5分でわかるソーシャルメディアマーケティング

2020/01/25

ソーシャルメディアマーケティングとは何か。文字通りソーシャルメディアを使ったマーケティング活動のことですが、私たちは意外に「ソーシャルメディアとは何か?」をそもそもよくわかっていません。

その証拠に、私たちはソーシャルメディアをSNSと何気なく言い換えていたりします。でも、SNS=ソーシャルメディアではないのです。まずここから考えてみましょう。

    ■目次

  1. SNSの定義
  2. ソーシャルメディアの定義
  3. 人でつながるか、好みでつながるか
  4. ソーシャルメディアマーケティングの今後

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1. SNSの定義

SNSとは「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(Social Networking Service)」の略称。つまり、「ソーシャル(社会的)ネットワーク(モノ・情報・価値のキャッチボールを行う個人や組織のつながり)をインターネット上に構築するサービス」だということです。

日本で最初にブレークしたSNSはmixi。設立当初は入会には既会員の招待が必須のサービスで、まさにSNSと呼ぶにふさわしいメディアでした。mixiとともにSNSという言葉もひろがり、それがそのままソーシャルメディアの代名詞となりました。今ではSNSの典型例として挙げられるのはFacebookです。LINEもSNS的な要素が強いでしょう。

しかし、Facebookの米国ではSNSという言葉はもちろんありますが、日本語ほど普及していません。それよりも「Social media」と言われることの方が多いのです。「ソーシャルネットワーク」というイメージは、そこまで意識されていません。

もちろん日本語でもソーシャルネットワークを意識しながらSNSと言っている人もそう多くはありません。mixiが最初にヒットしたという経緯、単純に「ソーシャルメディア」よりも「SNS」の方が書きやすいし文字数も少ないので便利ということから使われているという側面が大きいでしょう。

しかし言葉の定義を重視すると、SNSという言葉だとどうしても不都合が出てくるのです。例えば、X(Twitter)は自分たちのことをSNSではないと公言しています。ソーシャルネットワークの構築を目的とはしていないからです。
参考: https://japan.cnet.com/article/35008165/

X(Twitter)は、人や組織のつながりというよりも、情報が広がっていくことに主眼をおいたメディアで、情報をやりとりした結果、ソーシャルネットワークが立ち上がることはあるものの、それは本来の目的ではないということです。だから、フォローとフォロワーはFacebookの一対一関係である友だちとは違い、非対称になります。これはInstagramやPinterestにも同じことが言えます。

X(Twitter)、Instagram、Pinterestはソーシャルネットワークを前提とはしないので、単純にSNSとはいえないということはお分かりいただけたでしょうか。このような事情をくんだ上で、ではX(Twitter)、Instagram、Pinterestはソーシャルメディアではない?

いいえ、ソーシャルメディアなのです。

2. ソーシャルメディアの定義

では一体、ソーシャルメディアとは何か?

ソーシャルメディアとは「万人が参加できる双方向発信のメディア」の総称です。参加者が情報の発信者、伝達者、受信者になることによってひろがる情報ネットワークがソーシャルメディアということです。

個人や組織同士のつながり—ソーシャルネットワークの構築があってもなくてもいいのです。つまり、SNSはソーシャルメディアという、より大きいカテゴリの一部ということです。

そして、ソーシャルメディアとは、私たちが一般的にイメージしているよりもずっと広い概念でもあります

Facebook、X(Twitter)、LINE、Linkedinは当然のこと、YouTube、掲示板サービスやブログ、食べログやクックパッドなども入ってきます。万人が参加して、情報の発信、受信を行うからです。

インターネット以前から存在した壁の落書きや流行歌のようなものもソーシャルメディアに含めるという説もあるくらいです。昔懐かしい駅前の伝言板なんかは、例えばソーシャルメディアですね。XYZと書いたらシティーハンターが助けにきてくれるあれです。
参考:https://www.amazon.co.jp/dp/B00F960TUG/

さて、これで「ソーシャルメディアかつSNSであるもの」と、「ソーシャルメディアかつSNSではないもの」の違いは浮かび上がってきました。

3. 人でつながるか、好みでつながるか

では、ソーシャルメディアではあるけれども、SNSではないものの名前ってなんでしょう?

たしかに個別にはX(Twitter)だとかInstagramだとか壁の落書きだとか伝言板だとか、名指しはできます。しかし、名指しされたそれらを総称するSNSの対概念になる一般的に普及した言葉はないのです。

そのような事情から、我々は「CNS」という言葉を使っています。「コンテンツ・ネットワーキング・サービス(Contents Networking Service)」の略称です。

なぜ、そう呼ぶべきなのか。例えば、Pinterestで考えてみましょう。

Pinterestはリーチさせるために、フォローという要素の重要度はそこまで高くありません。
参考:https://gaiax-socialmedialab.jp/post-58034/

フォロワーの数よりも、アップしているコンテンツの質と量の方が大事で、その質と量が優れていれば、ビューは増えるのです。

なぜそのようなことが起こるかというと、「人と人のつながり」ではなく、「人の好み」でコンテンツがやり取りされるからです。自分がピンしているコンテンツと傾向の似通ったコンテンツが、どんどん自分におすすめされてくる仕組み(≒アルゴリズム)になっているのです。

