どのSNSを導入すべき? SNS活用の先進的企業の事例に学ぶ、各ソーシャルメディアの使い分け
2017/05/31
時の流れとともに増加の一途を辿るSNSの数々。日本企業によるX(Twitter)活用が始まった2009年と比べると、企業のソーシャルメディア戦略は多様化せざるを得ない状況になっています。
それぞれの特性を活かしながら、効果的に複数のSNSを上手に使い分けるには、どうすれば良いのでしょう?
本記事では、複数のSNSアカウントを使い分けている企業の事例をご紹介します。各企業はどのようにSNSを使い分けているのか、調べてみました。
※各事例の数字はすべて2017年5月29日現在のものです。
▼最新の参考記事
【調査記事】Facebook,Instagram,X(Twitter)各SNSで最適な投稿頻度・回数とは?
Facebook・Instagram・X(Twitter)どれを使う?キャンペーン時のSNSの最適な使い分けとは
Facebook/Instagram /X(Twitter)…SNSごとに投稿内容は変えるべき?企業事例から学ぶ“コストをかけない”使い分けのポイント
※更新履歴
2017年6月1日:事例を追加しました。
- ■目次
- 複数のSNSを導入する前に…
- ローソンのソーシャルメディア活用:20以上のSNSを使いこなすマルチプレイヤー
- 無印良品のソーシャルメディア活用:オウンドメディアを基軸にファンを醸成
- ユニクロのソーシャルメディア活用:宣伝色の強い攻めのSNS活用
- おきなわLikesのソーシャルメディア活用:各SNSでの露出を最大化
- SNSの効果的な使い分けで気をつけたい、3つのポイント
1. 複数のSNSを導入する前に…
Facebook、 X(Twitter)、Instagramなどのソーシャルメディアは、ユーザーとの距離が近く、直接のコミュニケーションも可能な媒体です。多くのSNSアカウントを活用することで、ユーザーとより親密な関係を築ける可能性を持っています。
また、SNSごとにユーザー層や性質が異なるので、複数のSNSでアカウントを運用することで、アプローチできる範囲が広がります。
しかしながら、数打てば当たるというわけではありません。SNS運用で成果を出すためには、各SNSのユーザー特性や文化、習慣を理解する必要があります。「空気を読めない企業」として嫌われてしまわないためにも、やみくもにたくさんのSNSアカウントにでは出さないようにしましょう。
新規ユーザーの獲得など明確な目的があり、かつSNSの性質を理解し継続的にコンテンツを投稿リソースがあるなら、複数のSNSを運用することを検討してみましょう。
関連記事:Facebook・X(Twitter)・Instagramの違いと使いわけ方まとめ!特徴からユーザー動向・運用方法まで徹底解説
2. ローソンのソーシャルメディア活用:20以上のSNSを使いこなすマルチプレイヤー
URL: https://www.facebook.com/lawson.fanpage/
いいね!数:61万人
更新頻度:1日2〜4回(朝、昼前、夕方)
テキスト:商品紹介2〜3行+リンク
写真:必ずある。商品画像
誘導先:商品紹介ページほか
X(Twitter)
URL: https://twitter.com/akiko_lawson
フォロワー数:1,302,237 フォロー数201,604
更新頻度:1日2〜6回
テキスト:Facebookよりややゆるめ。新商品の情報だけでなく、少し宣伝寄りの投稿も。【ローソン】と見出しを付けるなど、流れやすいX(Twitter)にあわせた工夫が見られる。
写真:必ずある。商品画像やキャンペーンイメージ
誘導先:商品紹介ページ・キャンペーン特設サイトほか
URL: https://www.instagram.com/akiko_lawson
フォロワー数:508,000 フォロー数:3,194
更新頻度:ほぼ毎日1回〜2回
内容:テキスト・写真ともにFacebookとほぼ同じだが、誘導リンクなどはなし
ハッシュタグ:#ローソン #ろーそん ほか10個くらい
LINE
