SNS担当者に必須の知識「景品表示法(景表法)」とは?

2023/04/18

企業のSNS担当者が理解しておくべき「景品表示法(景表法)」についての記事です。景表法の種類や内容、違反した場合の措置を分かりやすく紹介しています。景表法に触れてしまうと措置命令が発せられ、企業イメージがダウンする可能性も。記事を読むことで安全なSNS運用を行えます。

この記事のテーマ

SNS担当者が把握しておくべき法律「景品表示法(景表法)」

記事を読んで分かること

  • 景品表示法の種類
  • 景品表示法に違反した場合の措置

 

■目次

  1. SNS担当者が知っておくべき法律「景品表示法(景表法)」とは?
  2. 景品表示法の種類
  3. 不当表示規制とは?
  4. 景品規制とは?
  5. 違反した場合は?
  6. まとめ

SNS担当者が知っておくべき法律「景品表示法(景表法)」とは?

「景品表示法(景表法)」は、企業が商品やサービスを販売するにあたって、以下の事項を禁止する法律です。

  • 消費者を誤認させるような不当な広告をすること
  • 消費者の判断を誤らせるような過大な景品の提供をすること

 

嘘や誤解を与えるような表現、不当に高すぎる景品(おまけ)などを規制しています。

SNS運用では商品に関するテキスト、画像などの表現や、フォローを促すキャンペーンの設計などで問題になるケースがあります。よって、景品表示法の内容をしっかり理解しましょう。

景品表示法の種類

景品表示法には、以下の2種類があります。

  • 不当表示規制
  • 景品規制
  • ステレスマーケティング規制(※2023年10月1日より施行される予定。)

 

次章より、一つずつ詳しく解説していきます。

不当表示規制とは?

不当表示規制は、消費者を誤認させるような不当な広告表示を禁止する法律です。

優良誤認表示の禁止

商品やサービスの品質などについて、実際よりも著しく優良であるかのような表示をする、あるいは事実に反し、競合他社の商品・サービスよりも著しく優良であるかのように表示するケースは「優良誤認表示の禁止」に抵触します。

 

例えば、学的な根拠がないにもかかわらず、サプリメントに「ダイエット効果がある」と広告することは、優良誤認表示に当たります。

有利誤認表示の禁止

「有利誤認表示の禁止」は、商品やサービスの価格などが実際よりも著しく有利であるかのような表示、あるいは競合他社の商品・サービスの取引条件よりも、著しく有利であるかのように誤認させる表示を禁じます。

例えば、実際には値引きの実態がないのに通常価格よりも値引きされているかのように表示すると、有利誤認表示の禁止に触れてしまいます。

誇大広告やおとり広告の禁止

その他には、明確な嘘ではなくとも消費者に誤解を与える、もしくは事実と異なる印象を与えるような表示も禁じられています。

商品の原産国と異なる国旗をパッケージに表示するなどは、これに該当します。

景品規制とは?

景品(おまけ)の提供は消費者の判断を誤らせる原因になるとされ、過大な景品の提供が禁止されています。具体的には、「景品の付け方」によって景品の上限額が設けられています。景品の付け方の種類と上限額は以下のとおりです。

景品の付け方の種類:オープン懸賞とクローズド懸賞

懸賞には「オープン懸賞」と「クローズド懸賞」があります。

オープン懸賞は応募条件に金銭取引が発生しない、誰でも簡単に応募できる懸賞です。例えば、簡単なアンケートへの回答や、Twitter・InstagramなどSNSの拡散によって応募できる懸賞などを指します。

一方クローズド懸賞は、商品・サービスの購入が必要な懸賞です。決められた金額以上の商品購入や、商品に貼付されているシール・バーコードを集めることで応募できる懸賞などがクローズド懸賞に当たります。

 

これら2つの懸賞のうち、景品規制の対象となるのは、金銭的取引が発生する「クローズド懸賞」のみです。

クローズド懸賞の種類別 景品の上限額

クローズド懸賞には、以下の3種類があります。

  • 一般懸賞
  • 共同懸賞
  • 総付景品

 

各懸賞を詳しく見ていきましょう。

一般懸賞

商品購入・サービスの利用者に対し、くじなどの偶然性、特定行為の優劣などによって景品類を提供する懸賞です。

共同懸賞

複数の事業者が参加して行う懸賞です。商店街・ショッピングモール全体で行われる福引きや、地域の同業者が協賛して行う抽選・懸賞などが共同懸賞に当たります。共同懸賞の景品は、一般懸賞よりも最高額・総額を高く設定できる点が特徴です。

