【2024年3月の主要SNSニュースまとめ】
2024/04/09
今月もラボ編集部より最新ニュースと解説をお届けします!
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■目次
1. 動向データ
Z世代では「ソーシャル検索」が主流、グーグルよりTikTokとインスタを活用
日本時間3月13日、米マーケティングプラットフォームSOCIが米国の消費者1002人を対象に実施した、情報検索ツールに関する調査結果が明らかになりました。
Z世代(18〜24歳)が検索に最も活用するのはInstagramで 67%、次いで2位はTikTokで62%、3位がGoogleで61%となっています。
SOCIは「すべての人口統計グループにおいて、ソーシャルメディアプラットフォームは検索ツールとしてランキングの上位に入っている」と指摘しています。
単純にGoogleが終わったということではなく、Z世代ということと、Googleも6割以上の人が使っているという条件を考慮する必要があります。検索する内容によってはソーシャルの検索が重要であるのは言うまでもありません。
例えばローカル情報、ランチをどこにするかなどの情報です。ここではリアルタイム性と記名性(どのようなアカウントで発信されているか)、ビジュアル及びエンゲージメント(支持)が非常に重視されます。一方で、公式情報や硬い記事などはGoogleの方が有利でしょう。検索エンジンを対象によって使い分けているというのが実態だと言えます。
参考:
https://forbesjapan.com/articles/detail/69692
2. X(Twitter)
“いいね数”消える?イーロン・マスク氏「やりたかった」大規模な設計変更予告
日本時間3月7日、イーロン・マスク氏は、自身のX(旧Twitter)上で、Xから「いいね」と「リポスト」の数を非表示にする計画があることを明らかにしました。投稿の中で、「この1年間、どうしてもこれがやりたかった」と述べていました。
ユーザーの投稿にマスク氏が反応して、この計画が明らかとなったわけですが、非表示にする時期については明らかにされていません。「投稿時間」と「視聴回数」だけが表示されるようになり、そうすることで「Xが大幅に見やすくなる」と投稿しています。
低評価が非表示になる、フォロワー数が非表示、もしくは曖昧になるなど、SNSでは他者から見える評価指標を不可視化するという試みは以前から行われていましたが、いいねという最も中心的な指標をなくすというのは、今までにほぼなかった実験になります。
部分的にはInstagramで行われていますが、その場合はオプション機能となります。マスク氏が言及しているのはおそらくすべての投稿でそれを行うということであり、注目度(視聴回数)以外に、良い悪いなどの先入観のない完全にフラットな状態で情報が受け取られる状態を目指していると思われ、マスク氏の思う「言論の自由」の内容が垣間見えます。
参考:
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000340351.html
投稿のハイライト機能活用でインプレッション向上
3月12日、イーロン・マスク氏は、自身のX(旧Twitter)上で、今後数週間でハイライトに追加された投稿は少しインプレッションを優遇するという投稿を行いました。
過度に使用しない限りという条件がついているので、アルゴリズムハックとして使われることをけん制していますが、ハイライト機能を積極的に広めたい意思が明確にみてとれます。
新機能を使用するとアルゴリズム上で優遇されるということはよくあるプラットフォームの戦術ですが、今回はアカウントにではなく、投稿そのものがアルゴリズムの優遇を受けるところ、わざわざマスク氏が直接言及していることがポイントです。
積極的にブーストさせた情報と、それ以外の情報を区分けすることに対して、ユーザーに選択権を渡そうということでしょうが、これはコミュニケーションの階層化を任意で設計できることを意味しています。
とにもかくも、企業としても積極的に使いたい機能です。
参考:
https://twitter.com/elonmusk/status/1767248348447129852
長尺動画、近くスマートTVで視聴可能に マスク氏投稿
米国時間3月8日、ロイターは、イーロン・マスクが「Xの長尺動画が、近くスマートテレビで視聴可能になる」と明らかにしたことを報じました。
Xがアマゾン・ドット・コムとサムスンのユーザー向けに、来週TVアプリを導入すると米誌フォーチュンが報じたことを受けた形です。
フォーチュンは先に同アプリについて、Googleのの動画共有サービスYouTubeが提供するTVアプリに似た見た目になる可能性があるとし、関係筋の話として、マスク氏がYouTubeと競う構えだと伝えています。
SNSの動画をテレビで視聴する習慣は根付いてきていますが、現状ほぼYouTubeの独壇場ではあります。しかしXは、YouTubeではBANされてしまうような動画を出すことで、動画プラットフォームとしての地位を確立しようとしています。
