X(Twitter)のソーシャルリスニングでできることは?活用方法を徹底解説

2023/04/12

SNSの普及によって人々はより気軽に情報発信できるようになり、各プラットフォームには膨大な口コミやレビューがあふれかえっています。

本記事ではこれらのUGCを活用して、企業のマーケティング活動を促進するソーシャルリスニングをご紹介します。

    ■目次

  1. ソーシャルリスニングとは?
  2. なぜソーシャルリスニングをするべきなのか?
  3. ソーシャルリスニングでできること
  4. ソーシャルリスニングでできないこと
  5. まとめ

1.ソーシャルリスニングとは?

「ソーシャルリスニングをするにはX(Twitter)がいい」「消費者心理が見える」などと言われ注目を集めていますが、そもそもソーシャルリスニングとはどういうものなのでしょうか。

ソーシャルリスニングとはマーケティングリサーチの手法の一つで、X(Twitter)やブログなどのソーシャルメディア上で消費者の声を分析して、マーケティング課題の解決をサポートするものです。

マーケティングリサーチは大きく定義すると、定量調査と定性調査に分類できます。

定量調査はアンケート調査や、対象を絞ってアンケートを繰り返すパネル調査などが代表的です。これらの調査は消費者動向や販売推移などを分析できるので、仮説の検証や、数値を基にした市場の実態把握に向いています。

一方の定性調査には、ソーシャルリスニングが含まれます。定性調査は、印象など数値化できない感覚的な情報を扱うことを得意とし、仮説を見つけるために行われます(仮説探索)。定性調査のその他の手法には、グループインタビューやデプスインタビュー(1対1形式)があります。

2.なぜソーシャルリスニングをするべきなのか?

ここまで述べてきたように、定量調査と定性調査ではマーケティングリサーチにおける役割が異なります。

ソーシャルリスニングが分類される定性調査の重要性は、定性調査をすることで定量調査を補強できる点です。実際にはソーシャルリスニングで仮説を探索し、アンケートで検証する、といった連携で、課題を解決に導くことができるのです。

ところが定性調査は個人面接や座談会、覆面調査など、実際に人を動かす必要があるものが多く、実施するのに費用と時間がかかります。

そこでソーシャルリスニングでは、SNS、特にX(Twitter)のユーザー投稿を分析し、新たな気付きを得ることができます。このようにソーシャルリスニングではすでにあるUGCを利用して実施するので、予算も抑えられるでしょう。

3.ソーシャルリスニングでできること

①施策・キャンペーンの反響・効果測定

解決できる課題:SNSキャンペーン・オフラインイベント・TVCMなどマーケティング施策を行ったが反響・効果が分からない。

このような課題を抱えており、上司から結果報告を求められて困っているというマーケティング担当者の方も少なくないのではないでしょうか。

X(Twitter)上のソーシャルリスニングを活用し、施策前後での口コミ量・内容、フォロワーの増減を分析することで、施策の反響・効果を一定確認できる可能性があります。

関連記事:

やるとやらないで、大違い。ソーシャルリスニングを駆使したX(Twitter)プロモーションの効果測定について

分析内容

1.キャンペーン投稿のエンゲージメント数

 

キャンペーン投稿のエンゲージメントを分析することで、過去キャンペーン投稿と定量的な比較が可能です。

例えば、リツイートやコメントを促す文言を入れた効果があったかはリツイート数・コメント数を過去投稿の数値と比較することで参考にできます。

2.策前後の口コミ数の比較

施策前

 

施策期間

 

施策後

 

このように施策前中後でX(Twitter)上での口コミ数を定量的に比較することが可能です。

3.口コミ数の時系列推移

 

定点比較ではなく、時系列でも口コミ数の推移を見ることができ、盛り上がったポイントの口コミを分析することで話題化しやすいトピック等についての示唆を得られる可能性があります。

4.施策前後の口コミ内容の比較

施策前

 

施策後

 

施策前後における口コミ内容の定性的な比較をすることで、その施策が与えたターゲットへの影響について仮説を立てるのに役立ちます。

5.公式アカウントのフォロワーの増加有無

 

 

調査結果をどう活かせるか

  • 社内向けに施策の効果を報告できる(今後の予算確保に繋がる)
  • 次に行う施策の戦略設計に活かせる
  • オフライン施策の場合、どの程度ソーシャルでUGCを生めるのか確認できる

このように、部分的にではありますが、ソーシャル上でどの程度のUGCが発生したかについては施策前後で定量的に示せる可能性があります。また、施策前後での口コミ内容の分析をすると、ターゲットユーザーがどのような態度・認識変容を起こしたかについての示唆や仮説を得られる可能性があります。

