「結果を出す」営業成績トップクラスの人が大切にしていること。~日出ずる国のセールスパーソンたちより~
2014/05/14
なんのために仕事をするのか?なぜ売りたいのか?
みなさんは、プルデンシャル生命保険株式会社さんのFacebookのページ『日出ずる国の営業』をご存じですか?
ビジネスパーソン向けの、とくにセールスパーソンや事業家の方に人気のコンテンツです。
結果を出しているセールスパーソンとは、どんな経験をし、仕事に何を学び、どのように成功を得るのか?
ラボでは今回もFacebookページの新しい活用方法・運営についてインタビューに伺ったのですが、いつもと趣向を変えまして、そのコンテンツの軸にある“理念”の存在を中心に共有させていただくことにします。
セールスパーソンに必要な心構えのほか、仕事をするすべての人にとって本当はもっと大切な、”自分の理念”のことを考えてみるきっかけになればと思います。
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■目次
- Facebookページ活用の目的とは?
- 企業理念を脈々と受け継いでいくために
- 指南を生むための濃いプロセス
- Facebookからブログに、人材育成に、新しいご縁に
- 成績トップクラスのセールスパーソンが大切にしていること
お話を伺った方
プルデンシャル生命保険株式会社
マーケティング&イノベーション推進本部
荻原 健夫さん
営業支援チーム
金子 優介さん
1.Facebookページ活用の目的とは?
Facebookページ『日出ずる国の営業』の主役となるのは、プルデンシャル生命保険さん(以下、プルデンシャル生命)で活躍する成績トップクラスのセールスパーソンたち。
プルデンシャル生命では、お客様の一生の人生設計にたずさわるとして、営業担当を”ライフプランナー”と呼んでいます。
広告はほとんどしない
荻原さん:
「プルデンシャル生命は基本的に”広告をしない”会社なんです。
生命保険の提供だけでなく、ライフプランナー一人ひとりが、お客さまにプルデンシャルの考えやライフプランナーの価値を伝えているので、ある意味でライフプランナー自身が広告の役割を担っていると言えると思います。」
宣伝をせずにお客さまからのご紹介をベースとして営業活動を行っているのはプルデンシャル生命ならではのやり方かもしれません。
そのため、セールスの現場では、その方法だけではなく、企業理念の浸透や礼儀礼節など様々な取組みが行われているということです。
そして、プルデンシャル生命はライフプランナーを一番の財産と考え、そのために優秀な人材の採用・育成・モチベーションアップができる仕組みをとっているというワケです。
目的はライフプランナーブランドの浸透。そしてあらゆる業種のセールスパーソンのモチベーション維持・向上のため
ライフプランナーとして採用される人材は全員、他業界からスカウトされた優秀なビジネスパーソン。
また、完全成果主義のシステムであるため、営業成績に連動した報酬もピンキリだそうで、それゆえライフプランナーが前向きに仕事に取り組める環境を作ることが企業側にも求められます。
Fbページの企画立ち上げ、運用を当時一人で遂行。
そういった背景もあり、荻原さんは、ライフプランナーの価値を世の中に伝えるだけではなく、ライフプランナーにとっても学びのあるようなコンテンツを作ろうとSNS運営導入の検討を始めました。
生命保険ではなくライフプランナー自身が商品
『日出ずる国の営業』は、生命保険に関するコンテンツは一切なく「セールスパーソン=ライフプランナーのブランディング」を目的としているところが、業界では類を見ないユニークなところ。
全国各地で活躍する優秀なライフプランナーを1人ずつ取り上げ、座右の銘やプルデンシャル生命に転職した時の背景、日々の活動の紹介を通じて、業種や職種を問わず仕事に活かせる心構えを「指南」として配信しています。
2.企業理念を脈々と受け継いでいくために
Facebookで何を発信して、どうブランディングしていくかということに対して、
荻原さん:
「Facebookを通じて生命保険やプルデンシャル生命のことを知りたいと思っている方は少ないのでは?と思ったんです。
では読み手は何を知りたくて、私たちは何を伝えられるのか?と。
生命保険は何に入るかよりも”誰から入るか”が一番重要だと思っています。
プルデンシャル生命の強みはライフプランナーであり、ライフプランナーの人間力、コミュニケーション力をうまく表現することが出来れば、お客様や多くのビジネスパーソンにとっても、お役に立てるコンテンツになるのではないかと思ったんです。」
社員が共通理念を持つ大切さ
企業の組織が大きいと、その企業理念は末端にいけば薄れがちなもの…企業が抱える課題のひとつではないでしょうか。
ところが、ライフプランナーのみなさんが提唱する指南の根底にあるものは、会社の理念そのものにつながる内容が多いことが特徴です。
そのため、この『日出ずる国の営業』は、ライフプランナーの価値や、営業で学ぶ仕事と人のあり方だけではなく、「仕事をする人と社会」に大切な理念を表現し、拡散されることにもチャレンジしたのです。
Facebookを社内情報ツールとして活用
またそのコンテンツは、若手のライフプランナーの人材育成にも役立っています。
荻原さん:
「このFbページがうまく拡散していくためには、まずライフプランナーに認められるものでなければならないと思っていました。
すると、運営していくうちに、全国のライフプランナーにとっても成功事例の共有や、モチベーション向上のための社内情報ツールとしての役割も生まれてきました。」