典型例は元FOXのアンカーマンだったタッカー・カールソン氏によるプーチン大統領のインタビュー動画ですが、こちらは配信2日後には2億以上の視聴回数を数え、いまだに更新されています。しかし内容的にはYouTubeやInstagramではとても配信できないものでしょう。YouTubeでBANされてしまうコンテンツをXで配信する人が着々と増えており、それを背景にした発言でしょう。
参考:
https://news.yahoo.co.jp/articles/cb5e803f1d7e144cabe00bb1bc7dc5901b3ace20
3. TikTok
TikTokをアメリカ全土で禁止する法案が下院エネルギー・商業委員会を全会一致通過、バイデン大統領は「可決されれば署名する」と発言
日本時間3月11日、アメリカでは、ByteDanceに対しTikTokの売却を命じる法案「外国の敵対者が管理するアプリケーションがもたらす国家安全保障上の脅威からアメリカ国民を守るための法案」が議会に提出されていることが明らかになりました。
この法案は3月7日にアメリカ下院議会のエネルギー・商業委員会を全会一致で通過。さらにジョー・バイデン大統領は記者団に対し、「上院・下院ともに法案が可決された場合、その法案に署名するつもりです」と語っています。
本レポートでは、禁止される可能性は実際に高いことにたびたび言及してきましたが、とうとう現実のものになってきました。TikTokは米国民から情報を抜き取っているという論理で禁止されようとしていますが、最近ではMETAやGoogleからの要求も議員たちにはあるようです。
既にいくつかの自治体や政党で行われているように、米国で禁止となれば、日本もなんらかの影響を被る可能性があります。TikTokは非常に有効な媒体ですが、活用にはポリティカルリスクも考慮する必要があります。
参考:
https://gigazine.net/news/20240311-tiktok-president-biden/
進化したクリエイター向け収益化プログラム「Creator Rewards Program」を開始
日本時間3月19日、TikTokは、クリエイターが自身の動画を通して報酬を得られる収益化プログラムを進化させ、「Creator Rewards Program」として新たに開始することを発表しました。
これは、2023年8月に発表したクリエイター向け収益化プログラム「Creativity Program Beta」に複数の機能アップデートを加えたもので、より一層クリエイターの皆さんの収益化の機会を広げるため、「Creator Rewards Program」を開始する運びとなったそうです。
もともとTikTokはクリエイターエコノミーを活かすことで成長してきた企業です。YouTubeやInstagramと違うのは、リップシンク動画やフィルター機能などで投稿のハードルを下げたこと。今回の変更はTikTokの動画の質を上げる試みです。
評価指標で興味深いのは動画のオリジナリティが考慮されるところ。XやYouTubeは再生回数や表示回数で収益化が単純に評価されやすいのですが、TikTokはよりクリエイターエコノミーを意識して、クリエイターの独創性を取り入れたプラットフォームにしていきたいということが見てとれます。
参考:
https://newsroom.tiktok.com/ja-jp/tiktok-creator-rewards-program
4. Meta
メタ株が急落、「フェイスブックは国民の敵」とトランプ発言で
米国時間3月11日、FacebookとInstagramの親会社であるMetaの株価は、トランプ前大統領がFacebookを「国民の敵」と酷評したことを受けて急落、約4.5%下落して先月末以来の安値の484ドル弱に沈み、昨年7月20日以降で最悪のパフォーマンスを記録しました。
Metaの株価は、今から2カ月足らず前の1月19日に史上最高値を更新した後にさらに上昇しており、2月1日に開示した2023年第4四半期の売上高と純利益はともに過去最高を記録していた。
一方トランプ氏はTikTokを擁護しました。今回の大統領選挙を境にアメリカではSNSプラットフォームが分断してきています。トランプ支持がX、バイデン支持がMeta、Googleということですが、トランプ氏は自陣にTikTokを加えたい、あるいはMetaをけん制するために力をつけさせたいと考えているのでしょう。
このニュースはもはや禁止まで秒読みとなったTikTokが継続できる可能性を増したとも言え、今後の大統領選挙の行方次第で、政治的な問題をTikTokはクリアして、よりマーケティングやPRに有効なプラットフォームとしての地位を確立する可能性があります。
参考:
https://forbesjapan.com/articles/detail/69674
5. YouTube
生成AIを使ったリアルな動画へのラベル付け義務化開始
米国時間3月18日、YouTubeはクリエイターに対し、生成AIで編集・生成したリアルな動画にラベルを付けることを同日から義務付けると発表、クリエイタースタジオに新ツールが追加されました。
昨年11月の予告通り、ラベルはプレーヤーの前面に表示され、展開すると詳細も表示されます。
