UGC活用でユーザーの関心を掴む!旅行代理店業界4社のInstagram運用を比較・調査!
2017/10/19
10月に入り、以前に比べて寒さを感じる日々が一層増えてきました。また、行楽シーズンに向けて旅行の行き先をSNS等で検索し始めているユーザーのみなさんも少なくないのではないでしょうか。
今回の記事ではそういった旅行予約や宿泊先の手配を行なっている旅行代理店企業がInstagramアカウントをどのように運用しているのかに焦点をあてて調査しました。(Instagram分析ツールAista使用)
- ◼︎目次
- 調査概要
- 事例
- まとめ
1. 調査概要
調査対象
今回は下記4アカウントについて、2017年6月から8月の3ヶ月分のデータを調べました。
- じゃらんnet公式
- エイチ・アイ・エス
- DeNAトラベル
- 楽天トラベル
調査項目
下記3項目に注目し、分析しています。
※なお数値は調査時(9月)のものであるため、現在の数値と変化がみられる場合があります。
- 期間内の投稿数
- 投稿数の多いハッシュタグ
- アカウントの特徴
2. 事例
①じゃらんnet公式
- 運営:株式会社リクルートライフスタイル
- アカウント開設:2016年4月
- フォロワー数:14,086人
投稿数(2017 6/1~8/31)
いくつか非表示になっている投稿があるため、正確な頻度を把握するのは難しいですが、ひと月あたり平均して13〜14投稿ほどとなっています。
投稿数の多いハッシュタグ
旅行代理業ということもあり、「#trip」のハッシュタグは王道のようです。その他にも、「#にゃらん」「#じゃらん」といった独自のハッシュタグを組み込んでいます。
アカウントの特徴
2016年4月に開設以来、イメージキャラクターの旅猫「にゃらん」がじゃらん編集部員と共にコンテンツを配信しています。季節の訪れを感じさせる風景や旬な食べもの、そして何より眺めるだけで癒しとなるにゃらんの愛らしい姿に多くのファンが投稿を楽しみにしているようです。語尾は「〇〇なにょだ」。
全てがにゃらんの投稿ではユーザーへの飽きを与えてしまうのを見越してか、編集部員とにゃらんによる投稿のバランスの良さが伺えます。編集部によるフォトジェニックな写真も印象的ですが、にゃらんの投稿を前にしてその反応の差は歴然。
ちなみに、X(Twitter)では「じゃらんnet公式」と「にゃらん」といった形でアカウントを運営しています。じゃらんnet公式アカウントの方では季節に合わせた全国各地のイベントやおすすめスポット情報をタイムリーに配信しています。
一方、にゃらんアカウントは投稿している写真はInstagramと同じであるものの、文言やハッシュタグはX(Twitter)へ最適なものに変えられています。こういった少しの配慮もアカウントを運営する上では非常に重要なポイントになってきます。
投稿の非表示、その真偽はいかに
調査を進めていく上で気になる点がありました。それは、かつてこちらのアカウントで表示されていた投稿のいくつかが一般ユーザー向けに非表示になっていた点です。
調査開始時、にゃらんと師弟関係(という設定)にあった乃木坂46との投稿も見られていました。しかし、その投稿の多くは現在非表示になっています。
引き続き、Instagramアカウント調査ツール「Aista」を使って調べて見たところ、2つのことがわかりました。それは、
- このアカウントで、アイドルのみを写した投稿はあまり反応が良くなかった。
- 同じアイドルを写した投稿でも、にゃらんが共に写るか写らないかでユーザーによる反応が異なった。
ということです。
エンゲージメント率の低かった投稿のハッシュタグをみて見ると以下のものがあげられます。
これらのハッシュタグを含む投稿のエンゲージメント率がなぜ低かったのかという点について調査してみたところ、考えられる原因として上げられるのは、その投稿のほとんどが「アイドルのみ」を写した投稿であったことです。
にゃらん単体の投稿の場合、エンゲージメント率はおよそ8%〜12%あたりを推移しています。
一方、アイドルのみを写した投稿の場合、そのエンゲージメント率は全て5%以下となっています。しかし、にゃらんとアイドルを「共に写した」場合、エンゲージメント率は通常のにゃらんによるそれとほとんど変わりがないようです。
もちろんアイドルとコラボを通じて、今までとは異なるユーザーにじゃらんnet(にゃらん)の認知拡大ができるケースもあります。それだけでなく、同じタイプの投稿ばかりであったものに変化を加えることで、ユーザーを飽きさせない工夫として機能する場合もあります。
じゃらんnet公式のアカウントがこれらの投稿を非表示にした理由が定かではありませんが、長い時間をかけてファンと共に築き上げてきたアカウントで、少し方向性が異なるコンテンツを配信する際は少し注意が必要なのかもしれません。
Instagramで特定の投稿を非表示にする方法とそのメリット等についてはこちらのInstagramアーカイブ機能活用法の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
Instagramの新機能「アーカイブ」で投稿を削除することなく非公開に!使い方を徹底解説
https://gaiax-socialmedialab.jp/post-53814/
②エイチ・アイ・エス
- 運営:株式会社エイチ・アイ・エス
