X(Twitter)施策の成否を解剖。ソーシャルリスニングのやり方「アカウント分析」を解説

2021/09/02

今回はソーシャルリスニングの手法の一つで、X(Twitter)アカウントのフォロワーやエンゲージメントしてくれているユーザーを分析する手法を解説します(*本記事の分析対象媒体はX(Twitter)上の口コミデータです)。

この調査方法を理解することで、ソーシャルリスニングを通じてどのような示唆が得られるのか、実際どのような分析を行えばいいのかが具体的に分かり、日々のSNS運用やマーケティング活動に役立つ調査方法を身につけることができます。

    ■目次

  1. 以前の記事の復習:X(Twitter)で得られるデータの特徴
  2. X(Twitter)におけるアカウント分析とは
  3. フォロワーのプロフィール調査
  4. アカウントの投稿をリツイートしている人の特徴分析
  5. キャンペーン参加者の分析
  6. フォロワーが共通してリツイートしているコンテンツの分析
  7. まとめ

以前の記事の復習:X(Twitter)で得られるデータの特徴

  1. データの主体がテキストデータである
  2. いいねやリツイートなど口コミを拡散する機能がある
  3. アクティブアカウント数が多く、多様なユーザーからの声を収集できる
  4. 秒単位の時系列データを取得できる

X(Twitter)は表現方法の主体がテキストデータであることから、消費者のぽろっと出る本音や嗜好に関して分析できるデータが収集できる可能性が高く、こういった目的のもと調査する媒体として適しているといえます。

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X(Twitter)におけるアカウント分析とは

X(Twitter)アカウントのフォロワーのプロフィール文や普段の投稿などを用いてフォロワーの特徴を分析することで、フォロワーの特徴や趣味嗜好を調査できます。さらに投稿にエンゲージメントしているユーザーを分析することで、現状の投稿内容に対して好意的なユーザーの特徴を分析できます。

これにより、アカウントのフォロワーはどういったことに興味関心があり、どういった訴求が有効な可能性が高いかなど、主にSNS運用に役立つ示唆を得られると考えられます。

  • フォロワーのプロフィール調査
  • アカウントの投稿をリツイートしている人の特徴分析
  • キャンペーン参加者の分析
  • フォロワーが共通してリツイートしているコンテンツの分析

 
本記事では、プロフィールや普段のツイート、キャンペーン参加者、共通してリツイートされているコンテンツ、それぞれスポットを当てて各分析手法を具体的に紹介していきます。

フォロワーのプロフィール調査

それでは実際に、X(Twitter)アカウントのフォロワーのプロフィールからフォロワーの特徴を調査するプロセスを紹介します。本記事ではサンプルとして、フォロワー数約1万人を抱える一般消費財メーカーA社を調査したプロセスをご紹介します。

まず、分析したいアカウントのフォロワー一覧データを取得します。取得したフォロワーのプロフィール文章に使われている単語に特徴がないかワードクラウドを用いて可視化します。

すると、「懸賞」や「当選」といった単語が非常に大きく表示されていることから、いわゆる懸賞目的のアカウントから多くフォローされているであろうことが分かります。

分析対象アカウントの過去の投稿を遡ってみると、どうやらこのアカウントは過去にフォロー&リツイートキャンペーンを実施しており、その際にこうした懸賞目的のアカウントに多くフォローされたようです。

このままではX(Twitter)アカウントのフォロワーがどういったユーザーなのか特徴を把握することが困難であるため、分析の際にはこうした懸賞アカウントや企業の公式アカウントなどは除外する必要があります。具体的には、プロフィールに使われている単語や普段の投稿内容を確認し、こうした分析の際にノイズとなるアカウントを特定し除外します。


実際に除外した後のフォロワーのプロフィールワードクラウドが以下のものになります。

懸賞目的のアカウントを除外したことで、「旅行」や「ゲーム」、「美容」や「猫」、「音楽」など除外前は大きく目立たなかったキーワードが見えてきて、フォロワーの趣味嗜好にまつわる情報が大きく表示されるようになりました。