生成AIを使ったらすべての動画にラベルを付ける必要があるわけではなく、実在の人物の肖像を利用、実際の出来事や場所の改変、リアルなシーンを生成した場合に、対象となります。
YouTubeでもフェイク動画対策が始まりました。もちろん、初めからリアルなものではないということが明らかな場合は対象になりません。
Metaのプラットフォームのラベルともまったく同じことが言えますが、この新ルールは今後生成AIが増えていく中で、リアルな映像の価値が相対的に高まるということも言えます。ラベルは、実際に撮影し、リアルな感触を伝えるコンテンツはユーザーが行動の参考にする動画として、生成AIに負けない影響力を持つための一助になるでしょう。
参考:
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/itmedia_news/trend/itmedia_news-20240319_093
6. SNS全般
UGC かインフルエンサーか? 「次世代の買い物客は本物のコンテンツを探し求めている」
日本時間3月14日、DIGIDAYの報道によって、ヘアケア用品会社「バスク&レイザー」の創業者シャイナ・レインフォード氏が、年に1回しかブランド用の撮影を行わず、主にソーシャルメディアで顧客がシェアする画像や動画に頼っていることが明らかになりました。
また、2月下旬に開催されたリテール業界イベント「イーテールウエスト」では、多くのブランドが、従来のような有償のインフルエンサーコンテンツに代わって、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を増やすことへの関心の高まりを報告していました。
インフルエンサーとUGCならUGCの方が効果があるとは言いつつも、実際にはクリエイターと呼ばれる層の出現でその差は埋まりつつあります。むしろ明確な差は行動につながるかどうかが重要です。
例えば、自社の商品を使って料理を作ってもらいたいということがあれば、レシピ系のインフルエンサーやクリエイターの方が、フォロワーをたくさんもっているインフルエンサーやファッション系クリエイターよりも効果が高いということになります。ユーザーのその後の行動まで想定したアサインメントやクリエイティブが必要なのです。
参考:
https://news.yahoo.co.jp/articles/bade0a46d375fb2dd38e682d804ee749907f1eaf
7. 企業炎上
ケロッグ炎上! 貧困家庭は夜もシリアル食え!?
日本時間3月12日、米食品加工大手ケロッグのCEOが、「貧困家庭の子どもには夕食にシリアルを与えることで物価高の時代を乗り越えるべきだ」と提言、大炎上を招いていることが、ミラー紙(電子版)の報道により明らかになりました。
米CNBCの番組内で食品価格の高騰について議論している際、ケロッグ社のゲーリー・ピルニック代表は、「シリアルは非常に手ごろな値段であり、生活が困難な時に素晴らしい役割を果たす」と私見を語り、司会者が誤解を招く可能性を指摘したものの、気にせず提言を続けていたとのことです。
企業のトップが行う発言で企業そのものが炎上してしまうという事例がアメリカでも、日本でも相次いでいます。トップの発言をある程度コントロールしていくことは、SNSの危機管理対応でも重要になってきていると言えます。
SNSガイドラインや危機管理のトレーニングは運用担当者だけが読むものではなく、トップを含めた従業員、関係者まで対象とすることがますます求められるようになるでしょう。
参考:
https://www.japanjournals.com/uk-today/18805-240312-1.html
「ちょっとクレイジーな車椅子インフルエンサー」を名乗る女性のツイートで論争勃発 イオンシネマ公式は「不適切な対応に関するお詫び」を掲載
日本時間3月16日、Xのイオンシネマ公式アカウントが、【弊社従業員による不適切な対応に関するお詫び】とリツイートしました。3月15日17時15分頃、「ちょっとクレイジーな車椅子インフルエンサー」を名乗る中嶋涼子さんが、投稿した内容に関してのものだと思われます。
中嶋さんはプレミアムシートを利用、映画を観終わると、支配人らしき人に「スタッフのサポートが必要なため、今後はこの劇場以外で…」とこの劇場には来ないでほしいとも取れるようなことを言われて悲しかった、と投稿していました。
こちらの件は、インフルエンサー当人が炎上する形になり、企業に対する批判はさほど盛り上がらない形となりました。インフルエンサーの投稿に対して素早いお詫び対応が行われ、そちらの投稿が拡散したためだと推測できます。
投稿に書かれた今後の内容に関してはそこまで具体性があるものではなかったものの、15日の夕刻にされたインフルエンサーの投稿に対し、翌朝の投稿で対応しています。炎上に対しては、時間がたてばたつほど、インパクトのある内容が求められると言えるでしょう。
参考:
https://getnews.jp/archives/3513573
8. SNS好事例|サントリー伊右衛門 特茶
【数学好きに挑戦状!】特茶が「解く茶」に…!?