現場に基づく教えなどは、離れた地方支社にいる若手ライフプランナーには共有しづらく、それでいて”社内文化の伝承”は人のマネージメント上、重要なこと。SNSの新しい活用方法といえます。
3.指南を生むための濃いプロセス
毎回、読む人に気づきを与えるような有意義な投稿を継続して生んでいる、その作成現場とはどういったものなのか気になります。
運営者の金子さんによると、登場したライフプランナーから次のライフプランナーを紹介してもらうという流れで続けており、1人のライフプランナーに3,4時間もの取材を行い、原稿の作成に移ります。
金子さん:
「取材で質問することは事前に質問票として送ってはありますが、あまりそれ通りに聞くことはありません。
転職のきっかけ、転職してから今に至るまでにあった印象深い出来ごと、座右の銘などを話してもらい、こういったお話から、営業をしていく中で大切なことを5本分にわけて原稿を作成していきます。」
社内で喜んでもらえるコンテンツを作る
金子さん:
「コンテンツ作成のモットーに”ライフプランナーが喜んでくれるものを作る”というのがあります。
社内の人に認められてこそ、外部の人にも受け入れられるものだと考えています。」
使命感と厳しさをもって取り組んでいらっしゃるのを感じます。
KPIは共感してもらいシェアされること
原稿の作成では、「伝えたいこと」「その人の魅力」を引き出して表現しながらも、言葉選びの独自のルール・業界や業種の違う社外の人にも伝わりやすい書き方・主役のライフプランナーの人柄・社内の人間関係の機微をも考慮した内容を1投稿ずつこめるのです。
金子さんは兼務で担当されていることもあり、原稿作成は深夜にさしかかる日ことも。
そうして作りこんだ原稿の投稿が、「社内外の人たちに共感してもらえれば投稿がシェアされる・支持される、それがKPIのひとつ」という、いたってシンプルな運用方針なのだそう。
営業パーソンとして、人として、成長への気づきを与えられるものを
日々の更新を続けるうちに、現在ファン数26,761人(5月14日時点) と読者は増え続け、社内外からの好反応や、ページが持つ数値的な成果は多大なものです。
目先の売り上げのためにやっていない。
金子さん:
「目先の売り上げのためにやっているわけではないんです。Facebookページはライフプランナーの存在価値を知ってもらうためにあるので。」
「Facebookを通じて、企業の理念・文化が伝わりやすくなっていると感じています。日出ずる国の営業のコンテンツが日本の社会を支えるビジネスパーソンが何かしらの気づきを得られるように、今後も更新を継続していきます。」
4.Facebookからブログに、人材育成に、新しいご縁に
Fbページ『日出ずる国の営業』が話題となり、ライフプランナーに関する情報が拡散されるようになると、Facebookを用いたブランディング効果以外にも様々な反応や活動につながるようになります。
社内では、師範として取り上げられたライフプランナーに対して全国の仲間たちからメッセージが送られたり、社外からは講演の依頼や取材の依頼が入ってくるなど反響は大きかったとか。
また、『日出ずる国の営業』を読んでいると、仕事の内容がより具体的に伝わることで、ライフプランナーを採用する際にも役立つことがめずらしくないそうです。
金子さん:
「ライフプランナーの魅力を通じて、(社外のビジネスパーソンに)プルデンシャル生命の考え方を理解してもらいたいです。将来、仲間になる人たちがどんなことを考えているかを知った上で、プルデンシャルで働きたいと思ってもらいたいです。」
ライフプランナーを支え、盛り上げる役目である部署の目標達成においても、コンテンツ発信は想像以上の成果を生んでいるようです。
Facebookページのコンテンツをブログへ
また、コンテンツが好評ななか、Facebookページと連携したブログの立ち上げを行います。
Facebookでは欲しい情報がどんどん流れていってしまう上に、過去投稿の検索機能が乏しいため、「コンテンツがストックできて検索できるようなものがほしい」と社内外からのリクエストの声が上がったそうです。
ブログ立ち上げの目的や、Facebookその他自社媒体との住み分けはシンプルで、Fbページはコンテンツの拡散・ブログはそのストック場所、とそれ以上の狙いはブログにとくに持たせていないそうです。
ブログへのコメント・いいね!もFbページに連携するような仕組みを採用しています。
プルデンシャル生命のWebメディアと役割
・公式HP: 保険サービス色のある企業情報
・『日出ずる国の営業』Fbページ: ライフプランナーのブランディング、コンテンツ拡散
・『日出ずる国の営業』ブログ: Facebookページコンテンツのストック
Fbページがいわば成功して、独立したブログに派生するという企業活用事例は他に見聞きしていません。
社外のセールスパーソンを師範に迎える&勉強会の開催も
その他、前項の写真でご紹介しましたが、社外のビジネスパーソンを集めて営業に関する勉強会イベントを開催したり、さらにはプルデンシャル生命以外に勤める著名なセールスパーソンを師範として迎えるという展開も見せています。
▼初の社外師範編 リクルートエグゼクティブエージェント森本千賀子さんの指南が実現。
荻原さん:
「もっともっと全国のセールスパーソンにとって役立つコンテンツを提供したいと思っていましたので、これからもたくさんの方にご登場いただきたいと思っています。」
業界では定説となった宣伝的なSNS運用をくつがえす活用と、その成果を様々なかたちで産出できている、稀な事例といえます。
5.成績トップクラスのセールスパーソンが大切にしていること
成績トップクラスのセールスパーソンたちが体得し、実践する「売れる営業に必要な心構え」とは?