調査にかかる期間 調査設計、調査実施、レポーティングで2ヶ月程度
調査費用の目安 50万円から

②インサイト調査

解決できる課題:顧客ニーズが分からない、競合対比で売上が落ちているが、改善点が分からない

X(Twitter)上で出ている消費者の口コミから購買・契約のきっかけ、商品・サービスへの不満点、満足している点などを分析し、商品・サービスの新規開発や改善に活かせる可能性があります。

関連記事:

消費者の隠れたニーズを掘り起こす。ソーシャルリスニングのやり方「インサイト調査」を解説

分析内容

1.CEP(カテゴリーエントリーポイント)

 

購買・契約のきっかけとなったシーン、タイミング、タッチポイントなどについての口コミが出ている可能性があります。

2.不満点

 

自社としては認知していなかった不満点などが口コミとして出ている可能性があります。

3.魅力

 

自社商品・サービスのどの点に満足して利用・購買してくれるのかを把握できる可能性があります。

4.N1分析

 

1つの口コミ単体ではなく、1人のユーザーが普段どのような投稿をしているか、どのような投稿にエンゲージメントしているか、どのようなアカウントをフォローしているかなどを分析することで、ペルソナの見直しやブラッシュアップに活かせる可能性があります。

調査結果をどう活かせるか

  • 商品・サービスの改善に活かす
  • 新商品・サービスの開発に活かす
  • 広告クリエイティブに活かす
  • 訴求の仕方に活かす

これまで気付いていなかったユーザーの使い方や魅力を感じている点、改善する余地があるポイントなどの示唆を、インタビューよりも手軽に出せる可能性があります。ソーシャルリスニングにより出た示唆を根拠に商品・サービスの企画を行うことで、説得力を上げることができるでしょう。

調査にかかる期間 調査設計、調査実施、レポーティングで2ヶ月
調査費用の目安 50万円から

③競合アカウント分析

解決できる課題::新規で自社SNSアカウントの運用を開始する上で、競合の運用方針をベンチマークにしたい

分析内容

1.月間投稿数の推移

競合月に何本程度の投稿をしているかを見て、自社アカウントの投稿数の目標を定める参考にできます。

 

2.投稿内容の分類(投稿サンプル)

どのような投稿をしているのかをいくつかのカテゴリに分類することで、投稿案の作成や投稿方針の決定に活かせます。

 

3.投稿内容の推移

時系列でデータを観察したときに、競合が投稿内容・訴求対象をどのように変化させてきたのか調査することで、競合のソーシャルメディア上での訴求方針を調査することができ、自社の投稿方針の検討に活用できます。

 

4.フォロワー数推移

フォロワーが大きく増加したポイントでどのような投稿・施策を打っていたかを分析することで、自社アカウントの運用戦略に活かせる可能性があります。

 

 

調査結果をどう活かせるか

  • 自社アカウント立ち上げの戦略設計に活かせる
  • その業界でどんな投稿がウケるのか把握できる
  • ソーシャル上での潜在的なニーズを把握できる

競合の伸びているアカウントを分析して良い部分を真似て、その上で自社としての独自性を出すことで差別化しましょう。

調査にかかる期間 調査設計、調査実施、レポーティングで1~2ヶ月
調査費用の目安 30万円から

 ④X(Twitter)広告ターゲティングリスト作成

解決できる課題:X(Twitter)広告で、ターゲットをどう設定したらいいか分からない or X(Twitter)広告を出しているが、効果がイマイチ

ソーシャルリスニングを活用したターゲティングにより、広告効果・各種指標の改善が期待できます。

分析内容

1.ターゲットのペルソナの仮説を立てる

 

 

広告を配信するターゲットのペルソナについての仮説を立てます。年齢・性別などのデモグラや、職業、ライフスイタイル、価値観などできるだけ細かく設定します。

2.口コミデータの収集

1.で立てた仮説を基にして、ターゲットが利用しているであろうキーワードを検討し口コミデータを収集します。

3.ペルソナに合致するアカウントサンプルの収集

 

口コミデータから仮説を立てたペルソナに合致するようなアカウントをピックアップしていき、数十サンプル程度を収集します。

4.広告ターゲティングの決定

該当サンプルが共通してフォローしているアカウントや、普段投稿に利用しているキーワードなどを広告ターゲティングに活用します。

 

調査結果をどう活かせるか

  • X(Twitter)広告ターゲティング設定にそのまま使える
調査にかかる期間 調査設計、調査実施、レポーティングで0.5ヶ月
調査費用の目安 10万円から

⑤商品・サービスのキーワードの時系列調査

解決できる課題:自社商品・サービスのUGCがソーシャルでどの程度発生しているか知りたい

関連記事:

