日本では普及するか?企業のLinkedIn活用方法・事例まとめ
2019/09/19
日本ではまだまだ利用者は少ないものの、海外のビジネスパーソンの間ではかなり広がっているというビジネス特化型SNS「LinkedIn(リンクトイン)」。
じつはマーケティングや採用にも役立つツールなんです。
今回は「LinkedIn」の概要・できることといった基礎的なところから活用事例までを紹介します。
※編集部注:
2019年9月19日:最新情報を元に加筆修正しました。
目次
- LinkedInの特徴とユーザー数
- 企業における2つのLinkedIn活用方法
- LinkedIn活用に向けたステップ・社内体制の構築
- 採用にLinkedInを活用した事例3社
- インバウンドマーケティングにLinkedInを活用した事例
- アウトバウンドマーケティングにLinkedInを活用した事例2社
- まとめ
1. LinkedInの特徴とユーザー数
LinkedInとは
LinkedIn(リンクトイン)は数あるSNSの一種ですが、その中でもビジネスユースに特化しているのが特徴です。
2003年にアメリカでサービスをスタートさせ、現在に至るまで多くのビジネスパーソンが利用しています。
公的なプロフィールとして使ったり、取引先の人とつながるために使ったりなど、自分の日常やプライベートを投稿するFacebookなどのSNSとは使われ方が異なります。
日本には2011年に上陸しました。
ユーザー数
2019年現在、世界200カ国以上で6億人を超えるビジネスパーソンがLinkedInを利用しています。
日本でもユーザー数が200万人に増えてきましたが、アメリカでのユーザー数は1億6,000人以上で、日本より人口が少ないイギリスでも2,700万人以上です。
日本では諸外国に比べ認知度がまだまだといえるでしょう。
https://news.linkedin.com/about-us#statistics
2. 企業における2つのLinkedIn活用方法
企業としてLinkedInを活用する場合、その用途は採用か広報、マーケティングの3つに大別されます。以下でそれぞれの活用方法について解説します。
部門 | 役割 | タスク |
---|---|---|
人事 | 採用 |
|
広報 | 企業コミュニケーション戦略 |
|
広告宣伝マーケティング | 製品マーケティング管理 |
|
引用元:LinkedIn会社ページ開設方法と運用について_201907.pdf
採用
そもそもLinkedInは、「このSNSを使って会員をヘッドハンティングできる」「就職・転職ツールのひとつとして使う」といった採用に関わるツールとして有名になりました。
LinkedInでは個々人がビジネスパソーンとしてのプロフィールを公開しているので、企業側は必要な人材の条件で検索し、採用したい会員に直接アプローチできます。
逆に企業の情報も多く発信されているので、仕事を探す側としては企業情報を集める転職用SNSと捉えて利用している人も少なくないようです。
参考:http://news.mynavi.jp/articles/2014/03/13/linkedin/
広報
会社ページを作成し情報発信することは自社の広報・ブランディングに役立ちます。
投稿した情報はフォロワーのフィード上に表示されるため、企業やサービスの認知度向上や、企業メッセージの伝達に活用できるのです。
参考:https://marketingnative.jp/how-to-use-linkedin/
マーケティング活動
インバウンドマーケティング
LinkedInには「企業のページ」を開設する機能もあり、ブログ、動画、画像などを投稿できます。
ここまではFacebookページと同じですが、「ビジネス特化型SNS」だからこそ遠慮なく自社のPRや営業活動ができるのがポイント。
見る側もビジネスという前提で閲覧しているので、魅力的なコンテンツであればむやみに嫌われることもなく、見込み顧客として自社に関心の高いユーザーが集まります。
アウトバウンドマーケティング
LinkedInも他のSNSのように広告の掲載ができます。顧客となり得る層にターゲティングして掲載することができるので、効果的に自社の宣伝ができると考えられます。
また、メッセージ機能を使って、個人単位でダイレクトに営業することもできます。
顧客となりえそうな層や決裁者に絞って検索をかけ、個々に働きかけることもできます。
3. LinkedIn活用に向けたステップ・社内体制の構築
LinkedInの導入と活用に向けて、以下のように進めていきます。
- 現状確認
- 戦略策定
- 計画実行
では具体的に内容を見ていきましょう。
1.現状確認:LinkedIn内での自社の状況を確認
まず自社ページの現状を確認します。
そもそもページがあるのかないのか、すでにある場合は登録数やフォロワー数、管理状況、有料サービスの利用状況などを確認します。
また、社内の従業員がLinkedInを利用しているかも確認するのがおすすめ。できれば従業員同士が半数以上つながっていると理想的です。
ほかにも、社内でLinkedInからの採用実績があれば確認しておきましょう。
SNS上での企業名の記載を制限しているなど、ガイドラインがある場合は今後の対応を検討します。
2.戦略策定:LinkedIn活用戦略の策定
改めて課題を整理し、「LinkedInをどう活用していくか」を決めます。
解決したい課題に対してLinkedInが最善策なのかを再確認し、LinkedInの位置づけを定義しましょう。
例えば採用目的なら企業文化の醸成と紹介、マーケティング目的なら製品やサービスの訴求をする、などです。
それに紐づくKPIの設定も必要となります。
