実践! X(Twitter)におけるソーシャルリスニングの検索キーワードの設計方法
2021/11/30
本記事では、X(Twitter)ですでにソーシャルリスニングに取り組んでいる人が、よりうまく活用するため、非常に重要な要素である「検索キーワードをどのように設計するか」を紹介します(*本記事の分析対象媒体はX(Twitter)上の口コミデータです)。
もっと基礎が知りたい、前提から理解を深めたい方は下記記事がおすすめです。
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以前の記事の復習:X(Twitter)で得られるデータの特徴
- データの主体がテキストデータである
- いいねやリツイートなど口コミを拡散する機能がある
- アクティブアカウント数が多く、多様なユーザーからの声を収集できる
- 秒単位の時系列データを取得できる
X(Twitter)は表現方法の主体がテキストデータであることから、消費者のぽろっと出る本音や嗜好に関して分析できるデータが収集できる可能性が高く、こういった目的のもと調査する媒体として適しているといえます。
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注意点:検索キーワードは慎重に設計しないと失敗する
上記はX(Twitter)ユーザーの増加具合を表しています。ユーザー数の伸びに伴い、ソーシャルメディア上には消費者からの口コミが日々蓄積されており、その全てを把握することはもはや不可能な量のデータが存在しています。
そんな大量の口コミデータをただ闇雲に探索していては、自社商品やサービスに関する重要な消費者のインサイトを発見することは非常に困難になります。そのため、ソーシャルメディアという莫大な口コミデータの中から示唆のあるデータを取り出すには工夫が必要になります。
そこで重要になってくるのが、そもそもソーシャルリスニングを何のために実施するのかという目的設定と、目的に応じた検索キーワードの設計です。 ここからは、この目的に応じた検索キーワードの設計方法について解説していきます。
ソーシャルリスニングにおける検索キーワード設計の考え方
ソーシャルリスニングにおけるキーワード設計において重要なポイントは以下の4つです。
- ソーシャルリスニングの目的を定める
- 調査対象がどのようなキーワードで口コミをされているか調査する
- 調査するにあたってノイズとなる情報を定義する
- 仮説を検証するために口コミを絞り込む
①ソーシャルリスニングの目的を定める
企業様のご支援をしていると、すでにX(Twitter)運用に慣れている方であっても、「とりあえず(商品名)を調べて欲しい」といった目的が不明確なご要望を出される場合があります。 もちろん、商品名を含む口コミを調査するということは有効な手段であり、必ず検索するキーワードではあります。
しかし、その先にあるべきソーシャルリスニングを実施する目的を明確にしなければ、すでにUGCが大量に発生している商品の場合、手探りで大量のデータを探索することになり、非効率です。
またUGCがまだ少ない商品の場合(少ない口コミの中にも示唆的な口コミが存在する場合はありますが)、商品名による検索は有効に働かない場合がほとんどです。
そうした理由から、ソーシャルリスニングにおける検索キーワードを設計するには、まずソーシャルリスニングを通じて「何をあきらかにしたいのか」仮説を立て、その仮説に沿った目的を定義することが重要です。
例えば、「自社ブランドがどのような評価を受けているのかあきらかにしたい」のであれば、メインとなるキーワードは自ずと自社ブランド名になります。明確にしたいことが「商品Aと商品Bの口コミの差分」であれば、具体的な「商品A」「商品B」がメインのキーワードの候補になります。
調査の目的によっては、具体的なブランド名や商品名ではなく、特定の市場や商品カテゴリがメインのキーワードになる場合もあるでしょう。
例えば、「アイスクリームが夏以外に盛り上がる時期があるのか調査したい」といった目的であれば「アイスクリーム」や「アイス」といったキーワードを用いるでしょう。
このように、ソーシャルリスニングにおける検索キーワードを設計するには、ソーシャルリスニングを通じて「何をあきらかにしたいのか」を定義し、その定義に沿った調査を行うために、メインとなるキーワードを検討する必要があります。