URL: http://line.naver.jp/ti/p/%40lawson
友だち:20,498,693
投稿数:268
投稿頻度:1週間に1~2回
YouTube
URL: https://www.youtube.com/user/lawsonnews
チャンネル登録:7,184
動画数:80以上
最多視聴回数:562,819
考察
コーポレートサイトのトップには「Official SNS」としてFacebook・X(Twitter)・LINE・YouTube・Google+・Pinterestのアイコンが並びます。
また、一覧を開くとInstagram・C CHANNEL・Periscope・ニコニコ動画・mixi・ミイル・cameran・pixiv・GREE・weibo・foursquare・gifmagazineのほか、「謎のローソン部」というオリジナルのコミュニティサイトのリンクがあり、その数なんと20以上。
“流行を先取りするローソンに行けば、何か新しい発見がある”というメッセージが読み取れます。
ローソンのソーシャルメディア活用といえば、“ローソンクルー♪あきこちゃん”のキャラクターが有名ですが、アイコンにあきこちゃんのイラストを使っているというだけで、キャラクターを押し出した話し方にはなっていません。
キャラクターを使ったアカウントは、どうしてもキャラクターに語らせようとしがちですが、そうして人に依存してしまうと、多くのアカウントをひとりで管理することになってしまいます。
あくまでも企業としてクールな投稿にすることで、これだけの数のアカウントでも、中の人が変わったという違和感を出さずに済んでいます。
また、ローソンはX(Twitter)キャンペーンを多く実施していることも特徴です。「#◯◯を付けてつぶやけば、抽選で△△をプレゼント!」という古典的な手法ですが、これだけ繰り返し行われているということは、一定の成果があるのでしょう。
「どこにでもあるコンビニ」と「すぐにタイムラインが流れるX(Twitter)」に共通する「気軽さ」に加え、X(Twitter)民の属性を理解したキャンペーン特典がマッチしていることで、多くの人に受け入れられているのだと思われます。
ローソンのSNS活用についてはほかの記事でも紹介しているので、ぜひ参考にご覧ください。
友だちをひきつけて離さない! ローソンLINE(ライン)公式アカウントの施策まとめ
表現の幅がめちゃくちゃ広がる!GIFアニメーションのX(Twitter)活用事例12選
3. 無印良品のソーシャルメディア活用:オウンドメディアを基軸にファンを醸成
URL: https://www.facebook.com/muji.jp/
いいね!106万
更新頻度:1日2回
テキスト:3〜4行(X(Twitter)より長め)
写真:基本あり(画像投稿のほか、誘導先のOGPを活用)
誘導先:くらしの良品研究所・ネットストア
X(Twitter)
URL: https://twitter.com/muji_net
フォロワー数542,829 フォロー数:195,045
更新頻度:1日2回(Facebookと同じ)
テキスト:基本的にFacebookと同じ内容だが、たまにX(Twitter)ならではのゆるい投稿もある。
写真:必須ではない(誘導先のOGPを活用)。画像サイズの最適化はされていない。
URL: https://www.instagram.com/muji_global/
フォロワー数:665,000 フォロー数:14
更新頻度: 1週間に7〜8回
内容: 日本語と英語で商品紹介。キャンペーンやイベント紹介を動画でも実施。
ハッシュタグ: #muji #無印良品 #無印 #mujilabo
LINE
LINE ID: @muji
友だち:3,328,802
投稿数:193
投稿頻度:1週間に1回
考察
今回、もっともSNSのバリエーションが少なかった無印良品。「感じ良いくらし」を追求する、シンプルでナチュラルなブランドイメージを守るためにも、流行に流され、手当たり次第に新しいSNSに手を出すというのはそぐわないのでしょう。