荻原さん:
「普通の営業は、1円でも多くの利益を上げることが目標だったりしますが、プルデンシャル生命はそうではないんです。
そもそも、社内では契約を”取る”とは言わず、”お預かりする=いつかお返しするもの”という考えが浸透しています。こうしたちょっとした言葉の表現からも会社の考え方が伝わるのではないかと思っています。」
大事なのは、本当に相手のためになれるのかどうか。どんな思想をもって人間力を磨いていけるか。
それが仕事の成果に直結するということです。
ここではラボ編集部が読んで印象的だった指南の一部をご紹介します。
それぞれの業種や職種、また環境や状況によって感じることは違ってくると思います。
ぜひご自身の目で『日出ずる国の営業』のFbページ・ブログもチェックしていただき、新入社員の若手の方も含め、お仕事をされる方みなさんの参考にしていただけましたら幸いです。
お客さまの懐に入る術
◆「保険の話なんて聞きたくない」という相手の気持ちに、チューニングを合わせることから始めるんです。
私のセールススタイルや、会社のマネージメントの話(保険に関係のない相手にチューニングした話題)を、皆さん興味を持って聞いてくださいます。そうやって、『なんだか波長が合うセールスだな』と感じていただいた上でこう言うんです。
『ところで私の本業は保険屋なので、次回は1時間その話を聞いてくださいませんか』と。<指南002>
◆うまくいかない若手って、その逆ではないでしょうか。 相手を引きつけたいあまりに、その場で必要とされていない知識も総動員して、無理してしゃべっている。
◆若手にはこう言うんですよ。『お前さ、サウナに入るとき、スーツ着てたらヘンだよな。まずお前から脱がないと、向こうも脱いでくれないよ。パンツもなにもかも全部脱がないと、いい情報は入ってこないだろ』って。
若い人って、じつは素の自分の中にある魅力に気付いてない人が多いんじゃないかと思いますね。人にはいろいろとチャームポイントがあるものなんですよ。<指南084>
私のミッション
◆「とにかく安ければいいんじゃない?」というトレンドもありますが、「本当にそれだけでしょうか」と、お客さまにどうわかりやすく問いかけられるか。
◆生命保険の流通においてパラダイムを変えるのは、やっぱり僕たちライフプランナーだと思うんです。
僕は、生命保険と同時に〈知恵と時間を買ってもらう〉ことで、イノベーションを起こしたいんです。<指南050>
自分への勝ち方
◆今日は100やったから十分やないかというのは、自分で天井をつくってしまう、(高く跳べる能力を持っている)ノミにコップを被せてしまう行為になる。
100ではなく120やることで、その20がツキを呼び込むんやないかと思うんです。<指南074>
売れる人、売れない人
◆冷たい言い方ですけど、伸びない人というのは、相手のことを本当に思っていないんじゃないでしょうか。
自分の仕事が人に役立つことが〈心から確信できていない〉から上手くいかない。
◆セールスパーソンである以上、数字はどうしたってほしい。でも、数字がほしいだけというスタンスは、かならず自分に跳ね返ってくる。
『いまここで契約がほしいな』という心の〈よどみ〉は僕だってゼロとは言えない。でも、ゼロにしようという努力はいつも続けているつもりです。<指南114>
最後に
みなさんは「自分の理念」ってありますか?
日々業務に携わっていると、とくに会社など組織のなかでは、”会社の理念”をつねに意識して取り組むというのは、なかなか難しいのではないでしょうか。
現場では、理念の優先や人間性の発揮よりも、売上や数字など「目に見える成果の理解」が先にあるためです。
プルデンシャル生命さんのライフプランナーのみなさん(それから荻原さん、金子さんも)は、会社の理念だけでなく“自分の理念”を得て、自分の信念を大切に「自分自身を運営」しているのだと思います。
“結果やお金はあとからついてくる”とよく言いますね。
挑戦と、反省・改善・実践を「続けること」自体が重要であって、
また「自分はなにを信じることで力が生まれ実践・継続できるか」の理念を見つけているかいないかの違いが、結果的にその人それぞれの成果につながる。
今回のお話から、そういった個人的にも有意義な考察を深めることができました。
荻原さん、金子さん、たくさんの人のためになる貴重なお話を、ありがとうございました!
以上、『「結果を出す」営業成績トップクラスの人が大切にしていること。~日出ずる国のセールスパーソンたちより~』でした。
(執筆・編集/佐々木 晶)
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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部