②調査対象がどのようなキーワードで口コミされているか調査する
メインとなる検索キーワードの検討が終わったら、次は調査対象のキーワードがどのように口コミされているのかを調査します。
例えば、スターバックスであれば「スタバ」という略称がありますし、マクドナルドの場合は「マック」や「マクド」など複数の略称が存在します。また、ソフトバンクを「SB」と省略するユーザーもいれば、Instagram(インスタグラム)を「IG」と省略するユーザーもいます。
このように、調査対象となる商品・サービスがどのように呼ばれているのか、どのような口コミが出ているのかを事前にデスクリサーチ等で調査し、検索キーワードの候補を洗い出しておくことが非常に重要です。
この際、自社の商材がどのような動詞・形容詞で修飾されることが多いのかもあわせて調査することで、④で説明する分析の際に非常に役に立ちます。
例えば、マーケティングファネルに当てはめた時に、各フェーズで自社商材がどのように口コミが行われているかを考えるのも、1つの手段として考えられます。
③調査するにあたってノイズとなる情報を定義する
次に、略称などを含め広く集めてきたデータの中から、分析においてノイズとなる口コミを定義し、除外する必要があります。分析において共通してノイズとなる情報は例えば以下のような口コミです。
- 別の何かと名前が被っているサービスや商品に関する口コミ
- 「#shindanmaker」や「#質問箱」などの定型表現
- 企業公式アカウントやBotアカウントなど消費者の声ではない口コミ
このほかにも、例えばリツイートを分析対象に含めるか否か、定常的な口コミを調査するために、偶然にバズった投稿は分析対象から除外するか否か、ツイート回数が他の人と比較してあきらかに多い人を除外するか否かなど、どのような目的で分析を行うかに応じて、その都度ノイズとなる情報は何か考え、適切に除外することがソーシャルリスニングを行う上では非常に重要になってきます。
④仮説をあきらかにするために口コミを絞り込む
最後に、最初に立てた分析の目的を達成するためには、ソーシャルリスニングを通じて何をはっきりさせる必要があるのかという問いに対して仮説を立て、その仮説を検証するためにどういった口コミを調査することが有効かを考えます。
例えば、分析の目的が「消費者が感じている自社商材の良さは何か」であるとすると、この目的を達成するためには、消費者が比較検討、購買、または推奨していることがわかる口コミから、自社商品を購買した理由や他者に推奨する理由を抽出できれば、分析の目的を達成できる可能性があるといえます。
そこで、ただやみくもに口コミを調査するのではなく、②で調査しておいた動詞や形容詞をヒントに、自社商材を購買したユーザーがどのような口コミを行うか想像し、そのキーワードを含む口コミに絞りこんで調査を行うことで、「消費者が感じている自社商材の良さは何か」に対する示唆を獲得できる可能性は高まります。
▼「ブランド名」で取得した口コミのワードクラウド
▼各ブランドを購買したと捉えられる口コミに絞り込んだ時のワードクラウド
上記は、実際にあるアパレルブランドA社とB社について、「ブランド名」で取得した口コミのワードクラウドと「ブランド名 + 購買時に使われるキーワード」で絞り込みを行った口コミのワードクラウドです。
ブランドA社は、全体の口コミの中ではあまり目立っていなかった「パーカー」というキーワードが購買時の口コミでは目立っており、購買後に多くのUGCを発生させている商品であると考えられます。一方、B社は全体傾向同様「財布」というキーワードが目立っており、財布を中心とした小物が人気である様子がうかがえます。
まとめ
ソーシャルリスニングを実施する際には、単純に自社商品名を検索するだけではなく、分析を通じてあきらかにしたいことは何かという問いを立てることが必要です。
その上で、商材以外にどういったワードがあるかを調査し、集めた口コミからどうすれば示唆を獲得できるか仮説を立て、検証を進めていくことで、ソーシャルリスニングから得られる価値は今より格段に高まると思いますので、ぜひ実践してみてください。
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この記事を書いた人:澁谷海渡