日本時間12月4日、公式Xアカウントで「【問題】数学好きの皆様へ。」と、数学の問題を投稿しました。(画像左)電車内広告らしき写真には、謎の関数がずらりと並んでいます。関数をグラフに落とし込むと絵や文字が描かれる「関数アート」を用いた広告で、多くの反響が集まり、1,400万件以上のインプレッションが発生しています。
前日には「におわせ」投稿も行い(画像右)、問題出題投稿の後はスタッフが問題に挑戦し、解答までの時間をタイマーで計測する様子も動画で投稿されています。
このプロモーションに合わせてXアカウントのアイコンやカバー画像も関数アートに差し替えられています。真相は定かではないですが、「特茶」と「解く茶」を掛けた言葉遊びから生まれた企画かもしれません。パッケージデザインも幾何学的に見えますし、科学的に証明されたトクホであることを訴求するねらいが、コミュニケーションやビジュアルからもうかがえます。
特茶が「解く茶」として、オフラインとデジタルで一貫性のあるプロモーションを展開し、ユーモアを交えながらフォロワーとの関係を深めようとする施策は、ソーシャル時代ならではの企画。
マスやOOH広告と、SNSをどう連動させていくか。ソーシャル時代のプロモーションには欠かせない観点です。
参考:
https://note.com/socialmedia_lab/n/n613ee00e69ae
https://twitter.com/suntory_tokucha/status/1731539308556038617
https://twitter.com/suntory_tokucha/status/1731131135382417780
9. SNS好事例|ザ・ノース・フェイス
【ユーザーの声で驚きの展開に!】ザ・ノース・フェイスのTikTok投稿に注目
米国時間11月17日、ある女性が雨の中でのハイキングをTikTokに投稿しました。女性はザ・ノース・フェイスの防水ジャケットを購入したものの、雨でずぶ濡れになり「防水加工したジャケットを山の頂上に持ってきて」と不満を伝えています。
ネガティブな投稿に対して11月21日、公式TikTokが投稿したのは、ヘリコプターを使って新しいレインジャケットを山頂にいるこの女性に届けるという信じられない対応の動画。スケールの大きい企画を、短期間で実現させる実行力に驚かされたSNS投稿で、現在470万回再生されています。
ヘリコプターの動画はもちろんザ・ノース・フェイスの仕込みでしょうが、元の女性のクレーム投稿にはおそらく関与していません。この事例からSNSマーケティングに得るべき示唆は、「ネガティブなユーザーの声を察知できた」ことがあげられます。ソーシャルリスニングやエゴサーチを常に行うことで、ユーザーの様々な声を素早く察知できます。
企業アカウントの担当者が気付けなくても、普段からフォロワーとコミュニケーションをとることで、フォロワーが教えてくれることもあります。何よりネガティブな口コミから目を背けず、ソーシャルライクでユニークな方法によってファンへ転換するという勇気やユーモア、それを実現させる組織の風土や体制も非常に示唆に富む事例でした。
参考:
https://note.com/socialmedia_lab/n/n5b761a10c616
https://www.tiktok.com/@fannypack310/video/7302268646439750958
https://www.tiktok.com/@thenorthface/video/7303925789483863327
10. SNS好事例|亀田製菓
【好評なら商品化!?】フォロワーやファンとの盛り上がりを生み共創する
日本時間12月15日、亀田製菓の公式Xアカウント(旧Twitter)で、「亀田のおせんべい神経衰弱」を作ってみたという投稿がありました。サイズ感も実際のおせんべいのようで、「口に持っていったらダメですよ」という一言もユーモアのセンスが光っています。
「#好評なら商品化」というハッシュタグと共に投稿されたことから、多くのユーザーから期待を込めて2.4万を超えるいいね、350件近くのリプライがあり、「可愛いし面白い」「商品化してください」などポジティブな声が多く寄せられています。
まず注目したいのは、投稿のタイミングです。家族や友人と一緒に過ごす冬休みや年末のタイミングを意識して、投稿されたのではないかと考えられます。また、「#好評なら商品化」のハッシュタグをつけ、ユーザーに期待を持たせることで、参加すると商品化されるかもというワクワク感が生まれ、ファンやフォロワーのエンゲージメントを高める重要な要素になるでしょう。
ファンやフォロワーの声を聞きながら商品を開発する手法は、ソーシャルメディアの特性を活かした施策のひとつと言えます。ユーザーが直接商品開発に関与することで、ブランドへのロイヤリティが高まることが期待でき、実際に商品化されると、「声が届いた」という感覚からさらに亀田製菓のことを好きになる人が増えるという可能性があるでしょう。
参考:
https://note.com/socialmedia_lab/n/nab98cd7f085d
https://twitter.com/kameda_jp/status/1735571179698815204