例えば柴犬が好きで柴犬情報を一生懸命集めていると、その好みと近いところにある、豆しばの情報もどんどんおすすめされてきたりするわけです。柴犬好きの人は豆しばを好きになる確率も高いとプログラムが判断しているわけです。

そうなると、フォロワー数といった社会的ネットワークの影響力の強さだけではなく、情報に対する「好み=興味関心」が、情報のリーチとより深く関係する。例えば、フォロワーの多い人のニッチな情報よりも、フォロワーは少ないけど多くの人が関心を持つ情報を流した方が、多くリーチするような世界なのです。

社会的ネットワークは弱くても、好みのレーダーに引っかかれば全然OKというわけです。

それはInstagramでもそうで、情報はハッシュタグを通じ、フォロー関係を越えて伝播していきます。また、左下の虫めがねのアイコンをタップすれば、「発見」が立ち上がり、自分の好みの情報がズラーっと出てくるわけです。

YouTubeもまさにそうで、おすすめされる動画は、ユーザーの視聴履歴や評価から最適化されたものが割り出されているため、ついつい連続で動画をみてしまうわけです。

つまりパーソナライゼーション(個人最適化)されているわけです。

X(Twitter)にも(今後変わる可能性はありますが)、パーソナライズされたアルゴリズムが働いてはいますが、複数アカウントを持てるので、ソーシャルネットワークを主眼においたプライベートグラフ(実際の知り合い同士のつながり)で運用するアカウントと、欲しい情報を発信してくれるユーザーをフォローする(このつながりはインタレストグラフと言います)アカウントと使い分けいる人も多いでしょう。

実際には各メディアがSNSとCNSできれいにどちらか分かれるというわけではなく、それぞれの要素の濃淡があるということにはなりますが、従来考えられていたようにフォロワーを集めれば勝ちなどとというわけではないのはお分かりいただけたと思います。

SNSでは「何(what)」を言うかよりも「誰(who)」が言うかが重視されます。

CNSでは「誰(who)」が言うかよりも「何(what)」を言うかが重視されます。

4. ソーシャルメディアマーケティングの今後

アカウントの説得力を育てるか、コンテンツの魅力を育てるかは別のアプローチなので、戦略も変わってきます。

例えば、CNSでマーケティングを行おうという時、実はアカウントを立ち上げたり、インフルエンサーに協力をあおいだりを必ずしもする必要はありません。

ソーシャルメディア上に「話題=みなの好むコンテンツ」さえ提供できればいいのです。インスタ映えやツイッター映えするようなストーリーを設計しユーザーに自由に盛り上がってもらう。これもソーシャルメディアマーケティングなわけです(実際にはアカウントや広告を支援的に使うことが多いのですが、それはあくまで効果を最大化するためです)。

とにかく情報そのもののトンガリを出したり、アカウントを持って発信する場合も、タグづけなどで整理したり、狙うクラスタに届きやすいようにテキスト、画像、動画をわかりやすく編集したり、検索にひっかかりやすいキーワードを仕込んでいくことが大事になってきます。

また、最初から強力なブランド力を持っている人や組織のアカウントなら、コンテンツが多少凡庸でもじゅうぶんに効果があるということもあります。よく知らない人に「こんにちは」と言われるのと、憧れの人やブランドに「こんにちは」と言われるのではもうありがたみがまったく違うわけです。

有名だが自分とは関係なさそうなブランドでも、親しげに話しかけてもらえると親近感が沸くということもありますし、大企業の中の人が大企業らしからぬおどけを見せ、そのギャップでユーザーの心をつかむという手法もよく使われています。

そんなにブランド力がないケースの場合は複合型で、最初はCNS型でコンテンツ作りにリソースを多めに割きアカウントの影響力を作っていってから、優良なフォロワーが増えたりエンゲージメントしやすい状態ができたら、SNS型アプローチの割合を増やしていくということもあります。

さて、「結局SNSとCNS、どっちが有効なの?」という問いが残りますね。

これは身も蓋もないですが、結論は目的と全体の戦略次第ということになります。目的に応じて、私たちはそもそもソーシャルメディアマーケティングを薦めないことすらあります。

SNSマーケティングとCNSマーケティングは、ソーシャルメディアマーケティングの一部ですが、ソーシャルメディアマーケティングも、あくまでマーケティングの一部なのです。

マーケティングの全体の中で、SNSをCNSをどのように位置づけるか、活用するかがソーシャルメディアマーケティングにとっては重要なこととなり、私たちもいつもその観点から支援させていただいています。

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この記事を書いた人:重枝義樹

マーケター。ソーシャルメディアマーケティング事業部 部長。ガイアックスでは大手企業、官公庁中心にソーシャルメディアマーケティングの支援を行う。ガイアックスでの5年に及ぶ経験をもとに、本気でソーシャルをやりたい人のためにSNS禁止のガチ勉強会も行う。

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