やるとやらないで、大違い。ソーシャルリスニングを駆使したX(Twitter)プロモーションの効果測定について

2021/09/17


今回はソーシャルリスニングを通じて、例えばSNS上で馴染み深いサービス/新商品のプロモーション(フォロー&リツイートキャンペーンなど)の効果をSNS上の口コミデータから観測する方法を解説します(*本記事の分析対象媒体はX(Twitter)上の口コミデータです)。

この調査方法を理解することで、ソーシャルリスニングを通じてどのような示唆が得られるのか、実際どのような分析を行えばいいのかが具体的に分かり、日々のSNS運用やマーケティング活動に役立つ示唆を得るための調査方法を身につけることができます。

目次

  1. 以前の記事の復習:X(Twitter)で得られるデータの特徴
  2. プロモーションの効果測定におけるソーシャルリスニングの有効性
  3. プロモーションに反応したユーザーの口コミ率・口コミ継続率の調査
  4. 継続して口コミが発生している要因の調査
  5. 継続して口コミを行っている消費者の調査
  6. まとめ

以前の記事の復習:X(Twitter)で得られるデータの特徴

  1. データの主体がテキストデータである
  2. いいねやリツイートなど口コミを拡散する機能がある
  3. アクティブアカウント数が多く、多様なユーザーからの声を収集できる
  4. 秒単位の時系列データを取得できる

X(Twitter)は表現方法の主体がテキストデータであることから、消費者のぽろっと出る本音や嗜好に関して分析できるデータが収集できる可能性が高く、こういった目的のもと調査する媒体として適しているといえます。

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プロモーションの効果測定におけるソーシャルリスニングの有効性

昨今、X(Twitter)などSNSでは、通常運用含めたプロモーションやキャンペーン施策が行われています。こうしたプロモーションでは各媒体のインサイトデータを用いて、どれくらい閲覧されたのか、クリックされたのかといった定量的な評価が可能になります。

こうした分析は数値をもとに振り返り行い、次回以降のプロモーション効果の改善につなげられるため、重要です。ただし、こうした振り返りから得られる情報だけでは、これらのプロモーションにエンゲージメントしたユーザーはどういったユーザーなのか、プロモーションに反応したユーザーは実際に紹介されていたサービスを利用したのか、利用したユーザーはその後も継続的に利用しているのか、継続して利用してくれている要因は何かといった、定性的な情報までは得られません。

そこで、本記事ではソーシャルリスニングを通じて施策の反響がユーザー層ごとに分かり、施策後の行動変容がいかに行われたのかといった視点からプロモーションの効果測定を行う方法をお届けします。

X(Twitter)におけるプロモーションの効果測定の重要性

企業担当者の方は、自社サービスや新商品をローンチする際にX(Twitter)でフォロー&リツイートキャンペーンやインスタントウィンキャンペーンといった、商品の認知拡大やサービス利用の促進を図るためのプロモーション活動を行うことがあると思います。

SNSのプロモーションに限ったことではありませんが、こうした施策では効果を都度検証し改善を行う必要があります。なぜなら、そうした振り返りを行わないままプロモーション施策を実行し続ける限り、必要以上の予算を投下してしまったり、本当は効果がないのにリソースを投下し続けてしまうリスクに気付けないからです。

X(Twitter)上で行ったプロモーションは前章で述べた通り、クリックやリンク遷移、フォローなどのアナリティクスデータなどを分析することで定量的な振り返りが可能です。一方で、さまざまなプロモーションを行うなかで、どういう人がどの種類のプロモーションに反応しているのか、反応した人が実際にサービスを利用してくれたのか、その口コミがポジティブかネガティブかなど、定性的に評価することができません。

ソーシャルリスニングを行うことで、こうした定量的な調査では見えなかった側面からプロモーションの効果を観察することが可能になり、定量・定性の両面からプロモーション施策の効果検証を行うことができるようになります。