コミュニティサイトでありオウンドメディアでもある「くらしの良品研究所」が活発に機能しており、熱烈なファンと深度の高いコミュニケーションを行うメディアには、十分事足りているのかもしれません。
各SNSで投稿されている内容を見ても、「くらしの良品研究所」への誘導が見られます。
「くらしの良品研究所」に良質なコンテンツを投入することに全力投入することで、ひとつひとつの記事にも多くの「いいね!」が付いています。
Facebookを見たファンがその場で「いいね!」を押すだけでなく、リンクをクリックしてWebサイト訪れ、そこで「いいね!」を押して、さらに多くの人へ拡散する、という好循環が生まれているようです。
無印良品のFacebook活用においては、「くらしの良品研究所」へリンクを貼る際、写真を別にアップロードするのではなく、OGPを使って記事内の画像を見せているところです。
かつてはOGPの画像が小さかったため、「リンク+写真」の投稿方法が良いとされていましたが、今は大きく表示されるようになったため、無駄なクリックを減らすには、OGPのリンクだけに集中させることが有効な手段だと言えそうです。
SNS観点では、FacebookとX(Twitter)では基本的に同じ情報を発信し、運用を効率化していることが伺えます。
対してInstagramは、Facebook、X(Twitter)と投稿内容が大きく異なります。グローバル市場むけの投稿のため、日本語と英語が併記されていたり、ハッシュタグのみの投稿もあって文言も最小限だったりと、Instagramの文化に合わせているのがわかります。
関連記事:オウンドメディアでのソーシャルメディア活用事例 【株式会社良品計画】
4. ユニクロのソーシャルメディア活用:プラットフォームに合わせたコンテンツ企画力
URL: https://www.facebook.com/uniqlo/
いいね!:110万人
更新頻度:1日2~3回
テキスト:規則性なし
写真:ほとんどあり
誘導先:コーポレートサイト内のNEWS TOPICSや商品紹介ページ
X(Twitter)
URL: https://twitter.com/uniqlo_jp
フォロワー数:510,058 フォロー数:4
更新頻度:1日2~5回
テキスト:Facebookのキャプションを短くしたものが多い。
写真:基本あり
URL: https://www.instagram.com/uniqlo/
フォロワー数:909,000 フォロー数:347
更新頻度:1日1回
内容:テキストは1行のみ。ほかのSNSとは異なるコンテンツ。
ハッシュタグ:#ユニクロ #uniqlo ほか10個くらい
※オフィシャルとは別にユニクロ銀座(@uniqlo_ginza)アカウントもあり
LINE
URL: http://line.me/ti/p/%40uniqlo
友だち:25,872,679
投稿数:277
投稿頻度:1週間に1回
YouTube
URL: https://www.youtube.com/user/UNIQLO
チャンネル登録:19,078
動画数:1,300以上
最多視聴回数:117,575
考察
FacebookとX(Twitter)にはほぼ同じ内容が投稿されていますが、X(Twitter)ではFacebookには投稿されていない独自企画コンテンツが投稿されています。アーティストとコラボした企画になっており、サブカルチャー好きな人が多いX(Twitter)のユーザー層を意識した企画であると予想されます。
また、同じテーマの投稿であっても、X(Twitter)は画像1枚だけなのに対し、Facebookには複数の画像が投稿されているパターンもあります。プラットフォームに合わせて画像の枚数や見せ方を工夫しているようです。
そして、Instagramは、Facebook・X(Twitter)とは投稿内容がまったく違います。コーディネートの置き画など、Instagramの世界観に合わせたおしゃれさ重視の投稿が並んでいます。
関連記事:
インスタグラムの世界観を崩さない工夫が重要。大手メーカー(製造業)のInstagram活用事例!
