10代はソーシャルメディアをこう使っている!大人たちが知らないナウでヤングなコミュニティと、意外なSNSの使い方。
2015/01/19
こんにちは、ソーシャルメディアラボの渕上です。
先日執筆した以下の記事で、「ソーシャルメディアネイティブの声に耳を傾けないといけない」という趣旨の内容を書きました。
20年前、すでにソーシャルメディアの萌芽が!今年の新成人が生まれた1995年をIT業界の歴史から振り返ってみた。
いつの時代も若い世代が新しい技術やコンテンツを産み出します。数多あるソーシャルメディアも、その若い世代に受け入れられるような施策をしているでしょう。
しかし、我々は様々なサービスを使いこなしているように見えて、実はそうしたソーシャルメディアネイティブは大人が知らないサービスを使っていたりするようです。
今、ソーシャルメディアネイティブはどんなサービスを、どのように使っているのでしょうか?今回は、主に10代が使っているソーシャルメディアやWebサービスについて調べてみました。
- ■目次
- オトナが知らない、10代のソーシャルメディアの使い方
- 大人が知らない、10代が使っているサービス
- 女子中高生のX(Twitter)、LINEの使い方
- キーワードは「コミュニティ」と「スマホファースト」
大人が知らない、10代が使っているサービス
情報の感度が高いのは男性よりも女性、そして流行を創りだすのは中高生、触れる機会が多いのはパソコンよりもスマートフォン。
ということで、主に女子中高生がスマートフォンで使っているサービスから、破竹の勢いでユーザーを増やしている動画コミュニティアプリ・MixChannel(ミックスチャンネル)を中心にピックアップしてみました。
MixChannel(ミックスチャンネル 通称:ミクチャ)
開発: Donuts Co. Ltd.
MixChannelは2013年12月にリリースされた10秒動画コミュニティ。
CGM(Consumer Generated Media)型のサービスで、スマートフォンに保存された画像や動画・音声などをカンタンに組み合わせて動画にし、投稿することができます。
感覚としてはVineに近いように見えますが、その場で撮影してアップするというリアルタイム性に特化したVineと違い、MixChannelは「デコる」「コラージュ」といった機能に特化しています。つまり、すでに保存されているコンテンツを編集して投稿するのが主な使い方となっています。
ユーザーの70%は女性で、最も厚いのは16歳~18歳。女子中高生が主な利用者です。視聴時間の平均は15分というデータも出ていますね。直近のデータですと昨年11月時点で170万ダウンロード、月間訪問者350万人、月間動画再生数は3億8500万回を突破し、まさに破竹の勢いで成長していると言えます。
※データ元:http://www.donuts.ne.jp/news/2014/20141215.html
MixChannelの最大の特徴は、ただの動画共有サイトではなく「コミュニティ」として成長しているところ。
それを活性化しているのが「リンク」「ファン」というふたつの機能です。この機能は、2015年重要なキーワードとなる「コミュニティ」を構築するために役立つ先例となるはずです。
リンク
「リンク」は、投稿者同士の関係性に着目した機能です。リンクには、さらに細分化された3つの機能が備わっています。
・リメイク
動画同士を紐付ける機能。元となる動画を参考にしたり真似したりして新しく動画を作成するというもので、名前通り動画をリメイクする機能ですね。
元となるコンテンツを作成した人も「パクられた!」という思いより、真似されるほど優れたコンテンツだったんだと受け取ることで喜び、リメイクする方も一からコンテンツをつくらず済むので、お互いが満足するという仕組みのようです。
・コラボ
こちらも元となる動画をカスタマイズするところは同じですが、例えば作成した音声を元の動画に乗せることで、一緒にコンテンツをつくった形にする機能がこの「コラボ」です。
・シリーズ
作成したコンテンツを、元となる動画の続編として投稿する仕組みがこの「シリーズ」。連載動画をいろんなユーザーでつくる、といった感じでしょうか。
どれも投稿者感のコミュニケーションを促す仕組みであることがわかるかと思います。
形式としてCGMを採用している以上、投稿者が自発的に活性化してくれるような機能を盛りこまなければ成長は見込めません。実にユーザーに寄り添った仕組みだと思います。
ファン
もうひとつの「ファン」は、リンクで構築した関係性を強化する機能です。