こうした情報に加え、プロフィール中で同時に使われている単語の関係性を可視化する共起ネットワーク(上図)を用いることで、より詳細にフォロワーの特徴を分析できます。

アカウントの投稿をリツイートしている人の特徴分析

次に、X(Twitter)アカウントの投稿をリツイートしている人の特徴を分析します。まず、直近のX(Twitter)投稿をリツイートしてくれた人をX(Twitter) APIやソーシャルリスニングツールなどを活用して取得しリスト化します。

取得したユーザーのプロフィールに特徴があるか、先ほどと同様にワードクラウドを用いて可視化し、頻出ワードに特徴が見られるかを調査します。

直近の投稿をリツイートしたユーザーのプロフィールを確認すると「懸賞」目的のアカウントからのリツイートが多いことが分かります。

本分析はキャンペーン関連投稿とそれ以外の投稿を区別せず実施したため、キャンペーン投稿への反応とそれ以外の投稿への反応の差分が判別できない状態です。

これを改善するために、投稿の特徴ごとに反応しているユーザーに違いがあるかをより細かく分析することで、投稿のエンゲージメント率改善に役立つ示唆を発見できると考えられます。

キャンペーン参加者の分析

今度はX(Twitter)アカウントのフォロワーの情報を用いることで、他にもキャンペーン開始前と開始後のフォロワー情報を比較し、キャンペーン参加者の内訳を調べることができます。

これにより、開始前からアカウントを既にフォローしていた人を除いて、同キャンペーンに非フォロワーからの参加者がどれくらい含まれるのかがわかります。こうした分析により、フォロワー外への情報の拡散がどれくらい行われたかが測れるようになります。

また、参加者のプロフィールのなかに共通する特徴がないか確認することで、今回のキャンペーンの評価、および次回キャンペーン設計に活用可能な示唆が得られる可能性があります。

フォロワーが共通してリツイートしているコンテンツの分析

さらに、フォロワーをリスト化し普段の投稿を調査することで、フォロワーが共通してリツイートしているコンテンツ。つまり、フォロワーが共通して興味を示したコンテンツを調査することができます。

共通してリツイートしている人が多い順に投稿を見ると、飲食物関連のプレゼントキャンペーンに積極的に参加している様子がうかがえます。

フォロワーが他にどういったキャンペーンに参加しているかという面では示唆的である一方で、必然的に参加母数が多いキャンペーンが上位に表示されるため、このままでは有意義な示唆があまり見えてきません。

キャンペーン関連投稿を除外した上でフォロワーが共通してリツイートしているコンテンツを確認すると、ゲームやライトノベルなどの「サブカル系」に反応しているユーザーと入学祝いなどの「育児系」、そのほか車や求人広告に反応しているユーザーが多いことが分かります。

このことからフォロワーの中で特にリツイートなどを積極的に行うユーザーには、「サブカル系」が好きないわゆるヲタク気質なユーザーや主婦層のユーザーなどが多く存在していると考えられます。

まとめ

今回はソーシャルリスニングにより得られる示唆について、X(Twitter)アカウントのフォロワーのプロフィール文や普段の投稿などを用いてフォロワーの特徴を分析する手法や、普段の投稿にエンゲージメントしているユーザーの特徴を分析する手法について紹介しました。

次回は、ソーシャルメディア上で特定の商品やカテゴリー、消費行動や感情に紐づくツイートなどから消費者のインサイトを抽出する手法について解説します。

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この記事を書いた人:澁谷海渡

アニメとラーメンをこよなく愛するデータサイエンティスト。学生時代は主にデータマイニング技術に関する研究を行なっている研究室に在籍し、類似数式検索技術に関する研究に従事。ガイアックスに新卒入社後は、データ収集基盤の構築や社内システム開発を行うエンジニアとして活動。現在はソーシャルメディアマーケティング事業部で主にソーシャルリスニングの研究などのデータ分析業務に従事。