アカウントの運用体制や発信内容も決めなければなりません。1日に少なくとも1回は情報発信する、時間帯なども具体的に決めておくとよいでしょう。
外部の業者を活用する場合、そういった予算の確保も必要です。
3.計画実行:計画の実行・改善
戦略に沿って実際に作業を進めていきます。
会社ページはブランドの基準に沿ったデザインや企業メッセージに統一します。
会社ページやブログ機能からの投稿、広告、社員の協力による拡散は継続的に行うことが大切です。
設定した目標をもとに効果測定をしながら、改善を進めていきましょう。
4. 採用にLinkedInを活用した事例3社
ここからは、実際にLinkedInを採用に活用し、成功した事例を紹介します。
①株式会社メルカリ
LinkedInを採用ツールとして使い始めたのは2015年から。まだ日は浅めですが、着実に成果が出ているそうです。
単にLinkedInを通じてスカウトメールを送るのではなく、採用したい会員に同じ職種の人を集めた「ミートアップ」の案内を送るという手法をとっています。
ミートアップは気軽に飲み食いをしながら話せる場となっており、こうして自社のファンを集め、「自社で働く魅力」を伝えることで採用につなげています。
(参考URL:https://seleck.cc/article/194)
②ツネイシホールディングス株式会社
国内外で採用を行っているツネイシホールディングスでは、「知名度が低い」「オンラインへの対応が遅れている」というふたつの課題があり、その2点を克服するためにLinkedInを活用しました。
ターゲット層がいるプラットフォームとしてLinkedInを選び、そこに自社ページを設け集客しました。
会社の最新情報や社内イベントといった「働く場としての情報発信」をすることで、ターゲット層とエンゲージメントを図り、半年足らずでターゲットとなる人材層を中心に3,000名以上のフォロワーを獲得。
短期間で成果を出しています。
参考:https://seleck.cc/note/linkedin/article/19
③エクスペディアホールディングス株式会社
旅行予約サイトとして有名なエクスペディアでは、LinkedInを使ったダイレクトソーシングでコスト削減と採用スピードアップを達成。
その結果3ヶ月という短期間で4名もの採用に成功しました。
人材紹介会社など第三者を挟まないダイレクトソーシングでは、やりとりのスピードが速い上に密なコミュニケーションを取れます。
これにより候補者のオファー承諾率を100%にすることができたそうです。
参考:https://seleck.cc/note/linkedin/article/10
5. インバウンドマーケティングにLinkedInを活用した事例
イギリスのソフトウェア会社であるファイヤーフィッシュ社ではLinkedInを「インバウンドマーケティング」に活用しています。
自社ページを開設し、ブログや動画の投稿等質の良いコンテンツを発信、SNSという性質を活かして「潜在顧客や既存顧客と交流するツール」としてもLinkedInを活用しています。
結果としてファイヤーフィッシュ社では、自社サイトへの訪問数が335%、リード数が190%増加しました。
http://www.untsocialmedia2.com/?p=926
6. アウトバウンドマーケティングにLinkedInを活用した事例2社
①アドビシステムズ株式会社
様々なビジネスツールやサービスを展開するアドビも、LinkedInを使って自社製品の認知を広げています。
LinkedInの精度の高いターゲティング機能を活用し、広告出稿、ダイレクトなメッセージ送信などを実施。
また、単にツールを使うだけではなく、メールの文面を相手によって変えるなど、より関連性を高めてアプローチしました。
こうしたLinkedInを用いたキャンペーンに注力し、アドビはレスポンス率を前年比270%にまで押し上げることに成功しています。
参考:http://www.slideshare.net/linkedinjapan/linkedin-20166
②富士通株式会社
富士通でも企業情報の発信、広告の2点でLinkedInを活用しています。
ピンポイントに「IT企業の決裁者」をターゲットとし、「自社への興味関心を持ってもらう・認知させる」「関係を構築する」などをいくつかの目的でキャンペーンを行いました。
ターゲットの関心を引きそうな流行の話題を取り上げたコンテンツを動画やブログ記事など様々な方法で発信するほか、クロスデバイスでコンテンツを配信し、確実にターゲット層にリーチできるよう工夫を凝らしています。
結果、キャンペーンを実地したイギリス、フィンランドの両国で7,500回を上回るクリック数を獲得。
特にフィンランドではコンテンツへのリーチがさらに増加し、4.4万を超えるインプレッションを獲得しています。
参考:http://blog.members.co.jp/article/19045
7. まとめ
LinkedInがどういった面で“使える”ツールなのかご理解いただけたでしょうか。
LinkedInの魅力的な点は、「ビジネスを前提としているため、潜在顧客になり得る人が多い」こと、そしてそういったユーザー層に対して「詳細にターゲットを設定してアプローチできる」ことではないでしょうか。
ターゲティングが重要となる「採用」「マーケティング」では、非常にポテンシャルの高いツールと言えます。
まずは登録して、どのような企業、人がどのように活用しているのか、どのような情報を発信しているのかチェックしてみるだけでも面白いかもしれません。
また日本国内での活用に関してはまだまだ未知数ですが、グローバル展開する企業は是非活用したいSNSです。
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