プロモーションに反応したユーザーの口コミ率・口コミ継続率の調査

では実際にどういった分析が可能かを示すため、今回は、とあるスマートフォンアプリのプロモーションを例に出します。

プロモーション毎にリリース後の口コミ継続率を可視化

口コミ人数 口コミ件数
ユーザーリストの定義 リスト人数 1週間目 2週間目 3週間目 ユニーク数
総計
1週間目 2週間目 3週間目 ユニーク数
総計
プロモーションA 2,000 1,000
50%
750
37%
500
25%
1,200 4,000 2,000 1,800 7,800
プロモーションB 500 250
70%
250
50%
225
45%
300 2,200 1,300 1,000 4,500
プロモーションC 500 200
40%
125
25%
100
20%
22 1,250 600 500 2,350
プロモーションD 300 150
50%
15
5%
9
3%
150 400 50 30 480
プロモーションE 2,500 250
10%
125
5%
75
3%
300 1,000 500 400 1,900

※口コミ人数の下の数値(%)は、元のリスト人数を100%とした時の残留率

まず、アプリのリリースに向けて実施された複数のプロモーションを分類します。例えば、フォロワー獲得を目的とした懸賞投稿、ゲームの風景を紹介するような投稿。先行体験版を実施していた場合はそうした施策期間に口コミを行っていたユーザーといったように細かく分類し、各施策について、「アプリリリースまでにリツイートしたユーザー」「口コミを行ったユーザー」をそれぞれリスト化します。

その上で、アプリのリリース後に口コミを行っているユーザーと、各プロモーションに参加していたユーザーを照らし合わせます。すると、後者の各プロモーションに反応したユーザーから、新商品販売後に口コミを行っているか、購買しているか、継続口コミ状況はどうかなどの動向が観察できます。

これにより、どのプロモーションに反応したユーザーがその後継続した口コミを行ってくれているか、プロモーションごとの反応の違いを比較できるようになり、積極的に口コミを行ってくれるユーザーがどの種のプロモーションから流入してきたのか振り返りが可能になります。

継続して口コミが発生している要因の調査

次に各プロモーションで獲得したユーザーリストを見て、期間中にずっと継続して口コミしている人と、1週間目で口コミをしなくなったユーザーの比較を行います。

ワードクラウドによりそれぞれの口コミ内容の比較を行うと、3週間継続して口コミを行っているユーザーは、仲間と協力して遊べる「パーティコンテンツ」や「ダンジョン」に関する言及が目立つ一方で、1週間目で離脱したユーザーはそうした言及がほとんどないまま、そのゲームに関する口コミが出てこなくなる様子がうかがえます。

つまり、今回のソーシャルリスニングにより、「パーティコンテンツへの導線を見直すことで継続率の改善につながる可能性がある」といった仮説を得ることができました。

実際には、ログデータなどの定量的な調査と組み合わせて最終的な判断するべきですが、定量的な調査を実施する際に、定性的な調査からこうした示唆も得ていれば、より効率的かつ多角的な分析が可能になり、結果として運営施策の改善につながる示唆を発見できる可能性が高まると考えられます。

継続して口コミを行っている消費者の調査

 前章ではワードクラウドによって口コミの内容を調査しましたが、ソーシャルリスニングでは、さらに実際に継続した口コミを行ってくれているユーザー(いわゆる「ファン」)のペルソナを、普段の口コミなどから調査することも可能です。 例えば、口コミ回数が多いユーザーや推奨行動をとってくれているユーザー、ネガティブな口コミをしているユーザーなどさまざまな切り口からユーザーをピックアップし、それぞれ普段はどういったことをつぶやいているかを観察することで、その人の趣味嗜好(サイコグラフィック)の特徴まで見えてきます。

まとめ

今回はソーシャルリスニングにより得られる示唆について、X(Twitter)におけるプロモーションに反応したユーザーを分析する手法について紹介しました。 

弊社ではソーシャルリスニング及びデータ分析、SNS運用代行/コンサルティングサービスまで一貫したサービスを提供しております。今回の記事でご興味をお持ちいただけましたら、ぜひこちらのページからお問い合わせください。

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この記事を書いた人:澁谷海渡

アニメとラーメンをこよなく愛するデータサイエンティスト。学生時代は主にデータマイニング技術に関する研究を行なっている研究室に在籍し、類似数式検索技術に関する研究に従事。ガイアックスに新卒入社後は、データ収集基盤の構築や社内システム開発を行うエンジニアとして活動。現在はソーシャルメディアマーケティング事業部で主にソーシャルリスニングの研究などのデータ分析業務に従事。