自社ファン理解が超深まる。ソーシャルリスニングのやり方「ユーザー像調査」を解説

2021/08/25

今回は、ソーシャルリスニングで得られる示唆について、自社商品・サービスの口コミを行う、自社にとって好意的なユーザーの特徴を分析する手法(ユーザー像調査)を解説します。

この調査方法を理解することで、具体的にソーシャルリスニングを通じてどのような示唆が得られるのか、実際にどのような分析を行えばいいのかが分かり、日々のSNS運用やマーケティング活動に役立つ示唆を得るための調査方法を身につけることができます(*本記事の分析対象媒体はX(Twitter)上の口コミデータです)。

    ■目次

  1. 以前の記事の復習:X(Twitter)で得られるデータの特徴
  2. X(Twitter)におけるユーザー像調査とは
  3. 自社商品に好意的な可能性が高いユーザーのプロフィール調査の切り口
  4. まとめ

以前の記事の復習:X(Twitter)で得られるデータの特徴

  1. データの主体がテキストデータである
  2. いいねやリツイートなど口コミを拡散する機能がある
  3. アクティブアカウント数が多く、多様なユーザーからの声を収集できる
  4. 秒単位の時系列データを取得できる

 
X(Twitter)は表現方法の主体がテキストデータであることから、消費者のぽろっと出る本音や嗜好に関して分析できるデータが収集できる可能性が高く、こういった目的のもと調査する媒体として適しているといえます。

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X(Twitter)におけるユーザー像調査とは

ソーシャルメディア上で、自社商品・サービスの口コミを行っている自社に対して好意的な可能性が高いユーザーを収集し、そのユーザーのプロフィールに用いられている単語や普段の投稿内容などから好意的な印象を持っているユーザーの特徴を分析します。

これにより、自社サービスに対して好意的なユーザーが何に興味関心があり、どういった訴求が有効な可能性が高いのか、商品企画やSNS運用に役立つ示唆を得られます。

自社商品に好意的な可能性が高いユーザーのプロフィール調査の切り口

本記事では実際に「ユーザー像調査」の過程を、実在するサービスを題材に紹介します。今回題材とするのは、ガイアックスが運営している体験のシェアリングエコノミーサービス「TABICA(現aini)」です。

https://helloaini.com/about

上記プロセスに沿って、まず自社商品・サービスについて好意的な印象を持っている可能性の高いユーザーを収集します。具体的には、TABICAに対して好意的な印象を持っている可能性が高いユーザーとして下記2種類のユーザーをX(Twitter)上から収集します。

  1. TABICAの公式アカウントのフォロワー(懸賞目的のユーザーなどは除外)
  2. TABICAの口コミを行っているユーザー

次に、上記条件で収集したユーザーのプロフィール情報をワードクラウドという可視化手法を用いて、プロフィールに頻出するワードに特徴が見られるか観察します。

上記ワードクラウドを観察すると、「体験」や「シェアリングエコノミー」や「旅行」といったキーワードが他のキーワードと比較して大きく表示されています。このことからTABICAに興味関心の高いユーザーの特徴として、これらの項目に興味関心があるユーザーが多い可能性があると考えられます。

プロフィール調査から見えてきたユーザー像の深堀り方

次に具体的な分析のプロセスをお見せします。上記プロフィール調査から、TABICAのファンの中には「シェアリングエコノミー」に興味関心があるユーザーが多いと考えられます。

そこで、最初に「シェアエコ」または「シェアリングエコノミー」をプロフィールに含むユーザーをX(Twitter)上から収集します。その後、ユーザー一人ひとりのタイムライン上の投稿(普段の投稿)データを取得します。

加えて、取得した普段の投稿データを先ほどと同様にワードクラウドを用いて可視化し、頻出ワードに特徴が見られるかどうかを調査します。

すると、「教育」というキーワードが他のキーワードと比較して大きく表示されており、「シェアリングエコノミー」に興味関心の強いユーザーは普段「教育」関連の口コミを行っている可能性が高いことがうかがえます。

ただし、今回はワードクラウドで可視化した対象が投稿文章なので、例えば特定の一人のユーザーが熱心に教育というワードを連投しているなど、ワードクラウドで得た示唆を鵜呑みにするのは大変危険です。

そこで、実際に「教育」関係の口コミを行っているのか、現在もアクティブに稼働しているユーザーを中心に、複数アカウントをピックアップして普段のタイムラインの投稿を確認します。

すると、確かに普段から教育にまつわるニュースにコメントを行ったりするなど、「教育」に興味関心がある行動をとっていることが分かります。

このような情報は自社ファンの興味関心であるとも捉えられ、コンテンツ企画にも有益です。例えば、シェアリングエコノミーに興味関心があるユーザーは教育に熱心である可能性が高いことから、TABICAで教育ジャンルの体験を出すとこれらのユーザーからの反響が高い可能性があると考えられます。

まとめ

 

今回はソーシャルリスニングを行うことでどういった示唆を得ることができるのかについて、自社商品・サービスの口コミを行っている自社に対して好意的な可能性が高いユーザーを収集し、そのユーザーのプロフィールに用いられている単語や普段の投稿内容などから、そういった好意的な印象を持っているユーザーの特徴を分析する手法を紹介いたしました。

次回は、企業や個人含め、X(Twitter)アカウントのフォロワーやエンゲージメントをしてくれるユーザーを分析する手法について解説します。

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この記事を書いた人:澁谷海渡

アニメとラーメンをこよなく愛するデータサイエンティスト。学生時代は主にデータマイニング技術に関する研究を行なっている研究室に在籍し、類似数式検索技術に関する研究に従事。ガイアックスに新卒入社後は、データ収集基盤の構築や社内システム開発を行うエンジニアとして活動。現在はソーシャルメディアマーケティング事業部で主にソーシャルリスニングの研究などのデータ分析業務に従事。