- アカウント開設:2012年4月
- フォロワー数:33,805人
投稿数(2017 6/1~8/31)
ユーザーからの投稿を活用していることもあり、継続的にコンテンツを配信できていることがこちらのグラフからはわかります。どのSNSでも、長期的にユーザーと関係を構築していく際に「継続性」があるかどうかは重要な要素になります。こういった点にUGCを活用するメリットがあります。
投稿数の多いハッシュタグ
「#ヒマワリタビのセカイ」「#アオのセカイ2017」のように、「#〇〇のセカイ」といったハッシュタグ付きの投稿をユーザーに呼びかけ、集められた投稿からさらにピックアップして公式アカウントで紹介しています。ユニークなハッシュタグを上手く活用している一例です。
アカウントの特徴
国内・海外旅行の手配などを行う総合旅行サイト、エイチ・アイ・エス。公式アカウントとは別に、旅好きの女子向けにフォーカスされた「タビジョ」も運営。こちらで紹介される写真も主に「#タビジョ」で集められたものとなっています。
公式アカウント、タビジョ共に、アカウント構成の要素はユーザーから提供されるコンテンツがメインとなっており、「投稿を提供するユーザー」と「投稿をお借りするエイチ・アイ・エス」の関係性が明確です。投稿に乗じた格安旅行プランのおすすめやそのリンク掲載などが見当たらないことからも、ユーザーと関係を構築する上でのエイチ・アイ・エス側の配慮を感じることができます。
ネタ切れやコスト面からも、企業側が全てコンテンツを準備して、それらを継続的に提供していくのは非常に困難なことです。ですが、極端な言い方をすれば一つの観光地に対し、100人いれば100通りの写真の撮り方や言葉での表現の仕方があります。企業が何かをPRする際、その多くに「実際のもの以上に良く見せようとする」ケースが見られます。ユーザーの行動の根本には、自分が良いと思ったものに反応し、それを紹介しようとする性質があるため、このようなUGCの活用は、一方向的な企業のPRに比べてユーザーの関心を掴みやすいのです。
このエイチ・アイ・エスによるアカウント運用の仕方で注目したいもう一つの点は、オウンドメディアとの連携です。ユーザーから集められた豊富なコンテンツを、海外情報をまとめた自社メディア「Like the World」で展開。「#〇〇のセカイ」でピックアップした9つの投稿を記事化したり、H.I.S.タビジョ公式インスタグラマーと共同でローカル情報満載の観光案内をマガジンにしたりしています。
③DeNAトラベル
- 運営:株式会社DeNAトラベル
- アカウント開設:2016年4月
- フォロワー数:1,246人
投稿数(2017 6/1~8/31)
投稿数の多いハッシュタグ
おそらく多くの人がすでに何度も目にしている「#旅行好きな人と繋がりたい」「#写真好きな人と繋がりたい」のハッシュタグ。これらのハッシュタグ自体の認知度と汎用性が高く、現在でもこれらを用いて投稿されることが多いようです。「アカウントを開設したばかりだから認知を拡大したい!」、「投稿をもっと検索してもらいたい!」といった場合であれば、このようなハッシュタグを組み込むことも有効に働く場合があります。
アカウントの特徴
同じく旅行代理店業を営むDeNAトラベルによるアカウント。DeNAトラベルキャラクターの「で〜なさん」は、たまご体型に黄色い帽子が特徴です。
DeNAトラベルのアカウントでは、イベントやキャンペーンの告知だけでなく、上に表示したようにユーザーの投稿をリポストする様子が見られます。ハッシュタグで「#でーなさん」と検索すると関連した投稿が2000件ほど表示されることから、にゃらん同様、自社にキャラクターがいることもユーザーとの関係を作る上で大きなメリットになることがわかります。
④楽天トラベル
- 運営:楽天株式会社
- アカウント開設:2015年6月
- フォロワー数:3,997人
投稿数(2017 6/1~8/31)
こちらの楽天トラベルのアカウントでは投稿に規則性は見られないものの、継続したコンテンツの配信ができているようです。
投稿数の多いハッシュタグ
ハッシュタグに際立った特徴は見られませんでしたが、DeNAトラベルのように検索されやすいハッシュタグを主に使用することで多くのユーザーがアプローチできるようにしています。
アカウントの特徴
ユーザーから反応が高かった投稿の一つがこちら。早すぎず、かつ遅すぎずのタイミングでユーザーに有益な情報を共有しています。またInstagramというビジュアルへ訴えかける特性を活かした花火の写真は、「夏も終わりかあ。最後に見納めでもしてこようかな。」なんて気分にさせてくれるのではないでしょうか。
まとめ
キャラクターの活用やUGCの活用、独自のハッシュタグの組み込みなど、4社4様の運用の仕方がありました。
また投稿数のグラフをみてもわかる通り、継続してコンテンツを配信することがいかに困難なことであるかを目にする機会になったのではないでしょうか。
また投稿にUGCを活用する場合は特に、企業は「写真をお借りしている」という意識を持つことがユーザーと親密な関係を構築していく上で重要になります。
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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部