投稿者のファンになれば、その投稿者が新しく動画を投稿した際に通知が来るようになります。投稿者側もファンだけに動画を公開することが可能です。これにより、よりユーザー同士の関係性は強くなり、コミュニティとしての結束も強くなるというわけですね。
また面白いのは、Facebookのいいね!にあたる「Like」を連打することが可能なところ。この動画が好き!という思いを連打で表現できるのも他のコミュニティサービスとは違いますね。何よりもユーザー同士の結びつきを重要視していることがよくわかります。
参考記事:
月間再生回数が3億8500万回を突破、若者の目立ちたい欲求に応える10秒動画コミュニティ「MixChannel」
カップル動画の投稿が人気! 動画アプリ「MixChannel」は10代女子の新しい自己表現ツール
ツイキャス(TwitCasting/ツイットキャスティング)
2014年10月時点で利用ユーザー数が800万人を越えた、スマートフォンによるリアルタイム動画配信サービス・TwitCasting(通称ツイキャス。以降ツイキャスと表記)。
総配信数も1億回を突破し、動画共有サービスとしてはかなり規模の大きいサービスに成長しています。世界に打って出ることも発表され、その勢いは増すばかり。それなのに、30代以上の人に聞いてみても使ったことがないという人が多いのはなぜか。
それは16歳から22歳で高校生・大学生がメインユーザーで、女性が6割以上を占めているから。10代に圧倒的人気の動画サービスなんですね。
スマートフォンから気軽に動画をライブ配信できることで、パソコンを使わない若い層に受け入れられているようです。同様のサービスでUstreamがありますが、あちらは高画質をウリにしているのに対し、ツイキャスは画質はほどほどに利便性を高めているのが特徴。
とはいえ昨年10月には高画質/HD配信にも対応し始めましたし、ニコニコ動画やYouTube、Ustream等の動画配信サービスとの差はなくなっていくかもしれません。
※参考記事:
ツイキャスが高画質配信に対応 企業など公式アカウント向けにHD配信も
ツイキャスという名前の通りX(Twitter)を中心としたシステム設計をされていましたが、X(Twitter)アカウントと紐付かない独自のキャストアカウントサービスも始まっています。他のSNSと連携することもできるプラットフォーム化へと舵をきったのですね。これによりX(Twitter)ユーザー以外も取り込むことが可能になり、今後もユーザー数は増え続けていきそうです。
※参考記事:
ツイキャス、Twitterとひもづかない独自ID「キャスアカウント」提供開始
スマートフォンから動画を配信することに特化しながらこのユーザー数を抱えられるということは、10代など若年層にリーチするにはいかにスマートフォンでできることを充実させるか、かつカンタンな操作でできるかを追求することが必要となるでしょう。
※参考記事:
リアルタイム動画配信『ツイキャス』が、世界展開を視野にあえてやること、やらないこと【連載:NEOジェネ!】
「PCって何ですか?」ツイキャス、YouTuber、オンライン塾–10代が熱狂するサービスの実情
DECOLOG(デコログ)
モバイルブログサービス・DECOLOG(以降デコログと表記)の歴史は古く、2007年2月にリリースされたとき、すでにブログブームは陰りを見せていました。代わりに台頭し始めてきたのがモバゲーなどのアバター・プロフィールサービス。これらの要素をうまくドッキングさせたのがデコログです。
モバイルブログサービスはそれこそ飽和状態になるほど存在しましたが、いわゆる無料ブログには広告が入りがち。いくらブログをかっこ良く、かわいくカスタマイズできる機能を備えたとしても、コンプレックス商材や出会い系、果てはアダルト系の広告が上下に表示されてしまっては台無し。
デコログはその点をうまく払拭しました。サービス名通り、モバイルブログという限られたスペースをかわいくカンタンにデコレーションできるようにした結果、10代の女の子の感性にフィットし、あっという間にユーザー数を増やしました。
一番話題になった2011年以降、大きなニュースリリースが見当たらないので現在のユーザー数ははっきりしませんが、2011年11月時点で月間総PV数は65億、ユニークユーザー数は900万人と、とんでもない数字を記録していました。
2014年に10代ギャル向け雑誌Popteenとコラボしたブロガーオーディションイベントを開催したりと、10代女性(ギャル)をメインとしたクラスタには、未だ俄然人気を誇っているようです。
※参考記事:「Popteen」&「Decolog」、 国内最大規模”モデル・ブロガーオーディション”開催!