明日から使える! ソーシャルリスニングのやり方「時系列情報調査」を解説

分析内容

1.期間内の口コミ数の時系列推移

 

任意にキーワードを設定し(商品・サービス名など)、それを含む口コミ数の時系列推移を分析できます。

※ここではスターバックスを含む口コミ数の推移を例にしています。

2.口コミが盛り上がったポイントの分析

ワードクラウドにすることで、各ポイントで目立つ話題について仮説を立てることができます。

3.口コミが盛り上がった地点の口コミ例

 

各ポイントにおいて、実際の口コミ例を見ていくことで、X(Twitter)上で話題化させるための示唆が見つかる可能性があります。

調査結果をどう活かせるか

  • UGCが少なかった場合、UGCを生む施策の必要性を社内で強調できる
  • 口コミが盛り上がる時期や理由を把握してソーシャルでの施策に反映する
  • UGCが出やすい商材なのかを見極めて、今後の施策方針に活かす

そもそも自社商品・サービスに関する口コミがソーシャル上で発生しているのか。発生していればどんなタイミングで口コミが盛り上がり、どんな内容で盛り上がっているのかを分析することが可能です。

調査にかかる期間 調査設計、調査実施、レポーティングで2ヶ月
調査費用の目安 50万円から

 ⑥フォロワー分析

解決できる課題:自社アカウントのフォロワーがどんなユーザーなのか分からない

ソーシャルリスニングを活用してフォロワーの属性分析をすることで、自社アカウントのフォロワーの解像度が上がる可能性があります。

※注意点:取得できるデータの関係上非公開アカウント(いわゆる鍵垢)のデータは取得できないため、公開アカウントのみの限定的な分析になります。

関連記事:

X(Twitter)施策の成否を解剖。ソーシャルリスニングのやり方「アカウント分析」を解説

分析内容

1.プロフィール分析

 

 

2.共通してフォローしているアカウント

 

フォロワーが共通してフォローしているアカウントを分析することが可能です。ここからフォロワーの興味関心について示唆が生まれる可能性があります。

3.共通してエンゲージメントしている投稿

 

 

フォロワーが共通していいねやリツイートで反応している投稿を分析することが可能です。ここからフォロワーが共通して興味関心を持っている内容について示唆が生まれる可能性があります。

4.クラスタ分析

 

フォロワーのプロフィールに記載されている内容を分析し、使用されている単語同士の関係性を可視化することがネットワーク図化が可能です。

ここから、フォロワーの中で特定のクラスタが発生している可能性についての分析ができます。

調査結果をどう活かせるか

  • 共通してフォローしているアカウントの分析をする
  • 投稿内容を改善するための示唆を得る

X(Twitter)のフォロワー分析では、

(1)公開アカウントのみの分析になる

(2)プロフィールを記載していないアカウントも多い

(3)デモグラ情報の信憑性が低い

という3つの理由から、有効な示唆を生むのが難しい場合が多いのが実情です。しかしながら、場合によってはアカウント運用において有効な示唆が生まれる可能性もあるため、検討の余地はあるため、ご希望の方はお気軽にご相談ください。

調査にかかる期間 調査設計、調査実施、レポーティングで1~2ヶ月
調査費用の目安 40万円から

4.ソーシャルリスニングでできないこと

ソーシャルリスニングで定量的なことが分かるという誤解が生じていることがありますが、ソーシャルリスニングは定性調査であり、仮説を立てるために行う調査方法です。数値を用いて仮説を検証するのは、定量調査の役割です。

具体的な例を挙げると、下記のようなことはできません。

  • 市場を代表するデータではないため、〇〇の条件の人が何人いるかといった定量的な計測は原則できない
  • 仮説の検証も同様に難しい
  • 現状のAPIの仕様でデータが取得できないものの調査
    例)
    いいねしたユーザーの一覧データ取得
    Instagramのフォロワー一覧データの取得・分析
    TikTokのエンゲージメントユーザーの分析 など

ガイアックスの定量調査のマーケティングリサーチが気になる方は、下記の記事をご覧ください。

関連記事:

マーケティング責任者必見! 売上に繋がるSNS戦略とマーケティングリサーチの流れ

5.まとめ

X(Twitter)でのソーシャルリスニングはそのほかの定性調査に比べて、手軽に実施でき、多くの情報を得られるというメリットがあります。施策や商品への常識や思い込みにとらわれない気付きを得て、新たな仮説を見出すこともできるようになります。

ガイアックスでは、X(Twitter)ソーシャルリスニングによるマーケティングリサーチの支援も行っております。独自の手法を用いた分析も提供しておりますので、お気軽にお問合せください。

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