【事例付き】企業のX(Twitter)(ツイッター)ハッシュタグはこう使う!活用方法6種類を徹底解説
5. おきなわLikesのソーシャルメディア活用:各SNSでの露出を最大化
URL:https://www.facebook.com/OkinawaLikes.jp
いいね!:120万人
更新頻度:1日1~3回
テキスト:飲食店やホテル、レジャー施設の紹介
写真:必ずついている
X(Twitter)
URL: https://twitter.com/okinawa_likes
フォロワー数:3,955 フォロー数:624
更新頻度:1日1回
テキスト:飲食店やホテル、レジャー施設の紹介
写真:必ずあり
URL: https://www.instagram.com/okinawa_likes/
フォロワー数:337,000 フォロー数:7,367
更新頻度:1日1回
内容:ほかのSNSとは異なるコンテンツもあり、重複する投稿もある。Instagram用に画像を作成し、独自コンテンツを投稿している。
ハッシュタグ:#おきなわLikes#japan#okinawa#沖縄#おきなわ
YouTube
URL: https://www.youtube.com/channel/UCw38qxuS6Nsd4JPdFUm8eBQ
チャンネル登録:102
動画数:1,300以上
最多視聴回数:117,575
考察
おきなわLikesは分散型メディアとして、各SNSでのリーチを最大化するように運用しています。分散型メディアとは、オウンドメディアを持たず、SNSを利用して情報を発信するメディアのかたちです。SNSの特性にあわせて、投稿内容をかえたりすることで、それぞれのSNSに属するユーザーに届きやすい配信をしています。
おきなわLikesは、Facebook、X(Twitter)、Instagram、YouTube、Tumblrを運用しており、各SNSに専任担当を配置し、それぞれのユーザー属性、年齢層に合わせて、最適化されたコンテンツを投下しています。
例えば、同じネタでも、Facebookは、テキストでしっかりと情報提供しつつ、キャッチーな写真を投稿しています。X(Twitter)は、Facebookページよりも横幅が狭いため、タイムラインで見やすいサイズに画像サイズやテキスト量を調整します。
Instagramでは、写真好きユーザーのために、使用機材を表記し、Instagram特有のハッシュタグで文章を書いています。
関連記事:脱PV至上主義!「おきなわLikes」から分散型メディアを考える!
6. SNSの効果的な使い分けで気をつけたい、3つのポイント
自社ブランドの強みを活かせるSNSを見極める
今回見た3社においても、それぞれ力を入れているSNSは、まったく異なりました。ローソンのように、ありとあらゆるSNSに手を出すことは、なかなか真似できる戦略ではありません。
加えて、マニアックなSNSになればなるほど、他のSNSユーザーと重複している可能性は高いと考えられ、当然ながら「SNSの数×各SNSのユーザー数=リーチできるユニークユーザー」とはなりません。
SNS内のキーワード検索や、投稿に対する反応の良し悪しで、自社のファンがどこにいるのかを把握し、“労力をかけるだけの効果を得られるのかどうか”を見極める必要があります。
画像サイズの最適化を忘れずに
文字数は意識せざるを得ませんが、画像は最適化されていなくてもアップロードできてしまうため、意外と見落としがちです。見切れた画像では視覚的なインパクトも減りますし、何より自分に対して発信されている情報だと受け止められにくくなってしまいます。
Facebookの投稿に大量のハッシュタグを付けないよう配慮するのと同様に、各SNSに合わせた画像サイズに最適化することは、情報を効果的に届ける上で、とても大切なこと。
FacebookのOGPでリンク先の画像を活用する際には、大きなサイズで表示されるよう、Webサイトの元画像を【1200ピクセル×630ピクセル】以上に設定しておくこともお忘れなく。
Instagramで長方形の画像を投稿したい場合は、InstaSizeなどのアプリでレイアウトを変えたりして、あらかじめ画像を編集しておくと、残しておきたい箇所が切り取られてしまうこともありません。
X(Twitter)は縦横比1:2にしておくと全体が表示されるようです。PCとスマートフォンによってリサイズの方法が異なりますので、詳しくはこちらの記事をご参照ください。
Webサイトのスマートフォン対応はマスト
多くのSNSはスマートフォンからのアクセスの方が、PCからのそれよりも多くなっています。スマートフォンでSNSを見ていたのに、誘導された先がPC専用サイトだと、がっかりしてしまいますよね。
当然ながら、今回取り上げた3つの企業のWebサイトは、スマートフォン対応されていました。こんなことで離脱を生まないためにも、ソーシャルメディア活用とスマートフォン対応は、セットと考えておいたほうが良いのではないでしょうか。
以上、複数のSNSの効果的な使い分けについて、考察してみました。
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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部