※ラボ編集部注:2016年7月現在に上記URLが残念ながら閲覧できないため修正をしました。
月間65億PV! 巨大サイト「DECOLOG(デコログ)」の正体 (前編)
女子中高生のX(Twitter)、LINEの使い方
プリクラ機で有名なフリュー株式会社による女子高生・女子大生の動向調査・研究機関『GIRLS’TREND(ガールズトレンド) 研究所』が行なった「ソーシャルメディアに関する意識調査(対象期間:2014年8月~9月)」で、私たちが知らない女子高生のソーシャルメディア利用法が明らかになりました。
ソーシャルメディアを日常的に利用しているのは私たちも女子高生も同じですが、その使い方には大きな違いがあることがわかりました。ここでは利用率の高いX(Twitter)とLINEについてご紹介します。
このデータからは、知りたいことやおしゃれなどの最新情報を得る手段として、X(Twitter)に抜群の信頼が寄せられていることがわかります。あらゆるもののネタ探しにX(Twitter)が使われているんですね。知りたいことや流行を探るのにX(Twitter)を使うという考え方は筆者にはないのですが、これは10代女性特有のものなのでしょうか。
さらに、ソーシャルメディアによって繋がる人を使い分けている人が80%。これはX(Twitter)の特性がとても活きていることを表しているかと思います。X(Twitter)は登録に実名を必要とせず、かつ複数のアカウントをひとりで持つことが可能です。アカウントを複数つくり、それぞれ違うクラスタの人と繋がることがカンタンなので、彼女たちの思考にマッチした結果としてデータに現れていますね。
もうひとつ面白いデータがあります。
LINEの利用率が96.1%と高いのは理解しやすいと思いますが、次いで多いのはX(Twitter)の77.9%で、3位以降に大きく差をつけていますね。FacebookやInstagramは20%程度に過ぎません。LINEはメッセンジャーツールとして馴染んでいることから納得の結果ですが、X(Twitter)利用率の高さには驚きました。これは前述のツイキャス利用者が、アカウント登録にX(Twitter)を利用していることも影響していると考えられますね。
最後に、ライフメディア・リサーチバンク調べの『LINEに関する調査』からデータをひとつ。
ほとんどの項目で、女性の方がLINE特有の機能を使っていることがわかります。
特にグループトーク、タイムライン、スタンプショップの3つ。
筆者はLINEのタイムラインを2回ほどしか開いたことがありませんが、女性はタイムラインをクローズドのFacebookのような感覚で日々利用しているようです。LINEをメッセンジャーツールとして捉えているかSNSとして捉えているかで、このあたりの使い方はわかれそうですね。
キーワードは「コミュニティ」と「スマホファースト」
いかがでしたでしょうか。ひょっとするとラボの読者の方が知らないサービスばかりだったかもしれません。
筆者は32歳の男性ですが、ツイキャス以外全く知りませんでしたし、その他のサービスは何となくの知識もなかったため情報収集が大変でした。10代のキラキラしたサービスの使い方に頭が痛くなることも…(特にMixChannelはリア充御用達サービスなため、下手に閲覧すると破壊的なダメージを受けることになりかねませんよ)。
スマートフォン内でサービスを完結させる
流行最前線をゆく10代女性にサービスをヒットさせるために必要なのは、とにかくスマートフォンに特化させること。起点がスマートフォンなのはもちろん、コンテンツ編集や投稿など全ての機能をスマートフォン内で完結させることが最重要となるでしょう。
パソコンにふれる前にスマートフォンを手にするのが当たり前なこの世代。操作は説明がいらないくらいカンタンに、デザインはかわいくするのが前提。エロ広告を表示させるなんてご法度です。
コミュニティを築きやすい設計に
もう一点、コミュニティ性も重要となります。
複数のソーシャルメディアを使い分けるのはもはや当たり前。彼女たちは、ひとつのSNS内でも複数のアカウントを相手によって使い分けています。そのサービス内でコミュニティを築きやすくすることは、長くサービスを利用してもらうために必要となってくるでしょう。
革命的な機能をもったサービスは、最前線にいるこの若い世代を無視していては産まれません。いかに10代の心をつかむことができるか。この記事がそのために役に立ってくれることを祈ります(筆者はMixChannelの調査で心が折れました…)。
※その他参考記事:
人気がないものは使わない、10代がゲームやSNSを渡り歩く本当の理由
10代が語るリアルJKのLINE事情「メアドよりLINE IDの方が知ってる」って!?
以上、『10代はソーシャルメディアをこう使っている!大人たちが知らないナウでヤングなコミュニティと、意外なSNSの使い方。』でした。
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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部