメと身近な話題に対する問いかけという、ユーザーが反応しやすいテーマが、SNSで大きく取り上げられた要因と言えるでしょう。

⑰ JR東日本(2022)

2022年11月にJR中野駅に登場し、話題になった屋外広告を紹介します。
北陸のカニのおいしさをPRするために、エスカレーター横の壁面にびっしりと張り巡らされたカニが、もはやホラーだと大きな反響を呼びました。

屋外広告がSNSで話題となるとき、広告主のPR意図とは別の意味で盛り上がることがあるという事例です。

⑱ アイキューブドシステムズ(2022)

2022年6月に福岡市を拠点にSI事業を展開するアイキューブドシステムズが、本社を置く福岡市内各所に掲出した屋外広告がSNSで拡散され、議論を呼びました。

一見すると、広告の主張はその通りだと共感を得られそうな内容ですが、コメント欄やリツイートには深く考察したコメントが多く寄せられました。実際の広告を見た人や、広告のSNS2次投稿を見た人が、広告のメッセージについて考えたり議論するきっかけとなる、一石を投じた広告と言えるでしょう。

3. 最後に

SNSで話題になった屋外広告を紹介してきました。屋外広告は効果的な広告媒体ですが、街中にあまたある広告の中に埋もれてしまう可能性もあります。
SNSで話題になるためには、目を引くインパクトのあるビジュアルと、共感や議論を呼ぶメッセージ性や、ネット特有のノリを巻き込めるエンタメ性がカギとなりそうです。

ガイアックスはSNSの運用で長年の実績とノウハウがあります。屋外広告とSNSを絡めて効果的に運用したいなど、お困りのことがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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