総付景品

商品の購入者全員、あるいは来店者全員に当たる景品のことです。ノベルティなどは、この総付景品に当たります。

<上限額一覧>

取引価額 景品類限度額
最高額 総額
一般懸賞 5,000円未満 取引価額の20倍 懸賞に係る売上予定総額の2%
5,000円以上 10万円
共同懸賞 取引価額にかかわらず30万円 懸賞に係る売上予定総額の3%
総付景品 1,000円未満 200円
1,000円以上 取引価額の10分の2

 

ステレスマーケティング規制とは?

不当表示規制と景品規制に加えて、新たに「ステルスマーケティング」に関する規制も追加される予定です。新たな告示は、一般消費者が事業者の表示であることを判別しにくい表示に関するものであり、2023年10月1日に施行されます。具体的な例としては、インフルエンサーに広告表示を依頼する場合や、購入者に商品のレビュー投稿を依頼する場合などが挙げられています。

新たな告示の対象とは?

新たな告示の対象は、「事業者の表示であるにもかかわらず、第三者の表示のように見えるもの」とされており、事業者の表示とならない第三者の表示については、「第三者が自主的な意思に基づいて表示した場合」は対象外とされています。

また、事業者が無償で商品を提供し、SNSで表示を依頼する場合でも、第三者が自主的な意思に基づいた内容を表示した場合は事業者の表示には当たらないとされています。

「PR」「宣伝」と記載していても不当表示に該当する場合も

告示の運用基準では、「PR」「宣伝」などの文言を表示すれば、事業者の広告表示であることが明瞭となり、不当表示には該当しないとされていますが、文章の一部にしか広告表示がない場合や、分かりにくい表示がある場合は不当表示に該当する可能性があるとされています。

指定告示に該当した場合、措置命令の対象となり、社名や代表者名が公表される可能性がありますが、指定告示は課徴金納付命令の対象外とされています。

違反した場合は?

景品表示法に違反した場合は、基本的には「措置命令」という消費者庁からの注意が入ります。かつ、悪質なケースには刑事罰や課徴金が課されることもあります。

措置命令や刑事罰、課徴金の具体的な内容を確認しましょう。

措置命令

消費者庁の調査の結果、違反行為が認められると措置命令が下されます。措置命令が下された場合、企業はその措置に従わなければなりません。以下は、命令内容として代表的なものです。

  1. 不当な表示により消費者に与えた誤認を取り去ること(違反した事実を消費者に徹底して周知すること)
  2. 社内における景表法の周知徹底など、再発防止策を講じること
  3. 同じ違反行為を繰り返さないこと

刑事上の罰則(措置命令に従わなかった場合)

措置命令に従わなかった場合は、以下の刑事上の罰則が科せられます。(景品表示法第36条、38条)

  • 事業者の代表者などに対し2年以下の懲役、または300万円以下の罰金(両方課されるケースもあり)
  • 当該事業者に対し、3億円以下の罰金

課徴金(違反内容によっては)

さらに違反内容によっては、課徴金の納付も命じられるケースがあります。課徴金は売上額の3%を掛けた金額です。

まとめ

  • 景品表示法は、消費者に嘘・誤解を与える表現や不当に高すぎる景品を規制する法律である
  • 景品表示法には「不当表示規制」と「景品規制」の2つが存在する
  • 景品表示法に違反すると、措置命令や刑事上の罰則、課徴金の納付などの措置がとられる

 

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この講座を監修した人

藤井哉子|Kanako Fujii

ガイアックスソーシャルメディアマーケティング事業部コンサルタント。 ガイアックスでは大手企業を中心にソーシャルメディアマーケティング、PR、ブランディング、キャンペーン施策に関わる

 

この講座の総合監修・執筆者

平井 みのり|Minori HIRAI

ソーシャルメディアマーケティングコンサルタント。 大学在学中より広告代理店にてキャリアをスタート。 主に、ウェブマーケティング事業に従事。大手企業や官公庁を中心にソーシャルメディアマーケティング、PR、ブランディング、キャンペーン施策に関わる。Z世代向けの施策提案や英語での支援も可能。